”新しい未来をともに”最先端のがん治療を追求するがん治療専門クリニック ”新しい未来をともに”最先端のがん治療を追求するがん治療専門クリニック

難治性がんrefractory-cancer

悪性黒色腫(メラノーマ)は、皮膚の色素細胞であるメラノサイトががん化した皮膚がんで、悪性度が高いことで知られています。

日本人では足の裏や手のひら、爪など日光の当たりにくい部位にできる末端黒子型が約40%を占め、ほくろと見分けがつきにくいため発見が遅れることがあります。初期にはほくろやしみとよく似た見た目で、進行するとリンパ節や他の臓器へ転移します。

早期に切除できれば治癒が十分に望める一方、日本人に多いタイプでは免疫療法が効きにくいことが課題となります。

本ページでは、悪性黒色腫の特徴や原因、症状、診断(ダーモスコピー・病理検査)、そして治療の選択肢についてわかりやすく解説します。治療を検討されている方やご家族が、いまの状況に合う選択肢を整理し、納得のいく方針を考えるための一助となれば幸いです。

  • 日本人では足の裏や手のひらにできる末端黒子型が約40%を占める
  • ほくろやしみと見分けがつきにくく、発見が遅れやすい
  • 早期切除で治癒が望める一方、日本人に多いタイプは免疫療法が効きにくい

悪性黒色腫(メラノーマ)とは

悪性黒色腫は、皮膚がんのなかでも特に悪性度が高いがんで、メラノーマとも呼ばれます。

皮膚にはメラニン色素をつくる「メラノサイト(色素細胞)」があり、これががん化したものが悪性黒色腫です。ほくろやしみと見た目が似ているため、初期には見分けがつきにくいことが特徴です。

日本人の悪性黒色腫には、欧米と異なる大きな特徴があります。

欧米では日光の当たる部位にできるタイプが多いのに対し、日本人では足の裏や手のひら、爪といった日光が当たりにくい部位にできる「末端黒子型(アクラル型)」が多くを占めます。

日本人の大規模データでは、末端黒子型が約40%を占めると報告されています。そのため、「足の裏のほくろ」として見過ごされ、発見が遅れることも少なくありません。

進行するとリンパ節や他の臓器へ転移しやすく、皮膚がんのなかでも予後が厳しいがんです。一方で、早期に発見して切除できれば治癒が十分に望めます。

悪性黒色腫(メラノーマ)の原因

悪性黒色腫は、メラノサイトに遺伝子の異常が積み重なって発生しますが、根本の引き金は完全には解明されていません。最もよく知られた危険因子は紫外線です。ただし、日本人に多い足の裏や手のひらのタイプは日光が当たらない部位であり、紫外線だけでは説明がつきません。

分子のレベルでは、増殖のアクセルを踏み込む「BRAF」の変異が代表的です。

ただしその頻度には人種差・タイプ差が大きく、欧米では約半数に見られるのに対し、日本人では低いことが分かっています。日本人のデータでは、BRAF変異率は全体で約30%と報告されています。

もうひとつ重要なのが、がん細胞の暴走を食い止める「ブレーキ役」の、がん抑制遺伝子「p53(TP53)」です。p53はDNAに傷がついた細胞を修復させ、修復できないものは自然死(アポトーシス)へと導きます。これが壊れると、傷ついた細胞が排除されずに生き残ってしまいます。悪性黒色腫では、このp53変異が20~30%に認められると報告されています。

つまり増殖のアクセルが踏み込まれるだけでなく、ブレーキまで故障してしまう場合があり、それが治療の難しさにつながっています。

悪性黒色腫(メラノーマ)の診断

「ほくろとの見分け」から「確定診断」まで

悪性黒色腫の初期症状は、ほくろやしみとよく似ています。見分け方として、左右非対称、輪郭がギザギザして不明瞭、色むらがある、直径6mm超、大きさや色が変化してくる、といったサインが知られています。足の裏のほくろでこうした変化が見られる場合は注意が必要です。

疑わしい病変には、まず皮膚に拡大鏡を当てて色素のパターンを観察する「ダーモスコピー」を行います。悪性が疑われれば、病変を切除して顕微鏡で調べる病理検査で確定診断とします。診断後は、リンパ節転移を調べるセンチネルリンパ節生検や、全身を調べるCT・PET-CT・脳MRI検査で広がりを評価します。

ステージ(病期)の確定

ステージは、がんの厚さや潰瘍の有無(T)、リンパ節転移(N)、遠隔転移(M)を組み合わせて0期~Ⅳ期に分類されます。がんの厚さは予後と直結し、薄いうちに見つかるほど治癒が望めます。

悪性黒色腫(メラノーマ)の一般的な治療法

早期でがんが皮膚にとどまっていれば、手術による切除が治療の中心です。周囲を含めて十分な範囲を切除し、必要に応じてリンパ節郭清を行います。早期であれば切除で治癒が望めます。

問題は、進行して転移をきたした場合です。

かつて悪性黒色腫は抗がん剤が効きにくい難治がんの代表でしたが、近年2種類の薬が治療を大きく変えました。免疫の力でがんを攻撃する「免疫チェックポイント阻害薬(ニボルマブ、ペムブロリズマブ、イピリムマブ)」と、BRAF変異がある場合に使える「分子標的薬(BRAF阻害薬+MEK阻害薬)」です。現在の進行期治療は、この二本柱で組み立てられます。

悪性黒色腫(メラノーマ)における保険診療の限界

治療は進歩したものの、日本人の悪性黒色腫には保険診療で越えにくい壁があります。

日本人では免疫療法が効きにくいタイプが多い

最大の課題は免疫療法が使いにくい点です。

免疫チェックポイント阻害薬の効果はタイプによって大きく異なります。免疫チェックポイント阻害薬であるニボルマブを投与した場合、日本人患者様の5年生存率は、表在拡大型66.7%に対し、末端黒子型14.3%、粘膜型16.7%にとどまりました。つまり、日本人の主流を占める末端黒子型タイプでは、免疫療法の恩恵が届きにくいのです。

BRAF阻害薬が使える患者様が少ない

BRAF阻害薬は、BRAF変異がある患者様にしか効きません。

前述のとおり日本人のBRAF変異率は約30%と低く、投与可能な患者様は一部にとどまります。欧米では半数が使えるこの薬を、日本人の多くは選択肢にできません。

免疫療法を受けられない・続けられない場合がある

免疫療法やBRAF阻害剤が適応できても、全員が受けられるわけではありません。

自己免疫疾患のある方、全身状態が低下した方、高齢の方では使いにくく、始めても重い免疫関連の副作用で中止せざるを得ないことや、効果が出ず増悪してしまうこともあります。

手術後の高い再発率

早期に切除できても、悪性黒色腫は再発しうる疾患です。特にリンパ節転移があるステージⅢでは、手術単独の場合、5年で約40~90%が再発すると報告されています。

再発予防に術後補助療法(免疫療法やBRAF阻害薬)が行われますが、それでも3年で約半数が再発するため再発を防ぎきれないのが実情です。再発・転移をきたした際、日本人に多いタイプでは、前述のとおり保険診療で選べる有効な手立てが限られてしまいます。

化学療法に伴う「きつい」副作用

免疫療法や分子標的薬が効かなくなると従来の抗がん剤が使われることがあり、吐き気、強い倦怠感、食欲不振、脱毛、骨髄抑制による感染症リスクなどが起こりえます。身体的・精神的な負担から治療の継続が難しくなり、生活の質(QOL)が損なわれるリスクがあります。

悪性黒色腫(メラノーマ)で重要な治療の考え方

日本人の悪性黒色腫は、免疫療法が効きにくいタイプが多く、BRAF阻害薬が使える患者様も少なく、再発のリスクも残るという固有の課題を抱えています。がん中央クリニックグループでは、こうした課題に対して、標準治療とは作用の仕方が異なる治療を選択肢としてご提案しています。

分子レベルの異常にアプローチする「核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)」

がんの発生や進行に関わる分子レベルの異常へ直接働きかける「核酸医薬」は、世界的に研究と臨床応用が進んでいます。

当グループでは治療選択肢として、「アプタマー」「miRNA mimic」「RNA干渉(siRNA)」といった核酸医薬を組み合わせた治療を提供しております。がんは、ひとつの遺伝子異常だけで進むわけではありません。増殖を促す遺伝子、細胞死を妨げる遺伝子、転移や免疫逃避を助ける遺伝子など、複数の異常が絡み合って進行します。核酸医薬は、それぞれの異常に対応する分子を設計し、多角的に攻められる点に特徴があります。

アプタマー核酸医薬は、がん細胞に特有の異常なタンパク質にピンポイントで結合し、その働きをブロックすることで、がんの増殖抑制や死滅を狙う治療薬です。悪性黒色腫では、浸潤や転移に関わるHeparanase、増殖を支えるNucleolin、がん細胞の表面に現れるMUC1、免疫の攻撃を妨げるPD-L1などを標的とします。

miRNA mimic核酸医薬は、がん化によって失われた「体が本来持っているがんを抑制する力」を補い、がんの成長を止め、自然な細胞死(アポトーシス)を促す治療薬です。がんを抑える働きを持つ分子を、外部から補充します。

ここで、先に触れたp53が関わってきます。例えば、当グループで使用できるmiR-34aは、本来p53によって制御される、その下流のブレーキ分子で、p53が働かなくなると失われます。これを外部から補うことで、壊れたブレーキの代わりを果たします。

RNA干渉(siRNA)核酸医薬は、がんの増殖や生存を支える遺伝子の設計図(mRNA)を分解して、その遺伝子がタンパク質を作れないようにする治療薬です。

当グループでは各々の患者様の状態にあわせて、様々な種類のRNA干渉核酸医薬を適切に組み合わせて治療できます。

このように、当グループの核酸医薬は、アプタマー・miRNA mimic・siRNAという3つの異なる仕組みを組み合わせ、増殖・生存・転移といった複数の経路を同時に攻めることを狙います。がん中央クリニックグループでは、がん種ごとに標的となる分子を指定して核酸医薬を設計し、患者様一人ひとりの状態に合わせた治療をご提案しています。

光でがんを狙い撃つ「がん光免疫療法」

がん光免疫療法は、光に反応する薬(光感受性物質)を点滴で投与し、そこに特定の波長のレーザー光を当ててがん細胞を破壊する治療です。光線力学的療法(PDT)の一種で、日本でも一部のがんでは1990年代から保険診療として用いられてきました。

仕組みは大きく2つあります。ひとつは「狙い撃ち」です。光感受性物質はがん細胞に集まる性質があり、そこへレーザーを当てると薬が反応してがん細胞を内側から傷つけます。使うレーザーは手をかざしても熱くない弱い光で、重要なのは熱ではなく薬を反応させる「波長」です。

もうひとつは「免疫の活性化」です。壊れたがん細胞から出る目印を免疫細胞が取り込むことで、離れた場所にある転移巣への攻撃力も高まると期待されます。

悪性黒色腫は皮膚やその近くにできるがんであり、体の外からレーザー光を届けやすい位置にあります。皮膚にとどまる病変や、皮下・リンパ節など経皮的にアプローチできる病変では、光を照射して治療できる可能性があります。

がんの位置や広がりを踏まえて、適応となるかを個別に判断します。体への負担が少なく、年齢やステージを問わず日帰りの通院で受けられること、正常な組織への影響が少なく治療後の副作用が少ないことも特徴です。

免疫の「盾」を外す「ハイブリッド免疫療法」

ハイブリッド免疫療法は、がん細胞が免疫の攻撃から逃れるために使う「盾」、すなわち免疫ブロックタンパク質「PD-L1」を標的とする治療です。

悪性黒色腫の標準治療では、すでに免疫チェックポイント阻害薬が中心的に使われています。そのため、この治療が意味を持つのは、標準の免疫療法の恩恵を受けられない患者様です。前述のとおり、日本人に多い末端黒子型では免疫療法が効きにくく、また副作用や全身状態のために受けられない方、中止せざるを得なかった方、効果が出ず増悪してしまった方もいます。こうした患者様でも、当グループのハイブリッド免疫療法を受けていただけます。

ハイブリッド免疫療法は、PD-L1を内側と外側の両方から無力化します。まず、がん細胞の表面に出ているPD-L1に結合し、免疫の攻撃を妨げる「盾」を取り払います。さらに、がん細胞の中に入り込んで、これから作られるPD-L1の設計図(mRNA)を分解し、新たな「盾」が生まれるのを防ぎます。攻撃を逃れる術を失ったがん細胞を、患者様ご自身の免疫細胞が敵として認識し、攻撃できるようになるという仕組みです。

当グループの診療・治療をおすすめする患者様

当グループで実施可能な治療法は、ほとんどの患者様にご検討いただけます。以下では、どのような患者様に効果が期待できるのかを解説します。ご自身の状況に照らし合わせてご検討ください。

治療方法がない、標準治療では治療困難な患者様へ

悪性黒色腫では、日本人に多いタイプで免疫療法が効きにくいこと、BRAF阻害薬が使える患者様が限られること、免疫療法を受けられない事情があることなどから、保険診療の選択肢が行き詰まることがあります。特に、標準的な治療を使い切って次の手立てが見つからない患者様は少なくありません。

そうした場合でも、核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)、がん光免疫療法、ハイブリッド免疫療法なら、標準治療とは異なるアプローチで治療を提供できます。これらは目立った副作用が起こりにくく体への負担が少ないため、「体力がないため抗がん剤はできません」などと説明された方にも、1つの治療の選択肢となり得ます。また、まだ体力があるのに選択肢がなくなり、緩和治療を勧められている方にとっても、新たな選択肢として検討いただけます。

なお、がん光免疫療法はレーザー光を届けられる位置にがんがあるか、ハイブリッド免疫療法は標準の免疫療法を受けられているかどうかで適応が変わります。ご自身の状況を踏まえて、個別に判断いたします。

保険診療(標準治療)との併用で相乗効果が期待

核酸医薬、がん光免疫療法、ハイブリッド免疫療法は、標準治療と併用でき、相乗効果が期待できます。標準治療がすでに存在するタンパク質やシグナルに作用するのに対し、核酸医薬はそれらが作られる前の遺伝子レベルに作用します。がん光免疫療法は光でがん細胞を局所的に破壊しつつ免疫の活性化も促し、ハイブリッド免疫療法は標準の免疫療法とは異なる仕組みでPD-L1を叩きます。それぞれ攻撃するポイントや仕組みが異なるため、標準治療と組み合わせることでより高い効果が期待できると考えています。

このように、悪性黒色腫の完治を目指すには、複数の治療法を組み合わせることが重要と考えています。標準治療を受けている患者様にとっても、これらの併用は選択肢のひとつとして検討可能です。

再発を抑制・防止するために手術前後の患者様

早期に切除できても、悪性黒色腫は再発しうる疾患です。特にがんが分厚い場合やリンパ節転移がある場合、術後補助療法を行っても再発する患者様は残ります。また、免疫療法やBRAF阻害薬には副作用や適応の制約があり、すべての方が術後補助療法を受けられるわけではありません。

こうした背景から、手術前後に核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)、がん光免疫療法、ハイブリッド免疫療法を併用することは、再発リスクを下げるひとつの選択肢として検討いただけます。

副作用が不安な患者様

核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)、がん光免疫療法、ハイブリッド免疫療法は、目立った副作用が起こりにくい治療です。化学療法で起きやすい嘔気、食欲不振、倦怠感、脱毛、貧血、命に関わる副作用などはほとんど起こりません。免疫チェックポイント阻害薬で問題となる重い免疫関連の副作用も起こりにくい治療です。核酸医薬の副作用としては一時的な微熱、頭痛、アレルギー反応(0.3%以下)などが、がん光免疫療法では治療後しばらく直射日光を避ける必要がある光線過敏や照射部位の反応が、ハイブリッド免疫療法では治療部位の反応などが見られることがあります。

いずれも自然と改善する副作用が大半で、治療の継続に支障をきたすことはありません。「体力面や仕事面で副作用の不安がある」「標準治療を続けながら副作用をできるかぎり抑えたい」という方にも受けていただける治療です。

悪性黒色腫(メラノーマ)の完治を目指して、保険診療と患者様に合った治療を組み合わせる

悪性黒色腫は、日本人に多いタイプでは免疫療法が効きにくく、BRAF阻害薬も使いにくいという壁が立ちはだかる疾患です。しかし、早期に発見し、適切に治療を行えば完治を目指せる疾患でもあります。

発症要因にBRAFやp53といった遺伝子異常があるため、保険診療と核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)、がん光免疫療法、ハイブリッド免疫療法などを組み合わせる集学的治療が有効な選択肢となります。保険診療だけではカバーしきれない場合でも、これらの治療によって腫瘍縮小効果や再発抑制効果が期待できます。

がん中央クリニックグループでは、こうした「アプタマー核酸医薬」や「miR-34a mimic 核酸医薬」をはじめ、患者様1人ひとりに合ったがん治療をご提案いたします。悪性黒色腫(メラノーマ)の患者様は、どのような状況の場合でも是非お気軽にご相談ください。

肝内胆管がんは、肝臓の中を走る胆管の細胞から発生するがんで、原発性肝がんの10~20%を占めます。肝細胞がんとは性質も治療法も異なる疾患です。初期にはほとんど症状が出ませんが、進行すると腹痛、体重減少、食欲不振、倦怠感、発熱などが現れ、胆管が詰まると黄疸が出ることもあります。手術で取りきれても再発率が50~60%と高く、難治性のがんとして知られています。

本ページでは、肝内胆管がんの特徴や原因、症状、診断(画像検査・病理検査)、そして治療の選択肢についてわかりやすく解説します。治療を検討されている方やご家族が、いまの状況に合う選択肢を整理し、納得のいく方針を考えるための一助となれば幸いです。

  • 原発性肝がんの10~20%を占め、肝細胞がんとは別の疾患
  • 早期には症状が出にくく、発見が遅れやすい
  • 手術後の再発率が50~60%と高い難治性のがん

肝内胆管がんとは

肝臓にできるがんは、大きく2つに分けられます。

肝臓の細胞そのものから生じる「肝細胞がん」と、肝臓の中を走る胆管から生じる「肝内胆管がん」です。同じ「原発性の肝臓のがん」でありながら、この2つは性質も治療法も異なります。

胆管は、肝臓で作られた胆汁を十二指腸へ送り届ける管です。この胆管の細胞ががん化したものが胆管がんです。そのうち肝臓の内部にある胆管から発生したものを、肝内胆管がんと呼びます。

肝内胆管がんは、原発性肝がんのなかで肝細胞がんに次いで多く、原発性肝がんの10~20%を占めると報告されています。また、世界的に増加傾向にあることも知られています。

このがんの大きな特徴は、難治性であることです。早期には症状が出にくく発見が遅れがちなうえ、手術で取りきれても再発しやすい性質を持ちます。肝内胆管がんは、手術後の再発率が50~60%と高く、5年生存率は約30%にとどまると報告されており、数ある固形がんの中でも、治療の難しいがんと考えられています。

肝内胆管がんの原因

肝内胆管がんは、胆管の細胞に遺伝子の異常が積み重なって発生します。

代表的な遺伝子変異は、増殖のアクセルを踏み込む「KRAS」の変異、細胞の性質を制御する「IDH1」の変異、増殖の信号を送る「FGFR2」の異常などです。

そして、その中で重要な役割を果たす遺伝子の1つが、がん細胞の暴走を食い止める「ブレーキ役」であるがん抑制遺伝子「p53(TP53)」です。p53はDNAに傷がついた細胞を修復させ、修復できないものは自然死(アポトーシス)へと導きます。p53が壊れると、傷ついた細胞が排除されずに生き残ってしまいます。

肝内胆管がんでは、このp53変異が高い割合で起こります。TP53変異は特にアジア人では38%と、非アジア人(6%)より高頻度であることが報告されています。さらに、KRASとTP53の両方に変異を持つ患者様は、そうでない患者様に比べてがんがかなり増悪しやすいと報告されています。両方とも変異がない患者様は平均で18ヶ月増悪しないのに対して、両方とも変異がある患者様は1.4ヶ月で増悪してしまうと言われています。

つまりがんのアクセルが踏み込まれているだけでなく、ブレーキまで故障してしまう場合があり、それが治療の難しさに繋がっています。

肝内胆管がんの診断

「(無)症状」から「確定診断」まで

肝内胆管がんは、初期にはほとんど症状が出ません。進行してくると、腹痛、体重減少、食欲不振、倦怠感、発熱などが現れます。胆管が詰まると、皮膚や白目が黄色くなる黄疸、皮膚のかゆみ、白っぽい便などのサインが出ることもあります。ただ、これらの症状が出た時点では、すでに進行していることが少なくありません。

異常が疑われた場合、まず腹部超音波検査やCT検査、MRI検査といった画像検査で腫瘍の位置や広がりを調べます。血液検査では、腫瘍マーカーであるCA19-9やCEAの値も参考にされます。確定診断のためには、針を刺してがん組織の一部を採取する生検を行い、顕微鏡で調べる病理検査でがんの種類を確認します。

肝細胞がんとの見分けが重要になる点も、このがんの診断の特徴です。2つのがんで治療方針がまったく異なるため、画像所見と病理所見を組み合わせて慎重に診断します。

ステージ(病期)の確定

肝内胆管がんのステージは、腫瘍の大きさや数、血管への広がり(T)、リンパ節転移(N)、他の臓器への遠隔転移(M)を組み合わせて、Ⅰ期~Ⅳ期に分類されます。診断時にすでに進行した状態で見つかることも多く、病期が予後を大きく左右します。

肝内胆管がんの一般的な治療法

肝内胆管がんの治療法は、がんを取りきれるかどうかで大きく変わります。

がんが肝臓の一部にとどまり、切除可能と判断された場合は、手術(肝切除)が唯一の根治を目指せる治療です。手術ではがんのある部分を含めて肝臓を切除します。ただし、肝内胆管がんは診断時にすでに進行していることが多く、手術ができるのは全体の一部にとどまります。

手術ができない場合や、再発・転移をきたした場合は、薬物療法が治療の中心になります。

長らくゲムシタビンとシスプラチンという2種類の抗がん剤の組み合わせが標準でしたが、近年はこれに免疫チェックポイント阻害薬であるデュルバルマブを加える治療が標準となりました。また、FGFR2やIDH1といった特定の遺伝子異常を持つ場合には、それを狙う分子標的薬が使えることもあります。放射線療法が、症状の緩和や局所のコントロールを目的として用いられることもあります。

肝内胆管がんにおける保険診療の限界

肝内胆管がんは、治療の選択肢が広がってきたとはいえ、保険診療にはいくつもの壁があります。

手術ができる患者様が限られる

最大の問題は、根治を目指せる手術の対象となる患者様が限られていることです。前述のとおり、早期には症状が出にくいため、診断された時点ですでに進行しており、手術ができないことも少なくありません。

手術後の高い再発率

手術で切除できたとしても、肝内胆管がんは再発しやすい疾患です。根治切除を行っても、再発率は50~60%程度あると報告されています。手術という最大の手立てを尽くしてもなお、半分以上の患者様は再発のリスクが残るということです。

薬物療法の効果が限定的

手術ができない場合の薬物療法も、その効果は十分とはいえません。免疫チェックポイント阻害薬を加えた現在の標準治療をもってしても、進行例では効果が長続きしないことが多いのが実情です。

実際、免疫療法を含む標準治療を受けた進行例でも、無増悪生存期間の中央値は7.8か月にとどまるという報告があります。さらに、TP53変異を持つ患者様では、この免疫療法を含む治療が効果を発揮しにくいことも分かってきています。

化学療法に伴う「きつい」副作用

抗がん剤では、吐き気、強い倦怠感、食欲不振、脱毛、骨髄抑制による感染症リスクなどが起こりえます。肝臓の機能が低下している患者様では、使える薬の量や種類が制限されることもあります。長期にわたる治療のなかで、身体的・精神的な負担から治療の継続が難しくなり、生活の質(QOL)が損なわれるリスクがあります。

肝内胆管がんで重要な新しい治療の考え方

ここまで述べたように、肝内胆管がんは手術ができる患者様が限られ、再発しやすく、薬物療法の効果も限定的という、数々の課題を抱えています。がん中央クリニックグループでは、こうした課題に対して、標準治療とは作用の仕方が異なる治療を選択肢としてご提案しています。

分子レベルの異常にアプローチする「核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)」

がんの発生や進行に関わる分子レベルの異常へ直接働きかける「核酸医薬」は、世界的に研究と臨床応用が進んでいます。当グループでは治療選択肢として、「アプタマー」「miR-34a mimic」といった核酸医薬を取り入れた治療を提供しております。

「アプタマー核酸医薬」は、がん細胞に特有の異常なタンパク質にピンポイントで結合し、その働きをブロックすることで、がんの増殖抑制や死滅を狙う治療薬です。一方で「miR-34a mimic核酸医薬」は、がん化によって失われてしまった「体が本来持っているがんを抑制する力」を補い、がんの成長を止め、自然な細胞死(アポトーシス)を促す治療薬です。

肝内胆管がんでは、p53の変異がアジア人で38%と特に多いです。miR-34a mimicは、miR-34aと同じ働きをする分子を外部から補充することで、p53というブレーキが壊れた細胞に対しても、その先の経路から直接ブレーキをかけ直すことを狙います。故障したブレーキの側から攻めるという発想です。

がん中央クリニックグループでは、がん種ごとに標的となる遺伝子を指定して核酸医薬を設計し、患者様一人ひとりの状態に合わせた治療をご提案しています。複数の核酸医薬を組み合わせて使い分けられる点も、特徴のひとつです。

免疫の「盾」を外す「ハイブリッド免疫療法」

ハイブリッド免疫療法は、がん細胞が免疫の攻撃から逃れるために使う「盾」、すなわち免疫ブロックタンパク質「PD-L1」を標的とする治療です。

肝内胆管がんの治療では、標準治療にて免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-L1抗体)が使われています。しかし副作用の問題や患者様の体の状態などにより使用されない場合があります。

当グループのハイブリッド免疫療法は、このPD-L1を内側と外側の両方から無力化する、標準の抗PD-L1抗体とは異なるアプローチをとります。

まず、がん細胞の表面に出ているPD-L1に結合し、免疫の攻撃を妨げる「盾」を取り払います。さらに、がん細胞の中に入り込んで、これから作られるPD-L1の設計図(mRNA)を分解し、新たな「盾」が生まれるのを防ぎます。表面の盾を外すだけでなく、盾そのものがつくられるのを元から抑えることで、攻撃を逃れる術を失ったがん細胞を、患者様ご自身の免疫細胞が敵として認識し、攻撃できるようになるという仕組みです。

光でがんを狙い撃つ「がん光免疫療法」

がん光免疫療法は、光に反応する薬(光感受性物質)を点滴で投与し、そこに特定の波長のレーザー光を当ててがん細胞を破壊する治療です。光線力学的療法(PDT)の一種で、日本でも一部のがんでは1990年代から保険診療として用いられてきました。

仕組みは大きく2つあります。ひとつは「狙い撃ち」です。光感受性物質はがん細胞に集まる性質があり、そこへレーザーを当てると薬が反応してがん細胞を内側から傷つけます。使うレーザーは手をかざしても熱くない弱い光で、重要なのは熱ではなく薬を反応させる「波長」です。薬が集まっていない正常細胞は、光が当たっても反応しません。

もうひとつは「免疫の活性化」です。壊れたがん細胞から出る目印を免疫細胞が取り込むことで、離れた場所にある転移巣への攻撃力も高まると期待されます。

肝内胆管がんでこの治療を検討する際に重要なのが、がんのできた場所です。レーザー光を病巣に届ける必要があるため、光を照射できる位置にあるがんが対象になります。

肝内胆管がんは発生部位に幅があり、体表から光を届けられる場合には、選択肢となり得ます。がんの位置や広がりを踏まえて、適応となるかを個別に判断します。

当グループの診療・治療をおすすめする患者様

当グループで実施可能な治療法は、ほとんどの患者様にご検討いただけます。以下では、どのような患者様に効果が期待できるのかを解説します。ご自身の状況に照らし合わせてご検討ください。

治療方法がない、標準治療では治療困難な患者様へ

肝内胆管がんでは、手術ができない、薬物療法の効果が乏しいなどの理由から、保険診療の選択肢が行き詰まることがあります。特に、標準的な治療を使い切って次の手立てが見つからない患者様は少なくありません。

そうした場合でも、核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)、ハイブリッド免疫療法、がん光免疫療法は、標準治療とは異なるアプローチで治療を提供できます。これらは目立った副作用が起こりにくく体への負担が少ないため、「体力がないため抗がん剤はできません」などと説明された方にも、1つの治療の選択肢となり得ます。

また、まだ体力があるのに選択肢がなくなり、緩和治療を勧められている方にとっても、新たな選択肢として検討いただけます。

なお、がん光免疫療法については、レーザー光を届けられる位置にがんがあるかどうかで適応が変わります。がんのできた場所や広がりを踏まえて、個別に判断いたします。

保険診療(標準治療)との併用で相乗効果が期待

核酸医薬、ハイブリッド免疫療法、がん光免疫療法は、化学療法や標準の免疫療法と併用でき、相乗効果が期待できます。

化学療法や分子標的薬がすでに存在するタンパク質やシグナルに作用するのに対し、核酸医薬はそれらが作られる前の遺伝子レベルに作用します。ハイブリッド免疫療法は、標準の抗PD-L1抗体とは異なる仕組みでPD-L1を攻撃します。がん光免疫療法は、光でがん細胞を局所的に破壊しつつ、免疫の活性化も促します。それぞれ攻撃するポイントや仕組みが異なるため、標準治療と組み合わせることでより高い効果が期待できると考えています。

このように、肝内胆管がんの完治を目指すには、複数の治療法を組み合わせることが重要と考えています。標準治療を受けている患者様にとっても、これらの併用は選択肢のひとつとして検討可能です。

再発を抑制・防止するために手術前後の患者様

前述のとおり、肝内胆管がんは手術で取りきれても半数以上が再発する疾患です。また抗がん剤には副作用があるため、肝機能に不安のある患者様や体力に不安のある高齢の患者様には、術後の抗がん剤治療が難しいこともあります。

こうした背景から、手術前後に核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)、ハイブリッド免疫療法、がん光免疫療法を併用することは、再発リスクを下げるひとつの選択肢として検討いただけます。

副作用が不安な患者様

核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)、ハイブリッド免疫療法、がん光免疫療法は、目立った副作用が起こりにくい治療です。化学療法で起きやすい嘔気、食欲不振、倦怠感、脱毛、貧血、命に関わる副作用などはほとんど起こりません。核酸医薬の副作用としては、一時的な微熱、頭痛、アレルギー反応(0.3%以下)などが挙げられます。ハイブリッド免疫療法では治療部位の反応などが、がん光免疫療法では治療後しばらく直射日光を避ける必要がある光線過敏や、照射部位の反応などが見られることがあります。

解熱鎮痛剤など薬物を使う場合もありますが、自然と改善する副作用が大半で、治療の継続に支障をきたすことはありません。「体力面や仕事面で副作用の不安がある」「標準治療を続けながら副作用をできるかぎり抑えたい」という方にも受けていただける治療です。

肝内胆管がんの完治を目指して、保険診療と患者様に合った治療を組み合わせる

肝内胆管がんは、手術ができる患者様が限られ、再発しやすいという壁が立ちはだかる難治性の疾患です。しかし、適切に治療を行えば完治を目指せる疾患でもあります。

発症要因にp53をはじめとする遺伝子異常があるため、保険診療と核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)、ハイブリッド免疫療法、がん光免疫療法などを組み合わせる集学的治療が有効な選択肢となります。保険診療だけではカバーしきれない場合でも、これらの治療によって腫瘍縮小効果や再発抑制効果が期待できます。

がん中央クリニックグループでは、こうした「アプタマー核酸医薬」「miR-34a mimic 核酸医薬」や「がん光免疫療法」をはじめ、患者様1人ひとりに合ったがん治療をご提案いたします。肝内胆管がんの患者様は、どのような状況の場合でも是非お気軽にご相談ください。

乳がんの中でも、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)は、ホルモン受容体やHER2を標的とする治療が使いにくく、治療の選択肢が限られやすいタイプです。標準治療を続けても再発や進行が心配な方、次の一手を探している方も少なくありません。

がん中央クリニックグループでは、こうしたトリプルネガティブ乳がんに対して、細胞の増殖に関わるNucleolin(ヌクレオリン)という分子に着目したアプタマー核酸医薬による治療に取り組んでいます。

本ページでは、トリプルネガティブ乳がんの特徴と、Nucleolinを標的とするアプタマー治療がどのような考え方に基づくのかを、できるだけわかりやすく解説します。治療を検討されている方やご家族が、いまの状況に合う選択肢を整理するための一助となれば幸いです。

  • トリプルネガティブ乳がんは、ホルモン受容体・HER2を標的とする治療が使いにくく、選択肢が限られやすいタイプです。
  • Nucleolin(ヌクレオリン)は増殖の速いがんや血管新生の盛んながんで多くみられ、がん細胞の表面にも現れることが報告されています。
  • 当グループでは、Nucleolinに加え、MUC1やHeparanaseを標的とするアプタマーとの組み合わせにも取り組んでいます。

トリプルネガティブ乳がんとは

乳がんには、ホルモン受容体(ER・PR)やHER2を標的とする治療があります。トリプルネガティブ乳がんは、ER陰性・PR陰性・HER2陰性という特徴を持ち、これらを標的とする分子標的薬やホルモン療法が使いにくいタイプです。

そのため治療は抗がん剤(化学療法)が中心になりやすく、再発しやすい、増殖の速い症例が多いといった課題が知られています。

関連記事:トリプルネガティブ乳がん(TNBC)について解説。初期症状や新しい治療法は?完治は可能なのか

Nucleolin(ヌクレオリン)とは

Nucleolinは、細胞の増殖やタンパク質の合成に関わる分子です。増殖の速いがん、浸潤性の高いがん、血管新生の盛んながんで多くみられることがあります。

本来は細胞の内側ではたらく分子ですが、一部のがんではがん細胞の表面にもNucleolinが現れることが報告されており、この点ががんを狙う手がかりのひとつとして研究されています。

Nucleolinを標的とする「アプタマー」とは

アプタマーとは、特定の分子だけを狙って結合するように設計された人工の核酸です。抗体医薬と似たはたらきを持ちますが、より小さく、設計の自由度が高いことが特徴です。

Nucleolinを標的とするアプタマーとしては、AS1411という物質が長く研究されてきました。当グループで用いるアプタマーは、AS1411の研究をふまえつつ、修飾塩基(人工的に安定性を高めた核酸)を用いることで、血中での残存時間を延ばす工夫を重ねたものです。

実際の治験で「著効例」が存在した

Nucleolinを標的とするアプタマーAS1411については、これまでにヒトを対象とした臨床試験が行われています。腎細胞がん(腎臓のがん)を対象とした第II相試験では、多くの患者様で効果は限定的でしたが、35名中1名で腫瘍の大きさ(標的病変の径の合計)が約84%縮小し、その後およそ24か月間、進行を認めなかった症例が報告されています。

これは単一の症例であり腎細胞がんですので、まだすべての患者様に同じ結果が得られるものではありませんが、条件が合えば強い抗腫瘍効果につながる可能性がある点は、Nucleolinという標的を考えるうえで注目される結果だと考えています。

また、AS1411ががん細胞に取り込まれた後にはたらく仕組みについても研究が進められており、がん細胞に特有の取り込み経路を過剰に刺激し、細胞死につながる仕組みが報告されています。一度腫瘍が小さくなっても、その後再び増大することは少なくありません。

そうしたなかで、アプタマー治療によって、長期間病勢が安定した可能性が示唆された点は非常に興味深い結果であり、「効く条件が揃えば、強い抗腫瘍効果を示す可能性を持つ治療」であると考えています。

参考:
・A phase II trial of AS1411 (a novel nucleolin-targeted DNA aptamer) in metastatic renal cell carcinoma|Investigational New Drugs
・Mechanistic studies of anticancer aptamer AS1411 reveal a novel role for nucleolin in regulating Rac1 activation|Molecular Oncology

なぜトリプルネガティブ乳がんに着目するのか

当グループがトリプルネガティブ乳がんでNucleolinに着目するのは、次のような特徴があるためです。

増殖の速さ

TNBCは増殖の速さを示すKi-67が高い症例が多く、増殖に関わるNucleolinとの関連が期待されます。

血管新生の盛んさ

Nucleolinは腫瘍の血管にも関わるとされ、血流の豊富な腫瘍との関連が研究されています。

浸潤性の高さ

Nucleolinは、がん細胞の移動や浸潤にも関わる可能性が報告されています。

MUC1・Heparanaseを標的とするアプタマーとの組み合わせ

当グループでは、Nucleolin単独だけでなく、MUC1やHeparanaseを標的とするアプタマーとの組み合わせにも取り組んでいます。それぞれ、がんに対して異なる役割を持つと考えられています。

  • Nucleolin:がんの増殖や血管新生に関わる
  • MUC1:がん細胞の生存に関わるシグナルに関わる
  • Heparanase:浸潤・転移や、腫瘍の周囲の環境づくりに関わる

複数の標的に同時に働きかけることで、がんの逃げ道を減らしながら、多方向から抑えることを目指す考え方です。抗がん剤や放射線治療との併用による相乗的な効果も、理論的には期待されています。

今後の課題

一方で、検討すべき課題も残されています。どのような患者様で効果が得られやすいのか、がん細胞表面のNucleolinの量とどう関係するのか、他の治療との最適な組み合わせはどうか、単独でどこまでの腫瘍縮小が得られるのか。こうした点は、今後さらに検討していく必要があります。

しかし、「効く患者様では劇的に効く可能性」が示唆されている点は非常に重要だと考えています。

まとめ:トリプルネガティブ乳がんの治療選択肢を検討するには

トリプルネガティブ乳がんは、いまも治療の選択肢が限られやすい難治性のがんです。そのなかで、NucleolinやMUC1、Heparanaseを標的とするアプタマー治療は、標準治療とは異なる角度からがんに働きかける選択肢のひとつと考えています。

どの患者様に、どの組み合わせが適しているかは、病状やこれまでの治療経過によって異なります。がん中央クリニックグループでは、標準治療の状況もふまえたうえで、患者様お一人おひとりの病状に合わせた治療方針を検討し、ご提案しています。トリプルネガティブ乳がんの治療でお悩みの方は、一度ご相談ください。

本ページで紹介するアプタマー核酸医薬による治療は、公的医療保険が適用されない自由診療であり、国内で医薬品としての承認を受けていない未承認の治療を含みます。治療内容・費用・想定される副作用やリスクについては、診察時に十分にご説明します。効果には個人差があり、すべての方に同様の結果を保証するものではありません。

近年、がん治療や腫瘍の画像診断の分野では、ICG、IR783、IR780といった近赤外線の色素(近赤外線色素)が注目されています。

先日、当グループに「IR780よりIR783のほうが数字が大きいので、より新しく強い治療だと思ってIR783を選びました」とおっしゃる患者様がいらっしゃいました。

しかし、これらの数字は”強さ”を表すものではなく、それぞれ異なる特徴と目的を持った色素です。

本ページでは、ICG・IR783・IR780の違いと、それぞれの特徴について、できるだけわかりやすくご説明します。あわせて、当グループが取り組んでいるHEMIN含有IR780を用いた治療についてもご紹介します。

  • ICG・IR783・IR780は、数字の大小が”強さ”を表すものではなく、それぞれ目的の異なる色素です。
  • 大きな違いは「活性酸素を産生する力」と「がん細胞のどこに集まるか」にあります。
  • 当グループではIR780にHEMIN(ヘミン)を含有させ、低酸素環境にも対応する治療アプローチに取り組んでいます。

ICG・IR783・IR780とは

ICG(インドシアニングリーン)

ICGは、古くから医療で使われてきた近赤外線色素です。肝機能検査や血流の評価、手術中の蛍光ナビゲーションなどに広く使われており、安全性や臨床での使用実績が豊富であることが大きな特徴です。一方で、体内では比較的早く分解・排泄され、主に肝臓に集まりやすい傾向があります。がん細胞への選択性やミトコンドリアへの集まりやすさは、限定的とされています。

IR783

IR783は、ICGよりも腫瘍に集まりやすいとされる近赤外線色素で、主に腫瘍の画像化(イメージング)の分野で研究されています。一部のがん細胞で多くみられる有機アニオントランスポーター(OATP)を介して取り込まれることが報告されており、正常な組織よりもがんに集まりやすいことが期待されています。比較的扱いやすい色素ですが、光を当てたときの活性酸素の産生や発熱の働きは、IR780ほど強くないと考えられています。

IR780

IR780は、IR783と同じ系統の近赤外線色素ですが、より脂に溶けやすく(疎水性が高く)、細胞膜やミトコンドリアに集まりやすいことが特徴です。そのため光を当てたときに強い活性酸素の産生や発熱を起こしやすく、光線力学療法(PDT)や光温熱療法(PTT)、さらに超音波を組み合わせる音響力学療法(SDT)との相性が期待されています。特にミトコンドリアを標的とすることで、がん細胞への障害をより強く引き起こし、死滅につなげられる可能性が研究されています。

3つの色素の大きな違い

似ているように見える3つの色素ですが、大きな違いとして「活性酸素を産生する力」と「がん細胞のどこに集まるか」があります。

ICGは、IR780やIR783と比べて活性酸素を産生する力が低いとする報告があり、条件によっては大きな差がみられたという研究もあります。IR780とIR783はいずれもICGより高い活性酸素の産生が期待されますが、集まる場所の違いによって効果に差が出る可能性があると考えられています。

特にIR780は、細胞のエネルギーを作るミトコンドリアに集まりやすいことが報告されており、その結果として、より強い細胞への障害につながる可能性が期待されています。

このように、ICG・IR783・IR780は「数字が大きいほど優れている」という関係ではなく、それぞれ目的や特徴が異なります。ICGは安全性と実績、IR783は腫瘍への集まりやすさと画像化の性能、IR780は治療効果とミトコンドリアを標的とする性質に、それぞれ特徴があると考えられています。

HEMIN含有IR780による新しいアプローチ

当グループでは、IR780にHEMIN(ヘミン)を含有させることで、より強いROS(活性酸素)の産生や、酸素の少ない環境(低酸素環境)への対応を目指した、多機能な治療アプローチに取り組んでいます。

HEMINには、酸素の少ない腫瘍の環境をやわらげ、活性酸素の産生を後押しする働きが報告されています。これにより、光線力学療法(PDT)の効果を高めることや、がん細胞の死滅につながる複数の仕組みを組み合わせることが期待されています。

また当グループでは、超音波を用いる音響力学療法(SDT)にもこの考え方を応用しています。超音波は光よりも体の深い部分まで届きやすいため、光が届きにくい体の深い部分のがんに対する選択肢としても、取り組みが進められています。

まとめ:数字ではなく、集まる場所と目的で選ぶ

ICG・IR783・IR780は「数字が大きいほど優れている」という関係ではなく、それぞれ異なる特徴を持つ近赤外線色素です。ICGは安全性と実績、IR783は腫瘍への集まりやすさと画像化の性能、IR780は治療効果とミトコンドリアを標的とする性質に特徴があると考えられています。

さらに近年は、HEMINを含有させたIR780によって、光線力学療法(PDT)だけでなく音響力学療法(SDT)への応用も期待されており、これまでの光による治療では難しかった深部の腫瘍への取り組みも進められています。

ただし、すべてのがんに行えるわけではありません。脳腫瘍のように薬剤が届きにくいがん種や、骨転移の部分のように薬剤が届きにくい部位では、効果が限定的になる可能性があります。腫瘍の種類・部位・深さによって適した方法は異なるため、標準治療との組み合わせや局所治療の限界もふまえて、慎重に検討していく必要があります。

がん中央クリニックグループでは、こうした治療が患者様の病状に合うかどうかを、標準治療の状況もふまえて検討し、適した選択肢をご提案します。ご関心のある方は一度ご相談ください。

本ページで紹介するHEMIN含有IR780を用いた治療は、公的医療保険が適用されない自由診療であり、国内で医薬品としての承認を受けていない未承認の治療を含みます。治療内容・費用・想定される副作用やリスクについては、診察時に十分にご説明します。効果には個人差があり、すべての方に同様の結果を保証するものではありません。

スキルス胃がんは、がん細胞が胃の粘膜表面にかたまりをつくらず、胃壁の内部にしみ込むようにして広がっていくタイプの胃がんです。医学的には「びまん性浸潤型胃がん」「4型胃がん」と呼ばれ、胃がん全体の約10〜20%を占めます。

進行が速いうえ、内視鏡検査でも見つけにくいため、発見時にはすでに進行しているケースが目立ちます。初期には自覚症状がほとんどなく、胃もたれ、食欲不振、少し食べただけで満腹になる、体重減少などをきっかけに見つかることがあります。

本ページでは、スキルス胃がんの特徴や原因、症状、診断(内視鏡検査・審査腹腔鏡)、そして治療の選択肢についてわかりやすく解説します。治療を検討されている方やご家族が、いまの状況に合う選択肢を整理し、納得のいく方針を考えるための一助となれば幸いです。

  • 胃壁の内部にしみ込むように広がるタイプで、胃がん全体の約10〜20%を占める
  • 内視鏡でも見つけにくく、発見時にはすでに進行しているケースが多い
  • 腹膜播種を起こしやすく、抗HER2薬などの分子標的薬が使いにくい

スキルス胃がんとは

胃がんは、がん細胞の特徴によっていくつかのタイプに分けられます。

なかでも治療が難しいとされているのが「スキルス胃がん」です。

スキルス胃がんは、がん細胞が胃の粘膜表面にかたまり(腫瘍)をつくらず、胃壁の内部にしみ込むようにして広がっていくタイプの胃がんです。医学的には「びまん性浸潤型胃がん」あるいは「4型胃がん(ボールマン4型)」と呼びます。がん細胞が胃壁の中を這うように浸潤していくため、胃全体が硬く厚くなっていきます。

胃がん全体のうち、スキルス胃がんが占める割合はおよそ10〜20%です。組織型でみると、低分化腺がんや印環細胞がんと呼ばれる未分化型が大半を占めます。

他の胃がんと比べたときの特徴は、次のとおりです。

進行が速い 
増殖するスピードが速く、短期間のうちに病期が進んでいきます。

発見が遅れやすい
内視鏡検査でも見つけにくく、発見時にはすでに進行しているケースが目立ちます。

腹膜播種を起こしやすい
がん細胞が胃壁を突き破り、お腹の中に散らばる腹膜播種が高頻度で発生します。

若年・女性に比較的多い

以上のように、同じ「胃がん」という名前でも、通常の胃がんとは性質がかなり違う疾患です。

スキルス胃がんの原因

スキルス胃がんがなぜ起こるのか、その正確な原因は医学的にもまだ解明されていません。ただ、メカニズムについては少しずつ分かってきています。

一般的な胃がんでは、ピロリ菌の持続感染が最大の危険因子とされます。しかしスキルス胃がんは、ピロリ菌に感染したことのない若い患者様にも発症します。このことから、発生の経路そのものが異なる可能性が指摘されています。

分子のレベルでは、細胞同士を接着させる働きを持つ「E-カドヘリン(CDH1遺伝子)」の異常が深く関わっていると考えられています。細胞をつなぎとめる糊のような役割を担うタンパクが失われると、がん細胞がバラバラになって胃壁の中に浸み込み、腹腔内へも散らばりやすくなるのです。

一方、がん細胞の暴走を食い止める「ブレーキ役」を担っているのが、がん抑制遺伝子の「p53(TP53)」です。p53はDNAに傷がついたときにそれを修復させ、修復できない細胞は自然死(アポトーシス)へと導きます。この機能が失われると、傷ついた細胞が排除されないまま増え続け、がん化へとつながっていきます。

胃がんにおけるp53変異の頻度は報告によって幅がありますが、スキルス胃がんが含まれるびまん型では25〜40%の範囲で認められるとされています。特に進行期のびまん型胃がんでは約40%にのぼる一方、早期のびまん型では変異が稀です。このことから、p53の異常は病期の進行にともなって蓄積していく可能性が示唆されています。

もうひとつ注目したいのが「HER2」の発現頻度です。HER2は細胞の増殖シグナルを伝える受容体タンパクであり、胃がんにおいては抗HER2薬の重要な標的となります。ところがHER2陽性率は、胃がん全体で22.1%、腸型で31.8%であるのに対し、スキルス胃がんではわずか6.1%にとどまります。

スキルス胃がんはその多くがびまん型に分類されるため、抗HER2薬の適応となる患者さんは限られます。

スキルス胃がんの診断

「(無)症状」から「確定診断」まで

スキルス胃がんは、初期の段階では自覚症状がほとんどありません。がんは胃の表面に隆起や潰瘍をつくらないため、通常の胃がんなら手がかりになるはずの黒色便や貧血といったサインが出にくく、これが早期発見を難しくしています。

進行してくると、胃もたれ、食欲不振、少し食べただけで満腹になる、体重減少、腹水などによる腹部の張りといった症状が現れます。ただ、こうした症状は胃炎など良性の疾患でも起こるため、自己判断で受診が遅れてしまうケースが少なくありません。症状がなくても定期的に検診を受けること、気になる症状が続くようなら早めに受診することが大切です。

スキルス胃がんに特有の検査上の難しさ

受診すると、まず内視鏡検査(胃カメラ)や胃X線検査が行われます。

ここでスキルス胃がんならではの問題が出てきます。がん細胞が粘膜の表面ではなく深い層を広がっていくため、内視鏡で表面を観察しても明らかな腫瘍が見えないことがあるのです。通常の生検ではがん細胞を採取できず、偽陰性となる場合もあります。

そのため、胃X線検査、超音波内視鏡(胃壁の層構造を断層で評価)、EUS-FNA(深部の組織を採取)、CT検査などを組み合わせながら診断を進めていきます。

さらに重要な検査として、審査腹腔鏡があります。全身麻酔をかけてお腹に小さな穴を開け、カメラを入れて、CTでは捉えきれない小さな腹膜播種を直接確認します。あわせて腹腔内を洗浄した液を採取し、がん細胞の有無を調べる腹腔洗浄細胞診も行います。腹膜播種があるかどうかで治療方針が大きく変わるため、スキルス胃がんでは特に重要な検査です。

ステージ(病期)の確定

胃がんのステージは、胃壁のどの深さまでがんが達しているか(T)、リンパ節転移の有無と個数(N)、腹膜播種を含む遠隔転移の有無(M)を組み合わせて、Ⅰ期〜Ⅳ期に分類されます。スキルス胃がんは診断された時点ですでにステージⅢ〜Ⅳであることが多く、この点が予後を大きく左右します。

スキルス胃がんの一般的な治療法

スキルス胃がんの治療は「手術」と「薬物療法」を軸に組み立てていきます。放射線療法が根治目的で用いられる機会は限られており、症状の緩和を目的として選択されるのが一般的です。治療方針を決めるうえで最大の分岐点となるのは、腹膜播種があるかどうかです。

腹膜播種や遠隔転移がなく、切除可能と判断された場合は手術が中心となります。スキルス胃がんは胃全体に広がっていることが多いため、胃をすべて切除する全摘術を行うケースが多いです。手術後は再発予防のために補助化学療法を行う場合があり、病理学的ステージに応じてさまざまな抗がん剤を使用します。

腹膜播種や遠隔転移が確認された場合は、薬物療法が中心になります。抗がん剤のほか、HER2の状態やPD-L1発現、MSI検査などの結果をふまえて最適な薬物を選択します。

治療成績と生存率

韓国での進行胃がんの解析によると、スキルス胃がんの5年生存率は27.6%、それ以外の通常の胃がんは61.2%でした。ステージⅢbでは15.2%対38.5%、ステージⅣでは10.2%対20.1%と、いずれの病期においても通常の胃がんより予後が不良でした。

また、日本での検討でも、5年生存率は10.2%、ステージⅡ/Ⅲで根治手術を受けた患者様では24.3%と報告されています。

このようにスキルス胃がんは、通常の胃がんと比べて予後が悪いタイプのがんだと言えます。

スキルス胃がんにおける保険診療の限界

化学療法に伴う「きつい」副作用

抗がん剤では、吐き気、強い倦怠感、食欲不振、脱毛、手足のしびれ、骨髄抑制による感染症リスクなどが起こりえます。さらにスキルス胃がんの場合、胃全摘術を受けた患者様が少なくありません。胃を失えば食事量が減り、ダンピング症候群や貧血、体重減少が生じやすくなります。もともと栄養状態が低下しているところへ副作用が重なることで、治療の継続そのものが困難になるリスクがあるのです。

保険診療ではカバーしきれない再発・進行のリスク

根治切除と術後補助化学療法を行っても、腹膜再発を中心とした再発が高い頻度で生じます。スキルス胃がんでは、胃の根治切除後であっても5年生存率が18.1%にとどまるという報告もあります。

腹膜播種などに対して実施できる化学療法の限界

スキルス胃がんで手術を試みた患者様のうち、腹膜播種がある割合は48.2%にのぼると報告されています。また、それらの腹膜播種をすべて切除した場合の5年生存率は12%、切除不能例では0%でした。

腹膜播種が問題になるのは、抗がん剤が届きにくいからです。腹膜には血管が乏しく、点滴で投与した薬剤が播種巣まで十分な濃度で到達しにくいと考えられています。腹膜播種が増えれば腹水も溜まりやすくなり、腹部膨満、食欲低下、呼吸苦などが現れて、生活の質(QOL)が大きく損なわれてしまいます。

また、腹膜播種がなくてもスキルス胃がんに対して実施できる化学療法の種類は多くはなく、通常の場合は3~4種類程度使用すると、保険診療ではもう手立てがないと言われてしまいます。

関連記事:腹膜播種について解説。完治の可能性は?進行を止めるための治療はあるのか。

分子標的薬の選択肢の少なさ

びまん型胃がんにおけるHER2陽性率は6.1%にとどまるため、スキルス胃がんの患者様の多くは抗HER2薬の対象外となってしまいます。免疫チェックポイント阻害薬についても、びまん性の胃がんや腹膜播種例では効果がやや限定的であると指摘されています。

スキルス胃がんで重要な新しい治療の考え方

ここまで述べてきたとおり、スキルス胃がんは標準治療を行っても腹膜播種や再発のリスクが問題となるがんです。加えて、HER2陽性率が低いために分子標的薬の選択肢が限られるという特有の課題も抱えています。当グループでは、こうした課題に対して、標準治療とは作用の仕方が異なる治療を選択肢としてご提案しています。

分子レベルの異常にアプローチする「核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)」

近年、がんの発生や進行に関わる分子レベルの異常に直接アプローチする「核酸医薬」が世界的に注目を集め、研究・臨床応用が進んでいます。

当グループでは、がんの根本的な原因に直接作用することが期待される治療選択肢として、「アプタマー」「siRNAなどのRNA干渉技術」「miR-34a mimic」といった核酸医薬を取り入れた治療を提供しております。

「アプタマー核酸医薬」は、がん細胞に特有の異常なタンパク質にピンポイントで結合し、その働きをブロックすることで、がんの増殖抑制や死滅を狙う治療薬です。一方で「miR-34a mimic核酸医薬」は、がん化によって失われてしまった「体が本来持っているがんを抑制する力」を補い、がんの成長を止め、自然な細胞死(アポトーシス)を促す治療薬です。

スキルス胃がんを含む胃がんでTP53変異が高頻度に認められることは、先に述べたとおりです。miR-34a mimicは、miR-34aと同じ働きをする分子を外部から補充することで、p53というブレーキが壊れてしまった細胞に対しても、その先の経路から直接ブレーキをかけ直すことを狙う治療です。

がん中央クリニックグループでは、がん種ごとに標的となる遺伝子を指定して核酸医薬を設計し、患者様一人ひとりの状態に合わせた治療をご提案しています。複数の核酸医薬を組み合わせて使い分けられる点も、特徴のひとつです。

HER2を標的にする「分子標的ワクチン療法」

分子標的ワクチン療法は、がんの増殖・浸潤・転移に関わるタンパク質「HER2」を標的とした、当グループで施術可能な自由診療の治療法です。

スキルス胃がんにおいて、この治療は特に検討する価値があります。というのも、保険診療の抗HER2薬はHER2の発現が高い患者様にしか使えず、びまん型胃がんでHER2陽性となるのは6.1%程度にすぎないからです。しかし、HER2陽性と判定されないがん細胞にもHER2は一定量発現しているため、治療効果が見られることがあります。

この治療の目的は、筋肉注射によって患者様ご自身の体内でHER2に対する抗体をつくらせることです。

体内でHER2に対する抗体がつくられると、細胞周期や細胞分裂を促進するシグナルを送ることができなくなります。さらに、抗体がくっついたがん細胞を免疫細胞が攻撃するという効果も期待されます。

ただし、標準治療ですでに抗HER2薬を使用している場合には、効果が見込みづらい点に注意が必要です。

当グループの自由診療・治療をおすすめする患者様

当グループで実施可能な治療法は、ほとんどの患者様にご検討いただけます。以下では、どのような患者様に効果が期待できるのかを解説します。ご自身の状況に照らし合わせてご検討ください。

治療方法がない、標準治療では治療困難な患者様へ

スキルス胃がんでは、病状や体力、副作用などの理由から、保険診療の標準治療だけでは選択肢が限られてしまうことがあります。特に腹膜播種を伴う進行例、HER2陰性で分子標的薬が使えない患者様、二次・三次治療まで進んで次の手立てが見つからない患者様は少なくありません。

そうした場合でも、核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)と分子標的ワクチン療法なら、標準治療とは異なるアプローチで治療を提供することが可能です。

これらの治療法は目立った副作用が起こりにくく体への負担が少ないため、「胃全摘後で体力がないため抗がん剤はできません」などと説明された方にも、1つの治療の選択肢となり得ます。

さらに、まだ治療ができる体力があるにもかかわらず選択肢がなくなり、緩和を勧められている方にとっても、新たな治療の選択肢として検討いただけます。

保険診療(標準治療)との併用で相乗効果が期待

核酸医薬と分子標的ワクチン療法は、化学療法などの薬物療法と併用でき、相乗効果が期待できます。

なぜなら、化学療法がすでに増殖したがん細胞や産生されたたんぱく質に作用するのに対し、核酸医薬はがん細胞やたんぱく質がつくられる前の段階、すなわち遺伝子レベルに作用するからです。そして分子標的ワクチン療法は、患者様ご自身の免疫の力を使ってHER2を発現するがん細胞を攻撃する方法だからです。

このように当グループが提供する治療法は、標準治療とは攻撃するポイントが異なります。だからこそ、標準治療と組み合わせることでより高い効果が期待できるのです。

スキルス胃がんの完治を目指すには、複数の治療法を組み合わせることが重要と考えています。標準治療を受けている患者様にとっても、核酸医薬と分子標的ワクチン療法の併用は選択肢のひとつです。

再発を抑制、防止するため。手術前後のすべての患者様

スキルス胃がんは、根治手術を行っても腹膜再発を中心とした再発が生じやすい疾患です。また抗がん剤には副作用があるため、胃全摘後で栄養状態に不安のある患者様や、体力に不安のある高齢の患者様では、術後補助化学療法を完遂すること自体が難しい場合もあります。

こうした背景から、手術前後の患者様が核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)と分子標的ワクチン療法を併用することは、再発リスクを下げるひとつの選択肢として検討いただけます。

副作用が不安な患者様

核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)と分子標的ワクチン療法は、目立った副作用が起こりにくい治療です。特に、化学療法で起きやすい嘔気、食欲不振、倦怠感、脱毛、貧血、命に関わる副作用などはほとんど起こりません。核酸医薬の副作用としては、一時的な微熱、頭痛、アレルギー反応(0.3%以下)などが挙げられます。

分子標的ワクチン療法では、注射部位反応(赤み、腫れ、痛みなど)、疲労感、発熱が見られることがあります。解熱鎮痛剤など薬物を使う場合もありますが、自然と改善する副作用が大半であり、治療を継続するうえで支障をきたすことはありません。

「胃を全摘して食事が思うようにとれない」「体力面や仕事面で副作用の不安がある」「標準治療を続けながら副作用をできるかぎり抑えたい」

当グループの治療は、そのような方にも受けていただける治療となっております。

スキルス胃がんの完治を目指して、保険診療と患者様に合った自由診療を組み合わせる

スキルス胃がんは、胃がんのなかでも進行が速く、腹膜播種を起こしやすい難治性のがんです。しかし、適切に治療を行えば完治を目指せる疾患でもあります。

発症要因のひとつにp53をはじめとする遺伝子異常があることから、保険診療と核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)、分子標的ワクチン療法などを組み合わせる集学的治療が有効な選択肢となります。保険診療だけではカバーしきれない場合でも、これらの治療によって腫瘍縮小効果や再発抑制効果が期待できます。

がん中央クリニックグループでは、こうした「アプタマー核酸医薬」や「miR-34a mimic 核酸医薬」をはじめ、患者様1人ひとりに合ったがん治療をご提案いたします。スキルス胃がんの患者様は、どのような状況の場合でも是非お気軽にご相談ください。