- 手術で膵臓がんを切除したとしても、再発率は約80%
- 再発する可能性を少しでも低くすることが重要
- 適切な治療をすることで寛解が見込める
膵臓がん(すい臓がん)は「沈黙のがん」とも呼ばれ、症状が出にくいため見つかったときには進行していることが少なくありません。
ここでは、膵臓がんの特徴や初期症状、治療法、完治の可能性について、最新の情報を交えてお伝えします。
膵臓がんとは
膵臓がんとは消化酵素やホルモンを分泌する機能がある膵臓という臓器にできる悪性腫瘍(がん)のことです。膵臓がんは省略して膵がんとも呼ばれます。
膵臓がんの中でも様々なタイプがありますが、90%以上を占めるのが、「膵管がん(膵管腺がん)」です。本記事ではこの膵管がんについて解説します。
膵臓がんの症状
膵臓がんは、初期には症状が現れにくく、発見が遅れやすいがんとして有名です。また、血管を通じて肝臓など周囲の臓器や全身のリンパ節に転移しやすく、病院で発見時には手術ができないほど進行している場合も多いのも特徴です。
膵臓がんの主な症状としては、背中の痛み、腹痛、体重減少、黄疸(顔や皮膚が黄色くなる)、糖尿病の悪化、食事摂取量の低下などがあげられます。
膵臓がんはがん全体の中でも生存率が低いがんであり、発見されてから5年間生き続けられる確率(5年生存率)は、約12%と報告されています。そのため、可能な限り様々な治療を組み合わせることで治療効果をあげることが重要です。
膵臓がんの原因
膵臓がんが発生する原因として、「遺伝子変異」、「家族歴」、「喫煙、糖尿病、肥満、過度の飲酒、慢性膵炎などの生活習慣」などがあげられます。
遺伝子とは、細胞を作るための情報がつまった部分ですが、この遺伝子が異常になると遺伝子変異が起こり、膵臓がんを発症すると報告されています。
膵臓がんで頻度が高い遺伝子変異としては、「KRAS」「TP53」「SMAD4」などがあげられます。そのため、膵臓がんを治療するためには、これらの遺伝子変異に直接アプローチできる遺伝子治療がおすすめと言えるでしょう。
特に、「KRAS」や「TP53」、「p28」の変異率は膵臓がんの遺伝子変異の中で高く、それぞれ約90%、約70%、約70%と報告されています。
参考:
Cancers, Volume 9, Issue 5 (May 2017) – 14 articles|MDPI
Cancer Letters Volume 297, Issue 1, 1 November 2010, Pages 9-17|ScienceDirect
膵臓がんの診断
膵臓がんは早期発見が非常に難しいがんの一つであり、診断には血液検査や画像検査など複数の手法を組み合わせて行われます。
血液検査では、腫瘍マーカーと呼ばれる膵臓がんで異常を認めやすい、CA19-9、CEA、DUPAN-2、Span-1などを測定します。画像検査では、造影CT検査・MRI検査・PET検査・超音波検査などを行います。また、胃カメラ検査(胃内視鏡検査)と超音波検査を組み合わせたようなEUS-FNAという検査を行って、細胞を採取すれば膵臓がんと確定診断できます。
患者様の状態によって実施すべき検査が異なりますので、具体的には主治医の先生と相談して検査内容や種類を決定していくのがおすすめです。
膵臓がんの一般的な治療法
膵臓がんに対して実施される一般的な保険診療での治療としては、完治(根治)できる状態やステージであれば、手術を行います。ただし、膵臓がんに対する手術は非常に患者様の体に負担をかけるため、ある程度体力があることが望まれます。
そのため、体力があまり無い患者様や、様々な病気をお持ちで手術が危険だと判断される患者様には手術が推奨されない場合があります。
さらに、手術で膵臓がんを切除したとしても、再発率は約80%とも報告されています。
特に手術後6ヶ月以内に、半数の約40%の患者様が再発するリスクがあると言われています。そのため、手術後に再発しないように抗がん剤治療が勧められるケースが多いです。ただし、抗がん剤治療にはつらい副作用もあるため、体力があまり無い患者様や副作用が心配な患者様には実施できません。
また、膵臓がんが発見されてすぐに手術を実施できない患者様には、抗がん剤治療などの化学療法や放射線療法を実施します。化学療法や放射線療法を行うことで手術を可能にし、根治を目指せる場合もあります。
以上のように、膵臓がんは難治性のがんだということが分かります。
しかし最近では、膵臓がんを発生させている主な原因の1つである、遺伝子変異に直接効果を発揮する遺伝子治療が最新の治療法として注目されています。
膵臓がんは完治(寛解)できる疾患
膵臓がんは完治を見込める疾患です。
膵臓がんが発見された時にはすでに転移を起こしている状態であるため、いわゆる進行がんの状態ではありますが、様々な化学療法や手術、放射線療法などを組み合わせることで治癒も十分に期待できます。
また、当院では膵臓がんに対しての最新治療である遺伝子治療を積極的に取り入れております。ぜひ一度お問い合わせください。
膵臓がんにおける保険診療の限界
膵臓がんに対する保険診療には、化学療法や手術、放射線療法などがあります。
手術法の発達や化学療法・放射線療法の進歩といった医療界の発展により膵臓がんの治療法が発展してきましたが、保険診療では治療が困難な場合もあります。
実施できる化学療法の制限
保険診療では膵臓がんで使用できる抗がん剤の数に制限があります。
膵臓がんではがん細胞のタイプに合わせて様々な抗がん剤や分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬などを使い分けます。しかし、通常3~4種類程度しか有効な薬物療法はありません。
そのため、使用できる薬物を使い切った場合、もしくは体に合わない場合には、選択できる薬剤や治療はもう存在しないと医師から言われてしまいます。
また、1個の新しい抗がん剤などの薬物が開発されるまでには10~20年かかると言われています。
保険診療ではカバーしきれない膵臓がんの再発
膵臓がんが発見され手術を行った場合でも、再発率は約80%とも報告されています。特に、手術後6ヶ月以内に半数の約40%の患者様が再発すると言われています。
そのため、手術後の再発予防目的で術後補助化学療法という抗がん剤治療が勧められるケースが多いです。
しかし、抗がん剤治療はつらい副作用もあるため、体力があまり無い高齢の患者様や副作用が心配な患者様には実施できません。
膵臓がんの手術は体力がかなり低下してしまうような手術です。そのため、手術後に元気がなくなってしまい、非常に高い再発率があるのにも関わらず、抗がん剤治療を行えない患者様もいらっしゃいます。
さらに、術後補助化学療法を行っても、約65%の患者様は膵臓がんを再発するという報告もあります。つまり、国内の保険診療のみでは、膵臓がんの手術を行ったとしても3人に2人が再発してしまうのが現状です。
参考:Pancreatology Volume 24, Issue 6, September 2024, Pages 930-937|ScienceDirect
化学療法の「きつい」副作用
膵臓がんの化学療法では抗がん剤などを用いますが、その副作用は抗がん剤の種類や患者様により個人差があります。
抗がん剤などの一般的な副作用は、嘔気、食欲不振、下痢、手足のしびれ、倦怠感、発疹、貧血、高血圧、脱毛などです。また、使用する薬物療法の種類によっては、命に関わる合併症や副作用が起きるケースもあり、注意が必要です。
患者様の中には、最初は問題なくても副作用がきつく続けられないと感じる方もいらっしゃいます。また、頑張って化学療法を続けていても副作用のせいで日常生活が楽しく送れずに気分が落ち込む患者様もいらっしゃいます。
最新の治療法である遺伝子治療がおすすめ
膵臓がんの近年注目されている治療法として遺伝子治療があります。
遺伝子治療は、膵臓がん発症の原因である遺伝子異常に直接アプローチして、がん細胞そのものを根本的に治療する最新の治療法です。
特に欧米では、がんの部位ではなくどのような遺伝子異常があるか、ということに注目して治療法を決定する臨床試験が行われています。日本では一部の遺伝子治療を保険でも行われていますが、国際的には遺伝子治療の分野で遅れを取っています。がん中央クリニックグループのクリニックではいち早く遺伝子異常に焦点をあてた診察・治療を導入しています。
なお、遺伝子治療には「がん抑制遺伝子」と「核酸医薬」の2種類があります。詳しくは下記をご参照ください。
がん中央クリニックグループのクリニックでは、患者様の状態に合わせて行う最新のがん遺伝子治療を提供できます。是非一度ご相談ください。
保険診療では「治療方法がない」方も治療可能
膵臓がんに対する遺伝子治療は保険診療ではなく自由診療(保険外診療)であり、保険診療ではもう治療方法がない、と言われた患者様でも実施できます。
がん中央クリニックグループのクリニックでは膵臓がんの患者様1人ひとりに合わせてテーラーメイドの遺伝子治療を提供します。
保険診療との相乗効果が期待
遺伝子治療は膵臓がんへの化学療法などのあらゆる薬物療法と併用できるとともに、治療効果として相乗効果が期待できます。
なぜなら、化学療法は産生された膵臓がんの細胞やたんぱく質に作用しますが、遺伝子治療は細胞やたんぱく質が産生される前段階に作用するため、膵臓がんの細胞に対して作用するポイントが異なるからです。
また、放射線療法もがん細胞の遺伝子に作用する治療法であり、遺伝子治療を併用すれば相乗効果が期待できます。遺伝子治療はすでに保険診療で化学療法を含む薬物療法や放射線治療を実施中の患者様にもおすすめできる治療法です。
治療継続可能な副作用
遺伝子治療には目立った副作用が起こりにくいです。特に、化学療法で起きやすい嘔気、食欲不振、倦怠感、脱毛、貧血、命に関わる副作用などはほとんど起こりません。
遺伝子治療の副作用としては、一時的な微熱、血圧上昇、顔の紅潮、アレルギー反応(0.3%以下)などがあります。解熱剤など薬物を使う場合もありますが、自然と改善する副作用が大半であり、治療を継続するのに支障をきたしません。
がん遺伝子治療をオススメする患者様
がん遺伝子治療は膵臓がんのほとんどの患者様におすすめできる治療法です。
どのような患者様に効果が期待できるのかを以下に具体的に解説します。ぜひご自身のパターンに合わせてがん遺伝子治療をご検討ください。
膵臓がんに対して薬物治療中や放射線療法中の患者様
がん遺伝子治療は、抗がん剤治療などの薬物治療や放射線療法中(標準治療)を行っているすべての患者様におすすめできる治療法です。
がんは放置していると大きくなっていくため、様々な治療法を用いてがんを小さくすることが重要です。つまり、保険治療の薬物治療や放射線療法だけで膵臓がんに立ち向かうのではなく、がん遺伝子治療を併用することで、異なる治療手段により膵臓がんの縮小がより見込めます。
実際、抗がん剤とがん遺伝子治療を併用することで、がんへの治療効果がより高まったという論文も発表されています。膵臓がんは数あるがんの中でも悪性度が極めて高いがんの1つです。そのため、完治を目指すためには様々な治療法を組み合わせて治療を行うことが重要です。
膵臓がん手術後のすべての患者様
膵臓がんが発見され手術を行った場合でも、再発率は約80%とも報告されています。
保険診療ではこの高確率での再発を抑制させるため、術後補助化学療法という抗がん剤治療が勧められるケースが多いです。しかし、抗がん剤治療には副作用もあるため、体力があまり無い高齢の患者様や副作用が心配な患者様には実施できません。
また、術後補助化学療法を実施したとしても約65%の患者様は再発するという報告もあります。つまり、再発率は15%程度しか抑えられないのです。
したがって、膵臓がん手術後のすべての患者様は、術後補助化学療法を行う場合も行わない倍も最新の遺伝子治療を実施し、再発する可能性を少しでも低くすることが重要と言えます。
保険治療では治療困難な患者様
膵臓がんに対するがん遺伝子治療は、保険診療ではなく自由診療(保険外診療)であるため、保険診療で治療法がない、と言われた患者様でも実施できます。
がん中央クリニックグループのクリニックでは患者様1人ひとりに合わせたテーラーメイドのがん遺伝子治療を提供しています。
また、がん遺伝子治療では目立った副作用が現れません。そのため、当グループのクリニックへ通院さえ可能であればどのような方でも治療可能です。
例えば、「体力がないため抗がん剤はできません」などと説明された方でもがん中央クリニックの治療は可能です。通院が困難な方には訪問治療も可能な場合もあります。詳しくは一度下記の無料相談窓口へお問い合わせ、お電話ください。
膵臓がんの完治を目指して保険診療と患者様に合った自由診療を組み合わせるのがおすすめ
膵臓がんは完治(寛解)を目指せる疾患であり、適切に治療を行うことが重要です。
膵臓がんは主に遺伝子異常が原因で発症する疾患であり、保険診療と遺伝子治療を組み合わせたり、保険診療ではカバーできない場合には遺伝子治療を行うことで腫瘍縮小効果などが期待できます。
がん中央クリニックグループのクリニックでは遺伝子治療をはじめ、患者様1人ひとりに合ったがんの自由診療を提案いたします。膵臓がんの患者様は、どのような状況の場合でも是非お気軽にご相談ください。