”新しい未来をともに”最先端のがん治療を追求するがん治療専門クリニック ”新しい未来をともに”最先端のがん治療を追求するがん治療専門クリニック

乳がんbreast-cancer

乳がんは、日本人女性で最も多く診断されているがんです。国立がん研究センターの統計では、女性のがん罹患数で1位とされ、生涯で9人に1人が乳がんを経験すると推定されています。

乳がんは、決して珍しい病気ではありません。働き盛りの時期に見つかる人もいれば、子育て中、更年期前後、あるいは検診をきっかけに診断される人もいます。乳房は体の表面に近いため、変化に気づきやすい部位です。自分でしこりや違和感に気づいて受診する場合もありますが、症状がないまま検診で見つかることもあります。マンモグラフィ検診によって、しこりとして触れる前の段階で発見されることもあります。

ただし「見つけやすいがん」と言われることがあっても、それだけで安心できるわけではありません。実際には、しこりがあっても痛みがないために様子を見ていたり、生理前の張りだと思って受診を先延ばしにしたりすることがあります。乳がんは、初期から強い痛みを伴うとは限りません。小さな違和感でも、検査をして初めて治療が必要な病変だと分かるケースも少なくありません。

また、一口に乳がんと言っても比較的ゆっくり進むタイプもあれば、短期間で治療判断が必要になるタイプもあります。ホルモンの影響を受けやすい乳がん、HER2というタンパク質が関係する乳がん、抗がん剤治療が重要になる乳がんなど、性質によって治療方針は大きく変わります。

治療では、がん細胞を取り除くことだけでなく、その後の生活も大きな課題になります。乳房を残せるのか、再発リスクをどう下げるのか、仕事や育児を続けられるのか、将来の妊娠に影響するのか。こうした点は、治療を受ける人にとって切実な問題です。

この記事では、乳がんの基本だけでなく、どのような変化で受診を考えるべきか、なぜ治療内容が人によって異なるのか、治療が生活にどのような影響を及ぼすのかを整理します。検査や治療について考えるときに、主治医へ何を確認すればよいかを理解するための参考にしてください。

出典:国立がん研究センター 最新がん統計

  • 乳がんは女性の9人に1人が経験する、罹患者数1位のがん(2023年統計)
  • 治療方針は乳がんのタイプによって大きく異なる
  • 乳がん女性の5年相対生存率は92.3%と高い水準

乳がんとは何か

乳がんは乳腺の細胞が異常に増殖することで発生するがんです。乳房の中には、母乳を作る小葉と、母乳を乳頭まで運ぶ乳管があり、乳がんの多くは乳管の細胞から発生します。乳がんと聞くと、一つの病気のように思われがちですが、実際には性質の異なる複数のタイプがあります。進み方、再発しやすさ、効きやすい薬、治療後の経過は、がん細胞の特徴によって大きく変わります。

たとえば、女性ホルモンの影響を受けて増殖しやすいタイプでは、ホルモン療法が重要になります。HER2というタンパク質が強く発現しているタイプでは、HER2を標的にした薬剤が治療に使われます。ホルモン受容体もHER2も陰性であるトリプルネガティブ乳がんでは、化学療法が治療の中心になることがあります。

そのため、乳がんの治療は「乳がんだからこの治療」と一律に決まるものではありません。腫瘍の大きさやリンパ節転移の有無だけでなく、ホルモン受容体、HER2、増殖の速さなどを確認しながら治療方針を決めていきます。

注意したいのは、しこりの大きさや痛みの有無だけでは、乳がんの性質を判断できないことです。小さな病変でも再発リスクを慎重に考える必要がありますし、比較的大きくても進行がゆるやかなタイプもあります。触った感覚だけで「軽い」「重い」と判断することはできません。

また乳がんは必ず痛みを伴う病気というわけではありません。痛みをきっかけに受診する人もいますが、痛みのないしこりとして見つかることもあります。「少し硬い」「以前と触れた感じが違う」「片側だけ違和感が続く」といった変化が早期発見のきっかけになる場合もあります。

乳がんで確認すべきなのは、強い症状があるかどうかだけではありません。以前にはなかったしこり、皮膚のひきつれ、乳頭からの分泌、左右差の変化などが続く場合には、画像検査で確認することが大切です。乳がんは、進行すると乳房の周囲だけでなく、わきのリンパ節や骨、肺、肝臓などへ広がることがあります。診断後は、乳房内の病変だけでなく、どのタイプの乳がんなのか、どこまで広がっているのかを確認しながら、治療方針を整理していく必要があります。

乳がんの原因とリスク

乳がんは一つの原因だけで発症する病気ではありません。年齢、女性ホルモン、遺伝的背景、体質、生活習慣など、さまざまな要素が関わりながら発生すると考えられています。

乳がんとの関連がよく知られているのが、エストロゲンという女性ホルモンです。乳腺はもともとホルモンの影響を受ける組織で、月経、妊娠、出産などを通して変化を繰り返しています。こうした刺激が長期間続くことが、発症リスクに関係すると考えられています。そのため、初経年齢が早い場合や閉経が遅い場合では乳がんリスクが高くなることがあります。

出産経験や授乳歴なども、ホルモン環境に関わる要素として知られています。ただし、リスク要因があるから必ず発症するわけではありません。反対に、明らかな危険因子がなくても乳がんが見つかることがあります。実際には、健康に気を配って生活していた人が発症することも少なくありません。運動習慣がある人、食事に注意していた人でも乳がんになることがあります。乳がんを単純に「生活習慣だけで起こる病気」と捉えることはできません。

遺伝的要因

一方で、遺伝的要因が関係する乳がんもあります。代表的なのが、BRCA1やBRCA2という遺伝子の変化です。これらに異常がある場合、比較的若い年代で乳がんを発症することがあり、卵巣がんを合併するケースも知られています。

家族の中に乳がんや卵巣がんを発症した人が複数いる場合には、遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)の可能性を考えることがあります。ただ、家族歴だけで乳がんリスクを判断できるわけではありません。乳がん患者の中には、家族に同じ病気の人がいないケースも多くあります。

参考:日本産婦人科医会 遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)の特徴

生活習慣の変化

閉経後の肥満、飲酒習慣、運動不足などと乳がんとの関連も指摘されています。特に閉経後は、脂肪組織からエストロゲンが作られるため、ホルモン受容体陽性乳がんとの関係が知られています。

一方で、「自分はリスクが低いから大丈夫だと思っていた」「健康的な生活をしていたから関係ないと思っていた」という理由で、検診や受診が遅れることがあります。逆に、発症後に「生活習慣が悪かったせいではないか」と自分を責めてしまう人もいます。しかし実際には、乳がんは複数の要因が重なって発生する病気であり、原因を一つだけに絞って説明できるとは限りません。

乳がんで大切なのは、原因を断定することよりも、変化を見逃さずに検査へつなげることです。年齢や家族歴にかかわらず、乳房の変化が続く場合には医療機関で相談することが勧められます。

乳がんの症状と見逃されやすさ

乳がんでは、乳房の変化をきっかけに受診する人が多くいます。なかでも多いのは、しこりや硬さへの気づきです。ただ、最初から「はっきりしたしこり」として分かるとは限りません。触ると少し硬い気がする、左右で感触が違う、以前とは触れ方が変わった気がする。その程度の変化から始まることもあります。日によって気になったり気にならなかったりするため、受診するか迷う人も少なくありません。

乳房はホルモンの影響を受けやすい組織です。月経周期によって張り感が変わることもありますし、乳腺症など良性の変化でも硬さや違和感が出ることがあります。そのため、「よくある変化かもしれない」と考えて様子を見るケースがあります。一方で、痛みがないまま見つかることも珍しくありません。「痛くないから心配ないと思っていた」という経過で受診が遅れることもあります。

乳房の見た目の変化

病気が進行すると、乳房の見た目に変化が出ることがあります。皮膚の一部が引きつれたように見える、えくぼのようなくぼみができる、乳頭が陥没する、といった変化です。乳頭から分泌がみられることもあり、特に血液が混じるような場合には、乳管内の病変が関係していることがあります。

ただ、乳がんでは「典型的な症状がそろう」とは限りません。強い痛みや明らかなしこりがなくても、検査で病変が見つかることがあります。受診を考える目安として重要なのは「以前と違う状態が続いているかどうか」です。

  • 以前にはなかった硬さが続いている
  • 片側だけ変化している
  • 違和感が数週間以上続いている
  • 乳頭分泌や皮膚変化が続いている

こうした変化がある場合には、一度画像検査で確認しましょう。特に閉経後は、乳房の張りや乳腺変化が比較的落ち着いてくるため、新しく出てきたしこりや左右差には注意が必要です。

進行した乳がんの症状

乳がんは乳房の症状だけで見つかるとは限りません。進行すると、わきのリンパ節転移によって脇のしこりが目立つことがあります。さらに骨転移では骨の痛み、肺転移では息切れ、肝転移では倦怠感などがきっかけになることもあります。

もちろん、腰痛や疲れがあるからといって、すべてが乳がんの転移を意味するわけではありません。ただ、乳がんの治療歴がある場合には、「いつもと違う症状が続いていないか」を確認することが大切になります。

乳がんで受診が遅れやすい背景には、「もう少し様子を見てもよいかもしれない」という判断があります。しかし、乳房の変化が続いている場合には、自己判断だけで経過を見るのではなく、一度医療機関で相談することをお勧めします。

乳がんの検査と診断

乳がんは症状だけで診断できる病気ではありません。自分でしこりに気づいて受診する人もいますが、検診で偶然見つかるケースもあります。「以前からある硬さだと思っていた」「乳腺症だと思っていた」という変化が、精密検査で乳がんと分かることもあります。乳房の変化に気が付いたら「はっきり異常だと分かってから受診する」のではなく、画像検査で一度確認することが大切です。

マンモグラフィと超音波検査

乳がん検診として広く行われているのがマンモグラフィです。乳房を圧迫してX線撮影を行い、しこりや石灰化の有無を確認します。自分では触れない段階の病変が見つかることもあります。

ただ、マンモグラフィだけですべての病変を見つけられるわけではありません。特に若い年代では乳腺が発達していることが多く、乳房全体が白く写りやすくなります。高濃度乳房(デンスブレスト)では病変も白く見えるため、小さな異常が背景に紛れて分かりにくくなることがあります。超音波検査は、こうした場合に推奨されています。しこりの内部や境界の状態を確認しやすく、乳腺が発達している人でも評価しやすいという特徴があります。

マンモグラフィと超音波のどちらか一方が優れている、という単純な話ではありません。石灰化はマンモグラフィで分かりやすいことがありますし、超音波の方が観察しやすい病変もあります。年齢や乳腺の状態、症状の有無を踏まえながら使い分けられています。

参考:国立がん研究センター がん情報サービス 乳がん検診について

病理検査

画像検査で異常が疑われた場合には、組織を採取して病理検査を行います。代表的なのが針生検です。針を用いて病変の一部を採取し、顕微鏡でがん細胞の有無を確認します。乳がんでは、病理検査まで行って初めて診断が確定します。画像だけで「乳がんです」と断定できるわけではありません。

病理検査では「がんかどうか」だけではなく、がん細胞の性質も調べます。ホルモン受容体、HER2、Ki-67、組織型などを確認し、その結果をもとに治療方針を決めていきます。たとえば、ホルモン受容体陽性であればホルモン療法が検討されますし、HER2陽性であればHER2を標的とした薬剤が治療選択肢になります。Ki-67は、がん細胞の増殖活性を評価する指標の一つとして使われています。

診断の流れ

乳がんの診断では「乳がんかどうか」を確認して終わりではありません。どのタイプの乳がんなのか、再発リスクをどう考えるのか、どの治療が適しているのかまで含めて整理していく必要があります。検査結果が出るまでの時間を長く感じる人もいますが、その間には病理診断や追加検査によって、病気の性質を詳しく確認する作業が行われています。

病気の広がりが疑われる場合には、CT、PET-CT、骨シンチグラフィなどで転移の有無を確認することがあります。乳がんでは骨転移として見つかるケースもあるため、症状や病状に応じて追加検査が検討されます。もちろん、腰痛や倦怠感があるからといって、すべてが転移を意味するわけではありません。ただ、乳がんと診断されている場合には、症状の変化を含めて確認していくことが重要になります。

検査は「重い病気かどうか」を調べるだけのものではありません。病気の性質や広がりを整理し、その人に合った治療を考えるためにも必要な過程になります。

乳がんのステージ分類

乳がんでは、病気がどこまで広がっているかを整理するためにステージ分類が使われます。現在はTNM分類をもとに判定されており、腫瘍の大きさ(T)、リンパ節転移の有無(N)、遠隔転移の有無(M)を組み合わせて評価します。

ステージ分類は治療方針を考えるうえで重要ですが、乳がんでは「ステージだけ」で経過が決まるわけではありません。ホルモン受容体、HER2、Ki-67など、がん細胞の性質によって治療反応性が異なるため、同じステージでも再発リスクや治療内容に差が出ることがあります。

参考:東京医科大学病院 乳がんの基礎知識

ステージ0期

ステージ0は非浸潤がんです。がん細胞は乳管や小葉の内部にとどまっており、周囲組織へ広がっていません。代表的なのが非浸潤性乳管癌(DCIS)です。この段階では、リンパ節転移や遠隔転移は認めません。しこりとして触れないことも多く、マンモグラフィで石灰化として見つかる場合があります。病変の範囲によって、乳房温存術や乳房切除術が検討されます。

ステージⅠ期

ステージ1では浸潤がんになっていますが、病変は比較的小さい段階です。一般的には腫瘍径が2cm以下で、リンパ節転移がない、あるいは限られている状態が含まれます。この時期では手術による治療が中心になります。ただし、病変が小さいからといって再発リスクが低いとは限りません。HER2陽性やトリプルネガティブ乳がんでは、比較的小さな段階でも術後薬物療法が検討されることがあります。

ステージⅡ期

ステージ2では、腫瘍が大きくなる、あるいはリンパ節転移を伴うケースが増えてきます。一般的には腫瘍径2〜5cm程度の病変や、脇のリンパ節転移を伴う状態が含まれます。この段階では、手術だけでなく薬物療法を組み合わせることがあります。画像では見えない微小転移の可能性を考慮し、再発リスクを下げる目的で抗がん剤、ホルモン療法、HER2標的治療などが検討されます。

ステージⅢ期

ステージ3には、局所進行乳がんが含まれます。腫瘍が大きい場合、リンパ節転移が広範囲に及ぶ場合、皮膚や胸壁へ広がっている場合などです。この段階では、手術より先に薬物療法を行うことがあります。術前薬物療法によって腫瘍を縮小させ、切除しやすい状態を目指します。病変の広がりによっては、乳房温存の可能性を検討できることもあります。

炎症性乳がんもステージ3に分類されることがあります。乳房全体の赤み、腫れ、皮膚の厚みなどが特徴で、進行が速いタイプとして知られています。

ステージⅣ期

ステージ4では、遠隔転移が認められます。乳がんでは骨転移が比較的多く、肺、肝臓、脳などへ広がることがあります。この段階では、病変を完全に取り切ることよりも、病状をできるだけ安定させながら生活を維持することが治療の中心になります。

一方で、ステージ4だからすぐに治療選択肢がなくなるわけではありません。ホルモン受容体陽性乳がんでは、CDK4/6阻害薬を含む内分泌療法が使われることがありますし、HER2陽性乳がんではHER2標的薬によって治療継続できる期間が延びています。

乳がんでは、ステージだけで予後を単純に説明することはできません。実際の治療では、がん細胞の性質、薬剤への反応性、年齢、体力、併存疾患、生活背景などを踏まえながら治療方針を調整していきます。そのため、ステージ分類は「余命を決める数字」というより、病気の広がりを整理し、どの治療を検討するかを考えるための基準として使われています。

乳がん治療の全体像

乳がん治療では、乳房の中に見えている病変だけでなく、再発リスクも含めて治療方針を考えていきます。画像検査では確認できないレベルのがん細胞が残っている可能性があるためです。実際、手術後しばらく経ってから再発が見つかることもあります。

乳がん治療は、大きく「局所治療」と「全身治療」に分けられます。局所治療は、乳房やリンパ節など病変が存在する部位に対して行う治療です。代表的なのが手術と放射線治療で、乳房内や周囲の再発リスクを抑える目的があります。一方、全身治療は、目に見えていないがん細胞も含めて治療する考え方です。ここにはホルモン療法、化学療法、HER2標的治療、免疫療法などが含まれます。

ただ、すべての患者が同じ治療を受けるわけではありません。ホルモン受容体陽性乳がんでは、内分泌療法が治療の中心になることがあります。HER2陽性乳がんではHER2を標的とした薬剤が重要で、トリプルネガティブ乳がんでは化学療法が中心になることがあります。

治療方針の決め方

治療内容は「乳がんかどうか」だけでは決まりません。病気の広がり、がん細胞の性質、再発リスク、年齢、体力などを踏まえて検討されます。現在は、乳房温存のために腫瘍を小さくして切除しやすくする目的で、術前薬物療法といって手術より前に薬物療法を行うこともあります。HER2陽性乳がんやトリプルネガティブ乳がんでは、術前治療への反応を踏まえて、その後の治療方針を調整することがあります。

そのため、乳がん治療は「見つかったらまず手術」という流れだけではありません。病気の性質によっては、薬物療法を先に行う方が適している場合があります。

また、乳がん治療では生活背景も重要な要素になります。仕事を続けながら通院治療を希望する人もいますし、小さな子どもの育児をしながら治療を受ける人もいます。若い世代では、将来の妊娠について相談が必要になることもあります。特に化学療法では、卵巣機能へ影響する可能性があるため、妊孕性温存について治療開始前から検討する場合があります。

治療を考える際には「医学的に可能な治療」と「実際に継続できる治療」が必ずしも一致するとは限りません。副作用によって日常生活への影響が大きくなれば、治療継続が難しくなることもあります。そのため現在の乳がん診療では、治療効果だけでなく、通院負担、副作用、仕事や家庭との両立なども踏まえながら、現実的な治療を考えていくことになります。

手術治療

乳がん治療では、手術が重要な選択肢になります。ただし現在は「乳がんが見つかったら乳房をすべて切除する」という考え方だけで治療が決まるわけではありません。手術方法を検討する際には、腫瘍の大きさだけでなく、乳房内での広がり方、病変の位置、乳房の大きさ、術後治療の必要性などを確認しながら判断していきます。

乳房温存術

乳房温存術は、がんを含む一部の乳腺組織を切除し、乳房を残す方法です。病変が限局している場合などに検討されます。術前薬物療法によって腫瘍が小さくなり、温存術を選択できるようになるケースもあります。ただ、乳房を残す場合には、術後放射線治療が必要になることがあります。これは乳房内に残る可能性のある微小病変による局所再発リスクを下げるためです。

また、病変が広い範囲に及んでいる場合、多発病変がある場合、広範囲に石灰化がみられる場合などでは、温存術が適さないことがあります。希望だけで手術方法を決められるわけではなく、病変の状態を踏まえて検討する必要があります。

乳房全摘出

乳房全摘術では、乳房全体を切除します。全摘術を希望する理由は人によって異なります。再発への不安から選択する人もいますし、放射線治療を避けたいと考える人もいます。一方で、乳房を切除したからといって、再発リスクが完全になくなるわけではありません。手術前の段階で目に見えないレベルのがん細胞が存在している可能性があります。そのため、手術後に薬物療法を組み合わせることがあります。

乳がん治療では「手術だけで終わるかどうか」ではなく、再発リスクを踏まえて術後治療をどう組み合わせるかも重要になります。

センチネルリンパ節生検 (SLNB)

手術ではリンパ節の評価も行われます。現在広く行われているのが、センチネルリンパ節生検です。これは、がん細胞が最初に流れ込みやすいリンパ節を調べる方法です。転移が認められなければ、脇のリンパ節を広範囲に切除せずに済む場合があります。

脇のリンパ節を大きく切除すると、リンパ浮腫、腕の動かしづらさ、しびれなどが長期的に続くことがあります。そのため現在は、必要な範囲を見極めながら手術を行う方向へ変わっています。

乳房再建

乳房再建を検討する人もいます。乳房を失うことによる心理的負担や、外見の変化による生活への影響が理由になることがあります。再建方法には、インプラントを使う方法や、自分の組織を用いる方法があります。ただし、再建方法によって身体への負担や手術回数は異なります。放射線治療との兼ね合いを考慮する必要がある場合もあります。

乳房再建を希望するかどうかも、人によって考え方が異なります。再建を希望する人もいれば、まずは治療を優先したいと考える人もいます。乳がんの手術では「どの方法が絶対に正しい」という形で決められるわけではありません。病変の広がり、再発リスク、整容性、術後治療、生活背景などを踏まえながら、治療方針を検討していきます。

放射線治療

放射線治療は、乳がんの局所再発リスクを下げるために行われる治療です。手術や薬物療法に比べると、「補助的な治療」という印象を持たれることがありますが、乳がん診療では重要な役割を担っています。

放射線治療を組み合わせるケース

乳房温存術を行った場合には、術後放射線治療が組み合わされることが多くあります。温存術では乳房を残すため、周囲の乳腺組織も一部残ります。そのため、画像では確認できない微小病変による局所再発リスクを下げる目的で放射線治療が行われます。乳がんでは「病変を切除できたか」と「再発リスクをどう抑えるか」を分けて考える必要があります。

一方、乳房全摘術を受けた場合でも、放射線治療が行われることがあります。リンパ節転移が多い場合、腫瘍が大きい場合、皮膚や胸壁へ近い病変がある場合などでは、胸壁や鎖骨周囲へ照射することがあります。放射線治療は「乳房を残した人だけが受ける治療」ではありません。病変の広がりや再発リスクによって適応が検討されます。

現在は、正常組織への影響をできるだけ減らしながら照射する方法が用いられています。特に左乳がんでは心臓が近いため、心臓への被曝を抑える工夫が行われます。深吸気息止め法(DIBH)を使い、呼吸を調整しながら照射することもあります。

放射線治療の副作用

放射線治療は局所治療であり、抗がん剤のような全身性副作用は一般的ではありません。ただし、副作用がまったくないわけではありません。照射部位の皮膚炎、色素沈着、倦怠感、乳房や皮下組織の硬さなどがみられることがあります。皮膚が日焼けに近い状態になり、下着の擦れや入浴時の刺激で痛みを感じる人もいます。

また、照射範囲によっては肺や心臓への影響が問題になることがあります。現在は照射技術が進歩しており、以前より正常組織への負担を抑えられるようになっていますが、治療前には副作用について確認しておくことが大切です。

放射線治療では、通院スケジュールも負担になることがあります。一般的には平日に連日通院し、数週間かけて照射を行います。仕事や育児、介護などとの両立が課題になることもあります。近年は、照射回数を減らした短期照射法が選択されることもありますが、病状や照射範囲によって適応は異なります。

症状緩和を目的とした照射

放射線治療は再発予防だけに使われるわけではありません。骨転移による痛み、脳転移による神経症状、出血や圧迫症状などを和らげる目的で行われることもあります。たとえば骨転移では、痛みによって歩行や睡眠が難しくなることがあります。放射線によって症状が軽減すると、日常生活が改善する場合があります。

乳がん診療における放射線治療は、局所再発リスクを下げる目的だけでなく、症状緩和や生活機能の維持にも使われています。病状や治療段階に応じて、役割が変わる治療の一つです。

薬物療法

乳がんでは、薬物療法が治療全体の中で大きな役割を担っています。進行・再発乳がんだけでなく、手術後の再発予防として行われることもあります。手術で病変を切除できた場合でも、画像検査では確認できないレベルのがん細胞が残っている可能性があります。そのため、再発リスクを下げる目的で薬物療法が検討されます。

乳がんの薬物療法は、がん細胞の性質によって内容が変わります。

ホルモン受容体陽性乳がん

ホルモン受容体陽性乳がんでは、内分泌療法が中心になることがあります。エストロゲンの働きを抑えることで、がん細胞の増殖を抑える治療です。閉経前ではタモキシフェンが使われることがあり、再発リスクによっては卵巣機能抑制を組み合わせる場合があります。閉経後ではアロマターゼ阻害薬が使われることがあります。

内分泌療法は飲み薬で行われることが多いため、比較的負担の少ない治療という印象を持たれることがあります。ただ、実際には数年間継続するケースもあり、関節痛、更年期症状、気分変化、骨密度低下などが生活へ影響することがあります。急性の強い副作用ではなくても、倦怠感や関節症状が長期間続くことで、仕事や家事への負担になる場合があります。

HER2陽性乳がん

HER2陽性乳がんでは、HER2を標的とした薬剤が使われます。代表的なのがトラスツズマブです。HER2標的治療の導入によって、HER2陽性乳がんの治療成績は改善してきています。

一方で、HER2標的薬にも注意が必要な副作用があります。心機能低下が問題になる場合があるため、治療中には心エコー検査などを行いながら経過を確認します。

トリプルネガティブ乳がん

トリプルネガティブ乳がんでは、化学療法が治療の中心になることがあります。ホルモン療法やHER2標的治療が適応にならないためです。化学療法では、脱毛、吐き気、倦怠感、しびれ、白血球減少などの副作用がみられることがあります。

現在は支持療法も進歩しており、制吐薬などを使いながら副作用を抑えて治療継続を目指すことが一般的になっています。ただ、副作用の感じ方や生活への影響には個人差があります。味覚変化によって食事が負担になる人もいますし、倦怠感によって仕事や家事の継続が難しくなる場合もあります。また、脱毛など外見の変化が心理的負担につながることがあります。そのため現在は、ウィッグ支援、アピアランスケア、就労支援などを含めながら治療を支える取り組みも行われています。

PD-L1陽性トリプルネガティブ乳がん

近年は、免疫チェックポイント阻害薬が使われるケースもあります。PD-L1陽性トリプルネガティブ乳がんなどで検討されることがあります。免疫療法では、免疫機能が過剰に働くことで副作用が起こる場合があります。肺炎、腸炎、甲状腺機能異常などが知られており、治療中は体調変化を確認しながら継続します。

乳がんの薬物療法では、「強い治療をどこまで行うか」だけでなく、再発リスク、副作用、生活への影響を含めて治療方針を考えていきます。薬剤ごとに目的や副作用は異なります。どの治療が必要なのか、どの程度の効果や負担が想定されるのかを確認しながら、治療内容を検討していくことが大切です。

先進医療・自由診療・新しい治療選択

乳がん治療について調べていると、「先進医療」「自由診療」「免疫療法」といった言葉を目にすることがあります。標準治療だけでは不安が残る患者ほど、こうした情報に強く引き寄せられやすくなります。ただ、ここで最初に整理しておきたいのは、「新しそうに見える治療」と「有効性と安全性が確認され、診療の中で使われている治療」は同じではないという点です。

日本の制度上の「先進医療」は、厚生労働省が定める評価療養の一つであり、将来的な保険導入を検討する段階の医療技術を指します。名前だけを見ると「標準治療より進んだ治療」と受け取られやすいのですが、実際には“最も効果が高い治療”という意味ではありません。厚生労働省は、先進医療の各技術について、適応となる疾患や実施施設などを個別に定めています。

出典:厚生労働省|先進医療の各技術の概要

粒子線治療(陽子線・重粒子線治療)

乳がんで患者が関心を持ちやすいものに、陽子線治療や重粒子線治療などの粒子線治療があります。粒子線治療は、放射線の一種を病巣へ照射する治療で、一般のX線治療とは線量分布の特徴が異なります。ただし乳がんでは、すべての患者に粒子線治療が標準的に行われるわけではありません。

乳房温存術後の放射線治療や胸壁照射では、通常の放射線治療で十分に治療計画が立てられるケースが多く、粒子線治療の必要性は病状や照射部位、正常組織への影響などを踏まえて慎重に判断されます。名前の印象だけで「通常の放射線より必ず優れている」と考えてしまうと、治療選択を誤る可能性があります。

免疫療法

「免疫療法」という言葉にも注意が必要です。現在の乳がん診療で科学的根拠に基づいて使われる免疫療法は、主に免疫チェックポイント阻害薬です。特にトリプルネガティブ乳がんの一部では、PD-L1発現などの条件を確認した上で、免疫チェックポイント阻害薬が治療選択に入ることがあります。

一方で、自由診療として提供される免疫細胞療法や独自の免疫療法には、標準治療と同じレベルで有効性が確認されていないものもあります。国立がん研究センターも、免疫チェックポイント阻害薬に関する研究や治療抵抗性の課題を示しており、免疫療法は「誰にでも効く万能治療」ではなく、がんの性質や免疫環境によって効果が変わる治療として理解する必要があります。

出典:国立がん研究センター 免疫チェックポイント阻害薬と自然免疫応答を活性化する薬剤との併用における…

分子標的薬・個別化医療

近年の乳がん治療で大きく変化しているのは、むしろ標準治療の中に組み込まれてきた分子標的薬や個別化医療です。HER2陽性乳がんに対するHER2標的薬、ホルモン受容体陽性進行乳がんで使われるCDK4/6阻害薬、BRCA1/2遺伝子変異に関連する乳がんで使われるPARP阻害薬などは、乳がんのタイプに応じて治療を選ぶ時代を象徴しています。日本乳癌学会の乳癌診療ガイドラインでも、PARP阻害薬など薬物療法に関する記載が改訂されています。

出典:乳癌診療ガイドライン2022年版

標準治療と先進医療の違い

ここで患者が混乱しやすいのは、「標準治療」と「新しい治療」が対立するもののように見えてしまうことです。実際には、現在の標準治療そのものが、新しい研究成果を取り込みながら更新されています。HER2標的薬も、CDK4/6阻害薬も、PARP阻害薬も、かつては新しい治療でした。それが臨床試験を通じて有効性と安全性が確認され、診療の中で使われるようになってきたのです。

自由診療や先進医療を検討するときに確認すべきなのは、「新しいかどうか」ではありません。自分の乳がんのタイプに合っているのか、標準治療と比べてどのような根拠があるのか、期待できる効果は何で、何が分かっていないのか、費用負担がどの程度か、標準治療を遅らせるリスクがないかを確認する必要があります。特に乳がんでは、早い段階で適切な治療を受けることが再発リスクや治療選択に関わります。根拠が不十分な治療を優先した結果、標準治療の開始が遅れることは避けるべきです。

先進医療や新しい治療を否定的に見る必要はありません。ただし、「標準治療ではないから効果が高い」「自由診療だから特別に効く」と考えるのは危険です。乳がん治療で本当に大切なのは、治療名の新しさではなく、自分の病状に対して医学的に意味があるかどうかです。気になる治療がある場合には、広告や体験談だけで判断せず、主治医にその治療の根拠、適応、標準治療との関係を確認することが現実的です。

副作用と生活への影響

乳がん治療では「がんを抑えられるか」だけでなく、「その治療を現実的に続けられるか」が大きな問題になります。治療そのものよりも、副作用によって生活が変わってしまうことへ強い負担を感じる患者も少なくありません。

乳がんでは、手術だけで終わるケースもありますが、放射線治療、抗がん剤治療、ホルモン療法、HER2標的治療などが数か月から数年単位で続く場合があります。そのため、副作用は「一時的につらい症状」というより、仕事、家事、育児、人間関係、睡眠の中へ入り込んでくる問題として現れやすくなります。

抗がん剤治療の副作用

抗がん剤治療では、脱毛、吐き気、倦怠感、食欲低下、味覚変化、しびれなどが問題になります。現在は制吐薬が進歩しており、以前より強い吐き気を抑えられるケースも増えています。それでも患者が実際につらさを感じやすいのは、「思った以上に体力が落ちる」という部分です。治療当日だけではなく、数日後から強い疲労感が続くことがあり、階段を上るだけで息切れする、洗濯や買い物が負担になる、人と会うこと自体が億劫になる、という形で生活へ影響する患者もいます。

乳がんでは比較的若い年代で治療を受ける患者も少なくないため、脱毛も単なる美容上の問題ではなく、「社会生活をどう続けるか」という問題につながります。職場でどう説明するか、子どもへどう伝えるか、外出時をどう過ごすかで悩む患者もいます。ウィッグを使っても、鏡を見るたびに病気を意識してしまう人もいますし、周囲からの視線が精神的負担になる場合もあります。

末梢神経障害によるしびれも、軽く見られやすい一方で生活への影響が大きい副作用です。ボタンを留めにくい、スマートフォン操作がしづらい、長時間歩くと足裏感覚が不安定になるなど、一つひとつは小さな変化でも、毎日続けば大きな負担になります。

副作用は「我慢すればよい」という話ではありません。現在の乳がん診療では、副作用が強い場合、薬剤変更、減量、投与間隔調整などを行いながら、治療を継続できる形を探していきます。予定通り最後まで完遂することだけが正解ではなく、治療効果と生活の維持を両方見ながら調整していくことが必要になります。

ホルモン療法の副作用

ホルモン療法では、抗がん剤とは違う種類の負担が問題になります。5年から10年近く続くこともあり、強烈な副作用というより、慢性的な生活のしづらさとして影響が出やすくなります。関節痛によって朝の動き出しがつらくなる患者もいますし、更年期症状の悪化によって睡眠障害、気分低下、集中力低下が続く場合もあります。

特に閉経前患者では、卵巣機能抑制によって急激に更年期状態へ近づくことがあり、発汗、ほてり、不眠だけでなく、気分の落ち込みやイライラが続き、「自分が別人みたいだ」と感じる患者もいます。性機能変化、外見変化、更年期症状については患者側も相談しづらいことがありますが、実際には夫婦関係、人間関係、仕事継続、自尊心へ影響するケースもあります。乳がん治療では、生存率だけでなく、治療後をどう生きるかも重要になります。

手術後の乳房の変化

手術後の身体変化も大きな問題です。乳房温存術でも左右差が残ることがありますし、全摘術では喪失感を抱える患者もいます。周囲から「命が助かったのだから気にしすぎでは」と言われることがあっても、乳房は単なる臓器ではなく、身体イメージや自己認識と強く結びついているため、喪失感が長く残ることもあります。リンパ節郭清後にはリンパ浮腫が起こることがあり、腕のむくみ、重さ、だるさによって、重い荷物を持つ、長時間腕を使う、細かい作業を続けるといった日常動作が負担になる場合があります。

ただ、「もう元の生活には戻れない」と決めつける必要はありません。現在は、リンパ浮腫ケア、リハビリ、アピアランスケア、就労支援などを組み合わせながら、生活を維持する方向へ支援する考え方が広がっています。乳房再建という選択肢もありますが、再建するかどうかは一律に決めるものではありません。再建によって心理的負担が軽くなる患者もいれば、まず病気治療を優先したいと考える患者もいます。乳がんでは、「医学的に正しい」が、そのまま「本人にとって納得できる」と一致するわけではありません。

副作用がつらい時は我慢しなくていい

副作用を考える際に忘れてはいけないのは「治療をやめたくなること自体は珍しくない」という点です。副作用が想像以上につらい、生活が維持できない、精神的に限界を感じる。その結果、「もう治療を続けたくない」と感じる患者もいます。

乳がんの治療は「全部予定通り続ける」か「完全に中止する」かの二択だけではありません。薬剤調整、支持療法追加、スケジュール変更によって、続けられる形へ修正できる場合があります。副作用を我慢の問題にせず、治療効果だけでなく、その人が現実の生活を維持しながら続けられるかを含めて、医療者と一緒に調整していく視点が必要になります。

ステージ別の予後

乳がんの予後を考えるとき、多くの患者が最初に知りたくなるのは「自分はどれくらい生きられるのか」という数字です。国立がん研究センターのがん統計では、乳がん女性の5年相対生存率は92.3%とされています。これは他のがん種と比べて比較的高い水準です。ただし、この数字は乳がん全体をまとめた統計であり、実際には病気の広がりやがん細胞の性質によって経過は大きく異なります。

国立がん研究センターでは進行度別の5年相対生存率も公表されています。2009〜2011年診断例の集計では、

  • がんが乳房内にとどまる「限局」では 99%前後
  • 周囲リンパ節などへ広がる「領域」では 80%台後半
  • 遠隔転移を伴う「遠隔」では 40%前後

と報告されています。

出典:国立がん研究センター がん統計 乳房

乳がんのタイプによって異なる再発リスク

早期の段階で発見された乳がんでは、長期生存が期待できるケースが多くあります。特にステージ0やステージ1では、手術、放射線治療、必要に応じた薬物療法を組み合わせながら、根治を目指した治療が行われます。一方で、早期だから必ず再発しないとは限りません。乳がんでは、ステージだけでなく、ホルモン受容体、HER2、Ki-67などの腫瘍生物学的特徴によって再発リスクが変わります。

たとえば、HER2陽性乳がんでは、HER2標的薬の導入によって治療成績が改善してきています。ホルモン受容体陽性乳がんでは、内分泌療法によって再発リスク低下を目指しますが、術後かなり時間が経ってから再発するケースもあります。5年を超えてから再発が見つかることもあり、長期的な経過観察が行われます。一方、トリプルネガティブ乳がんでは、比較的早い時期の再発リスクが問題になることがあります。再発の時期やパターンは、乳がんのタイプによって異なります。

ステージⅣでもケースバイケース

ステージ4では、骨、肺、肝臓、脳などへの遠隔転移が認められます。この段階では、病変を完全に取り切ることよりも、病状をできるだけ安定させながら生活を維持することが治療の中心になります。ただし、遠隔転移がある場合でも経過は一律ではありません。

ホルモン受容体陽性乳がんでは、内分泌療法やCDK4/6阻害薬を組み合わせながら、外来治療を継続している患者もいます。HER2陽性乳がんでは、HER2標的治療の進歩によって治療選択肢が増えています。反対に、肝転移や脳転移が進行し、短期間で治療調整が必要になるケースもあります。ステージ4という分類だけでは、実際の経過を一律には説明できません。

生存率の見方

生存率を見るときに注意したいのは、統計データが「集団全体の傾向」を示しているという点です。年齢、体力、併存疾患、がん細胞の性質、薬剤への反応、転移部位、治療継続状況などによって、実際の経過は変わります。そのため、乳がんの予後は「5年生存率が高いから安心」「ステージ4だから何もできない」といった単純な言葉だけでは整理できません。

統計は、自分の病状を理解するための参考情報の一つです。治療を考える際には、ステージだけでなく、乳がんのタイプ、再発リスク、治療反応性、今後どのような治療選択肢があるのかを主治医と確認していくことが重要になります。

出典:国立がん研究センター がん情報サービス 乳がん治療

標準治療の限界

乳がん治療では、標準治療が基本になります。標準治療とは、多くの臨床試験で有効性と安全性が検証され、現時点で推奨されている治療のことです。手術、放射線治療、ホルモン療法、化学療法、HER2標的治療などは、それぞれ「どの患者で再発リスクが下がるのか」「どの程度の治療効果が期待できるのか」が検討されたうえで使われています。

ただし、同じ治療を受けても経過には個人差があります。ホルモン受容体陽性乳がんでは、内分泌療法によって長期間再発なく経過する人もいます。一方で、標準治療を受けていても再発がみられるケースがあります。HER2陽性乳がんでも、HER2標的治療によって治療成績は改善していますが、治療経過の中で薬剤変更が必要になることがあります。

乳がんでは、同じステージや病理分類でも、治療への反応や再発リスクが一律ではありません。がん細胞の遺伝子異常、薬剤感受性、免疫環境など、さまざまな要素が関係していると考えられています。

標準治療は検証されたデータの集合体

標準治療は「平均的な患者集団」で検証されたデータをもとに作られています。実際の診療では、年齢、体力、持病、生活背景、仕事、家庭状況などが患者ごとに異なります。そのため、推奨される治療内容と、現実に継続しやすい治療が必ずしも一致するとは限りません。

たとえば、再発リスクを少しでも下げることを優先したい人もいます。一方で、副作用や通院負担を踏まえながら、生活との両立を重視する人もいます。乳がん治療では、治療効果だけでなく、副作用や生活への影響も含めて治療方針を検討していきます。

標準治療でも再発は完全には防げない

標準治療を受けていても再発が起こることがあります。乳がんでは、診断時点ですでに画像検査では確認できない微小転移が存在している場合があります。現在の検査技術でも、それを完全に見つけることは難しいことがあります。そのため、標準治療は「再発を完全に防ぐ保証」というより、医学的根拠に基づいて再発リスクを下げるための治療として行われています。

近年は、乳がん治療も変化しています。HER2標的薬、CDK4/6阻害薬、PARP阻害薬、免疫チェックポイント阻害薬など、新しい薬剤が使われるようになり、治療選択肢は広がっています。また、遺伝子解析やゲノム医療を参考にしながら、病気の性質に応じて治療方針を調整する場面もあります。

一方で、「標準治療に限界がある」という情報から、根拠が十分でない治療へ関心が向くことがあります。乳がんでは、食事療法や自由診療、免疫療法などについてさまざまな情報が見られますが、治療効果や安全性について十分な検証が行われていないものもあります。特に「抗がん剤は不要」「食事だけで改善する」といった断定的な説明には注意が必要です。

乳がん治療は常に進歩している

現在の標準治療は、多数の患者データをもとに、再発率や生存率への影響を検証しながら改善されてきた治療です。副作用や限界があることも事実ですが、「どの治療で再発リスク低下が期待できるのか」を医学的に確認しながら組み立てられています。

治療を考える際には、「標準治療を受けるか受けないか」という二択だけで整理できるわけではありません。自分の病状では何が推奨されているのか、副作用や生活への影響をどう考えるのか、どの治療が現実的なのかを確認しながら、主治医と相談していくことが大切になります。

乳がんの再発と転移

乳がんでは、治療後も一定期間の経過観察が続きます。これは、再発の可能性があるためです。再発の時期や起こり方は、乳がんのタイプによって異なります。ホルモン受容体陽性乳がんでは、術後かなり時間が経ってから再発することがありますし、トリプルネガティブ乳がんでは早い時期の再発リスクが問題になることがあります。

乳がんの再発パターン

再発にはいくつかのパターンがあります。手術した乳房や周囲に再び病変が見つかる局所再発、脇のリンパ節などに再発する領域再発、骨や肺、肝臓、脳などへの遠隔転移です。乳がんでは、骨転移が比較的多くみられます。ただし、転移による症状が典型的とは限りません。

腰痛や肩の痛みが続いていても、加齢や筋肉疲労と思われることがあります。もちろん、すべての痛みが転移を意味するわけではありません。ただ、乳がん治療後に「これまでと違う症状」が続く場合には、主治医へ相談することが勧められます。

肺転移では、咳や息切れがきっかけになることがありますが、症状が目立たないまま画像検査で見つかる場合もあります。肝転移でも、かなり進行するまで自覚症状が乏しいことがあります。そのため、乳がんでは症状だけで再発を判断できるわけではありません。治療後は、診察や必要な検査を続けながら経過を確認していきます。

一方で、経過観察中は「再発への不安」が大きな負担になることがあります。検査前に強い不安を感じたり、体調変化があるたびに再発を心配したりすることは、珍しい反応ではありません。

乳がん再発時の治療選択

標準治療を受けていても再発が起こることがあります。乳がんでは、診断時点ですでに画像検査では確認できない微小転移が存在している場合があります。現在の医療でも、それを完全に予測することは難しいことがあります。そのため、再発は「治療が間違っていた」という意味ではありません。標準治療は、再発リスクを下げるために、医学的根拠をもとに行われています。

近年は、再発・転移乳がんに対する治療も変化しています。ホルモン受容体陽性乳がんでは、内分泌療法やCDK4/6阻害薬を組み合わせながら治療を継続することがあります。HER2陽性乳がんでは、HER2標的治療の進歩によって治療選択肢が増えています。骨転移では、骨修飾薬や放射線治療によって、骨折リスクや痛みの軽減を目指すことがあります。

再発や転移が見つかった場合でも、外来通院を続けながら治療を行っている人はいます。一方で、病状や薬剤への反応によって経過は異なります。乳がんの再発は「再発するか、しないか」だけで単純に整理できるものではありません。治療後は、必要な経過観察を続けながら、症状変化がある場合には早めに相談することが重要になります。また再発後も病状や生活状況に応じて治療を調整しながら、治療継続を目指していくことになります。

納得できる治療を選択するために

乳がんは、日本人女性で多くみられるがんの一つです。ただし、同じ「乳がん」という診断名でも、病気の性質や治療内容、経過は一律ではありません。ホルモン受容体陽性乳がん、HER2陽性乳がん、トリプルネガティブ乳がんでは、使われる薬剤や再発リスクの考え方が異なります。ステージが同じでも、治療方針が変わることがあります。

乳がん治療では、病気そのものだけでなく、生活への影響も考える必要があります。仕事を続けながら通院したい人もいますし、育児や介護との両立を考える人もいます。若い世代では、妊娠や妊孕性について相談が必要になることもあります。そのため、治療方針は「医学的に推奨される治療」だけで決まるわけではありません。再発リスク、副作用、通院負担、生活背景などを含めながら検討していくことになります。

また、治療後も不安が完全になくなるわけではありません。再発への不安や、検査前の緊張を感じる人もいます。一方で、乳がん治療は変化しています。HER2標的薬、CDK4/6阻害薬、PARP阻害薬、免疫チェックポイント阻害薬など、新しい治療選択肢が使われるようになっています。支持療法も進歩しており、副作用を調整しながら治療継続を目指す場面も増えています。

もちろん、病状や治療経過には個人差があります。ただ、乳がんは「一つの治療だけで単純に説明できる病気」ではなくなっています。

インターネット上には、根拠が十分ではない情報もあります。「これだけで改善する」「標準治療は不要」といった断定的な説明は、医学的根拠が十分に確認されていない場合があります。治療を考える際には、強い表現だけで判断するのではなく、自分の乳がんのタイプ、再発リスク、推奨されている治療、その治療で想定される効果や副作用を整理しながら確認していくことが大切です。

乳がん診療では「どの治療を受けるか」だけでなく、「どのように生活を続けていくか」も重要になります。必要な情報を確認しながら、主治医と相談し、自分にとって現実的な治療方針を考えていくことが、納得できる治療選択につながります。

浸潤性小葉がん(Invasive lobular carcinoma/ILC)は、乳がんの中でも早期発見が難しく、じわじわと広がる特徴を持つタイプのがんです。見逃されやすく再発リスクも高いため、正確な診断と適切な治療法の選択が重要です。

本ページでは、浸潤性小葉がんの原因や症状、検査、治療の流れについてわかりやすく解説し、どのような治療法や選択肢があるのかをお伝えします。乳がん治療で後悔しないために、正しい知識を身につけ、最適な治療を選ぶ参考にしてください。

  • 浸潤性小葉がんは早期発見が難しい乳がん
  • 再発リスクが高く、長期的な経過観察が必要
  • 患者様に合わせた治療法の選択が重要

浸潤性小葉がんとは

浸潤性小葉がんは、乳がんの一種で、乳腺の「小葉(母乳をつくる部分)」から発生し、周囲の組織にじわじわと広がっていくタイプのがんです。

乳がん全体の約10〜15%を占めます。他の乳がんのタイプとは異なり、しこりとしてはっきり現れにくく、乳がん検診などで実施されるマンモグラフィで見つかりにくいことが特徴です。そのため、MRIや超音波検査などの精密検査が必要になることがあります。

多くは女性ホルモンの影響を受けやすい性質を持ち、ホルモン療法が有効です。治療は手術に加えて、放射線や抗がん剤などの薬物療法を組み合わせます。

また、再発が遅れて起こることもあるため、長期的な経過観察が重要です。完治したと判断されてから、10年以内に約20%、20年以内に約30%もの患者様が再発するとの報告もあります。そのため、浸潤性小葉がんは治癒したと医師から言われても長期間にわたって再発しないか見守る必要があります。

浸潤性小葉がんの原因

浸潤性小葉がん(ILC)は、乳がんの一種で、特に50歳以上の女性に多く見られます。
明確な発症原因は分かっていませんが、いくつかの生活習慣や体質が関係すると考えられています。

浸潤性小葉がんの多く(約90%)は女性ホルモンの影響を受けやすい性質(エストロゲン受容体陽性)を持ちます。また、閉経後の肥満もホルモンバランスに影響し、リスクを高める可能性があります。

さらに、遺伝子異常も大きく関わっています。代表的には、浸潤性小葉がんの約90%は「CDH1」という遺伝子の異常が関連していることもあります。他にも、浸潤性小葉がんの約50%は「PIK3CA」に、約12%は「p53」に遺伝子異常が認められると報告されています。

浸潤性小葉がんの診断

浸潤性小葉がん(ILC)は、他の乳がんタイプと比べて「しこり」がはっきりしないため、見つけにくいという特徴があります。乳がん検診でよく使われるマンモグラフィ(レントゲン撮影)では、石灰化や明瞭なしこりが出にくく、見逃されることがあります。

そのため、より詳しい検査としてMRI(乳房の精密な画像診断)検査が実施されることが多く、がんの広がりや大きさ、腋窩リンパ節などの他の病変の有無も見つけやすく、がんのステージを決定するのに有用とされています。

浸潤性小葉がんの確定診断には針生検(がん組織の一部を採取して調べる検査)が行われ、浸潤性小葉がんの特徴である「E-カドヘリン」というたんぱく質の欠如を確認して診断します。

また、浸潤性小葉がんは他の乳がんでの転移先として有名な肺や脳よりも、骨・腹膜・消化管などに転移しやすい傾向があるため、CT検査やPET-CT検査で全身の広がりをチェックすることも重要です。

このように、浸潤性小葉がんは診断が難しいがんであるため、画像検査と病理診断を組み合わせた丁寧な検査が必要となります。患者様の状態によって実施すべき検査が異なりますので、具体的には主治医の先生と相談して検査内容や種類を決定していくのがおすすめです。

浸潤性小葉がんの一般的な治療法

浸潤性小葉がん(ILC)は、乳がんの中でもしこりができにくく、じわじわと広がる特徴をもつタイプです。そのため、早期に発見されても見た目以上に範囲が広がっていることがあり、治療計画には慎重な判断や対応が必要です。

治療の基本は「手術」「薬物療法」「放射線治療」の3つの組み合わせです。手術では、乳房を残す方法(温存術)か、全体を切除する方法(全摘術)が選ばれます。画像では映りにくいことがあるため、MRI検査を用いてがんの広がりを正確に把握し、手術範囲を決定します。

多くの浸潤性小葉がんは女性ホルモンの影響を受けて成長するため、術後には「ホルモン療法(内分泌療法)」が行われます。年齢や体の状態に応じて薬を選び、数年単位で継続します。がんの進行度や再発リスクが高い場合、女性ホルモンが発現していない場合(エストロゲン受容体陰性)には、「抗がん剤治療」を加えることもあります。

また、浸潤性小葉がんが発見されてすぐに手術を実施できない患者様には、抗がん剤治療などの化学療法や放射線療法を実施します。化学療法や放射線療法を行うことで手術を可能にし、根治を目指せる場合もあります。

浸潤性小葉がんは完治(治癒)できる疾患

浸潤性小葉がんは完治を見込める疾患です。

浸潤性小葉がんは手術やホルモン療法、様々な化学療法、放射線療法などを組み合わせることで治癒も十分に期待できます。

浸潤性小葉がんにおける保険診療の限界

浸潤性小葉がんに対する保険診療には、手術やホルモン療法、化学療法、放射線療法などがあります。手術法の発達や化学療法・放射線療法の進歩といった医療界の発展により浸潤性小葉がんの治療法が発展してきましたが、保険診療では治療が困難な場合もあります。

実施できるホルモン療法や化学療法の制限

保険診療では浸潤性小葉がんで使用できるホルモン療法や抗がん剤の数に制限があります。

浸潤性小葉がんではがん細胞のタイプに合わせて様々な抗がん剤や分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬などを使い分けます。しかし、個人差はありますが通常4~5種類程度しか有効な薬物療法はありません。

そのため、使用できる薬物を使い切った場合、もしくは体に合わない場合には、選択できる薬剤や治療はもう存在しないと医師から言われてしまいます。

また、1個の新しい抗がん剤などの薬物が開発されるまでには10~20年かかると言われています。

保険診療ではカバーしきれない浸潤性小葉がんの再発

浸潤性小葉がんは、何年もたってから再発するという特徴があります。完治したと判断されてから、10年以内に約20%、20年以内に約30%もの患者様が再発するとの報告もあります。そのため、手術後の再発予防目的で術後補助化学療法というホルモン治療や抗がん剤治療が勧められるケースが多いです。

しかし、特に抗がん剤治療はつらい副作用もあるため、体力があまり無い高齢の患者様や副作用が心配な患者様には実施できません。

さらに、術後補助化学療法を行っても、約50%の患者様は浸潤性小葉がんを再発するリスクがあるという報告もあります。つまり、国内の保険診療のみでは、浸潤性小葉がんの手術を行ったとしても10人に1~2人が再発してしまうのが現状です。

化学療法の「きつい」副作用

浸潤性小葉がんの化学療法では抗がん剤などを用いますが、その副作用は抗がん剤の種類や患者様により個人差があります。抗がん剤などの一般的な副作用は、嘔気、食欲不振、下痢、手足のしびれ、倦怠感、発疹、貧血、高血圧、脱毛などです。また、使用する薬物療法の種類によっては、命に関わる合併症や副作用が起きるケースもあり、注意が必要です。

患者様の中には、最初は問題なくても副作用がきつく続けられないと感じる方もいらっしゃいます。また、頑張って化学療法を続けていても副作用のせいで日常生活が楽しく送れずに気分が落ち込む患者様もいらっしゃいます。

最新の治療アプローチとして核酸医薬の導入

浸潤性小葉がんは分子レベルの異常が関与することがあり、治療設計の考え方として核酸医薬を検討する選択肢があります。核酸医薬には、標的タンパク質に結合して働きを抑えるアプタマー、特定の遺伝子発現を抑えるRNA干渉、体内の調整機構を補うmiRNA mimic などがあります。

特に欧米では、がんの部位ではなくどのような分子レベルの異常があるか、ということに注目して治療法を決定する研究や臨床試験が行われていますが、一方で日本は分子レベルの異常に着目した治療の分野で遅れを取っています。

がん中央クリニックグループの各クリニックではいち早く分子レベルの異常に焦点をあてた診察・治療を導入しています。

保険診療では「治療方法がない」方も治療可能

浸潤性小葉がんに対する核酸医薬は保険診療ではなく自由診療(保険外診療)であり、保険診療ではもう治療方法がない、と言われた患者様でも実施できます。

がん中央クリニックグループの各クリニックでは浸潤性小葉がんの患者様1人ひとりに合わせてテーラーメイドのがん治療を提供します。

保険診療と組み合わせた治療設計

核酸医薬は、浸潤性小葉がんの標準治療(保険診療)と組み合わせて検討し得る治療アプローチの一つです。標準治療の薬物療法は、すでに産生されたタンパク質などの働きを抑えることで治療効果を狙います。

一方、核酸医薬は、タンパク質が作られる前段階の遺伝子発現や分子レベルの制御機構に働きかけることを狙う点が特徴です。作用点の考え方が異なるため、当院では患者様の状況に応じて、標準治療と組み合わせた治療設計も含めてご提案しています。

治療継続可能な副作用

核酸医薬は目立った副作用が起こりにくいです。特に、化学療法で起きやすい嘔気、食欲不振、倦怠感、脱毛、貧血、命に関わる副作用などはほとんど起こりません。また、ホルモン治療でものぼせや発汗、血栓症などのリスクがあります。

核酸医薬の副作用としては、一時的な微熱、血圧上昇、顔の紅潮、アレルギー反応(0.3%以下)などがあります。解熱剤など薬物を使う場合もありますが、自然と改善する副作用が大半であり、治療を継続するのに支障をきたしません。

核酸医薬をオススメする患者様

どのような患者様に選択肢となり得るかを以下に具体的に解説します。ぜひご自身の状況に合わせて核酸医薬をご検討ください。

浸潤性小葉がんに対して薬物治療中や放射線療法中の患者様

核酸医薬は、ホルモン療法・抗がん剤治療などの薬物治療や放射線療法などの標準治療を行っている患者様でも、治療の選択肢を広げる観点から併用を含めてご相談いただける治療アプローチの一つです。

がんは放置していると大きくなっていくため、様々な治療法を用いてがんを小さくすることが重要です。つまり、保険治療の薬物治療や放射線療法だけで浸潤性小葉がんに立ち向かうのではなく、核酸医薬を併用することで、異なる治療手段により浸潤性小葉がんの縮小を狙います。

浸潤性小葉がんは数あるがんの中でも悪性度が極めて高いがんの1つです。そのため、完治を目指すためには様々な治療法を組み合わせて治療を検討することも考える必要があります。

浸潤性小葉がん手術後のすべての患者様

浸潤性小葉がんが発見され手術を行った場合でも、再発率は20年間で約30%とも報告されています。

保険診療ではこの高確率での再発を抑制させるため、術後補助化学療法というホルモン治療や抗がん剤治療が勧められるケースが多いです。しかし、特に抗がん剤治療には副作用もあるため、体力があまり無い高齢の患者様や副作用が心配な患者様には実施できません。

また、術後補助化学療法を実施したとしても約50%の患者様は再発するという報告もあります。したがって、浸潤性小葉がん手術後のあらゆる患者様は、術後補助化学療法を行う場合も行わない場合も全身治療である核酸医薬を実施し、再発する可能性を少しでも低くするための治療を取り入れることが重要と考えます。

保険治療では治療困難な患者様

浸潤性小葉がんに対する核酸医薬は、保険診療ではなく自由診療(保険外診療)であるため、保険診療で治療法がないと言われた患者様でも、状態や目的に応じて検討することが可能です。

がん中央クリニックグループの各クリニックでは患者様1人ひとりに合わせたテーラーメイドのがん治療を提供しています。

また、核酸医薬は目立った副作用が現れません。そのため、通院さえ可能であればどのような方でも治療可能です。

例えば、「体力がないため抗がん剤はできません」などと説明された方でもがん中央クリニックの治療は可能です。通院が困難な方には訪問治療も可能な場合もあります。詳しくは無料相談窓口へお問い合わせ、お電話ください。

浸潤性小葉がんの完治を目指して保険診療と患者様に合った自由診療を組み合わせるのがおすすめ

浸潤性小葉がんは完治(治癒)を目指せる疾患であり、適切に治療を行うことが重要です。

がん中央クリニックでは浸潤性小葉がん患者様の状態や目的に応じて自由診療も組み合わせ、核酸医薬を治療計画の一部としてご提案することも可能です。

がん中央クリニックグループの各クリニックでは核酸医薬をはじめ、患者様1人ひとりに合ったがんの自由診療を提案いたします。浸潤性小葉がんの患者様は、どのような状況の場合でも是非お気軽にご相談ください。

  • HER2低発現・超低発現のがん患者さまに、新たな治療の選択肢が広がる
  • トリプルネガティブというワードが無くなる可能性
  • 分子標的ワクチン療法の可能性が拡大

HER2は乳がんと胃がんでは有名ですが、非小細胞肺がん、大腸がんでも認可されました。

従来はHER2が陽性、陰性の2通りに分けていたのですが、エンハーツと呼ばれる抗HER2抗体が、陰性でも認可されたことでHER2に関する考え方が大きく変わり、従来は陰性、陽性の分け方だったのが、HER2低発現という分類が出現しました。

さらに1+未満の超低発現の乳がんでもアメリカのFDAで認可されたことを、第一三共株式会社2025年1月28 日にプレスリリースしたことが大きな話題となりました。

ENHERTU®(トラスツズマブ デルクステカン)の米国における化学療法未治療のHER2低発現またはHER2超低発現の乳がんに係る一部変更承認取得について
第一三共株式会社 ※リンク先のプレスリリースはPDF形式のため、ご利用の環境によってはダウンロードが必要となる場合があります。

HER2低発現という分類が出現

これによりトリプルネガティブというワードが無くなる可能性すら出て来ています。

アメリカのFDAではすべてのがん種でHER2抗体がFDA認可された

アメリカの治験では胆道がん、膀胱がん、子宮頸がん、子宮内膜がん(子宮体がん)、卵巣がん、膵臓がん、非小細胞肺がん、大腸がん、希少がんなどのがんで抗HER2抗体が高い効果が得られた結果、アメリカのFDAではがん種を問わずにすべてのがん種でHER2抗体がFDA認可されたことでどんながんでも分子標的ワクチン療法をやることががん治療を大きく変える治療と期待しています。

がん中央クリニックグループでは、HER2が発現しているがん細胞を免疫細胞が攻撃するように仕向ける分子標的ワクチン療法を提供しています。

分子標的ワクチン療法の詳細は下記リンクよりご覧いただけます。