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大腸がん(結腸がん・直腸がん)とは|初期症状・ステージ別生存率・治療法

大腸がんの主なリスクや症状、検査から診断、ステージ別分類や治療方法の選択について

大腸がんは、結腸または直腸の粘膜から発生するがんです。2023年に国内で新たに大腸がんと診断された人は15万4,039例で、男女を合わせた部位別の罹患数では最も多いがんとなっています。2024年の死亡数は5万4,416人で、決して珍しい病気ではありません。

大腸がんの5年相対生存率は71.4%(2009~2011年診断例)です。ただし、この数字はすべてのステージを合わせた統計であり、個人の治りやすさや余命を示すものではありません。がんが大腸の壁のどこまで入り込んでいるか、リンパ節やほかの臓器への転移があるかによって、選ばれる治療や見通しは大きく異なります。

大腸がんは、早期には自覚症状がほとんどないことがあります。進行すると、血便、便秘や下痢、便が細くなる、残便感、腹痛、貧血などが現れますが、これらは痔やほかの腸の病気でも起こるため、症状だけで大腸がんかどうかを判断することはできません。また、症状が現れたからといって、必ずしも進行がんとは限りません。

症状がない40歳以上の人は、年1回の便潜血検査を受けることが推奨されています。一方、血便や排便習慣の変化などがある場合は、次の検診を待つのではなく、消化器内科などを受診して原因を調べることが大切です。

この記事では、大腸がんの症状、原因、検査、ステージ分類に加え、内視鏡治療、手術、薬物療法、放射線治療について解説します。結腸がんと直腸がんの治療の違い、治療選択に関わる遺伝子・バイオマーカー検査、ステージ別の生存率も取り上げ、検査結果をどのように治療判断へつなげるかを整理します。

参考:大腸[国立がん研究センター がん統計]

再発・転移・ステージ4

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  • 大腸がんは男女計の罹患数が最も多く、早期には症状が乏しい
  • 血便などの症状があれば検診を待たず、医療機関を受診する
  • 治療はステージ、発生部位、遺伝子異常によって変わる

目次

大腸がんとは何か

大腸がんは、大腸の粘膜に発生するがんで、発生した場所によって結腸がんと直腸がんに分けられます。大腸がんの多くは腺がんです。

大腸は、小腸から送られてきた内容物から水分を吸収し、便を形成して排出する臓器です。大腸に腫瘍ができると、粘膜から出血したり、便の通り道が狭くなったりするため、血便、便秘や下痢、便が細くなる、残便感などが現れることがあります。ただし、早期には症状がほとんどない場合もあります。

大腸がんには、腺腫と呼ばれる良性のポリープが段階的にがん化するものと、正常に見える粘膜から直接発生するものがあります。ポリープがすべてがんになるわけではありませんが、内視鏡検査で腺腫を見つけて切除することは、将来の大腸がんを防ぐことにもつながります。

大腸の壁は、内側から粘膜、粘膜下層、固有筋層、漿膜下層・漿膜などで構成されています。がんが粘膜または粘膜下層にとどまるものは早期がん、固有筋層より深く入り込んだものは進行がんと呼ばれます。

この深さは、内視鏡で切除できるか、リンパ節郭清を伴う手術が必要かを判断するうえで重要です。ただし、内視鏡切除後の追加手術は、深さだけでは決まりません。切除した組織の詳しい評価については、内視鏡治療の項目で解説します。

結腸がんと直腸がんでは、同じステージでも治療方法が異なることがあります。とくに直腸がんでは、がんと肛門との距離、周囲の臓器への広がりなどによって、肛門を温存できるか、手術前の治療が必要かを検討します。

参考:大腸がん(結腸がん・直腸がん)|国立がん研究センター がん情報サービス

大腸がんの原因とリスク

大腸がんは、特定の食品や一つの生活習慣だけで発症する病気ではありません。年齢を重ねる中で細胞の遺伝子に変化が蓄積し、生活習慣、持病、家族歴などが重なって発生すると考えられています。

大腸がんとの関連が指摘されている主な要因には、喫煙、飲酒、肥満、運動不足があります。赤肉や加工肉の摂取量との関連も報告されていますが、これらを食べたことが直接の原因になるわけではありません。また、潰瘍性大腸炎やクローン病など、大腸に長期間炎症が続く病気がある人では、大腸がんのリスクが高くなることがあります。

一方、運動習慣を持つことは大腸がんの予防に役立つことがほぼ確実とされ、禁煙、飲酒を控えること、適正体重を保つこと、偏りの少ない食事を続けることも、発症リスクを下げるための基本になります。

ただし、生活習慣を整えていても大腸がんになる人はいます。反対に、危険因子がある人すべてが発症するわけでもありません。「不摂生をしたからがんになった」と自分を責めたり、生活習慣に問題がないから検査は不要だと考えたりしないことが大切です。

参考:大腸がん(結腸がん・直腸がん)予防・検診|国立がん研究センター がん情報サービス

大腸がんの遺伝的要因

大腸がん患者の約30%には、家族内での発症の集積または何らかの遺伝的素因があるとされています。ただし、家族に大腸がんの人がいることと、原因遺伝子が特定される遺伝性大腸がんであることは同じではありません。遺伝性大腸がんは、大腸がん全体の約5%とされています。

代表的な遺伝性大腸がんには、家族性大腸腺腫症(FAP)リンチ症候群があります。

家族性大腸腺腫症では、大腸に多数の腺腫性ポリープが発生します。典型的なFAPでは大腸がんを発症する危険性が非常に高いため、若い時期から定期的な内視鏡検査を受け、ポリープの数や状態に応じて手術の時期を検討します。

リンチ症候群では、FAPのように多数のポリープが目立たないことがありますが、大腸がんを比較的若い年齢で発症したり、複数回発症したりすることがあります。子宮内膜がんなど、大腸以外の関連するがんが家族内にみられることもあります。

次のような場合は、遺伝性大腸がんの可能性について主治医や遺伝診療部門へ相談するきっかけになります。

  • 若い年齢で大腸がんと診断された
  • 大腸がんを複数回発症した、または多数の大腸ポリープがある
  • 近親者に若年発症の大腸がんや、子宮内膜がんなどの関連がんが複数ある

遺伝性が疑われる場合は、年齢、本人と家族の病歴、ポリープの数、腫瘍組織の検査結果などを基に、遺伝学的検査を検討します。家族歴だけで診断することはできず、家族にがん患者がいない場合でも遺伝性大腸がんが見つかることがあります。

遺伝学的検査の結果は、本人の検査計画だけでなく、血縁者の健康管理にも関係します。検査で分かることと分からないこと、家族へ伝える範囲、心理的・社会的な影響について説明を受け、必要に応じて遺伝カウンセリングを利用したうえで判断します。

参考:遺伝性大腸癌診療ガイドライン2024年版|大腸癌研究会

大腸がんの主な症状と見逃されやすさ

大腸がんは、早期には自覚症状がほとんどないことがあります。進行すると、血便、便秘や下痢、便が細くなる、残便感、腹痛、腹部の張りなどが現れます。腫瘍から少量の出血が続くことで、貧血、息切れ、めまい、倦怠感をきっかけに見つかる場合もあります。

これらの症状は痔、過敏性腸症候群、感染性腸炎などでも起こるため、症状だけで大腸がんかどうかを見分けることはできません。とくに血便は痔と考えて受診を先延ばしにしやすい症状ですが、血の色や付き方だけで出血源を正確に判断することは困難です。痔がある人でも、大腸の病変が同時に存在する可能性があるため、自己判断で済ませないことが大切です。

がんができた場所によって症状の出方が異なる

盲腸や上行結腸など右側の大腸では、腸の内容物がまだ液状に近く、腫瘍が大きくなっても便の通過が妨げられにくい傾向があります。そのため、目立った便通異常がないまま出血が続き、鉄欠乏性貧血、疲れやすさ、息切れなどから発見されることがあります。腹部のしこりがきっかけになる場合もあります。

下行結腸やS状結腸など左側の大腸では、便が固形に近づいているため、腫瘍によって腸管が狭くなると、便秘と下痢を繰り返す、便が細くなる、腹部が張るといった変化が現れやすくなります。直腸がんでは、血便、粘液の混じった便、排便後も便が残っているように感じる残便感などがみられることがあります。

ただし、これはあくまで一般的な傾向です。右側の大腸がんでも血便や腹痛が起こることがあり、左側の大腸がんでも症状が乏しい場合があります。症状の種類だけから、がんの場所や進行度を判断することはできません。

症状がある場合は検診ではなく医療機関を受診する

血便、便の形や回数の変化、腹痛などがある人は、便潜血検査による検診を待つのではなく、消化器内科や胃腸科、肛門科などを受診してください。がん検診は、基本的に症状のない人から大腸がんの可能性がある人を見つけるためのものです。症状がある場合は、診断を目的とした検査が必要です。

一度の出血や一時的な便通異常が、必ず大腸がんを意味するわけではありません。しかし、血便を繰り返す、排便習慣の変化が続く、貧血を指摘された、原因不明の体重減少がある場合は、年齢にかかわらず受診を検討します。

また、強い腹痛や腹部の張りに加えて、便やガスが出ない、嘔吐を繰り返すといった症状がある場合は、腫瘍によって腸が塞がる腸閉塞の可能性があります。通常の外来日まで待たず、速やかに医療機関へ相談する必要があります。

症状がない40歳以上の人は、年1回の便潜血検査を受けることが推奨されています。一方、症状がある人は、便潜血検査が陰性であっても大腸がんを完全には否定できません。症状が続く場合は、検診結果だけで安心せず、診察を受けて必要な検査を相談してください。

参考:大腸がん検診について|国立がん研究センター がん情報サービス

大腸がんの検査と診断

大腸がんの検査には、がんの可能性がある人を見つける検査、がんかどうかを確定する検査、がんの広がりを調べる検査があります。すべての検査を一度に行うわけではなく、症状や便潜血検査の結果などに応じて順番を決めます。

血便や排便習慣の変化がある場合には、問診や診察に加えて、大腸内視鏡検査などを検討します。直腸に近い病変が疑われるときは、医師が肛門から指を入れて、直腸内のしこりや出血の有無を確認する直腸指診を行うこともあります。

便潜血検査

便潜血検査は、便に目では確認できない微量の血液が含まれていないかを調べる検査です。症状のない人を対象とした大腸がん検診では、通常、2日分の便を採取する方法が用いられます。

陽性になっても、必ず大腸がんがあるわけではありません。ポリープ、痔、炎症などによる出血でも陽性になることがあります。一方、大腸がんがあっても常に出血するとは限らないため、陰性であれば大腸がんを完全に否定できるわけでもありません。

2日分のうち1日だけでも陽性になった場合は、大腸内視鏡検査などの精密検査を受けます。「もう一度便潜血検査をして陰性なら様子を見る」という方法は、精密検査の代わりにはなりません。血便、腹痛、便が細くなる、便秘や下痢が続くなどの症状がある場合は、便潜血検査の結果だけで判断せず、医療機関を受診してください。

大腸内視鏡検査と病理診断

大腸内視鏡検査では、肛門から内視鏡を挿入し、直腸から盲腸までの大腸の内側を観察します。病変の位置、大きさ、形、表面の血管や構造などを確認し、必要に応じて拡大観察や画像強調観察を行います。

ポリープやがんが疑われる病変が見つかった場合には、病変の一部を採取する生検を行い、顕微鏡で調べる病理診断によって、がんかどうかを確定します。小さなポリープなどでは、検査と同時に病変全体を切除できる場合もあります。

内視鏡で病変が見つかっただけでは、最終的な治療方針は決まりません。病理検査では、がんの組織型や分化度などを確認します。内視鏡で病変全体を切除した場合には、切除断端、がんの深さ、リンパ管・静脈侵襲、簇出などを調べ、追加手術が必要かを判断します。

検査には下剤による前処置が必要で、まれに出血や腸に穴が開く穿孔が起こることがあります。病変による狭窄などで大腸全体を観察できない場合には、CTコロノグラフィなど別の検査を組み合わせることがあります。

参考:大腸がん(結腸がん・直腸がん)検査|国立がん研究センター がん情報サービス

CT・MRIでがんの広がりを調べる

病理診断で大腸がんと確認された後は、主にCT検査を行い、がんが大腸の周囲へどこまで広がっているか、リンパ節、肝臓、肺、腹膜などに転移がないかを調べます。

直腸がんでは、骨盤内のMRI検査によって、直腸の壁の外への広がり、周囲のリンパ節、肛門や隣接する臓器との位置関係などを詳しく確認することがあります。これらの情報は、手術方法や術前治療の必要性を判断するために使われます。

PET検査は、すべての患者さんに必ず行う検査ではありません。CTやMRIだけでは転移や再発の判断が難しい場合などに検討されます。

血液検査や遺伝子検査も治療判断に用いる

血液検査では、貧血、肝機能、腎機能、栄養状態などを確認します。CEAやCA19-9などの腫瘍マーカーも測定することがありますが、数値が正常でも大腸がんを否定することはできず、高値であっても大腸がんとは限りません。

腫瘍マーカーは、診断を確定する検査というより、治療前の基準値を確認し、治療効果や再発の可能性を画像検査などと合わせて評価するために使われます。

進行・再発大腸がんでは、治療薬を選ぶために、RAS、BRAF、MSI/MMR、HER2などを調べることがあります。どの検査をどの段階で行うかは、がんのステージや予定している治療によって異なります。具体的な検査結果と薬物療法との関係は、後の「大腸がんの遺伝子検査」で詳しく解説します。

大腸がんの診断では、内視鏡で病変を確認し、病理検査でがんかどうかを確定したうえで、画像検査によって広がりを評価します。それぞれの検査は目的が異なるため、一つの検査結果だけではなく、複数の結果を組み合わせてステージと治療方針を決めます。

大腸がんのステージ分類

大腸がんのステージは、がんが大腸の壁のどこまで入り込んでいるかを示す「T」、領域リンパ節転移を示す「N」、肝臓や肺などへの遠隔転移を示す「M」の組み合わせで決まります。

ステージ 主な状態 治療の基本的な考え方
ステージ0 がんが粘膜内にとどまる 内視鏡治療で取り切ることを目指す
ステージ1 がんが粘膜下層または固有筋層まで広がり、リンパ節転移はない 病変の深さや病理所見に応じて内視鏡治療または手術を行う
ステージ2 がんが固有筋層を越えて広がっているが、リンパ節転移はない 手術が中心。再発リスクが高い場合は術後補助化学療法を検討する
ステージ3 領域リンパ節への転移がある 手術と術後補助化学療法を組み合わせることが基本となる
ステージ4 肝臓、肺、腹膜、遠隔リンパ節などへの転移がある 転移巣を含めて切除できるかを評価し、手術や薬物療法などを組み合わせる

ステージは治療前の内視鏡検査や画像検査から判断しますが、手術を受けた場合は、切除した腸管やリンパ節の病理検査によって最終的なステージが確定します。そのため、手術前と手術後でステージが変わることもあります。

ステージ別の治療方針

ステージ0と一部のステージ1では、リンパ節転移の可能性が低く、病変を一括して切除できると判断された場合に内視鏡治療を行います。ただし、切除後の病理検査でリンパ節転移の危険が認められれば、追加手術を検討します。

ステージ1のうち内視鏡治療の対象にならない場合と、ステージ2・3では、がんがある腸管と周囲のリンパ節を切除する手術が中心です。ステージ3では、画像に写らない微小転移による再発を抑えるため、体の状態などを確認したうえで術後補助化学療法を行います。ステージ2でも、がんによる腸閉塞や穿孔、深い浸潤など、再発リスクが高い場合には術後補助化学療法を検討します。

ステージ4では、原発巣と肝転移・肺転移などをすべて切除できるかが、治療方針を決める大きな分岐点になります。完全切除が可能と判断されれば、ステージ4でも根治を目指して手術を検討します。切除が難しい場合は、遺伝子・バイオマーカー検査の結果や全身状態に応じた薬物療法が中心です。治療によって転移巣が縮小し、後から手術を検討できる場合もあります。

ステージ4の切除可能性、薬物療法、遺伝子検査、生存率や余命については、以下の記事で詳しく解説しています。

ステージだけで治療が自動的に決まるわけではありません。同じステージでも、結腸がんか直腸がんか、病変の位置、切除可能性、再発リスク、遺伝子変異、年齢や全身状態によって治療内容は変わります。診察時には、自分のステージだけでなく、「根治を目指す治療か」「術後治療が必要か」「治療によって何を防ぐのか」を確認することが大切です。

参考:大腸がん(結腸がん・直腸がん)治療|国立がん研究センター がん情報サービス
参考:大腸癌治療ガイドライン医師用2026年版|大腸癌研究会

大腸がん治療の全体像

大腸がんの主な治療には、内視鏡治療、手術、薬物療法、放射線治療があります。がんの深さや広がり、切除できるかどうか、結腸がんと直腸がんのどちらかによって、これらを単独または組み合わせて行います。

内視鏡治療と手術は、がんを取り除くための治療です。薬物療法は、手術後の再発を防ぐ目的で行う場合と、切除できないがんの縮小や進行抑制を目的に行う場合があります。放射線治療は主に直腸がんの術前治療や、転移・再発による痛みや出血などの症状を和らげるために用いられます。

また、痛み、吐き気、下痢、しびれなどを軽減する緩和ケア・支持療法は、抗がん治療を終えた後だけでなく、治療中から利用できます。

以下では、それぞれの治療について、選ばれる条件、治療の目的、治療後の生活への影響を順番に解説します。

大腸がんの内視鏡治療

内視鏡治療は、肛門から挿入した内視鏡を使い、大腸の内側から病変を切除する方法です。開腹手術や腹腔鏡手術と比べて体への負担が少なく、腸管を切除せずに治療できる可能性があります。

ただし、内視鏡で病変を取り除けても、リンパ節にあるがんまでは治療できません。そのため、リンパ節転移の可能性が極めて低く、病変を一括して完全に切除できると判断された早期大腸がんが主な対象になります。

内視鏡治療の適応は深さと切除のしやすさから判断する

内視鏡治療は、がんが粘膜内にとどまる場合や、粘膜下層への浸潤が軽度と考えられる場合に検討します。一般的には、粘膜下層への浸潤が1,000μm未満で、リンパ節転移を疑う所見がなく、一括切除できる病変が対象です。

治療前には、通常の内視鏡観察に加え、拡大観察や画像強調観察などを用いて、病変の深さ、形、大きさ、位置を評価します。ただし、内視鏡による深さの診断には限界があるため、内視鏡治療だけで治療を終えられるかどうかは、切除した組織の病理検査を受けて最終的に判断します。

内視鏡治療には複数の方法がある

内視鏡治療の方法は、病変の形や大きさ、深さ、一括切除の必要性などに応じて選びます。

治療法 治療の特徴
ポリペクトミー 主に茎のある病変へ金属製の輪をかけて切除する方法
EMR 病変の下へ液体を注入して浮かせ、金属製の輪で切除する方法。水中で病変を切除するUEMRが選ばれることもある
ESD 粘膜下層を専用の器具ではがし、比較的大きな病変を一括切除する方法

大きな病変では、複数に分けて切除すると病理診断が難しくなり、局所再発の危険も高くなることがあります。そのため、正確な病理評価が必要な病変では、時間がかかってもESDによる一括切除を検討する場合があります。

切除後の病理検査で追加手術の必要性を判断する

内視鏡治療後は、切除した組織から、切除断端、がんの深さ、組織型、リンパ管・静脈への侵襲、簇出などを確認します。

がんが深部の切除断端まで達している垂直断端陽性の場合は、がんが残っている可能性があるため、外科手術の追加を検討します。また、次のいずれかが認められた場合も、リンパ節転移の危険を考え、リンパ節郭清を伴う腸切除を検討します。

  • 粘膜下層への浸潤が1,000μm以上ある
  • リンパ管または静脈への侵襲がある
  • 低分化腺がん、印環細胞がん、粘液がんなどの組織型である
  • 浸潤先進部の簇出がBD2またはBD3である

ただし、粘膜下層への浸潤が1,000μm以上という所見だけで、必ずリンパ節転移がある、あるいは全員に追加手術が必要と決まるわけではありません。ほかの病理所見、病変の位置、年齢、持病、手術による負担、本人の希望を踏まえて判断します。

病変を分割して切除した場合や、がんが水平方向の切除断端に達している場合は、切除した場所に病変が残る危険があります。この場合は、追加の内視鏡治療や早めの再検査を検討します。リンパ節郭清を伴う手術が必要かどうかとは、分けて考える必要があります。

出血や穿孔は治療後にも起こることがある

内視鏡治療の主な合併症は、出血と穿孔です。出血は治療直後だけでなく、帰宅後に起こる場合もあります。穿孔によって腸に穴が開くと、強い腹痛、発熱、腹部の張りなどが現れ、内視鏡による処置や手術が必要になることがあります。

治療後に血便が続く、腹痛が強くなる、発熱や吐き気がある場合は、次回の受診日を待たずに治療を受けた医療機関へ連絡してください。食事、飲酒、運動、入浴、仕事への復帰時期は、治療方法や切除した病変の大きさによって異なるため、退院・帰宅前に確認します。

内視鏡治療で一括切除され、切除断端にがんがない場合でも、別の場所に新たな腫瘍ができる可能性があるため、定期的な大腸内視鏡検査が必要です。分割切除や水平断端陽性の場合、または追加手術を行わず経過観察する場合は、内視鏡検査に加えて、CT検査や腫瘍マーカーなどを組み合わせることがあります。

参考:大腸癌治療ガイドライン医師用2026年版|大腸癌研究会
参考:大腸癌治療ガイドライン医師用2024年版 Clinical Questions|大腸癌研究会

大腸がんの手術

内視鏡治療でがんを十分に切除できない場合や、リンパ節転移の可能性がある場合には手術を行います。手術では、がんがある部分だけでなく、周囲の腸管とリンパ節を切除し、がんを体内に残さないことを目指します。周囲の臓器へ直接広がっている場合は、完全切除が可能であれば、その臓器の一部を一緒に切除することもあります。

手術には、開腹手術、腹腔鏡下手術、ロボット支援下手術があります。腹腔鏡下手術やロボット支援下手術は創が小さく、術後の痛みや回復の面で利点が期待できますが、すべての患者さんに適しているわけではありません。がんの位置と広がり、腸閉塞の有無、体格、過去の腹部手術、医療機関や術者の経験などを踏まえて選びます。

ロボット支援下手術は、直腸がんでは標準的な手術方法の選択肢の一つとなり、結腸がんでも行われています。ただし、ロボットを使うこと自体が治療成績の向上を保証するわけではありません。手術方法の新しさではなく、がんを安全に取り切れるかを優先して判断します。

結腸がんでは発生した場所に応じて腸管を切除する

結腸がんの手術では、がんがある場所に応じて、回盲部切除、結腸右半切除、横行結腸切除、結腸左半切除、S状結腸切除などを行います。がんとともに、転移する可能性のある周囲のリンパ節を切除する処置をリンパ節郭清と呼びます。

切除後は、残った腸管同士をつなぐことが一般的です。ただし、腸閉塞や腸管穿孔がある、全身状態が不安定である、腸管を安全につなげられないといった場合には、一時的または永久的な人工肛門を造ることがあります。切除できない腫瘍によって便が通らない場合は、腸の迂回路を造るバイパス手術を行うこともあります。

手術後は、一時的に便が軟らかくなる、排便回数が増える、便秘と下痢を繰り返すといった変化が起こることがあります。切除した範囲によって影響は異なりますが、食事の取り方や整腸薬などを調整しながら、徐々に生活のリズムを整えていきます。

直腸がんでは根治性と機能の温存を両方考える

直腸は骨盤の奥深くにあり、周囲には肛門括約筋、膀胱、生殖器、排尿や性機能に関係する神経があります。そのため直腸がんでは、がんを取り切ることに加え、肛門、排便、排尿、性機能をどこまで保てるかも治療選択の重要な要素になります。

早期で限られた病変では、肛門側から病変だけを切除する局所切除を検討することがあります。より深く広がったがんでは、がんのある直腸と周囲の直腸間膜を切除し、残った腸管をつなぐ前方切除術などを行います。

肛門に近いがんでも、十分な切除範囲を確保でき、術後の肛門機能を保てると判断されれば、低位前方切除術や括約筋間直腸切除術によって肛門を温存できる場合があります。一方、がんが肛門括約筋へ及んでいる場合などは、直腸と肛門を切除する直腸切断術を行い、永久的な人工肛門を造ります。

肛門を残せることと、手術前と同じように排便できることは同じではありません。直腸を大きく切除すると、便をためる機能が低下し、排便回数の増加、突然の便意、便失禁、短時間に何度も排便する症状などが現れることがあります。これらは低位前方切除後症候群(LARS)と呼ばれ、食事や薬の調整、骨盤底筋の訓練などが必要になる場合があります。

下部直腸がんでは、骨盤側壁のリンパ節へ転移することがあります。腫瘍の下端が腹膜反転部より肛門側にあり、筋層を越えて広がっているcT3以深の場合には、側方リンパ節郭清を検討します。ただし、郭清範囲が広くなると排尿機能や性機能へ影響する可能性があるため、MRIなどの画像所見と局所再発の危険を踏まえて判断します。

局所再発の危険が高い直腸がんでは、手術前に薬物療法や放射線治療を行うことがあります。薬物療法と放射線治療を手術前にまとめて行うTNTや、治療後にがんが確認できなくなった場合に手術を行わず経過を見る非手術管理も研究されていますが、国内ですべての患者さんに共通する標準治療ではありません。適応は専門医による慎重な評価が必要です。

人工肛門には一時的なものと永久的なものがある

人工肛門(ストーマ)は、腸管を腹部へ出して便の出口を造る方法です。直腸の低い位置で腸管をつないだ場合には、つなぎ目へ便が流れるのを一時的に避けるため、保護目的のストーマを造ることがあります。この場合は、つなぎ目が治った後にストーマを閉じられる可能性があります。

肛門を含めて切除した場合や、肛門を残しても排便機能を保つことが難しい場合には、永久的なストーマが必要になります。診察では、ストーマが必要になる可能性、一時的か永久的か、閉鎖できる場合はいつごろかを確認します。

ストーマがあっても、装具の扱いに慣れれば、仕事、外出、入浴、軽い運動、旅行などを続けることが可能です。一方、皮膚トラブル、装具からの漏れ、服装、性生活などに不安を感じることもあります。手術前から皮膚・排泄ケア認定看護師などへ相談し、ストーマの位置や術後の管理方法について説明を受けることが大切です。

手術後の合併症と生活への影響

手術後には、腸管をつないだ部分から内容物が漏れる縫合不全、創部や腹腔内の感染、腸閉塞、出血などが起こることがあります。縫合不全は、肛門に近い位置で腸管をつなぐ直腸がんの手術で起こりやすく、重い場合には再手術や人工肛門の造設が必要です。

退院後に、発熱、強くなる腹痛、腹部の張り、繰り返す嘔吐、便やガスが出ない、創部から膿や腸液が出るといった変化があれば、次回の診察を待たずに医療機関へ連絡します。

長期的には、排便回数の増加や便失禁だけでなく、排尿しにくい、尿が残る、勃起や射精が難しくなる、性交時に痛みがあるといった症状が現れることもあります。とくに直腸がんでは、治療前に予想される機能障害と対処法について説明を受ける必要があります。

手術方法を検討するときは、がんを取り切れる可能性だけでなく、切除する腸管とリンパ節の範囲、肛門温存の可否、人工肛門の可能性、術後に予想される排便・排尿・性機能への影響、仕事へ戻る時期まで確認すると、治療後の生活を具体的に考えやすくなります。

参考:大腸がん(結腸がん・直腸がん)治療|国立がん研究センター がん情報サービス
参考:大腸癌治療ガイドライン医師用2026年版|大腸癌研究会
参考:大腸癌治療ガイドライン医師用2024年版 Clinical Questions|大腸癌研究会

大腸がんの薬物療法

大腸がんの薬物療法には、手術後の再発を防ぐための術後補助化学療法と、切除できない進行・再発大腸がんを抑えるための治療があります。同じ薬を使用する場合でも、治療の目的や続ける期間、効果の確認方法は異なります。

使用する薬は、がん細胞の増殖を抑える細胞障害性抗がん薬、特定の分子を狙う分子標的薬、免疫の働きを利用する免疫チェックポイント阻害薬に分けられます。進行・再発大腸がんでは、がんの遺伝子やタンパク質を調べ、その結果に応じて治療を選ぶことが重要になっています。

手術後の再発を防ぐ術後補助化学療法

術後補助化学療法は、手術で確認できるがんをすべて切除した後に、体内に残っている可能性がある微小ながん細胞を抑え、再発の危険を下げるために行います。

主にステージ3が対象となり、ステージ2でも、がんが大腸の壁を深く越えている、腸閉塞や穿孔を伴っている、十分な数のリンパ節を調べられていないなど、再発リスクが高い場合に検討します。ただし、すべてのステージ2で薬物療法が必要になるわけではありません。

主な治療には、次のものがあります。

治療法 使用する主な薬と特徴
CAPOX 内服薬のカペシタビンと、点滴薬のオキサリプラチンを組み合わせる。通院で治療しやすい一方、手足症候群や末梢神経障害に注意する
FOLFOX 5-FU、レボホリナート、オキサリプラチンを組み合わせる。携帯型のポンプを使い、一定時間かけて5-FUを投与することがある
フッ化ピリミジン単独療法 カペシタビンなどを使用する。オキサリプラチンの併用が難しい場合に検討される

治療期間は、再発リスクと使用する薬を踏まえて、3カ月または6カ月を検討します。一般に、再発リスクが比較的低い場合は、CAPOXを3カ月行うことで、オキサリプラチンによる蓄積性の末梢神経障害を減らせる可能性があります。一方、再発リスクが高い場合やFOLFOXを選ぶ場合は、6カ月の治療を検討することがあります。

ただし、治療期間を短くすればよいとは限りません。再発リスクをどこまで下げられる可能性があるかと、しびれなどの副作用が将来の仕事や日常生活に残る危険を比較して決めます。

高齢であることだけを理由に治療を行えないわけではありませんが、体力、腎機能、持病、認知機能、服薬管理、家族の支援などを確認します。オキサリプラチンを使用せず、内服薬などによる治療を選ぶ場合もあります。

切除不能・再発大腸がんでは複数の薬を組み合わせる

遠隔転移や再発病変をすべて切除することが難しい場合は、薬物療法によってがんを縮小させ、進行を抑えることを目指します。治療によって病変が十分に縮小した場合は、肝転移や肺転移などを手術で切除できるか、あらためて検討することもあります。

治療の土台となる主な組み合わせには、次のものがあります。

  • FOLFOX:5-FU、レボホリナート、オキサリプラチン
  • CAPOX:カペシタビン、オキサリプラチン
  • FOLFIRI:5-FU、レボホリナート、イリノテカン
  • FOLFOXIRI:5-FU、レボホリナート、オキサリプラチン、イリノテカン

これらへ、ベバシズマブなどの血管新生を抑える薬や、セツキシマブ、パニツムマブなどの抗EGFR抗体薬を組み合わせます。

どの治療を選ぶかは、がんをできるだけ小さくして手術を目指すのか、長期間の病勢コントロールを目指すのか、症状を和らげることを優先するのかによって変わります。年齢だけでなく、全身状態、肝臓や腎臓などの機能、転移の場所、これまでの治療、副作用への不安も判断材料になります。

抗EGFR抗体薬は、基本的にRAS遺伝子に変異がない場合が対象です。さらに、原発巣が右側か左側かによって期待できる効果が異なるため、RAS野生型で左側に発生したがんでは、抗EGFR抗体薬を含む治療が検討されやすくなります。

MSI-HighまたはdMMRの大腸がんでは、一次治療から免疫チェックポイント阻害薬を検討します。ペムブロリズマブのほか、ニボルマブとイピリムマブを組み合わせる治療も選択肢です。

BRAF V600E変異がある切除不能大腸がんでは、従来の細胞障害性抗がん薬だけでなく、BRAF阻害薬のエンコラフェニブ、抗EGFR抗体薬のセツキシマブ、mFOLFOX6を組み合わせる一次治療が選択肢に加わっています。

参考:MSI-High/dMMR切除不能大腸がんに対する免疫療法|大腸癌研究会

一次治療の効果が低下した場合は、使用していない薬へ変更します。後方の治療では、トリフルリジン・チピラシルとベバシズマブの併用、レゴラフェニブ、フルキンチニブなどを、これまでに使用した薬と全身状態に応じて検討します。

一次治療、二次治療という言葉は、がんの重症度を表すものではなく、薬を使用する順番を表しています。副作用で治療を変更した場合も、次の治療が前の治療より弱いとは限りません。

ステージ4における転移巣の切除、薬物療法から手術へ切り替える判断、治療の見通しについては、以下の記事で詳しく解説しています。

遺伝子・バイオマーカー検査が薬の選択につながる

進行・再発大腸がんでは、がん組織や血液を使って遺伝子・バイオマーカーを調べます。検査は、がんになりやすい体質を調べる遺伝学的検査とは目的が異なり、主に現在のがんへ使用できる薬を選ぶために行います。

検査・異常 治療選択との主な関係
RAS 変異がある場合は、セツキシマブやパニツムマブなどの抗EGFR抗体薬による効果を期待しにくい
BRAF V600E BRAF阻害薬と抗EGFR抗体薬を含む治療の対象になる
MSI-High/dMMR 免疫チェックポイント阻害薬の効果を期待できる可能性がある。リンチ症候群を疑う手がかりにもなる
HER2陽性 抗HER2療法を検討する材料になる
KRAS G12C 治療歴がある場合、KRAS G12C阻害薬のソトラシブとパニツムマブの併用を検討できる
NTRK融合・RET融合 頻度は低いが、融合遺伝子を標的とする薬の対象になる可能性がある
TMB-High がん種を問わない免疫チェックポイント阻害薬の適応を検討する材料になる

これらを最初から一つずつ調べる場合もあれば、複数の遺伝子を同時に調べるがん遺伝子パネル検査を検討する場合もあります。パネル検査は、標準治療が終了した、または終了する見込みのある人などが主な対象ですが、検査を受けても治療につながる遺伝子異常が見つからないことがあります。

検査結果の説明を受ける際は、何を調べた検査なのか、結果によって現在の治療が変わるのか、将来の治療や臨床試験の候補になるのか、遺伝性の可能性を示す結果ではないかを確認します。

薬の効果と生活への負担を一緒に評価する

薬物療法は、決められた量を休まず続けることだけが目標ではありません。副作用が強い場合には、休薬、減量、薬の変更を行いながら、治療を続けられる状態を保つことも大切です。

治療中は、CTなどによる病変の変化、腫瘍マーカー、症状、体重、血液検査、副作用を組み合わせて効果と負担を評価します。がんが小さくなっていても、強い副作用によって食事や歩行、仕事が難しくなっている場合は、治療内容の調整が必要になることがあります。

診察では、治療の目的、使用する薬を選んだ理由、予定している期間、効果を確認する時期、どのような副作用で連絡すべきか、効果がなくなった場合の次の選択肢を確認します。

治療薬ごとの副作用と仕事・食事・外出への影響については、後の「治療の副作用と生活への影響」で詳しく解説します。

大腸がんの放射線治療

放射線治療は、がんへ放射線を照射し、がん細胞の増殖を抑える局所治療です。大腸がんの中でも、主に直腸がんの骨盤内再発を抑える治療や、進行・再発がんによる症状を和らげる治療として用いられます。

結腸がんでは、腸管が腹部の中で動きやすく、周囲に放射線の影響を受けやすい小腸などがあるため、放射線治療が初回治療の中心になることは多くありません。一方、直腸は骨盤内で位置が比較的固定されているため、病変の範囲を定めて照射しやすく、手術や薬物療法と組み合わせる場合があります。

直腸がんでは局所再発の危険を踏まえて術前治療を検討する

局所進行直腸がんでは、手術前に放射線治療と薬物療法を組み合わせる化学放射線療法を検討することがあります。がんを小さくして切除しやすくすることや、骨盤内での再発を減らすことが主な目的です。

ただし、国内では、切除可能な直腸がんのすべてに術前放射線治療を行うわけではありません。日本では、直腸間膜切除や必要に応じた側方リンパ節郭清を含む手術が治療の基本となっており、術前放射線治療は、がんが周囲へ広がっている、切除断端が近くなる可能性がある、局所再発の危険が高いといった場合に検討されます。

治療を選ぶ際には、骨盤MRIなどから、がんの深さ、リンパ節転移、直腸間膜筋膜との距離、肛門との位置関係を確認します。術前治療によってがんが縮小しても、必ず肛門を温存できるわけではなく、手術を行わずに済むことが保証されるわけでもありません。

薬物療法と放射線治療を手術前にまとめて行うTNTや、治療後にがんが確認できなくなった場合に手術を行わず経過観察する非手術管理も検討されています。ただし、国内では対象となる患者さんの選び方や長期的な安全性に未確立の部分があり、経験のある医療機関で慎重に判断する必要があります。

進行・再発がんでは症状を和らげる目的でも行う

進行・再発大腸がんでは、がんを完全に治すことではなく、症状を軽くして生活を保つ目的で放射線治療を行うことがあります。

対象となる主な症状には、次のようなものがあります。

  • 骨盤内の再発や直腸の腫瘍による痛み、出血、便通障害
  • 骨転移による痛みや骨折の危険
  • 脳転移による頭痛、吐き気、めまい、神経症状
  • 肺や気管支周囲の転移による出血や気道の狭窄

症状緩和を目的とする場合は、根治を目指す照射よりも短い期間で治療することがあります。効果が現れるまでの期間や、どの程度の症状改善が期待できるかは、照射する部位、病変の大きさ、全身状態によって異なります。

放射線治療を提案されたときは、根治、局所再発予防、がんの縮小、症状緩和のどれを目的としているのかを確認することが大切です。

放射線治療の副作用と生活への影響

放射線治療の副作用は、放射線を照射した範囲に現れやすく、治療中から直後に起こる早期の副作用と、数カ月から数年後に現れる晩期の副作用があります。

骨盤へ照射する場合は、治療が進むにつれて、下痢、腹痛、頻回の排便、肛門周囲の痛み、排尿時の痛み、皮膚炎、倦怠感などが現れることがあります。薬物療法を併用する場合は、食欲低下や血球減少などが加わることもあります。

下痢や頻回の排便が強くなると、通勤や外出が難しくなったり、夜間に何度もトイレへ行って睡眠が妨げられたりします。治療は平日に繰り返し通院して行うことが多いため、治療期間、通院回数、1回の所要時間を事前に確認し、仕事や家族の支援を調整しておくことも必要です。

治療終了後しばらくたってから、腸管や膀胱からの出血、潰瘍、腸閉塞、頻回の排便、まれに穿孔や瘻孔などが起こることがあります。血便が増える、強い腹痛が続く、便やガスが出ない、排尿時の痛みや血尿があるといった場合は、治療から時間がたっていても医療機関へ相談してください。

副作用の程度によっては、整腸薬や止瀉薬、皮膚の処置、食事内容の調整、治療の一時中断などを行います。症状を我慢して予定どおり照射を続けることが常に最善とは限らないため、生活への影響も含めて放射線治療科へ伝えることが大切です。

大腸がんの免疫療法は適応と治療根拠を確認する

免疫療法は、免疫の働きを利用してがんを攻撃する治療の総称です。ただし、「免疫療法」と呼ばれる治療が、すべて同じ仕組みや治療効果を持つわけではありません。

大腸がんで有効性が確認され、保険診療で使用されている免疫療法の中心は、免疫チェックポイント阻害薬です。主に、MSI-HighまたはdMMRと確認された切除不能・再発大腸がんが対象となり、ペムブロリズマブや、ニボルマブとイピリムマブの併用療法などを検討します。

ニボルマブとイピリムマブの併用療法は、2025年8月に、MSI-Highの治癒切除不能な進行・再発結腸・直腸がんに対して、一次治療から使用できるようになりました。ただし、併用療法では免疫に関係する副作用が増える可能性があるため、単独療法との使い分けは、全身状態、持病、副作用の危険などを踏まえて判断します。

また、標準治療後など一定の条件を満たすTMB-Highの固形がんでは、ペムブロリズマブを検討できる場合があります。どの治療を使用できるかは、検査結果だけでなく、これまでに受けた治療や国内で承認された適応条件によっても変わります。

一方、大腸がんの多くを占めるMSSまたはpMMRでは、現在の免疫チェックポイント阻害薬による十分な効果は確立していません。免疫療法を希望する場合は、まず自分のMSI/MMRやTMBの検査結果を確認する必要があります。

参考:MSI-High切除不能進行・再発大腸がんに対するニボルマブ+イピリムマブ併用療法|大腸癌研究会

自由診療の免疫療法とは区別して考える

自由診療では、がんワクチン、樹状細胞療法、活性化リンパ球療法などが「免疫療法」として紹介されることがあります。これらは、承認された免疫チェックポイント阻害薬とは、治療の仕組み、対象となる患者さん、効果を裏付ける臨床試験、費用負担が異なります。

自由診療であることだけを理由に治療を否定することはできませんが、大腸がんに対して有効性が確立した標準治療であるかのように受け取らないことが大切です。「免疫を高める」「副作用が少ない」「末期でも受けられる」といった説明だけでは、治療効果を判断できません。

治療を検討する際は、次の内容を確認します。

  • 国内で大腸がんに対して承認されている治療か
  • 自分のMSI/MMRやTMBなどの検査結果が適応条件を満たすか
  • 効果はどの段階の臨床試験で確認されているか
  • 標準治療と比較して、生存期間や進行抑制への利益が示されているか
  • 主な副作用と、重い副作用が起きた場合の対応体制はあるか
  • 費用の総額、治療期間、予定する投与回数はどの程度か
  • 受けることで標準治療の開始や継続へ影響しないか

免疫療法という名称ではなく、どの薬や治療法を、どの検査結果に基づいて、何を目標に行うのかを確認します。標準治療以外の選択肢を探している場合も、治療を開始する前に、薬物療法の残された選択肢、がん遺伝子パネル検査、参加可能な臨床試験について主治医やセカンドオピニオンで相談すると、比較したうえで判断しやすくなります。

参考:免疫チェックポイント阻害薬の最適使用推進ガイドライン|医薬品医療機器総合機構

治療の副作用と生活への影響

大腸がんの薬物療法では、使用する薬によって副作用の種類や現れる時期が異なります。同じ治療を受けても症状の強さには個人差があり、すべての副作用が現れるわけではありません。

副作用は、単に我慢できるかどうかだけでなく、食事を取れるか、眠れるか、仕事や家事を続けられるか、安全に外出できるかという生活面からも評価します。早い段階で症状を伝えることで、支持療法、休薬、減量、薬の変更などによって治療を続けられる場合があります。

オキサリプラチンではしびれと冷たい刺激に注意する

FOLFOXやCAPOXに含まれるオキサリプラチンでは、手足や口の周りのしびれ、感覚の低下などの末梢神経障害が起こることがあります。

投与後には、冷たい飲み物を口にしたときや冷たい物に触れたときに、手指や口の周りがしびれる、喉が締め付けられるように感じるなど、冷たい刺激によって誘発される症状が現れることがあります。投与後しばらくは、冷たい飲食物を避け、冷蔵庫内の物を触るときは手袋を使うなどの対策を取ります。

治療を重ねると、冷たさとは関係なくしびれが続くことがあります。箸を使いにくい、ボタンを留めにくい、文字を書きにくい、物を落とす、つまずきやすいといった変化があれば、日常生活への影響が大きくなる前に伝えてください。

しびれは治療を終了した後も残ることがあるため、強くなってからではなく、症状が現れた段階で治療量や期間を調整できるか相談することが大切です。

イリノテカンでは下痢と好中球減少が問題になる

FOLFIRIやFOLFOXIRIに含まれるイリノテカンでは、下痢と好中球減少が代表的な副作用です。

下痢は投与中や投与直後に起こる場合と、数日たってから起こる場合があります。水分を十分に取れないほど続くと、脱水、腎機能低下、体重減少などにつながり、通勤や外出、睡眠にも影響します。

排便回数、便の状態、腹痛、飲水量を記録し、処方された下痢止めの使用方法をあらかじめ確認しておきます。下痢が続く、血便を伴う、水分を取れない、強い腹痛や発熱がある場合は、自己判断で様子を見ずに医療機関へ連絡します。

好中球が減少すると感染症にかかりやすくなりますが、血液検査を受けるまで自覚症状がないこともあります。38℃以上の発熱、または医療機関から指定された体温以上の発熱、悪寒、強いだるさがある場合は、夜間や休日を含めた連絡方法に従って相談してください。

カペシタビンでは手足症候群や下痢が起こることがある

CAPOXなどで使用するカペシタビンは、内服する細胞障害性抗がん薬です。主な副作用には、下痢、口内炎、食欲低下、血球減少のほか、手足症候群があります。

手足症候群では、手のひらや足の裏に、赤み、腫れ、ヒリヒリする痛み、感覚の変化などが現れます。悪化すると、歩く、靴を履く、包丁を使う、パソコンを操作するといった日常動作が難しくなることがあります。

治療開始時から保湿を行い、熱い風呂、長時間の歩行、強い摩擦などを避けます。痛みや水ぶくれが現れた場合は、次の診察まで我慢せず、服用を続けてよいか医療機関へ確認してください。

内服薬は自宅で治療できる利点がありますが、飲み忘れた分をまとめて服用したり、副作用が強いまま自己判断で続けたりしないことが大切です。服用方法を間違えた場合や、薬を飲めない状態が続いた場合も、医師や薬剤師へ相談します。

抗EGFR抗体薬では皮膚と爪の症状が現れやすい

セツキシマブやパニツムマブなどの抗EGFR抗体薬では、顔や胸、背中などにニキビのような発疹が現れるざ瘡様皮疹、皮膚の乾燥、かゆみ、爪の周囲の炎症などが起こることがあります。

ざ瘡様皮疹は治療開始後の比較的早い時期に現れやすく、皮膚の乾燥や爪囲炎は治療を続ける中で目立つことがあります。見た目だけの問題ではなく、顔の症状によって人に会うことが負担になったり、指先の痛みで家事や仕事が難しくなったりする場合があります。

治療開始時から保湿剤や日焼け止めを使用し、必要に応じて抗菌薬や外用薬で予防・治療します。皮膚症状があるから薬が効いている、または症状がないから効いていないと、自分で判断することはできません。

抗EGFR抗体薬では、血液中のマグネシウムが低下することもあります。強い倦怠感、筋肉のけいれん、しびれ、動悸などがある場合は、血液検査の結果と合わせて確認します。

ベバシズマブでは血圧や出血、血栓などを確認する

ベバシズマブでは、高血圧、蛋白尿、出血、血栓、消化管穿孔、創傷治癒の遅れなどが起こることがあります。高血圧や蛋白尿は自覚症状がない場合もあるため、治療中は血圧測定や尿検査を行います。

突然の強い腹痛、胸の痛みや息苦しさ、片側の手足の腫れ、ろれつが回らない、片側の手足に力が入らないなどの症状がある場合は、消化管穿孔や血栓症などの可能性があるため、速やかな連絡・受診が必要です。

ベバシズマブは傷の治りに影響することがあります。手術、抜歯、内視鏡的な処置などを予定している場合は、薬を使用していることを担当医へ伝え、投与を休む期間を確認します。

免疫チェックポイント阻害薬では治療後の症状にも注意する

免疫チェックポイント阻害薬では、免疫が正常な臓器を攻撃することで、肺、腸、肝臓、皮膚、甲状腺などの内分泌器官、神経や筋肉などに炎症が起こることがあります。副作用が起こる場所や時期を正確に予測することは難しく、治療中だけでなく、治療終了後に現れる場合もあります。

次のような症状がある場合は、軽く見えても治療を受けている医療機関へ相談します。

  • 新しく現れた咳、息苦しさ、胸の痛み
  • 下痢、排便回数の増加、強い腹痛、血便
  • 皮膚や白目が黄色くなる、尿の色が濃くなる
  • 強いだるさ、頭痛、めまい、急な体重変化
  • 動悸、異常な喉の渇き、尿量の増加
  • 手足に力が入らない、歩きにくい、物が二重に見える

免疫に関係する副作用では、早期に治療を中断し、ステロイドなどによる治療を始める必要がある場合があります。ほかの医療機関を受診するときも、免疫チェックポイント阻害薬を使用している、または過去に使用していたことを伝えてください。

副作用による休薬や減量は治療の失敗ではない

薬物療法は、予定された量を一度も変更せずに続けることだけが目標ではありません。重い副作用によって体力や臓器機能が低下すると、その後の治療を受けられなくなる場合があります。

症状や血液検査の結果に応じて、投与を延期する、薬の量を減らす、原因となる薬だけを中止する、別の治療へ変更するといった調整を行います。副作用を抑えながら、必要な治療を安全に続けるための調整と考えることができます。

治療中は、次の内容を記録しておくと診察時に伝えやすくなります。

  • 症状が始まった日と、治療後何日目に強くなったか
  • 体温、排便回数、食事量、体重の変化
  • 仕事、家事、睡眠、歩行などで困ったこと
  • 処方された薬を使用して症状が改善したか

副作用がつらいときは、「まだ我慢できる」と考えるのではなく、生活のどの場面に支障が出ているかを具体的に伝えます。治療を継続する利益と負担を定期的に見直し、現在の病状と生活に合った治療量や治療間隔を相談することが大切です。

参考:免疫療法の副作用|国立がん研究センター がん情報サービス
参考:患者向医薬品ガイド|医薬品医療機器総合機構

大腸がんのステージ別生存率

大腸がんの予後は、診断された時点のステージによって大きく異なります。がんが大腸の壁にとどまっている段階では根治を目指しやすい一方、リンパ節や離れた臓器へ広がるほど、治療後の再発や進行の可能性が高くなるためです。

国立がん研究センターの院内がん登録では、ステージ1〜4の大腸がんについて、5年・10年ネット・サバイバルが公表されています。ステージ0は同じ集計で独立した数値が公表されていないため、以下の表には含めていません。ステージ0はがんが粘膜内にとどまる段階で、内視鏡治療などによって完全に切除できれば、根治を目指せる場合が多いと考えられます。

ステージ 5年ネット・サバイバル
2014~2015年診断例
10年ネット・サバイバル
2012年診断例
ステージ1 92.3% 79.2%
ステージ2 85.5% 70.7%
ステージ3 75.5% 61.6%
ステージ4 18.3% 11.6%

ネット・サバイバルとは、がん以外の病気や事故などによる死亡の影響を統計的に調整し、がんだけが死亡原因になると仮定して算出した生存率です。実際に診断された患者さんのうち、何%がその時点で生存していたかを単純に示す実測生存率とは異なります。

表の5年と10年の数値は、同じ患者さんを5年後と10年後まで追跡して比較したものではありません。5年ネット・サバイバルは2014~2015年診断例、10年ネット・サバイバルは2012年診断例を対象としており、診断年、対象施設、患者集団が異なる別々の統計です。

そのため、たとえばステージ4の数値が5年の18.3%から10年の11.6%へ低下したと単純に計算することはできません。それぞれ、異なる患者集団における5年後と10年後の傾向を示す数字として受け止める必要があります。

記事冒頭で紹介した71.4%は、2009~2011年診断例を対象に、すべてのステージを合わせて算出した5年相対生存率です。表の数値とは対象となる診断年、患者集団、計算方法が異なるため、直接比較することはできません。

参考:院内がん登録生存率最新集計値|国立がん研究センター がん情報サービス

ステージが同じでも見通しは一人ひとり異なる

生存率は、同じステージと診断された多くの患者さんの経過を集計した統計であり、個人の余命を示す数字ではありません。同じステージ2でも、がんが大腸の壁を越えた程度、腸閉塞や穿孔の有無、脈管侵襲などによって再発リスクは異なります。ステージ3でも、転移したリンパ節の数や場所、がんの深さによって見通しは同じではありません。

ステージ4では、さらに病状の幅が大きくなります。肝臓や肺への転移が限られ、原発巣と転移巣をすべて切除できる場合と、複数の臓器へ広がり切除が難しい場合では、期待できる治療効果が異なります。遺伝子・バイオマーカー、薬物療法への反応、年齢、全身状態、持病も見通しに影響します。

表の対象は2014~2015年に診断された患者さんです。その後に使用できるようになった薬物療法の治療成績は、この統計に十分反映されていません。一方で、新しい薬が増えたからといって、すべての患者さんの経過が表の数値より良くなると断定することもできません。

ステージ4の切除可能性、薬物療法、完治の可能性、生存率の受け止め方については、以下の記事で詳しく解説しています。

ステージが上がるほど再発の可能性も高くなる

大腸がんは、手術によって確認できるがんを取り切れても、画像に写らない微小ながん細胞が残り、後から再発することがあります。

国立がん研究センターでは、大腸がんの手術後の再発率について、ステージ1で約5%、ステージ2で約15%、ステージ3で約30%としています。ステージは再発リスクを考える重要な目安ですが、同じステージの中でも、病理検査の結果や術後補助化学療法の有無によって再発の可能性は異なります。

再発する場合、その85%以上は手術後3年以内、95%以上は5年以内に見つかるとされています。そのため、治療後は一般に5年間を目安として、血液検査、腫瘍マーカー、CT検査、大腸内視鏡検査などによる経過観察を受けます。

大腸がんが再発しやすい場所は、肝臓、肺、手術した場所の周辺、腹膜、リンパ節などです。経過観察中に、血便、便通の変化、長引く咳、息苦しさ、腹痛、背中や骨の痛み、原因不明の体重減少などが現れた場合は、定期検査の日まで待たずに医療機関へ相談します。

生存率だけで治療の価値を判断しない

生存率が高いステージでも再発の可能性がなくなるわけではなく、生存率が低いステージでも治療を受ける意味がないわけではありません。

ステージ4では、病変を完全に消すことが難しい場合でも、薬物療法によって進行を抑え、食事、排便、仕事や家事などの日常生活を長く保てることがあります。転移巣が縮小し、手術を検討できる状態へ変わる患者さんもいます。

自分の見通しを確認するときは、生存率の数字だけでなく、がんをすべて切除できるか、再発リスクはどの程度か、どの遺伝子・バイオマーカーがあるか、治療がどの程度効いているか、体力や臓器機能を保てているかについて説明を受けることが大切です。

参考:院内がん登録生存率集計結果閲覧システム

標準治療で効果が得られないときの考え方

標準治療とは、単に広く行われている治療ではなく、臨床試験などの科学的根拠から、現時点で有効性と安全性のバランスが優れていると判断された治療です。ただし、標準治療であっても、すべての患者さんに同じ効果が得られるわけではありません。

進行・再発大腸がんでは、薬物療法を続ける中でがんが再び大きくなる、副作用が強くなる、体力や臓器機能が低下して治療を続けにくくなることがあります。このような場合は、単に「治療が効かなかった」と考えるのではなく、治療を変更する理由を明確にすることが、その後の選択につながります。

効果が不十分になった場合は、これまでに使用していない承認薬が残っていないか、遺伝子・バイオマーカー検査の結果から選べる治療がないかを確認します。必要な検査がまだ行われていない場合や、以前の検査後に新たな治療選択肢が加わった場合には、検査結果をあらためて見直すこともあります。

標準治療として推奨される薬を一通り使用した場合は、がん遺伝子パネル検査や臨床試験が選択肢になることがあります。ただし、検査を受けても治療へ結び付く遺伝子異常が見つからない場合があり、臨床試験も参加条件を満たせば必ず治療を受けられるわけではありません。

治療方針に迷う場合は、別の医療機関でセカンドオピニオンを受ける方法もあります。セカンドオピニオンは転院を前提とするものではなく、現在の診断や治療方針について別の医師の意見を聞き、選択肢を整理するために利用できます。

抗がん治療の選択肢が少なくなった場合でも、受けられる医療がなくなるわけではありません。痛み、吐き気、便通障害、食欲低下、不眠、不安などを軽減する緩和ケア・支持療法や、必要に応じた放射線治療、手術、ステント治療などによって、症状と生活への影響を抑えられる場合があります。

診察では、次の内容を確認すると、現在の状態と次の選択肢を整理しやすくなります。

  • 現在の治療を変更・終了する理由は、がんの進行、副作用、体力低下のどれか
  • 使用していない承認薬や、検査結果に対応する治療が残っているか
  • 手術や放射線治療など、薬物療法以外の治療を検討できる病変があるか
  • がん遺伝子パネル検査や臨床試験の対象になる可能性があるか
  • セカンドオピニオンを受けることで確認したい内容は何か
  • 症状と生活を保つために、今から利用できる緩和ケア・支持療法は何か

新しい治療や自由診療を検討する場合は、「新しい」「先端的」という表現だけで判断せず、標準治療と比べた効果と安全性がどこまで確認されているかを確認します。臨床試験で検証中の治療は、標準治療より優れていることが確定した治療ではありません。

参考:標準治療と診療ガイドライン|国立がん研究センター がん情報サービス

大腸がんの治療を選ぶときに確認すること

大腸がんの治療は、ステージや遺伝子・バイオマーカーの結果だけで決まるものではありません。治療によって何を目指すのか、期待できる利益はどの程度か、治療後の生活にどのような負担が生じるかを確認し、本人が重視することも含めて方針を決めます。

たとえば、手術にはがんを取り切って根治を目指す目的がありますが、合併症や排便機能への影響が生じる可能性があります。術後補助化学療法は再発の危険を下げるために行いますが、再発を完全に防ぐ治療ではなく、しびれなどが治療後も残る場合があります。

切除不能・再発大腸がんの薬物療法では、病変を小さくして手術を目指すこと、進行を遅らせること、症状を軽減することなど、病状によって治療の目的が異なります。同じ薬物療法でも、何を成果とするかによって、効果の評価方法や治療を続ける条件が変わります。

治療を受ける場合と受けない場合を比較する

治療を選ぶときは、副作用の危険だけでなく、治療を受けなかった場合や開始を遅らせた場合に起こり得ることも確認します。

たとえば、手術を受けなければ腸閉塞や出血が起こる可能性があるのか、術後補助化学療法を行わなければ再発リスクがどの程度変わるのか、薬物療法を休むことでがんが進行する可能性はどの程度あるのかを、現在の病状に即して説明してもらいます。

病状によっては、治療を急いで開始するよりも、追加検査の結果を待つ、体力や栄養状態を整える、複数の治療法を比較するといった時間を取れる場合があります。治療をいつまでに始める必要があるかも確認します。

主治医に次の内容を尋ねると、治療の利益と負担を整理しやすくなります。

  • この治療は、根治、再発予防、病気の進行抑制、症状緩和のどれを目指すのか
  • 自分と近い病状では、治療によってどの程度の利益が期待できるか
  • 起こりやすい副作用と、長期間残る可能性がある後遺症は何か
  • 治療を受けない場合や開始を遅らせた場合、どのような危険があるか
  • ほかに選べる治療や、治療を行わず経過を見る選択肢があるか
  • どのような検査結果や症状があれば、治療を変更・終了するのか

術後補助化学療法については「再発率が下がる」という説明だけでなく、自分の再発リスクが治療によって何%程度変わると見込まれるかを確認します。数字を示せない場合には、その治療を強く勧める理由となっている病理所見を尋ねます。

進行・再発大腸がんでは、腫瘍の縮小率や生存期間だけでなく、食事、排便、歩行、仕事、家事などをどこまで保てるかも治療を評価する材料です。画像上で病変が残っていても、進行を抑えながら日常生活を維持できていれば、治療による利益が得られていると考えられる場合があります。

家族と本人で重視することが異なる場合もあります。本人が仕事や育児の継続を優先したい、人工肛門を避けたい、通院回数を減らしたいと考えている場合は、その希望を早い段階で医療者へ伝えます。ただし、希望する治療が医学的に安全でない場合や、期待する効果が得られにくい場合もあるため、選べる範囲と理由について説明を受けます。

治療方針に迷う場合は、セカンドオピニオンを利用できます。セカンドオピニオンは転院を前提とするものではなく、診断や提案された治療について別の医師の意見を聞き、現在の方針を理解するためにも利用できます。

納得できる治療を選択するために

大腸がんは、早期には症状が乏しく、血便や便通異常が現れても痔や体調の変化と区別しにくい病気です。症状がない40歳以上の人は年1回の便潜血検査を受け、血便や排便習慣の変化などがある場合は、検診を待たずに医療機関を受診します。

大腸がんと診断された後は、ステージだけでなく、結腸がんと直腸がんのどちらか、病変を切除できるか、病理検査でどのような再発リスクが認められたか、治療選択に関係する遺伝子・バイオマーカーがあるかを確認します。

治療法には、内視鏡治療、手術、薬物療法、放射線治療があります。症状や治療の副作用を軽減する緩和ケア・支持療法は、病気が進行した後だけでなく、診断時や治療中から利用できます。治療を受けた後も、再発や新たな大腸病変、治療による合併症を確認するため、定期的な診察と検査が必要です。内視鏡治療後は主に大腸内視鏡検査、手術後は血液検査、CT検査、大腸内視鏡検査などを、ステージや治療内容に応じた間隔で受けます。

治療を選ぶときに確認したいのは、治療名の新しさや知名度ではありません。現在の病状で何を目指す治療なのか、その効果をどのように評価するのか、生活へどのような影響があるのか、効果が不十分だった場合に次の選択肢があるかを理解することが、納得できる判断につながります。

説明を受けても判断が難しい場合は、質問をメモして再度説明を求めたり、家族に同席してもらったり、がん相談支援センターやセカンドオピニオンを利用したりする方法があります。すぐに結論を出すことだけを優先せず、治療を開始する期限を確認したうえで、自分に必要な情報を整理しましょう。

再発・転移・ステージ4

諦めないがん治療の選択肢があります。

今の治療に限界、不安を感じている方緩和ケアを提示された方へ10種のがん治療から次の一手をご提案します。

  • 治療実績5,000回以上
  • ステージ4に対する豊富な治療実績
  • 難治性を含む幅広いがん種に対応
  • 全国展開4都市 (東京・名古屋・大阪・福岡)
  • 標準治療との複合治療も可能
  • 往診、当日治療も可能

がん光免疫療法、核酸医薬、分子標的ワクチン療法など、様々な治療法を用いてあなたのがんと闘います。

がん中央クリニックグループ

がん治療専門クリニック

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再発・転移・ステージ4でお悩みの方、
標準治療中で今後に不安がある方へ。

まずは、ご自身に合った相談方法をお選びください

がん情報サポートサイト編集部

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がんと向き合うすべての方へ。
知りたいことに寄り添い、大切な選択の助けとなる情報をお届けします。

がんと診断されたとき、治療を選ぶとき、何を信じればいいのか迷うことがあるかもしれません。私たちがん中央クリニックグループの「がん情報サポート編集部」は、そんな不安に寄り添い、信頼できる医療情報をお届けするために生まれました。

医師や看護師、医療ライター、患者支援スタッフが協力し、専門的な知識を、わかりやすく、正確に発信することを心がけています。

「本当に知りたいことが、きちんと届くように」そんな想いを込めて、これからも情報をお届けしていきます。

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