- 実施できる化学療法や薬物療法には制限がある。
- 再発率が非常に高いため再発抑制をすることが大切。
- 完治(寛解)を目指すには、適切に治療を行うことが重要。
神経内分泌腫瘍(NEN:Neuroendocrine Neoplasm)とは、ホルモンなどを分泌する神経分泌細胞を原発とする腫瘍であり、直腸や膵臓や、小腸をはじめとする消化管、または肺など全身の臓器に病変が出現すると報告されています。
日本では、1年間で約4,000人の方しか発症しない希少がんの一種であり、病名を聞かれたことがない方も多いでしょう。30~60歳の方が発症しやすく遺伝子異常が大きな原因の1つと考えられています。
同じ神経内分泌腫瘍でも悪性度に大きな違いがあり、神経内分泌腫瘍(NEN)は大きく2つに分類されます。
まず1つ目が悪性度が最も高い「神経内分泌がん」であり、NEC(Neuroendocrine Carcinoma)とも呼ばれます。ちなみに、悪性度が高い、とは「腫瘍自体が増大しやすく転移もしやすい」という意味です。
もう1つは、「神経内分泌腫瘍」であり、NET(Neuroendocrine Tumor)です。なお、NENとNETは日本語に訳すと、どちらも神経内分泌腫瘍であるため注意が必要です。
神経内分泌腫瘍(NET)はさらに、悪性度が低いものから順番に、NET G1、NET G2、NET G3にGrade分類されます。
以上のように、神経内分泌腫瘍(NEN)の中には様々な種類の腫瘍やがんがあり、各々で予後や治療方針が異なるため、正確に分類することが重要です。
目次
原因
神経内分泌腫瘍の正確な原因はまだ完全には解明されていませんが、遺伝的要因、ホルモンの異常、慢性的な炎症、環境要因などから発生すると考えられています。
その中でも、遺伝子の機能異常が特に大きく関わっていると報告されています。
参考:がん全ゲノム解析等の網羅的ゲノム解析による消化器神経内分泌がんの病態解明 ~世界に先駆けて難敵ながんの本態を解き明し、薬剤開発の推進に期待~|大阪大学大学院医学系研究科・医学部
症状
神経内分泌腫瘍の症状は様々です。神経内分泌腫瘍の細胞がインスリンなどのホルモンを分泌して、低血糖によるめまい、ふらつき、倦怠感などの症状が現れることもあります。これらを、機能性神経内分泌腫瘍と呼びます。
一方で、初期の頃はまったく症状がなく、進行してはじめて倦怠感、黄疸、背部痛、発熱などの症状が出現する場合もあります。
このため、病院へ受診して病気を発見するのが遅れてしまい、治療開始が遅くなることがあります。定期的に内科、もしくは外科の病院を受診したり健康診断を受けたりするのがおすすめです。
診断方法
神経内分泌腫瘍を診断するためには、血液検査や、超音波検査、腹部・胸部CT検査、造影CT検査、PET-CT検査、MRI検査などが有用です。ただし、これらの血液検査や画像検査を施行するだけでは、直腸がんや膵がん、肺がんなどと間違われてしまうことがあります。
そのため最終的には、内視鏡検査や超音波検査(EUS-FNAなど)などを行いながら腫瘍の細胞を採取し、病理検査(顕微鏡検査)にて神経内分泌腫瘍と診断する場合が多いです。
専門的な話ですが、病理診断では、腫瘍組織の分化度(低分化、高分化など)や腫瘍細胞の増殖スピード(Ki67)などを解析し、悪性度の高さを決定しNET G1~G3、NECなどを診断します。
治療方法
神経内分泌腫瘍の治療には、手術で切除できる場合は手術を行うことが標準的な治療法です。手術が困難な場合、化学療法を含む薬物療法や放射線治療などが選択されます。
また、最近では神経内分泌腫瘍は遺伝子異常が深く関わることが判明してきており、最新のがん遺伝子治療が注目されつつあります。がん遺伝子治療は、悪性度の低い神経内分泌腫瘍(NET)はもちろん、悪性度の高いNECにも効果が期待できます。
「神経内分泌腫瘍」や「神経内分泌がん」は完治(寛解)できる疾患
神経内分泌腫瘍はがんと同じように完治できる疾患であり、その唯一の治療法が手術です。ただし、初めて見つかった時に手術ができない状態であれば完治できないわけではありません。
最近では化学療法やがん遺伝子治療などの薬物療法が進歩してきており、薬物療法などで神経内分泌腫瘍を縮小させて手術可能な状態になれば完治する可能性は十分にあります。
「神経内分泌腫瘍」や「神経内分泌がん」における保険診療の限界
神経内分泌腫瘍に対する保険診療には、手術や化学療法があります。
手術法の発達や化学療法、放射線治療の進歩により神経内分泌腫瘍の治療法が発展してきましたが、保険診療では治療が困難な場合があります。
実施できる化学療法や薬物療法の制限
保険診療では使用できる化学療法や薬物療法の数に制限があります。
2025年2月現在において保険診療で用いられる薬物は約6種類です。さらに、特に悪性度の高いNECにおいては使用できる薬物がより少なくなります。これらの薬物を投与した場合、もしくは体に合わない場合には、これ以上は治療法がない、適応がないと先生から説明されてしまいます。
また、1個の新しい抗がん剤や薬物が開発されるまでには10~20年かかると言われています。さらに神経内分泌腫瘍は稀な疾患であるため、一般的な疾患よりも開発が進みにくいという問題点があります。
保険診療では見過ごされる神経内分泌腫瘍(NEN)や神経内分泌がん(NEC)の再発
NENやNECが発見され手術を行った場合でも、再発率は最大約80%と言われています。
参考:日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 P-NETの外科治療および分子標的治療|J-STAGE
そのため、手術実施後に再発リスクが高いと判断された場合には、術後補助化学療法という抗がん剤治療などの薬物療法が勧められることがあります。特に悪性度が最も高いNECの場合は勧められることが多いでしょう。
しかし、再発率が比較的低いNET G1やNET G2の場合(再発率:約15~40%)には術後補助化学療法は行わない、という考え方が一般的です。ここで問題なのは、約15~40%という再発率が低いと言われてしまうことです。
参考:Survival and disease recurrence in patients operated for small intestinal neuroendocrine tumors at a referral hospital Volume 35, December 2020, Pages 336-343 Surgical Oncology|ScienceDirect
Recurrence and treatment trends of pancreatic neuroendocrine tumors Volume 177, January 2025, 108835 Surgery|ScienceDirect
たしかに80%の再発率よりは低いですが、2~6人に1人は再発します。
再発してしまうと、抗がん剤治療などの薬物療法を行うことになります。このようなNETの再発は保険診療では見過ごされてしまっているのが実情です。
化学療法などの薬物療法の「きつい」副作用
薬物療法では抗がん剤やホルモン剤などを用いますが、その副作用は薬物の種類や患者様により個人差があります。神経内分泌腫瘍(NEN)や神経内分泌がん(NEC)で用いられる抗がん剤の一般的な副作用は、嘔気、食欲不振、口内炎、発疹、むくみ、下痢、手足症候群(手足に赤み、むくみ、しびれなどが現れる)、倦怠感、貧血、脱毛、腎障害などです。
そのため、副作用がきつく続けられないと感じる患者様もいらっしゃいます。また、頑張って化学療法を続けていても日常生活が楽しく送れずに気分が落ち込む患者様もいらっしゃいます。
最新の治療法であるがん遺伝子治療がおすすめ
悪性度の低い神経内分泌腫瘍(NET)や悪性度の高いNECの両方とも、様々な遺伝子異常が発症に大きく関与していると報告されています。このような遺伝子異常を直接的に治療できるのががん遺伝子治療です。
例えば、がん抑制遺伝子であるp53、Rb1、p16がかなりの高確率で欠損していると言われています。また、がん遺伝子であるCDC6やKRASも非常に高い確率で発現していると報告されています。
また、がん遺伝子治療には「がん抑制遺伝子」と「核酸医薬」の2種類があります。詳しくは下記をご参照ください。
がん中央クリニックグループのクリニックでは、患者様の状態に合わせて行う最新のがん遺伝子治療を提供できます。是非一度ご相談ください。
保険診療ではカバーしきれない再発予防効果が期待
神経内分泌腫瘍や神経内分泌がんに対して手術を行っても、再発率は15~80%と非常に高いです。
特に再発率が高い神経内分泌がん(NEC)であれば、保険診療で抗がん剤などを使って再発を予防することがあります。しかし、それでも再発率は40%程度あると報告されています。
つまり、保険診療で手術後に再発を抑える治療をする場合もしない場合でも、自由診療であるがん遺伝子治療を行い、少しでも再発抑制をするのがおすすめです。
抗がん剤などの保険診療との相乗効果が期待
がん遺伝子治療は神経内分泌腫瘍や神経内分泌がんへの化学療法などの薬物療法と併用できるとともに、治療効果として相乗効果が期待できます。
なぜなら、化学療法などの薬物療法は産生された神経内分泌腫瘍の細胞やたんぱく質に作用しますが、がん遺伝子治療は細胞やたんぱく質が産生される前段階に作用するため、腫瘍細胞に対して作用するポイントが異なるからです。
神経内分泌腫瘍の完治を目指すためには、様々な治療法が協力しあって効果を発揮することが重要です。
治療継続可能な副作用
がん遺伝子治療には目立った副作用が起こりにくいです。特に、化学療法などの薬物療法で起きやすい嘔気、食欲不振、倦怠感、脱毛、皮膚障害、貧血などはほとんど起こりません。
がん遺伝子治療の副作用としては、一時的な微熱、血圧上昇、顔の紅潮、アレルギー反応(0.3%以下)などがあります。解熱剤など薬物を使う場合もありますが、自然と改善する副作用が大半であり、治療を継続するのに支障をきたしません。
がん遺伝子治療をオススメする患者様
がん遺伝子治療は神経内分泌腫瘍のほとんどの患者様におすすめできる治療法です。
どのような患者様に効果が期待できるのかを以下に具体的に解説します。ぜひご自身のパターンに合わせてがん遺伝子治療をご検討ください。
NENやNECの手術後の患者様
手術後の場合、悪性度の高さによって再発率が異なります。80%もの高い確率で再発する場合には、再発を抑えるために保険診療で術後補助化学療法を医師から勧められることがあります。抗がん剤などの薬物療法を行うことで、再発率が約40%まで減少します。
しかし、それでもなお10人中約4人の患者様は術後補助化学療法だけでは再発してしまうのです。そのため、術後補助化学療法にくわえてがん遺伝子治療を併用することで、より再発抑制効果を期待できます。
また、再発率が約40%以下だと思われる神経内分泌腫瘍(NEN)の患者様には、保険治療では何も行わずにただ経過観察してしまう場合が多いです。つまり、10人に約4人は再発してしまいます。
NENは再発してしまうと手術ができずに抗がん剤治療などの薬物治療しか行えないことが大半であるため、再発させないことこそが重要です。そのため、保険治療で経過観察だけすれば良いのではなく、がん遺伝子治療を行って再発率を可能な限り低くするようにしましょう。
NENやNECに対して薬物治療中の患者様
がん遺伝子治療は、抗がん剤治療などの薬物治療を行っているすべての患者様におすすめできる治療法です。
がんは放置していると大きくなっていくため、様々な治療法を用いてがんを小さくすることが重要です。つまり、保険治療の薬物治療だけでNENやNECに立ち向かうのではなく、がん遺伝子治療を併用することで、異なる治療手段によりNENやNECの縮小がより見込めます。
実際、抗がん剤とがん遺伝子治療を併用することで、がんへの治療効果がより高まったという論文も発表されています。NENやNECは数あるがんの中でも悪性度が極めて高いがんの1つです。そのため、完治を目指すためには様々な治療法を組み合わせて治療を行うことが重要です。
保険治療では治療困難な患者様
神経内分泌腫瘍(NEC)や神経内分泌がん(NEC)に対するがん遺伝子治療は、保険診療ではなく自由診療(保険外診療)であるため、保険診療で治療法がない、と言われた患者様でも実施できます。
がん中央クリニックグループのクリニックでは患者様1人ひとりに合わせたテーラーメイドのがん遺伝子治療を提供しています。
また、がん遺伝子治療では目立った副作用が現れません。そのため、当グループのクリニックへ通院さえ可能であればどのような方でも治療可能です。
例えば、「体力がないため抗がん剤はできません」などと説明された方でもがん中央クリニックの治療は可能です。通院が困難な方には訪問治療も可能な場合もあります。詳しくは一度下記の無料相談窓口へお問い合わせください。
がん中央クリニックグループ
がん治療の無料電話相談窓口
TEL:0120-752-712
神経内分泌腫瘍(NEN)や神経内分泌がん(NEC)の完治を目指して保険診療と患者様に合った自由診療を組み合わせるのがおすすめ
神経内分泌腫瘍や神経内分泌がんは完治(寛解)を目指せる疾患であり、適切に治療を行うことが重要です。
NENやNECは主に遺伝子異常が原因で発症するため、保険診療とがん遺伝子治療を組み合わせたり、保険診療ではカバーできない、対応困難な場合にはがん遺伝子治療を行うことで再発抑制効果や腫瘍縮小効果などが期待できます。
がん中央クリニックグループのクリニックではがん遺伝子治療をはじめ、患者様1人ひとりに合ったがんの自由診療を提案できる施設です。どのような領域にも関わらず豊富な治療症例実績がありますため、神経内分泌腫瘍や神経内分泌がんの患者様は、是非お気軽にご相談ください。一緒に治療法を考え、完治を視野にいれて最善の治療を目指しましょう。