肝臓がんは、肝臓そのものから発生する原発性肝がんの総称です。日本ではその90%以上を肝細胞がんが占めており、一般に「肝臓がん」といった場合は肝細胞がんを指すことが多くあります。
肝細胞がんには、ほかのがんとは異なる特徴があります。
治療方法を決めるとき、がんの大きさや個数、血管への広がり、転移の有無だけを見ればよいわけではありません。肝細胞がんはB型・C型肝炎、アルコール関連肝障害、肝硬変、MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)など、もともと傷んだ肝臓に発生することが多いため、「がんをどこまで治療できるか」と同時に「治療後も肝臓がどこまで働けるか」を考える必要があります。
そのため、同じ大きさ・同じ個数の肝細胞がんでも、肝機能が十分保たれている人と肝硬変が進んでいる人では、選択される治療が異なることがあります。
この記事では、一般に「肝臓がん」と呼ばれることの多い肝細胞がんを中心に、原因、検診・定期検査、症状、診断、ステージ、肝予備能、肝切除、ラジオ波焼灼療法(RFA)、TACE、肝移植、薬物療法、生存率、再発まで解説します。
- 肝細胞がんの治療は、ステージだけでなく肝機能も合わせて決める
- 肝細胞がんは背景に慢性肝疾患があることが多く、治療後も再発と肝機能低下の両方に注意する
- 進行・再発しても治療法は一つではなく、その時点の病状と肝機能から次の選択肢を考える
肝臓がんとは何か
肝臓に見つかるがんが、すべて同じ「肝臓がん」という病気なのではありません。
肝臓の細胞から発生したのか、肝臓内の胆管から発生したのか、別の臓器から転移してきたのかによって、診断名も治療方法も異なります。
この記事で主に扱うのは「肝細胞がん」
肝細胞がんは、肝臓の大部分を構成している肝細胞から発生するがんです。
国立がん研究センターでは、日本で発生する肝臓がんの90%以上が肝細胞がんであるとしています。そのため、一般的には「肝臓がん」という言葉が肝細胞がんの意味で使われることも多くあります。
肝細胞がんの特徴は、がんだけが単独で発生するというより、慢性的な肝障害を抱えた肝臓に発生することが多いことです。
B型肝炎やC型肝炎、アルコール関連肝障害、肝硬変などに加え、現在では肥満や糖尿病などの代謝異常と関係するMASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患、旧NAFLD)や、MASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎、旧NASH)も肝細胞がんの背景として考えます。
こうした背景肝疾患があるため、肝細胞がんでは「がんを取り除けるか」だけでなく、治療によって残った肝臓が十分に働けるかまで評価しなければなりません。
参考:肝臓がん(肝細胞がん)について|国立がん研究センター がん情報サービス
「肝内胆管がん」は肝細胞がんとは別のがん
肝臓の中を通る胆管の細胞から発生するものを肝内胆管がんと呼びます。
肝臓の中にできるため広い意味では原発性肝がんに含まれますが、肝細胞がんとは発生する細胞が異なり、ステージ分類や薬物療法など治療の考え方も異なります。
そのため、本記事でこれ以降に説明するRFA、TACE、肝移植、肝細胞がんの薬物療法、ステージ別生存率などは、特に断りがない限り肝細胞がんを対象とした内容です。
「肝臓に転移したがん」は肝細胞がんではない
大腸がん、胃がん、膵臓がん、肺がん、乳がんなどが肝臓へ転移することがあります。これを転移性肝がん(肝転移)と呼びます。
たとえば大腸がんが肝臓へ転移した場合、肝臓に腫瘍があっても肝細胞がんではありません。「大腸がんの肝転移」として、大腸がんに基づいた治療を考えます。
「肝臓にがんがある」と「肝臓からがんが発生した」は同じ意味ではないため、診断を受けたときには、原発性の肝細胞がんなのか、肝内胆管がんなのか、ほかのがんからの肝転移なのかを確認することが治療を理解する最初の段階になります。
肝細胞がんでは「がんの進行度」と「肝予備能」の両方を見る
肝細胞がんの治療では、腫瘍の状態と肝臓そのものの状態を分けて評価します。
腫瘍については、大きさや個数、門脈・肝静脈などの血管へがんが入り込んでいないか、リンパ節やほかの臓器へ転移していないかを確認します。
肝臓については、アルブミンやビリルビン、血液凝固能、腹水などから、残っている肝機能である肝予備能を評価します。Child-Pugh(チャイルド・ピュー)分類や、ALBI grade(アルブミン・ビリルビン・グレードまたはアルビグレード)などが、そのために使われる指標です。
この2つを分けて考える理由は、がんだけを強く治療して肝機能が大きく低下すると、その後の治療を続けられなくなる可能性があるためです。
たとえば小さな肝細胞がんでも肝硬変が進んでいれば、肝切除が適さない場合があります。反対に、腫瘍がある程度大きくても、肝機能が保たれ、十分な肝臓を残せると判断されれば切除を検討できる場合があります。
肝細胞がんでは「どの治療が最も強いか」ではなく「がんを抑えながら、その後の治療に必要な肝機能をどこまで残せるか」という視点が治療選択に関わります。
進行した肝細胞がんでもステージだけで治療は決まらない
肝細胞がんが血管へ広がっている場合や、肝臓以外へ転移している場合には、薬物療法が治療の中心になることがあります。
一方で、現在の肝細胞がんには複数の免疫療法や分子標的薬があり、薬物療法によって腫瘍が大きく縮小した場合には、肝切除や局所治療が可能にならないか再評価することもあります。
また、同じ進行した肝細胞がんでも、肝機能が低下すると使用できる治療が限られる場合があります。
ステージ4という言葉だけから「もう手術は絶対にできない」「使える治療は一つしかない」と判断することはできません。病変の広がり、血管侵襲、肝外転移、肝機能、これまでの治療などを確認して方針を考えます。
肝臓がんステージ4の病状や治療については、以下の記事で詳しく解説しています。
肝臓がんの原因とリスク
肝細胞がんの多くは、長い期間にわたって炎症や線維化が続いた肝臓を背景に発生します。
代表的なのがB型・C型肝炎ウイルスの持続感染ですが、アルコール関連肝障害、肥満や糖尿病などに関連する脂肪性肝疾患も発症リスクに関係します。「お酒をたくさん飲む人だけがなるがん」「肝炎ウイルスに感染していなければ心配ない」と考えることはできません。
B型肝炎・C型肝炎は肝細胞がんの主要な原因
B型肝炎ウイルス(HBV)やC型肝炎ウイルス(HCV)が長期間体内に存在すると、肝臓で炎症と肝細胞の再生が繰り返されます。その過程で遺伝子の変化が蓄積し、肝細胞がんが発生しやすくなると考えられています。
ただし、肝炎ウイルスに感染していても自覚症状がないことがあります。「肝臓が痛くない」「体調に問題がない」という理由だけでは、慢性肝炎や肝線維化がないとは判断できません。
現在はB型・C型肝炎に対する抗ウイルス治療が大きく進歩しています。
B型肝炎ではウイルスの増殖を抑える治療、C型肝炎ではウイルス排除を目指す治療が行われます。肝炎ウイルス感染が分かった場合には、肝細胞がんの検査だけでなく、肝炎そのものを適切に治療することも肝臓を守るために必要です。
なお、C型肝炎ウイルスを排除できた場合でも、すでに高度な肝線維化や肝硬変がある人では肝細胞がんのリスクがなくなるわけではありません。治療後も肝臓の状態に応じた定期検査を続けます。
参考:B型肝炎治療ガイドライン 第5版(2026年6月)|日本肝臓学会
参考:C型肝炎治療ガイドライン 第8.4版(2025年4月)|日本肝臓学会
MASLD・MASHなどの脂肪性肝疾患
これまで「NAFLD」「NASH」と呼ばれてきた脂肪性肝疾患は、現在、国際的な病名変更を受け、MASLD(マッスルディー)、MASH(マッシュ)という名称が使われています。
MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)は、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧などの心代謝系リスクと関連する脂肪性肝疾患です。
脂肪肝がある人すべてが肝細胞がんになるわけではありません。しかし、肝臓の炎症や線維化が進み、肝硬変へ至ると肝細胞がんのリスクも高くなります。健康診断で「脂肪肝」と指摘された場合には、体重だけを見るのではなく、糖尿病などの代謝異常や肝線維化が進んでいないかを確認することが重要です。
また現在は飲酒の有無だけで「アルコール性」「非アルコール性」と単純に二分する考え方ではありません。代謝異常と飲酒量の両方を踏まえて、MASLD、MetALD、アルコール関連肝疾患(ALD)などに分類します。
アルコールによる慢性的な肝障害
長期間にわたるアルコール摂取によって肝臓の炎症や線維化が続くと、アルコール関連肝疾患から肝硬変へ進行し、肝細胞がんのリスクが高くなることがあります。
ただし「何年間飲んだら肝臓がんになる」「この量までなら絶対に安全」と一律に決められるものではありません。実際の影響は、飲酒量だけでなく、性別、体格、代謝異常、肝炎ウイルス感染の有無、すでに生じている肝障害などによっても変わります。
肝機能異常を指摘されている場合には、自分の感覚で飲酒量の多い・少ないを判断するのではなく、現在の肝臓の状態を確認したうえで飲酒について相談します。
肥満や糖尿病も肝細胞がんのリスクと関連する
国立がん研究センターでは、肝細胞がんの危険因子として、肝炎ウイルス感染やアルコール摂取のほか、肥満、脂肪肝、糖尿病、喫煙などを挙げています。特に糖尿病や肥満はMASLDとも関係するため、肝臓だけの問題として切り離すのではなく、血糖、体重、脂質、血圧なども含めて管理します。
危険因子があることと「肝細胞がんがあること」は同じではありません。脂肪肝や糖尿病があるだけで過度に心配する必要はありませんが、慢性肝炎や肝硬変、肝線維化などによって肝細胞がんの発症リスクが高いと判断された場合には、定期的な画像検査につなげることが早期発見に役立ちます。
肝臓がんの検診はある?定期検査・サーベイランス
胃がんや大腸がんなどには、一定の年齢になった人を対象とする国のがん検診があります。
しかし、肝細胞がんには、現在、健康な一般人口を一律に対象とする国の対策型がん検診はありません。
その代わり、肝細胞がんが発生するリスクの高い人をあらかじめ把握し、腹部超音波検査などを定期的に行う「サーベイランス」が重要になります。
慢性肝炎や肝硬変がある人では3~6カ月ごとの検査が推奨
国立がん研究センターでは、B型・C型肝炎ウイルスによる慢性肝炎や肝硬変がある人、また肝炎ウイルスを伴わない肝硬変がある人には、3~6カ月間隔で腹部超音波検査などの定期検査を受けることを勧めています。
一般に、腹部超音波検査とAFP、PIVKA-IIなどの腫瘍マーカーを組み合わせ、異常が疑われた場合には造影CTやMRIなどで詳しく調べます。
これは「健康な人全員が半年ごとに腹部エコーを受けた方がよい」という意味ではありません。肝細胞がんでは、発症リスクが高い人を特定し、その人に必要な頻度で検査を続けることが重要です。
参考:肝臓がん(肝細胞がん) 予防・検診|国立がん研究センター がん情報サービス
肝炎ウイルス検査を受けたことがなければ一度確認する
B型・C型肝炎ウイルスは、感染していても長期間症状が出ない場合があります。そのため、自分が感染していることを知らないまま慢性肝炎が進行することがあります。
国立がん研究センターは、肝炎ウイルス感染を早期に知るため、これまで検査を受けたことがない人には一度は肝炎ウイルス検査を受けることを勧めています。検査は自治体の肝炎ウイルス検診や医療機関などで受けられる場合があります。
検査で陽性になったからといって、肝細胞がんがあるという意味ではありません。肝炎ウイルス感染の有無を知り、必要であれば抗ウイルス治療や肝細胞がんの定期検査につなげるための検査です。
症状がある場合は「検診」を待たずに受診する
肝細胞がんは早い段階では症状がほとんどないことがあります。
一方で、黄疸、腹部の張りや痛み、著しい倦怠感、むくみなどが現れている場合には、定期検診の時期を待つのではなく医療機関を受診します。
健康診断で肝機能異常や脂肪肝を繰り返し指摘されている場合も「症状がないから大丈夫」と放置せず、自分に慢性肝疾患や肝線維化がないかを確認することが、その後の検査方針を決めるうえで役立ちます。
肝臓がんの初期症状
肝細胞がんは、早い段階では自覚症状がほとんどないことがあります。
肝臓には大きな予備能力があり、一部にがんができてもすぐに肝機能全体が低下するとは限りません。国立がん研究センターも、肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、炎症やがんがあっても初期には自覚症状がほとんどないと説明しています。
肝細胞がんが発覚するのは、B型・C型慢性肝炎や肝硬変の定期検査、健康診断で見つかった肝機能異常の精密検査、腹部超音波検査などをきっかけとして、症状がない段階で見つかることが少なくありません。
初期には「肝臓がん特有の症状」がほとんどない
小さな肝細胞がんでは、痛みや食欲低下などがまったくない場合があります。
症状が出る場合も、だるさ、食欲低下、体重減少、腹部の違和感といった、肝細胞がんだけに特有とはいえないものが中心です。
「右のお腹が痛くないから肝臓は大丈夫」とは判断できません。症状がない時期に定期検査を受ける意味が大きいのは、この病気の特徴によるものです。
前章で説明したB型・C型慢性肝炎や肝硬変などの高リスク者では、症状が現れるのを待つのではなく、決められた間隔で腹部超音波検査などを受けます。
進行すると腹部の張りや痛みが出ることがある
腫瘍が大きくなると、右上腹部の圧迫感、張り、しこり、痛みなどが現れることがあります。
食欲低下や体重減少が目立ってくることもありますが、こうした症状だけから肝細胞がんのステージを判断することはできません。大きな腫瘍でも症状が乏しい人がいるためです。
肺や骨などへ転移した場合には、咳や息切れ、背中や腰の痛みなど、転移した臓器に応じた症状が現れることもあります。
黄疸や腹水は「がんだけ」が原因とは限らない
肝細胞がんの患者さんでは、背景に慢性肝炎や肝硬変があることが少なくありません。
肝機能が低下すると、皮膚や白目が黄色くなる黄疸、お腹に水がたまる腹水、足のむくみ、皮膚のかゆみ、強い倦怠感などが現れることがあります。
さらに肝機能が低下すると、肝臓で処理できない物質が体内に蓄積し、意識がぼんやりする肝性脳症を起こすこともあります。
こうした症状は、腫瘍そのものが大きくなった結果だけではなく、もともとの肝硬変や肝不全が進行して生じる場合があります。
肝細胞がんでは「がんがどこまで進んでいるか」と「肝臓がどこまで機能しているか」は別々に評価する必要があります。
突然の強い腹痛は腫瘍破裂の可能性もある
頻度は高くありませんが、肝細胞がんが破裂して腹腔内に出血することがあります。
急激な強い腹痛、冷や汗、ふらつき、血圧低下などを伴う場合には緊急の治療が必要になることがあります。こうした症状がある場合は定期受診を待たず、速やかに医療機関を受診してください。
肝臓がんの検査と診断
肝細胞がんが疑われた場合には、腹部超音波、造影CT、MRI、血液検査などを組み合わせて診断します。
胃がんや大腸がんとの大きな違いは、肝細胞がんでは必ずしも全員に腫瘍の生検を行うわけではないことです。慢性肝疾患などの背景があり、造影CTやMRIで肝細胞がんに特徴的な画像所見が確認できる場合には、画像から診断できることがあります。
検査ではがんの有無だけでなく、腫瘍の個数や大きさ、血管への広がり、肝外転移、治療に耐えられる肝機能が残っているかまで確認します。
腹部超音波検査|肝臓に腫瘤がないかを調べる
腹部超音波検査は、体の外から超音波を当てて肝臓内部を観察する検査です。
腫瘍の大きさや個数、血管との位置関係、肝臓の形、腹水の有無などを確認できます。放射線被ばくがなく、繰り返し行いやすいため、慢性肝炎や肝硬変がある人の定期検査にも用いられます。
ただし、病変の位置や体格などによっては十分に観察できないことがあります。超音波で腫瘍が疑われた場合や、腫瘍マーカーが上昇した場合には、造影CTやMRIによる詳しい検査へ進みます。
造影CT・MRI|肝細胞がんに特徴的な血流を確認する
肝細胞がんの診断では、造影剤を使ったCTやMRIが重要な役割を持ちます。
肝細胞がんでは、腫瘍が成長するにつれて血流の入り方が正常な肝臓とは変わることがあります。典型的な肝細胞がんでは、造影CTなどで動脈から血液が入る時期に強く造影され、その後の時相で周囲の肝臓より造影効果が低くなる特徴的なパターンがみられます。
MRIでは、肝細胞に取り込まれる造影剤を使ったEOB-MRIなどが用いられることがあります。CTだけでは判断しにくい小さな病変を詳しく評価する際にも役立ちます。
どちらか一つが常に優れているというわけではなく、腎機能、造影剤を使用できるか、病変の位置や大きさなどを考えて検査を選択します。
AFP・PIVKA-IIは診断を補助する腫瘍マーカー
血液検査では、肝細胞がんの腫瘍マーカーとしてAFP、PIVKA-II、AFP-L3分画などを測定します。
数値が高い場合には肝細胞がんを疑う材料になりますが、腫瘍マーカーだけで診断することはできません。
肝細胞がんがあってもAFPやPIVKA-IIが上昇しないことがあります。反対に、肝炎や肝硬変など、がん以外の影響で数値が変化することもあります。
「AFPが正常だから肝臓がんではない」「PIVKA-IIが高いから肝臓がんで確定」という読み方はせず、超音波、CT、MRIなどの画像所見と合わせて判断します。
肝細胞がんでは全員に生検をするわけではない
がんの診断というと、腫瘍の組織を採取して顕微鏡で確認する「生検」が必要だと思う人もいるかもしれません。
肝細胞がんでは、慢性肝疾患などの背景があり、造影CTやMRIで肝細胞がんに特徴的な血流パターンが確認できる場合、画像所見から診断できることがあります。このような場合は、生検を行わずに治療方針を決めることもあります。
生検が検討されるのは、画像だけでは肝細胞がんかどうか判断しにくい場合や、ほかの種類の腫瘍との区別が必要な場合などです。皮膚から針を刺して腫瘍の一部を採取し、病理検査で細胞の特徴を調べます。
生検には出血などのリスクもあるため、すべての患者さんに一律に行う検査ではありません。画像所見や背景にある肝疾患を踏まえ、生検の結果によって診断や治療方針が変わる可能性があるかを考えて実施を判断します。
参考:肝臓がん(肝細胞がん) 検査|国立がん研究センター がん情報サービス
診断と同時に「肝予備能」を調べる
肝細胞がんが確認された後は、腫瘍だけを詳しく調べても治療方法を決められません。
血液検査ではアルブミン、ビリルビン、血液凝固能などを調べ、腹水や肝性脳症の有無も確認します。これらを組み合わせたChild-Pugh(チャイルド・ピュー)分類は、肝予備能を評価する代表的な方法です。アルブミンとビリルビンから計算するALBI grade(アルビグレード)も肝機能評価に使われています。
同じ3cmの肝細胞がんでも、十分な肝機能が残っている人と肝硬変が進んでいる人では、安全に行える治療が変わります。
肝切除を考える場合には「腫瘍を切除できるか」だけでなく、手術後に十分な肝臓を残せるかまで評価します。薬物療法を考える場面でも肝予備能は治療選択に関係します。
肝硬変がある場合は食道・胃静脈瘤を調べることもある
肝硬変が進むと、肝臓へ流れ込む血液の圧力が上昇し、食道や胃に静脈瘤ができることがあります。治療内容によっては静脈瘤からの出血リスクが問題になるため、上部消化管内視鏡検査で静脈瘤の有無や状態を確認することがあります。
特に進行肝細胞がんの薬物療法では、出血リスクが治療薬の選択にも関係します。この点は薬物療法の章で詳しく解説します。
検査によって、腫瘍の個数・大きさ・血管侵襲・転移と、現在の肝予備能が把握できると、次に治療方針を決めるためのステージを評価します。
肝臓がんのステージ分類
肝細胞がんのステージは、がんが肝臓の中でどの程度広がっているか、血管へ入り込んでいるか、リンパ節や肝臓以外の臓器へ転移しているかなどから判定します。
日本では、主に次の2つの病期分類が使われています。
- 日本肝癌研究会の「原発性肝癌取扱い規約」による分類
- 国際的に用いられるUICCのTNM分類
国立がん研究センターも両方の分類を患者向けに紹介しており、どちらの分類を使ったかによって、同じ「ステージ4」という表記でも病状の定義が異なることがあると説明しています。
本記事では、日本国内で肝細胞がんを理解する際に使われている日本肝癌研究会の分類をもとに、ステージ1~4の違いを説明します。
日本肝癌研究会分類では「個数・2cm・脈管侵襲」の3項目を見る
日本肝癌研究会の分類では、まず肝臓内にある腫瘍について、次の3項目を確認します。
- 腫瘍が1個に限られている
- 腫瘍の大きさが2cm以下である
- 門脈・肝静脈・胆管などの脈管へがんが広がっていない
いくつ満たしているかによってT1~T4に分かれます。
| T分類 | 3項目のうち満たす数 |
|---|---|
| T1 | 3項目すべて |
| T2 | 2項目 |
| T3 | 1項目 |
| T4 | 0項目 |
肝細胞がんのT分類は、腫瘍径だけでは決まりません。
たとえば、2cm以下の小さながんでも、複数ある場合や脈管侵襲がある場合にはT1にはなりません。反対に、2cmを超えていても単発で脈管侵襲がなければ、3条件のうち2つを満たすためT2になります。
ステージ1~4はT・リンパ節転移・遠隔転移から決まる
T分類に、リンパ節転移と遠隔転移の有無を加えて最終的なステージを決めます。
日本肝癌研究会分類では、次のようにステージ1~4Bへ分類されます。
| ステージ | 日本肝癌研究会分類での状態 |
|---|---|
| ステージ1 | T1で、リンパ節転移・遠隔転移がない |
| ステージ2 | T2で、リンパ節転移・遠隔転移がない |
| ステージ3 | T3で、リンパ節転移・遠隔転移がない |
| ステージ4A | T4でリンパ節転移・遠隔転移がない場合、またはリンパ節転移があるが遠隔転移はない場合 |
| ステージ4B | 肝臓以外への遠隔転移がある |
この分類を見ると、ステージ4=必ず遠隔転移がある状態「ではない」ことが分かります。
ステージ4Aには、遠隔転移がなくても肝臓内の腫瘍の状態からT4となるケースや、リンパ節転移があるケースが含まれます。
肺、骨、副腎など肝臓から離れた臓器へ転移している場合はステージ4Bです。
ステージ4Aでも遠隔転移がない場合
「ステージ4」と聞くと、がんが肝臓以外へ転移した状態をイメージする人もいるかもしれません。
しかし、日本肝癌研究会分類では、そうとは限りません。
腫瘍が複数あり、2cmを超え、脈管侵襲も認められるなど、T分類の3条件を一つも満たさなければT4になります。リンパ節転移・遠隔転移がなくても、この場合はステージ4Aです。
リンパ節転移が認められ、遠隔転移がない場合もステージ4Aに分類されます。
ステージ4Bは、肝臓以外の臓器への遠隔転移が確認された状態です。
同じ「ステージ4」でも4Aと4Bでは病変の広がり方が違うため、ステージという数字だけで治療内容や今後の見通しを判断することはできません。
UICC分類ではステージの決め方が異なる
肝細胞がんには、国際的に使用されるUICCのTNM分類もあります。
UICC分類でも、原発腫瘍を示すT、所属リンパ節転移を示すN、遠隔転移を示すMからステージを決めますが、T分類の基準は日本肝癌研究会分類と同じではありません。
参考:UICC「TNM Classification of Malignant Tumours」
国立がん研究センターの一般向け肝がん情報でも、日本肝癌研究会分類とUICC分類を別々に掲載しています。
参考:肝臓がん(肝細胞がん)|国立がん研究センター がん情報サービス
診断書や紹介状に「ステージ2」「ステージ4」と書かれている場合には、どの病期分類によるステージなのかを確認すると、病状をより正確に理解できます。
なお、UICCはTNM分類第9版を2025年に公表し、2026年1月からの使用を推奨しています。ただし、国内のがん登録や患者向け資料では現在もUICC第8版に基づく表記が用いられているものがあり、使用する版は診断年や施設、登録の用途によって異なります。
本記事では、肝細胞がんの病期そのものを理解するため、日本肝癌研究会の分類を中心に説明しました。一方、後述するステージ別生存率は、国立がん研究センターの院内がん登録による統計を使用しており、登録時のUICC TNM分類に基づいています。分類方法が異なるため、両者のステージを完全に同じものとして比較することはできません。
ステージと肝機能は別の評価
肝細胞がんでは、ステージが分かれば治療法が自動的に決まるわけではありません。
治療選択には、がんの広がりと同じくらい肝予備能が関係します。
肝細胞がんの多くは慢性肝炎や肝硬変を背景に発生します。腫瘍そのものが早期でも、肝機能が大きく低下していれば肝切除が難しい場合があります。腫瘍が進行していても、肝機能が十分に保たれていれば薬物療法など複数の治療を検討できます。
国立がん研究センターでは、肝障害度やChild-Pugh分類に加え、近年はアルブミンとビリルビンから評価するALBI gradeも肝機能評価に用いられると説明しています。肝細胞がんの治療方針を理解するときには「ステージはいくつか」だけでなく、「肝機能はどの程度残っているか」を確認する必要があります。
肝予備能とは|Child-Pugh分類について
肝細胞がんでは、がんのステージと同時に肝予備能を確認します。
肝予備能とは、現在の肝臓にどの程度の機能が残っているかを示す考え方です。
肝細胞がんは、慢性肝炎や肝硬変などを背景に発生することが多く、がんができる前から肝機能が低下している患者さんもいます。同じ大きさ・個数の肝細胞がんでも、肝予備能が十分に保たれているかどうかによって、安全に行える治療が変わります。
肝予備能を評価する代表的な方法の一つがChild-Pugh(チャイルド・ピュー)分類です。
Child-Pugh分類では5つの項目を点数化
Child-Pugh分類では、血液検査で分かるアルブミン、ビリルビン、プロトロンビン時間に加えて、腹水と肝性脳症の状態を評価します。
| 評価項目 | 1点 | 2点 | 3点 |
|---|---|---|---|
| アルブミン(g/dL) | 3.5超 | 2.8~3.5 | 2.8未満 |
| ビリルビン(mg/dL) | 2.0未満 | 2.0~3.0 | 3.0超 |
| 腹水 | なし | 軽度・コントロール可能 | 中等度・コントロール困難 |
| 肝性脳症 | なし | 1~2度 | 3~4度 |
| プロトロンビン時間(%) | 70超 | 40~70 | 40未満 |
5項目の点数を合計し、5~6点をChild-Pugh A、7~9点をB、10~15点をCと判定します。
| Child-Pugh分類 | 合計点 | 肝機能の状態 |
|---|---|---|
| A | 5~6点 | 比較的保たれている |
| B | 7~9点 | 中等度に低下している |
| C | 10~15点 | 大きく低下している |
A・B・Cは肝細胞がんのステージを表しているわけではありません。
ステージは「がんがどこまで広がっているか」、Child-Pugh分類は「肝臓にどの程度の機能が残っているか」を見る指標です。この2つを分けて理解すると、肝細胞がんの治療方針が分かりやすくなります。
同じステージでもChild-Pugh分類によって治療が変わる
Child-Pugh分類は、肝細胞がんの治療方針を決める際にも使われます。肝予備能が低下するほど、安全に行える治療が限られるためです。実際の治療選択では、Child-Pugh分類だけでなく、腫瘍の個数や大きさ、脈管侵襲、肝外転移なども合わせて判断します。
薬物療法でも肝予備能は重要です。多くの全身薬物療法は肝機能が比較的保たれた患者さんを中心に有効性と安全性が確認されているため、どの薬を使用できるかを考える際にも現在の肝機能を確認します。
Child-Pugh Aでも全員が同じ肝機能ではない
Child-Pugh分類は分かりやすい指標ですが、同じAやBの中にも肝機能の違いがあります。
評価項目には腹水や肝性脳症のように医師の判断を含む項目もあり、点数の境界付近では肝機能の細かな差を十分に表せない場合があります。
肝細胞がんでは、より細かく肝予備能を評価するためにALBI grade(アルビグレード)も使われています。
ALBIスコアは、血液検査のアルブミンとビリルビンから算出する指標です。通常はgrade 1~3に分けられ、現在はgrade 2を2aと2bに分けたmodified ALBI(mALBI)gradeも用いられています。
Child-Pugh分類を置き換えるものというより、治療を選ぶ場面で肝機能をより詳しく把握するための指標の一つと考えるとよいでしょう。
参考:肝予備能評価スコア計算サイト(mALBIグレード追加)のご案内|日本肝臓学会
肝機能は治療の途中でも変化する
肝予備能は、診断された時点で一度評価すれば終わりではありません。肝切除やTACEなどの治療によって肝臓に負担がかかることもあれば、肝硬変そのものが進行して肝機能が低下することもあります。
特にTACEを繰り返す場面では、腫瘍への効果だけでなく、治療後の肝機能がどこまで保たれているかを確認する必要があります。肝予備能が低下すると、それまで候補だった薬物療法や局所治療を行いにくくなる場合があるためです。
次の章では、Child-Pugh分類などで確認した肝予備能と、腫瘍の個数・大きさ・広がりを踏まえて、肝切除、RFA、TACEなどをどのように選ぶのかを解説します。
肝細胞がんの治療
肝細胞がんの治療には、肝切除、ラジオ波焼灼療法(RFA)、肝動脈化学塞栓療法(TACE)、放射線治療、肝移植、薬物療法などがあります。
治療方法を決める際に見るのはステージだけではありません。腫瘍の個数や大きさ、脈管侵襲、肝臓以外への転移に加えて、Child-Pugh分類などで評価した肝予備能を確認します。
肝細胞がんでは、慢性肝炎や肝硬変によってもともとの肝機能が低下していることがあります。がんを十分に治療できる方法であっても、治療後に肝機能を保てないと判断されれば別の方法を選ぶことがあります。
国立がん研究センターでは、Child-Pugh分類AまたはBで、がんが肝臓内にとどまっている場合には、肝切除、RFA、TACEが中心になるとしています。遠隔転移がある場合には薬物療法、Child-Pugh分類Cでは条件によって肝移植が検討されます。
| 治療 | 主に検討される状況 |
|---|---|
| 肝切除 | 肝機能が保たれ、がんを切除した後も十分な肝臓を残せる場合 |
| RFA | 一般にChild-Pugh AまたはBで、3cm以下・3個以下の場合 |
| TACE | 切除やRFAが難しい多発肝細胞がんなど |
| 放射線治療 | 手術やRFAなどが難しい局所病変、骨転移の痛みや脳転移への治療にも |
| 薬物療法 | 切除・RFA・TACEなどの局所治療が適さない進行肝細胞がんなど |
| 肝移植 | 肝機能が大きく低下していても、腫瘍が一定の基準内にある場合 |
この表は治療選択の大まかな位置づけです。同じ3cmの腫瘍でも、肝臓のどこにあるか、周囲の血管や胆管との位置関係、肝硬変の程度によって選択は変わります。
肝切除
肝切除は、肝細胞がんとその周囲の肝組織を手術で取り除く治療です。
国立がん研究センターでは、多くの場合、がんが肝臓内にとどまり、腫瘍が3個以下であれば肝切除を検討すると説明しています。腫瘍の大きさそのものに明確な上限はなく、大きな肝細胞がんでも安全に切除できると判断されれば手術の対象になることがあります。
手術前には、腫瘍の位置や数だけでなく、切除後にどの程度の肝臓を残せるかを調べます。
- 腫瘍が肝臓のどこにあるか
- 門脈・肝静脈・胆管などへ広がっているか
- どの範囲の肝臓を切除する必要があるか
- 切除後の肝臓で十分な機能を保てるか
腫瘍を技術的に切除できても、残る肝臓が少なすぎれば術後肝不全の危険があります。腹水があるなど肝予備能が大きく低下している場合には、肝切除以外の治療が選ばれることがあります。
参考:肝臓がん(肝細胞がん) 治療|国立がん研究センター がん情報サービス
ラジオ波焼灼療法(RFA)
ラジオ波焼灼療法(RFA)は、腹部の皮膚から腫瘍へ針を刺し、針の先端から発生させた熱によってがん細胞を焼灼する治療です。
国立がん研究センターでは、穿刺局所療法は一般にChild-Pugh分類AまたはBで、腫瘍が3cm以下かつ3個以下の場合に行われるとしています。現在、肝細胞がんの穿刺局所療法として中心となるのがRFAです。開腹手術を行わずに局所的な根治を目指せるため、肝切除より体への負担を抑えられる場合があります。
「3cm以下・3個以下」であれば必ずRFAを選ぶわけではありません。腫瘍が太い血管の近くにあると熱が逃げて十分に焼灼できないことがあり、胆管や消化管に近い場合には周囲組織への熱損傷にも注意が必要です。
肝切除とRFAのどちらも可能な小さな肝細胞がんでは、腫瘍の位置、肝機能、手術による負担、再発した際に残しておきたい治療選択肢などを比べながら決めます。
RFA後には発熱や腹痛がみられることがあり、出血、腸管損傷、肝機能障害などが起こることもあります。
肝動脈化学塞栓療法(TACE)
TACEは、足の付け根や腕などの動脈からカテーテルを入れ、肝動脈を通して腫瘍の近くまで進める治療です。
抗がん薬を腫瘍へ送り込んだ後、腫瘍へ血液を送る動脈を塞ぐことで、薬の作用と血流を減らす作用の両方を利用してがんを治療します。
国立がん研究センターでは、Child-Pugh分類AまたはBで、肝切除やRFAが難しい患者のうち、腫瘍が1~3個で3cmを超えている場合、もしくは腫瘍の大きさにかかわらず4個以上ある場合にTACEが行われるとしています。
肝臓内に複数の腫瘍がある場合でも治療できることがTACEの特徴です。腫瘍が広い範囲に分布している場合には、複数回に分けて治療することがあります。
TACEは効きにくくなった後も繰り返せばよいわけではない
TACEは繰り返して行うことができますが、治療のたびに正常な肝組織にも負担がかかります。
十分な効果が得られない状態でTACEを続けると、腫瘍が進行するだけでなく、薬物療法など次の治療を受けるために必要な肝機能が低下する可能性があります。
国立がん研究センターでは、治療方法の変更を検討する状況として「TACEを2回行っても十分な効果が得られない、または肝臓内に新しい病変が現れた時」「脈管侵襲や遠隔転移が現れた時」「腫瘍マーカーが持続的に上昇している時」のような例を挙げています。
これは「2回行ったら必ずTACEを中止する」という意味ではありません。画像で確認した治療効果、腫瘍の増え方、肝予備能などを見ながら、同じ治療を続ける利益があるかを判断します。TACEでがんを十分に抑えにくいと判断された場合には、肝機能が保たれている段階で薬物療法へ切り替えることも検討します。
肝細胞がんでは、目の前にある腫瘍だけを治療するのではなく、次の治療を受けられる肝機能を残すことまで含めて治療の順序を考える必要があります。
また、肝動脈を利用する治療にはTACE以外に肝動注化学療法もあります。病変の広がりや脈管侵襲などによっては、カテーテルから肝動脈へ抗がん薬を投与する肝動注化学療法が検討される場合があります。
放射線治療|手術やRFAが難しい場合の局所治療
放射線治療は、体の外から放射線を照射し、がん細胞を傷害する局所治療です。
肝細胞がんでは、肝切除やRFAなどが治療の中心になりますが、手術や穿刺局所療法を行うことが難しい局所病変では、放射線治療を検討することがあります。門脈などの脈管内へがんが広がっている場合に用いられることもあります。
治療を選ぶ際には、腫瘍の大きさや位置、個数、周囲の消化管や正常肝との位置関係、肝予備能などを確認します。
小さな病変では体幹部定位放射線治療(SBRT)を検討する
体幹部定位放射線治療(SBRT)は、さまざまな方向から腫瘍へ放射線を集中して照射する方法です。正常な肝臓や周囲の臓器への照射をできるだけ抑えながら、腫瘍へ高い線量を照射します。
日本放射線腫瘍学会では、肝臓へのSBRTについて、5cm以下の原発性肝がんなどに対して根治を目指して行う治療と説明しています。
肝細胞がんが小さくても、腫瘍の位置によってはRFAの針を安全に刺しにくいことがあります。手術が難しい、RFAなどの局所療法を実施しにくい、あるいは十分な効果を得にくいと判断される場合に、放射線治療が選択肢となります。
ただし、腫瘍の大きさだけでSBRTが適しているかを判断するわけではありません。肝機能や照射できる正常肝の量、胃や十二指腸など周囲臓器との距離も含めて放射線腫瘍医が治療可能かを判断します。
参考:放射線治療Q&A 上腹部(膵、肝など)への放射線治療について|日本放射線腫瘍学会
大きな肝細胞がんでは陽子線・重粒子線治療を検討
肝細胞がんでは、陽子線や重粒子線を使った粒子線治療が選択肢になる場合もあります。
粒子線は、X線とは異なる性質を利用して腫瘍へ放射線を集中させ、周囲の正常組織への線量を抑えることを目指す治療です。
2026年8月時点では、長径4cm以上の肝細胞がんで、手術による根治的な治療が困難な場合、陽子線治療・重粒子線治療が保険適用の対象となっています。
すべての肝細胞がんに粒子線治療が適しているわけではありません。腫瘍の大きさや位置、肝機能、これまでに受けた治療などから適応を判断します。粒子線治療を行える医療機関も限られているため、候補になるか知りたい場合には担当医や放射線腫瘍医へ確認します。
参考:粒子線治療(陽子線治療、重粒子線治療)の保険適用となる疾患|日本放射線腫瘍学会
骨転移の痛みや脳転移にも放射線治療を使う
放射線治療の目的は、肝臓にある腫瘍を局所的に治療することだけではありません。
肝細胞がんが骨へ転移して痛みがある場合には、痛みを軽減する目的で放射線治療を行うことがあります。脳転移に対しても放射線治療が検討されます。
この場合は、肝臓内の腫瘍に対して根治を目指して行うSBRTや粒子線治療とは目的が異なります。転移によって生じている症状や、転移部位、全身のがんの状態を踏まえて治療方針を決めます。
肝細胞がんの放射線治療は、腫瘍の大きさだけで一律に選択するものではありません。なぜ肝切除やRFAなどが難しいのか、放射線治療では何を目指すのかを確認したうえで、ほかの局所治療や薬物療法と比較して検討します。
肝細胞がんの肝移植|ミラノ基準と5-5-500基準
肝移植は、病気のある肝臓を取り出し、ドナーから提供された肝臓に置き換える治療です。肝細胞がんでは、がんだけでなく、背景にある肝硬変や重度の肝機能低下も同時に治療できる点が大きな特徴です。
肝切除やRFAでは、がんを治療しても傷んだ肝臓そのものは残ります。肝移植では肝臓全体を置き換えるため、肝機能が大きく低下している患者さんでも根治を目指せる場合があります。
ただし、Child-Pugh Cであれば誰でも肝移植を受けられるわけではありません。がんがどこまで広がっているか、脈管侵襲や肝外転移がないか、全身状態、移植手術に耐えられるかなどを含めて適応を判断します。
肝細胞がんでは「がんの広がり」が移植適応に関係する
肝移植後にがんが再発する危険を抑えるには、肝細胞がんが一定の範囲にとどまっていることが必要です。
日本では、肝細胞がんの肝移植を検討する際にミラノ基準と5-5-500基準が用いられています。
| 基準 | 主な条件 |
|---|---|
| ミラノ基準 | 脈管侵襲・肝外転移がなく、単発なら5cm以下、複数なら3個以下かつ各3cm以下 |
| 5-5-500基準 | 脈管侵襲・肝外転移がなく、腫瘍径5cm以下、腫瘍数5個以下、AFP 500ng/mL以下 |
5-5-500基準では、腫瘍の大きさと個数だけでなく、肝細胞がんの腫瘍マーカーであるAFPも評価に含まれます。
ミラノ基準を超えていても、5-5-500基準を満たす場合には肝移植を検討できる可能性があります。
5-5-500基準によって移植を検討できる範囲が広がった
従来、肝細胞がんの肝移植ではミラノ基準が広く使われてきました。
日本では2019年に脳死肝移植の基準へ5-5-500基準が導入され、2020年4月からは生体肝移植についても同様の基準が保険適用となっています。
日本肝臓学会では、ミラノ基準内、またはミラノ基準を外れていても腫瘍径5cm以下・5個以下・AFP 500ng/mL以下であれば、他の条件を含めて肝移植の適応を検討するとしています。
「ミラノ基準を超えたから肝移植はできない」と一律に判断するのではなく、5-5-500基準まで含めて評価することが現在の国内診療では重要です。
参考:肝細胞癌に対する生体肝移植の保険適応の改訂について|日本肝臓学会
参考:肝細胞癌の脳死肝移植に関する適応基準と選択基準の改訂について|日本肝臓学会
日本では生体肝移植と脳死肝移植が行われている
肝移植には、主に生体肝移植と脳死肝移植があります。
生体肝移植では、健康なドナーから肝臓の一部を提供してもらい、患者さんへ移植します。日本では近親者などから提供を受ける生体肝移植が行われてきました。
脳死肝移植では、脳死となったドナーから提供された肝臓を移植します。脳死肝移植には登録基準や優先順位があり、希望すればすぐに移植を受けられるわけではありません。
生体肝移植の場合にも、患者さんだけでなくドナーとなる人の安全性を評価する必要があります。移植が必要と考えられる場合には、移植施設で患者さんとドナー候補の双方を詳しく調べます。
肝移植は「肝機能が悪くなってから考える治療」とは限らない
肝移植の適応は、Child-Pugh分類の数字だけで決めるものではありません。
日本肝臓学会では、生体肝移植について、非代償性肝硬変と判断される場合にはChild-Pughスコアが10点に達していなくても適応となる可能性があり、最終的な判断は移植施設で行うとしています。
移植を検討する可能性がある患者さんでは、肝機能がさらに悪化してから相談するのではなく、がんの状態と肝機能の両方を見ながら移植施設への紹介時期を考えます。
肝細胞がんの肝移植では、現在の肝機能だけでなく、腫瘍が移植適応の範囲内にあるうちに評価できるかも重要になります。
切除不能な肝細胞がんの薬物療法
肝切除、RFA、TACEなどで十分な治療が難しい肝細胞がんでは、全身に作用する薬物療法を検討します。
薬物療法を行えるかどうかは、がんの広がりだけでは決まりません。肝細胞がんの薬物療法に関する臨床試験は、主に肝機能が保たれた患者さんを対象に行われているため、Child-Pugh分類などで現在の肝予備能を確認します。全身状態、脈管侵襲、肝外転移、これまでに受けたTACEなどの治療歴も判断材料になります。
2026年現在、一次治療には免疫チェックポイント阻害薬を含む複数の併用療法があります。「進行肝細胞がんならこの薬」と一つに決まるのではなく、副作用や持病、出血リスクなどを比べながら選択します。
一次治療では免疫療法を含む複数の選択肢がある
切除不能な肝細胞がんの一次治療では、代表的な選択肢として次の併用療法があります。
| 治療 | 治療の特徴 |
|---|---|
| アテゾリズマブ+ベバシズマブ | 免疫チェックポイント阻害薬と、血管新生を抑える薬を組み合わせる |
| デュルバルマブ+トレメリムマブ | 作用する免疫の仕組みが異なる2種類の免疫チェックポイント阻害薬を組み合わせる |
| ニボルマブ+イピリムマブ | 2種類の免疫チェックポイント阻害薬を組み合わせる。2025年6月に国内で切除不能肝細胞がんへの適応が承認された |
どの治療が適しているかは、単純な新旧だけでは比較できません。
このほか、局所療法が適さない切除不能肝細胞がんでは、デュルバルマブ単剤も国内で承認されています。免疫療法の併用による利益と副作用、患者さんの全身状態などを踏まえ、単剤療法を検討する場合があります。
アテゾリズマブ+ベバシズマブでは出血リスクを確認
アテゾリズマブは、PD-L1という免疫のブレーキに関わる分子を標的とする免疫チェックポイント阻害薬です。ベバシズマブは、腫瘍が新しい血管をつくる働きに関わるVEGFを標的とします。
肝硬変がある患者さんでは、食道や胃に静脈瘤ができていることがあります。ベバシズマブには出血に注意が必要なため、治療前に食道・胃静脈瘤や出血リスクを評価することがあります。
前の検査章で上部消化管内視鏡について触れたのは、このように薬物療法の選択にも関係するためです。
アテゾリズマブ+ベバシズマブは2020年に国内で切除不能肝細胞がんへの適応が承認されています。
参考:中外製薬「テセントリクおよびアバスチン、切除不能な肝細胞がんに対する承認」
参考:PMDA「テセントリク(アテゾリズマブ)」
デュルバルマブ+トレメリムマブは2種類の免疫療法を組み合わせる
デュルバルマブはPD-L1、トレメリムマブはCTLA-4という異なる免疫チェックポイントを標的とします。
肝細胞がんでは、トレメリムマブを初回に投与し、デュルバルマブを継続する治療方法が用いられます。この治療は「STRIDE」と呼ばれることがあります。
ベバシズマブを含まないため、治療選択ではアテゾリズマブ+ベバシズマブとは異なる特徴を持ちます。ただし、免疫チェックポイント阻害薬による肝障害、肺障害、内分泌障害などの免疫関連有害事象には注意が必要です。
自己免疫疾患がある場合など、免疫チェックポイント阻害薬を使用しにくい患者さんもいるため、持病やこれまでの治療歴を確認して選択します。
参考:PMDA「イミフィンジ(デュルバルマブ)」
参考:PMDA「イジュド(トレメリムマブ)」
ニボルマブ+イピリムマブが2025年から一次治療候補に加わった
ニボルマブ+イピリムマブも、異なる免疫チェックポイントを標的とする2剤を組み合わせる治療です。
国内では2025年6月24日、切除不能な肝細胞がんに対する効能・効果が追加承認されました。
承認の根拠となったCheckMate-9DW試験では、全身薬物療法を受けていない切除不能肝細胞がん患者を対象に、ニボルマブ+イピリムマブとレンバチニブまたはソラフェニブが比較されました。ニボルマブ+イピリムマブ群では全生存期間の改善が示されています。
参考:PMDA「オプジーボ(ニボルマブ)」
参考:小野薬品工業「オプジーボとヤーボイの併用療法による『切除不能な肝細胞癌』に対する国内承認」2025年6月24日
3つの併用療法から単純に「最も強い薬」を選ぶわけではない
3つの併用療法には、それぞれ異なる特徴があります。
アテゾリズマブ+ベバシズマブでは、食道・胃静脈瘤を含む出血リスクを確認します。免疫チェックポイント阻害薬同士を組み合わせる治療では、免疫が自分の臓器を攻撃する免疫関連有害事象に注意します。
治療選択では、肝予備能、全身状態、自己免疫疾患などの持病、出血リスク、これまでの治療、副作用が起きた場合に対応できるかといった点を確認します。
これら3つを直接比較して「すべての患者さんにこの治療が最も優れている」と決めるものではありません。
免疫療法を使いにくい場合は分子標的薬を検討する
免疫チェックポイント阻害薬を使用しにくい場合には、レンバチニブやソラフェニブなどの分子標的薬を一次治療として検討することがあります。
これらは内服薬で、がんの増殖や腫瘍へ血液を送る血管の形成などに関係する分子を標的とします。
分子標的薬にも高血圧、手足症候群、食欲低下、倦怠感、下痢などさまざまな副作用があります。免疫療法が使えないから負担の軽い治療になる、という意味ではありません。
現在の肝機能と全身状態を確認しながら、必要に応じて休薬や減量を行います。
二次治療以降は「これまで何を使ったか」で変わる
一次治療で病状が進行した場合や、副作用によって治療を続けられない場合には、次の薬物療法を検討します。
肝細胞がんでは、レゴラフェニブ、カボザンチニブ、ラムシルマブなどがあります。薬剤ごとに前治療歴などの適応条件が異なり、ラムシルマブは血清AFP値400ng/mL以上で、がん化学療法後に増悪した切除不能肝細胞がんが対象です。
どの薬を選べるかは、一次治療で使用した薬、以前の治療への反応、AFPの値、肝予備能、全身状態などによって変わります。
特に現在は一次治療で免疫療法を含む併用療法を使う患者さんが増えているため、「二次治療だからこの薬」と治療の順番だけで決めるのではなく、それまでの治療歴から次の選択肢を考える必要があります。
薬物療法で大きく縮小した場合は局所治療を再検討することもある
切除不能肝細胞がんに対する薬物療法では、多くの場合、がんの進行を抑えながら肝機能と生活をできるだけ保つことを目指します。
ただし、「薬物療法を始めたら、その後は薬だけを続ける」と決まっているわけではありません。治療によって腫瘍が大きく縮小し、脈管侵襲や肝内病変の状態が変化した場合には、肝切除やRFAなどの局所治療が可能にならないか再評価することがあります。
治療開始時に切除不能だったという事実だけで、その後の選択肢まで固定されるわけではありません。画像検査と肝予備能を繰り返し確認し、その時点で可能な治療を検討します。
肝臓がんステージ4の薬物療法や、遠隔転移がある場合の治療については以下の記事でも詳しく解説しています。
肝細胞がん治療の副作用と生活への影響
肝細胞がんの治療では、肝切除、RFA、TACE、放射線治療、薬物療法など、それぞれ異なる副作用や合併症、治療による体への影響が起こることがあります。
肝細胞がんで特に意識したいのは、治療そのものによる副作用と、肝機能が低下して生じる症状が似ていることがある点です。
食欲低下、倦怠感、腹部の張り、むくみなどは、治療後に一時的に起こることもあれば、肝硬変や肝機能低下が関係していることもあります。「治療を受けた後だから仕方がない」と自己判断せず、症状が続く場合や強くなる場合には医療者へ伝えることが、その後の治療を続けるためにも必要です。
治療法によって起こりやすい副作用は異なる
代表的な治療と、治療後に注意する症状を整理すると次のようになります。
| 治療 | 主な副作用・合併症 |
|---|---|
| 肝切除 | 胆汁漏、出血、肝不全など |
| RFA | 発熱、腹痛、出血、肝機能障害、周囲臓器の損傷など |
| TACE | 発熱、吐き気、腹痛、食欲不振、肝機能障害など |
| 放射線治療 | 倦怠感、食欲低下、吐き気、肝機能への影響など。照射する部位・範囲・線量によって異なる |
| 分子標的薬 | 高血圧、食欲低下、下痢、手足症候群など。薬剤によって異なる |
| 免疫チェックポイント阻害薬 | 肝障害、肺障害、腸炎、甲状腺などの内分泌障害を含む免疫関連有害事象 |
どの副作用が起こりやすいかは、治療法だけでなく、治療前の肝機能や全身状態によっても変わります。
肝切除後は「肝臓がどこまで回復しているか」を確認する
肝切除後には、創部の痛みや体力低下に加えて、出血、胆汁漏、肝不全などの合併症が起こることがあります。
肝臓には再生能力がありますが、肝硬変などで傷んだ肝臓では、正常な肝臓と同じように回復できるとは限りません。手術後に黄疸が強くなる、腹水が増える、意識がぼんやりするといった症状がある場合には、肝機能が低下していないかを確認します。
退院後はすぐに以前と同じ活動量へ戻すのではなく、体力の回復に合わせて少しずつ活動量を増やします。国立がん研究センターでは、手術後約1カ月は無理を避け、散歩などから徐々に運動量を増やすよう案内しています。
RFA・TACEでは治療後の発熱や腹痛がみられることがある
RFAでは、腫瘍を熱で焼灼した影響から発熱や腹痛が起こることがあります。出血、肝機能障害、周囲の腸管などへの熱損傷にも注意します。TACEでは、治療後に発熱、吐き気、腹痛、食欲低下などが出ることがあります。
数日で改善する症状もありますが、肝細胞がんでは「治療後だから発熱や食欲低下は当然」と考え続けないことが重要です。食事や水分を十分に取れない、腹痛が強くなる、黄疸が現れるなどの変化があれば、肝機能低下や合併症が起きていないかを確認する必要があります。
TACEを繰り返している場合には、腫瘍への効果だけでなく、治療前後で肝予備能が低下していないかも確認します。前章で説明したように、肝機能を大きく低下させると、その後に行える薬物療法などが限られる可能性があります。
放射線治療では照射する範囲によって体への影響が異なる
放射線治療は腫瘍へ放射線を集中させる局所治療ですが、腫瘍の周囲にある正常な肝臓や臓器にも一定量の放射線が当たることがあります。
治療による体への影響は、照射する位置や範囲、放射線の量、治療前の肝機能などによって異なります。治療中から終了後しばらくの間には、倦怠感や食欲低下、吐き気などがみられることがあります。
肝細胞がんでは、治療前から慢性肝炎や肝硬変によって肝機能が低下している患者さんもいます。放射線治療を行う際には、腫瘍へ必要な線量を照射しながら、正常な肝臓へ照射される範囲をできるだけ抑えるよう治療計画を立てます。
体幹部定位放射線治療(SBRT)や粒子線治療では、腫瘍へ放射線を集中させ、周囲の正常組織への照射を抑えることを目指します。ただし、こうした治療でも体への影響がなくなるわけではありません。
治療中や治療後に食欲低下や強い倦怠感が続く、黄疸や腹部の張りが現れるなどの変化があれば、「放射線治療後だから」と自己判断せず、治療を受けている医療機関へ相談します。
薬物療法では薬ごとに注意する症状が異なる
切除不能肝細胞がんで使われる薬には、免疫チェックポイント阻害薬、血管新生を抑える薬、分子標的薬などがあります。
アテゾリズマブ+ベバシズマブでは、ベバシズマブによる出血、高血圧、蛋白尿などに注意します。特に肝硬変がある人では食道・胃静脈瘤を伴うことがあるため、出血リスクを評価してから治療を始めることがあります。
デュルバルマブ+トレメリムマブやニボルマブ+イピリムマブなどの免疫チェックポイント阻害薬では、免疫反応が強く働くことで正常な臓器に炎症が起こる免疫関連有害事象に注意します。肝臓、肺、腸、甲状腺など影響を受ける臓器はさまざまです。
肝細胞がんではもともと肝機能異常がある患者さんもいるため、血液検査の変化ががんや肝硬変によるものなのか、免疫療法による肝障害なのかを医療者が判断します。症状の程度によっては免疫療法を休薬・中止し、ステロイドなどによる治療が必要になることがあります。
レンバチニブやソラフェニブなどの分子標的薬では、高血圧、食欲低下、下痢、倦怠感、手足症候群などが治療継続の負担になる場合があります。
副作用が強いときは、予定どおりの量を無理に続けることが目的ではありません。休薬や減量などを行いながら、治療を継続できる状態を整えます。
食欲低下や倦怠感を「副作用」と決めつけない
肝細胞がんの治療中には、食欲がない、疲れやすい、体重が減るといった変化が起こることがあります。こうした症状は薬物療法やTACEの影響でも生じますが、肝機能低下や腹水、がんの進行が原因になっていることもあります。
症状だけから原因を区別することは難しいため、いつから症状が始まったか、治療後に強くなったか、食事量や体重がどの程度変化したかを診察時に伝えると、原因を考える手がかりになります。
黄疸が強くなった、腹水や足のむくみが増えた、意識がぼんやりするといった変化は、肝機能低下のサインである可能性があります。次の定期受診まで様子を見るのではなく、治療を受けている医療機関へ相談します。
食事・飲酒・運動は肝臓の状態に合わせて考える
肝細胞がんだからといって、すべての患者さんに同じ食事制限が必要になるわけではありません。国立がん研究センターでは、基本的には栄養バランスを意識した食事を勧めています。慢性肝疾患がある場合には飲酒を避け、腹水やむくみがある場合には塩分を控えるなど、肝臓の状態に応じた調整が必要になります。
食欲が落ちている人が自己判断で厳しい食事制限をすると、必要なエネルギーや栄養を十分に取れなくなることもあります。何をどこまで制限するかは、肝機能や腹水の状態を踏まえて医師や管理栄養士などに確認します。
運動についても、手術直後と薬物療法を続けながら生活している時期では適切な強度が違います。体力と肝機能が安定していれば、散歩などから日常の活動量を戻していきます。
緩和ケア・支持療法はがん治療と並行して行う
緩和ケアや支持療法は、治療法がなくなった後だけに行うものではありません。
肝細胞がんでは、がんそのものによる痛みだけでなく、腹水、むくみ、食欲低下、倦怠感、かゆみなど、肝機能低下に伴う症状も生活へ影響します。こうした症状への治療や栄養管理、心理・社会面の支援は、肝切除、TACE、薬物療法などと並行して行います。
治療中に早めに相談したい症状
治療中に症状が出たとき、「これくらいなら次の診察まで待ってよいのか」と迷うことがあります。
特に、次のような変化がある場合には早めに医療機関へ連絡してください。
- 吐血や黒い便など、消化管出血を疑う症状
- 息苦しさや新しく続く咳
- 強い腹痛や急激な腹部の張り
- 黄疸が強くなる
- 腹水や足のむくみが急に増える
- 意識がぼんやりする、会話がかみ合わない
- 食事や水分をほとんど取れない状態が続く
実際にどの症状で連絡すべきかは、受けている治療によって異なります。薬物療法を始める際には、よく起こる副作用だけでなく、「どの症状が出たら次の受診を待たずに連絡するのか」まで確認しておくと判断しやすくなります。
肝細胞がんの治療では、腫瘍を抑えることと同時に、肝機能と体力を保って次の治療につなげることも治療計画の一部です。
次の章では、肝細胞がんのステージ別生存率について、5年・10年ネット・サバイバルの違いと、その数字を個人の余命として受け取らないための見方を解説します。
肝細胞がんのステージ別生存率
肝細胞がんの予後を調べると「5年生存率」「10年生存率」という数字を目にすることがあります。
国立がん研究センターの院内がん登録では、原発性肝がんのうち、本記事で主に扱っている肝細胞がんについてステージ別のネット・サバイバルが公表されています。
| ステージ | 5年ネット・サバイバル 2014~2015年診断例 |
10年ネット・サバイバル 2012年診断例 |
|---|---|---|
| ステージ1 | 63.0% | 36.3% |
| ステージ2 | 45.2% | 21.6% |
| ステージ3 | 16.0% | 7.1% |
| ステージ4 | 4.4% | 1.9% |
ここで示している5年値と10年値は、同じ患者さんを5年から10年まで追跡した数字ではありません。
5年ネット・サバイバルは2014~2015年に診断された患者、10年ネット・サバイバルは2012年に診断された患者を対象とした別々の集計です。
「ステージ1では5年時点の63.0%が、そのまま10年後に36.3%まで低下した」という読み方はできません。
参考:院内がん登録生存率最新集計値|国立がん研究センター がん情報サービス
ネット・サバイバルは個人の余命を示す数字ではない
ネット・サバイバルとは、がん以外の病気や事故などによる死亡の影響を統計学的に調整し、がんだけが死因となる状況を仮定して推計した生存率です。肝細胞がんでは、この考え方が特に重要です。
患者さんの中には、肝硬変、慢性肝炎、糖尿病など、がん以外にも健康状態へ影響する病気を持つ人がいます。すべての死亡をそのまま数える実測生存率では、肝細胞がんそのものによる影響と、ほかの病気による影響が混ざります。
国立がん研究センターでは、2014~2015年の5年生存率と2010年以降の10年生存率から、国際的にも使われているネット・サバイバルを採用しています。
たとえば「ステージ1の5年ネット・サバイバルが63.0%だから、自分が5年後に生きている確率が63.0%」という意味ではありません。年齢、肝予備能、肝硬変の程度、腫瘍の個数や位置、受けた治療、治療後の肝機能などが異なる多くの患者さんをまとめた集団の統計です。
この生存率はUICC TNM分類によるステージの集計
前のステージ章では、日本国内で使われている日本肝癌研究会の分類を中心に説明しました。
ここで掲載しているステージ別生存率は、国立がん研究センターの院内がん登録におけるUICC TNM分類の総合ステージを用いた統計です。
日本肝癌研究会分類とUICC TNM分類では、T分類やステージの決め方が同じではありません。
前章の「日本肝癌研究会分類のステージ1~4」と、この表の「UICC TNM分類のステージ1~4」を完全に同じ病状として置き換えて比較することはできません。
肝細胞がんでは複数の病期分類が使われるため、生存率を見る際にもどの分類に基づく数字なのかを確認する必要があります。
参考:院内がん登録生存率集計|国立がん研究センター がん情報サービス
肝細胞がんではステージだけで予後を判断しにくい
肝細胞がんの見通しに関係するのは、がんのステージだけではありません。同じステージでも、Child-Pugh分類やALBI gradeでみた肝予備能が異なれば、選択できる治療やその後の経過も変わります。
肝切除やRFAでがんを局所的に治療できても、背景に慢性肝障害が残っていれば、新たな肝細胞がんが発生することがあります。逆に、進行した肝細胞がんでも、肝機能が保たれていれば複数の薬物療法を検討できます。
ステージと肝予備能の両方を見るという考え方は、治療選択だけでなく予後を理解する際にも必要です。
過去の生存率には現在の薬物療法が十分に反映されていない
5年ネット・サバイバルの対象は2014~2015年、10年値は2012年に診断された患者さんです。
現在の切除不能肝細胞がんでは、アテゾリズマブ+ベバシズマブ、デュルバルマブ+トレメリムマブ、ニボルマブ+イピリムマブなど、当時は使われていなかった治療が選択できるようになっています。
過去の患者集団から算出された生存率には、2026年現在の治療環境がすべて反映されているわけではありません。
特にステージ4の4.4%という5年ネット・サバイバルを、現在ステージ4と診断された患者さんの将来をそのまま示す数字として受け取ることはできません。
肝臓がんステージ4の病状や治療、生存率の考え方については、以下の記事でも詳しく解説しています。
肝細胞がんの再発と経過観察
肝細胞がんは、肝切除やRFAなどで治療した後も再発に注意が必要ながんです。国立がん研究センターでは、肝切除後に初めて再発した場合、その90%以上が肝臓内での再発と説明しています。
肝臓内に再びがんが見つかる理由は一つではありません。最初の肝細胞がんからがん細胞が肝臓内の別の場所へ広がる場合もあれば、慢性肝炎や肝硬変などが残っている肝臓から、新しい肝細胞がんが発生する場合もあります。
参考:肝臓がん(肝細胞がん) 治療|国立がん研究センター がん情報サービス
肝臓内の再発には「肝内転移」と新しい発がんがある
最初にできた肝細胞がんからがん細胞が肝臓内へ広がり、別の場所で増えるものを「肝内転移」と考えます。
肝細胞がんでは、治療によって最初の腫瘍を取り除いても、背景にある慢性肝炎や肝硬変などの肝疾患が残ることがあります。その肝臓の別の肝細胞から新たながんが発生することもあり、これを「多中心性発癌」と呼びます。
肝切除後に別の場所へ肝細胞がんが見つかったからといって、すべてが最初のがんから広がったものとは限りません。この特徴があるため、肝細胞がんでは「治療した場所だけ」を見て経過観察するのではなく、残った肝臓全体を長期的に確認します。
治療後は3~6カ月ごとを目安に定期検査を行う
国立がん研究センターでは、肝細胞がん治療後は再発や新たな肝細胞がんに注意し、3~6カ月ごとに定期検査を行うとしています。
検査では、肝機能やAFP、PIVKA-IIなどを確認する血液検査に加え、病状に応じて腹部超音波、造影CT、MRIなどの画像検査を組み合わせます。腫瘍マーカーだけで再発の有無を判断することはできません。治療前から腫瘍マーカーが上昇しない患者さんもいるため、画像検査と合わせて経過を確認します。
経過観察で見るのは再発だけではありません。肝切除やTACEなどの治療後に肝機能がどの程度保たれているか、慢性肝疾患が進行していないかも、その後の治療選択に関係します。
参考:肝臓がん(肝細胞がん) 療養|国立がん研究センター がん情報サービス
再発した場合も、現在の肝機能とがんの状態から治療を選び直す
肝細胞がんが再発した場合には「一度手術をしたから次は薬物療法」というように治療順序が固定されているわけではありません。再発した腫瘍の個数や大きさ、脈管侵襲、肝外転移に加え、現在の肝予備能を評価します。
肝臓内に限局し、肝機能が保たれている場合には、再切除やRFAなどの局所治療を検討できることがあります。病変が多発していればTACE、脈管侵襲や肝外転移などがあれば薬物療法を含めて治療方針を考えます。
国立がん研究センターも、肝切除や局所療法後に再発した場合は、残っている肝臓の量と肝機能を確認し、初回治療と同じように切除、RFA、塞栓療法、薬物療法などを検討すると説明しています。
治療時点のステージだけではなく、再発した時点でどの治療を安全に行えるかを改めて評価することになります。
B型・C型肝炎がある場合は肝炎の治療も続ける
B型・C型肝炎を背景に肝細胞がんが発生した場合、がんの治療だけで通院が終わるわけではありません。ウイルス性肝炎そのものを適切に治療することは、残った肝臓の炎症を抑え、肝機能を保つことにつながります。
国立がん研究センターでは、ウイルス性肝炎が原因となった肝細胞がんでは、手術やRFAなどの治療後に抗ウイルス療法を行うことで、再発を抑えられる可能性があるとしています。C型肝炎でウイルスを排除できた場合でも、すでに肝線維化や肝硬変が進んでいる患者さんでは肝細胞がんのリスクがなくなるわけではありません。定期検査を続ける必要があります。
再発の有無だけでなく「次の治療を受けられる肝臓か」を見ていく
肝細胞がんの経過観察では、画像上に新しい腫瘍がないかを確認することに意識が向きやすくなります。
長期的には、肝機能をどの程度保てているかも重要です。再発しても、肝予備能が十分に残っていれば再切除やRFA、TACE、薬物療法など複数の治療を検討できます。肝機能が大きく低下すると、腫瘍に対して有効な治療があっても実施が難しくなる場合があります。
肝細胞がんの治療後は、再発を早く見つけることと、次の治療につなげられる肝機能を保つことの両方を考えて経過をみていきます。
肝細胞がんの治療が効きにくくなったら
肝細胞がんでは、治療を続けているうちに十分な効果が得られなくなったり、副作用や肝機能の低下によって同じ治療を続けにくくなったりすることがあります。
このような場合でも、「現在の治療が効かなくなった=もう治療法がない」とは限りません。
肝細胞がんには肝切除、RFA、TACE、薬物療法など複数の治療があり、病状の変化によって治療の位置づけも変わります。次の治療を考える際には、がんがどのように変化したのかと、現在の肝機能がどこまで保たれているのかを改めて確認します。
まず現在の治療を続ける意味があるかを見直す
治療変更を考える場面では、画像検査で腫瘍が大きくなったかどうかだけを見るわけではありません。
新しい病変が増えている、脈管侵襲や肝外転移が現れた、腫瘍マーカーが上昇しているといった変化に加え、治療によって肝予備能が低下していないかも確認します。
特にTACEでは、十分な効果が得られない状態で繰り返すと、次の薬物療法に必要な肝機能を失う可能性があります。
治療を続けるか切り替えるかを考えるときは、以下の点を整理します。
- 現在の治療で腫瘍を抑えられているか
- 新しい病変や脈管侵襲、肝外転移が生じていないか
- Child-Pugh分類やALBI gradeなどでみた肝予備能が保たれているか
- 副作用による生活への負担が大きくなっていないか
次の薬物療法だけでなく、局所治療を再検討できることもある
薬物療法を受けている患者さんで病状が変化したとき、「次はどの薬を使うのか」に意識が向きやすくなります。
実際には、治療によって腫瘍が大きく縮小し、以前は難しかった肝切除やRFAなどを検討できる状態になることもあります。逆に、TACEで十分な効果を得にくくなった場合には、肝機能が保たれているうちに全身薬物療法へ移ることがあります。
肝細胞がんでは治療法を一方向に進めるだけではなく、その時点の腫瘍の状態と肝予備能から、局所治療と全身治療を改めて検討することがあります。
標準治療は新しい治療が登場するたびに更新される
標準治療とは、現在得られている科学的根拠をもとに、多くの患者さんに推奨される治療です。「標準」という言葉から、昔から行われている治療をイメージするかもしれませんが、新しい治療でも臨床試験で効果と安全性が確認されれば標準治療に加わります。
肝細胞がんでも、近年は免疫チェックポイント阻害薬を含む治療が次々と導入され、治療の選択肢が変化しています。
現在の治療で十分な効果が得られなくなったときには、まず現在の標準治療の中に、まだ受けていない治療があるかを確認します。
条件が合えば臨床試験を検討できる
標準治療を受けた後や、病状によって適した標準治療が限られる場合には、臨床試験への参加を検討できることがあります。
臨床試験は、効果が確立した「特別な治療」を受ける制度ではありません。新しい薬や治療法について、効果と安全性を確認し、将来の標準治療になり得るかを調べる研究です。
参加できるかどうかは、肝細胞がんの状態、これまでに受けた治療、肝機能、全身状態など、それぞれの試験で定められた条件によって決まります。
臨床試験を提案された場合には、現在受けられる標準治療と何が違うのか、期待される効果についてどこまで分かっているのか、副作用や通院の負担はどの程度かを確認してから判断します。
参考:研究段階の医療(臨床試験、治験など)について|国立がん研究センター がん情報サービス
治療方針に迷ったときはセカンドオピニオンも利用できる
「提示された治療以外に選択肢はないのか」「TACEを続けるべきか薬物療法へ移るべきか」「別の治療施設でも意見を聞きたい」と感じる場合には、セカンドオピニオンを利用できます。
セカンドオピニオンは、現在の病院から転院するための制度ではありません。診断や治療方針について別の医師から意見を聞き、治療を選ぶための情報を増やす方法です。
相談するときには、これまでの画像検査、病理・診断情報、受けた治療、現在の肝機能などの資料が必要になります。
肝細胞がんでは治療の選択肢だけでなく、治療を行える肝予備能が残っているかが判断に影響します。セカンドオピニオンを希望する場合には、治療開始や変更をどの程度待てる状況なのかも担当医に確認しておくとよいでしょう。
治療が効きにくくなったときに考えるのは、「次に使える薬があるか」だけではありません。現在の治療を続ける利益、残っている肝機能、局所治療を再検討できる可能性、次の標準治療を整理したうえで、その時点で適した方針を考えます。
参考:セカンドオピニオン|国立がん研究センター がん情報サービス
納得できる治療を選択するために、診察で確認したいこと
肝細胞がんの治療について説明を受けると、Child-Pugh分類、RFA、TACE、免疫チェックポイント阻害薬など、多くの専門用語が一度に出てきます。
すべての治療法や薬剤名を覚える必要はありません。まず確認したいのは「自分は現在どのような状態で、なぜこの治療が提案されているのか」です。
診察では、次のような情報を整理すると治療方針を理解しやすくなります。
- 正式な診断名は肝細胞がんなのか
- ステージはいくつで、どの病期分類を使っているのか
- 腫瘍の個数・大きさ、脈管侵襲、肝外転移はどうなっているのか
- Child-Pugh分類やALBI gradeでみた肝予備能はどの程度なのか
- 今回の治療では何を目指しているのか
「ステージ3です」「手術は難しいです」といった結論だけではなく、その判断につながった病状まで確認すると治療の選択肢を比較しやすくなります。
提案された治療の「目的」は何か
同じ肝細胞がんでも、治療によって目指すものは異なります。肝切除やRFAでがんを根治できる可能性を目指す場合もあれば、TACEで肝臓内の腫瘍を抑える場合、薬物療法で進行を抑える場合もあります。
治療を決める前には、この治療で何を目指しているのか、なぜ自分にはこの治療が勧められているのか、ほかに選択肢はあるのか、期待できる効果と主な副作用・合併症は何か、治療によって肝予備能へどの程度影響する可能性があるのか、などを確認しておくとよいでしょう。
治療を始めるときに「次に切り替える条件」も確認
肝細胞がんでは、一つの治療をいつまでも続けるとは限りません。TACEで十分な効果が得られなくなれば薬物療法への変更を検討することがあります。薬物療法でも、がんの進行や副作用によって別の治療へ変更する場合があります。
治療開始時には「どのような状態になったら、この治療を続けず次の治療を考えるのか」まで確認しておくと、病状が変化したときに治療方針を理解しやすくなります。
画像検査で何を見るのか、腫瘍マーカーをどう評価するのか、Child-Pugh分類やALBI gradeが変化した場合に治療へどのような影響があるのかも確認しておきましょう。
治療によって生活がどう変わるのか
治療方針を考える際には、効果や副作用だけでなく、生活への影響も確認します。
手術であれば入院期間や退院後の回復、TACEであれば治療後の発熱や食欲低下、薬物療法であれば通院頻度や副作用への対応など、治療によって負担の種類が異なります。
仕事や家事、介護などを続けながら治療を受ける場合には、診察の段階で生活上の事情を医療者に伝えておくことも治療計画を考える材料になります。
副作用が起きた場合にどこへ連絡するのか、夜間や休日はどのように対応するのかまで確認しておくと、治療開始後に迷いにくくなります。
分からないことが残ったまま治療を決める必要はない
説明を一度聞いただけで、治療内容をすべて理解するのは簡単ではありません。
分からなかった言葉や気になる点をメモして、次の診察で確認しても構いません。治療開始をどの程度急ぐ必要があるのか、考える時間を取れる病状なのかも担当医に確認できます。別の医師の意見を聞きたい場合には、セカンドオピニオンを利用する方法もあります。
治療の説明を整理したい場合や、生活・仕事・医療費などを含めて相談したい場合には、全国のがん診療連携拠点病院などに設置されている「がん相談支援センター」も利用できます。
参考:がん相談支援センターとは|国立がん研究センター がん情報サービス
診断名やステージだけで治療の可能性を決めつけない
肝細胞がんでは、同じステージでも腫瘍の状態や肝予備能によって提案される治療が異なります。
治療後に病状が変化すれば、以前は難しかった治療を再検討できることもあれば、肝機能の変化によって治療方針を変更することもあります。
この記事で紹介したステージや生存率、治療法は、自分の治療を決めるための答えそのものではありません。
診察では「今の病状はどうなっているのか」「今回の治療を選ぶ理由は何か」「効果が得られなかった場合には次に何を考えるのか」まで確認し、自分の病状に沿って治療方針を考えていくことが必要です。










