”新しい未来をともに”最先端のがん治療を追求するがん治療専門クリニック ”新しい未来をともに”最先端のがん治療を追求するがん治療専門クリニック

悪性腫瘍malignant-tumor

悪性黒色腫(メラノーマ)は、皮膚の色素細胞であるメラノサイトががん化した皮膚がんで、悪性度が高いことで知られています。

日本人では足の裏や手のひら、爪など日光の当たりにくい部位にできる末端黒子型が約40%を占め、ほくろと見分けがつきにくいため発見が遅れることがあります。初期にはほくろやしみとよく似た見た目で、進行するとリンパ節や他の臓器へ転移します。

早期に切除できれば治癒が十分に望める一方、日本人に多いタイプでは免疫療法が効きにくいことが課題となります。

本ページでは、悪性黒色腫の特徴や原因、症状、診断(ダーモスコピー・病理検査)、そして治療の選択肢についてわかりやすく解説します。治療を検討されている方やご家族が、いまの状況に合う選択肢を整理し、納得のいく方針を考えるための一助となれば幸いです。

  • 日本人では足の裏や手のひらにできる末端黒子型が約40%を占める
  • ほくろやしみと見分けがつきにくく、発見が遅れやすい
  • 早期切除で治癒が望める一方、日本人に多いタイプは免疫療法が効きにくい

悪性黒色腫(メラノーマ)とは

悪性黒色腫は、皮膚がんのなかでも特に悪性度が高いがんで、メラノーマとも呼ばれます。

皮膚にはメラニン色素をつくる「メラノサイト(色素細胞)」があり、これががん化したものが悪性黒色腫です。ほくろやしみと見た目が似ているため、初期には見分けがつきにくいことが特徴です。

日本人の悪性黒色腫には、欧米と異なる大きな特徴があります。

欧米では日光の当たる部位にできるタイプが多いのに対し、日本人では足の裏や手のひら、爪といった日光が当たりにくい部位にできる「末端黒子型(アクラル型)」が多くを占めます。

日本人の大規模データでは、末端黒子型が約40%を占めると報告されています。そのため、「足の裏のほくろ」として見過ごされ、発見が遅れることも少なくありません。

進行するとリンパ節や他の臓器へ転移しやすく、皮膚がんのなかでも予後が厳しいがんです。一方で、早期に発見して切除できれば治癒が十分に望めます。

悪性黒色腫(メラノーマ)の原因

悪性黒色腫は、メラノサイトに遺伝子の異常が積み重なって発生しますが、根本の引き金は完全には解明されていません。最もよく知られた危険因子は紫外線です。ただし、日本人に多い足の裏や手のひらのタイプは日光が当たらない部位であり、紫外線だけでは説明がつきません。

分子のレベルでは、増殖のアクセルを踏み込む「BRAF」の変異が代表的です。

ただしその頻度には人種差・タイプ差が大きく、欧米では約半数に見られるのに対し、日本人では低いことが分かっています。日本人のデータでは、BRAF変異率は全体で約30%と報告されています。

もうひとつ重要なのが、がん細胞の暴走を食い止める「ブレーキ役」の、がん抑制遺伝子「p53(TP53)」です。p53はDNAに傷がついた細胞を修復させ、修復できないものは自然死(アポトーシス)へと導きます。これが壊れると、傷ついた細胞が排除されずに生き残ってしまいます。悪性黒色腫では、このp53変異が20~30%に認められると報告されています。

つまり増殖のアクセルが踏み込まれるだけでなく、ブレーキまで故障してしまう場合があり、それが治療の難しさにつながっています。

悪性黒色腫(メラノーマ)の診断

「ほくろとの見分け」から「確定診断」まで

悪性黒色腫の初期症状は、ほくろやしみとよく似ています。見分け方として、左右非対称、輪郭がギザギザして不明瞭、色むらがある、直径6mm超、大きさや色が変化してくる、といったサインが知られています。足の裏のほくろでこうした変化が見られる場合は注意が必要です。

疑わしい病変には、まず皮膚に拡大鏡を当てて色素のパターンを観察する「ダーモスコピー」を行います。悪性が疑われれば、病変を切除して顕微鏡で調べる病理検査で確定診断とします。診断後は、リンパ節転移を調べるセンチネルリンパ節生検や、全身を調べるCT・PET-CT・脳MRI検査で広がりを評価します。

ステージ(病期)の確定

ステージは、がんの厚さや潰瘍の有無(T)、リンパ節転移(N)、遠隔転移(M)を組み合わせて0期~Ⅳ期に分類されます。がんの厚さは予後と直結し、薄いうちに見つかるほど治癒が望めます。

悪性黒色腫(メラノーマ)の一般的な治療法

早期でがんが皮膚にとどまっていれば、手術による切除が治療の中心です。周囲を含めて十分な範囲を切除し、必要に応じてリンパ節郭清を行います。早期であれば切除で治癒が望めます。

問題は、進行して転移をきたした場合です。

かつて悪性黒色腫は抗がん剤が効きにくい難治がんの代表でしたが、近年2種類の薬が治療を大きく変えました。免疫の力でがんを攻撃する「免疫チェックポイント阻害薬(ニボルマブ、ペムブロリズマブ、イピリムマブ)」と、BRAF変異がある場合に使える「分子標的薬(BRAF阻害薬+MEK阻害薬)」です。現在の進行期治療は、この二本柱で組み立てられます。

悪性黒色腫(メラノーマ)における保険診療の限界

治療は進歩したものの、日本人の悪性黒色腫には保険診療で越えにくい壁があります。

日本人では免疫療法が効きにくいタイプが多い

最大の課題は免疫療法が使いにくい点です。

免疫チェックポイント阻害薬の効果はタイプによって大きく異なります。免疫チェックポイント阻害薬であるニボルマブを投与した場合、日本人患者様の5年生存率は、表在拡大型66.7%に対し、末端黒子型14.3%、粘膜型16.7%にとどまりました。つまり、日本人の主流を占める末端黒子型タイプでは、免疫療法の恩恵が届きにくいのです。

BRAF阻害薬が使える患者様が少ない

BRAF阻害薬は、BRAF変異がある患者様にしか効きません。

前述のとおり日本人のBRAF変異率は約30%と低く、投与可能な患者様は一部にとどまります。欧米では半数が使えるこの薬を、日本人の多くは選択肢にできません。

免疫療法を受けられない・続けられない場合がある

免疫療法やBRAF阻害剤が適応できても、全員が受けられるわけではありません。

自己免疫疾患のある方、全身状態が低下した方、高齢の方では使いにくく、始めても重い免疫関連の副作用で中止せざるを得ないことや、効果が出ず増悪してしまうこともあります。

手術後の高い再発率

早期に切除できても、悪性黒色腫は再発しうる疾患です。特にリンパ節転移があるステージⅢでは、手術単独の場合、5年で約40~90%が再発すると報告されています。

再発予防に術後補助療法(免疫療法やBRAF阻害薬)が行われますが、それでも3年で約半数が再発するため再発を防ぎきれないのが実情です。再発・転移をきたした際、日本人に多いタイプでは、前述のとおり保険診療で選べる有効な手立てが限られてしまいます。

化学療法に伴う「きつい」副作用

免疫療法や分子標的薬が効かなくなると従来の抗がん剤が使われることがあり、吐き気、強い倦怠感、食欲不振、脱毛、骨髄抑制による感染症リスクなどが起こりえます。身体的・精神的な負担から治療の継続が難しくなり、生活の質(QOL)が損なわれるリスクがあります。

悪性黒色腫(メラノーマ)で重要な治療の考え方

日本人の悪性黒色腫は、免疫療法が効きにくいタイプが多く、BRAF阻害薬が使える患者様も少なく、再発のリスクも残るという固有の課題を抱えています。がん中央クリニックグループでは、こうした課題に対して、標準治療とは作用の仕方が異なる治療を選択肢としてご提案しています。

分子レベルの異常にアプローチする「核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)」

がんの発生や進行に関わる分子レベルの異常へ直接働きかける「核酸医薬」は、世界的に研究と臨床応用が進んでいます。

当グループでは治療選択肢として、「アプタマー」「miRNA mimic」「RNA干渉(siRNA)」といった核酸医薬を組み合わせた治療を提供しております。がんは、ひとつの遺伝子異常だけで進むわけではありません。増殖を促す遺伝子、細胞死を妨げる遺伝子、転移や免疫逃避を助ける遺伝子など、複数の異常が絡み合って進行します。核酸医薬は、それぞれの異常に対応する分子を設計し、多角的に攻められる点に特徴があります。

アプタマー核酸医薬は、がん細胞に特有の異常なタンパク質にピンポイントで結合し、その働きをブロックすることで、がんの増殖抑制や死滅を狙う治療薬です。悪性黒色腫では、浸潤や転移に関わるHeparanase、増殖を支えるNucleolin、がん細胞の表面に現れるMUC1、免疫の攻撃を妨げるPD-L1などを標的とします。

miRNA mimic核酸医薬は、がん化によって失われた「体が本来持っているがんを抑制する力」を補い、がんの成長を止め、自然な細胞死(アポトーシス)を促す治療薬です。がんを抑える働きを持つ分子を、外部から補充します。

ここで、先に触れたp53が関わってきます。例えば、当グループで使用できるmiR-34aは、本来p53によって制御される、その下流のブレーキ分子で、p53が働かなくなると失われます。これを外部から補うことで、壊れたブレーキの代わりを果たします。

RNA干渉(siRNA)核酸医薬は、がんの増殖や生存を支える遺伝子の設計図(mRNA)を分解して、その遺伝子がタンパク質を作れないようにする治療薬です。

当グループでは各々の患者様の状態にあわせて、様々な種類のRNA干渉核酸医薬を適切に組み合わせて治療できます。

このように、当グループの核酸医薬は、アプタマー・miRNA mimic・siRNAという3つの異なる仕組みを組み合わせ、増殖・生存・転移といった複数の経路を同時に攻めることを狙います。がん中央クリニックグループでは、がん種ごとに標的となる分子を指定して核酸医薬を設計し、患者様一人ひとりの状態に合わせた治療をご提案しています。

光でがんを狙い撃つ「がん光免疫療法」

がん光免疫療法は、光に反応する薬(光感受性物質)を点滴で投与し、そこに特定の波長のレーザー光を当ててがん細胞を破壊する治療です。光線力学的療法(PDT)の一種で、日本でも一部のがんでは1990年代から保険診療として用いられてきました。

仕組みは大きく2つあります。ひとつは「狙い撃ち」です。光感受性物質はがん細胞に集まる性質があり、そこへレーザーを当てると薬が反応してがん細胞を内側から傷つけます。使うレーザーは手をかざしても熱くない弱い光で、重要なのは熱ではなく薬を反応させる「波長」です。

もうひとつは「免疫の活性化」です。壊れたがん細胞から出る目印を免疫細胞が取り込むことで、離れた場所にある転移巣への攻撃力も高まると期待されます。

悪性黒色腫は皮膚やその近くにできるがんであり、体の外からレーザー光を届けやすい位置にあります。皮膚にとどまる病変や、皮下・リンパ節など経皮的にアプローチできる病変では、光を照射して治療できる可能性があります。

がんの位置や広がりを踏まえて、適応となるかを個別に判断します。体への負担が少なく、年齢やステージを問わず日帰りの通院で受けられること、正常な組織への影響が少なく治療後の副作用が少ないことも特徴です。

免疫の「盾」を外す「ハイブリッド免疫療法」

ハイブリッド免疫療法は、がん細胞が免疫の攻撃から逃れるために使う「盾」、すなわち免疫ブロックタンパク質「PD-L1」を標的とする治療です。

悪性黒色腫の標準治療では、すでに免疫チェックポイント阻害薬が中心的に使われています。そのため、この治療が意味を持つのは、標準の免疫療法の恩恵を受けられない患者様です。前述のとおり、日本人に多い末端黒子型では免疫療法が効きにくく、また副作用や全身状態のために受けられない方、中止せざるを得なかった方、効果が出ず増悪してしまった方もいます。こうした患者様でも、当グループのハイブリッド免疫療法を受けていただけます。

ハイブリッド免疫療法は、PD-L1を内側と外側の両方から無力化します。まず、がん細胞の表面に出ているPD-L1に結合し、免疫の攻撃を妨げる「盾」を取り払います。さらに、がん細胞の中に入り込んで、これから作られるPD-L1の設計図(mRNA)を分解し、新たな「盾」が生まれるのを防ぎます。攻撃を逃れる術を失ったがん細胞を、患者様ご自身の免疫細胞が敵として認識し、攻撃できるようになるという仕組みです。

当グループの診療・治療をおすすめする患者様

当グループで実施可能な治療法は、ほとんどの患者様にご検討いただけます。以下では、どのような患者様に効果が期待できるのかを解説します。ご自身の状況に照らし合わせてご検討ください。

治療方法がない、標準治療では治療困難な患者様へ

悪性黒色腫では、日本人に多いタイプで免疫療法が効きにくいこと、BRAF阻害薬が使える患者様が限られること、免疫療法を受けられない事情があることなどから、保険診療の選択肢が行き詰まることがあります。特に、標準的な治療を使い切って次の手立てが見つからない患者様は少なくありません。

そうした場合でも、核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)、がん光免疫療法、ハイブリッド免疫療法なら、標準治療とは異なるアプローチで治療を提供できます。これらは目立った副作用が起こりにくく体への負担が少ないため、「体力がないため抗がん剤はできません」などと説明された方にも、1つの治療の選択肢となり得ます。また、まだ体力があるのに選択肢がなくなり、緩和治療を勧められている方にとっても、新たな選択肢として検討いただけます。

なお、がん光免疫療法はレーザー光を届けられる位置にがんがあるか、ハイブリッド免疫療法は標準の免疫療法を受けられているかどうかで適応が変わります。ご自身の状況を踏まえて、個別に判断いたします。

保険診療(標準治療)との併用で相乗効果が期待

核酸医薬、がん光免疫療法、ハイブリッド免疫療法は、標準治療と併用でき、相乗効果が期待できます。標準治療がすでに存在するタンパク質やシグナルに作用するのに対し、核酸医薬はそれらが作られる前の遺伝子レベルに作用します。がん光免疫療法は光でがん細胞を局所的に破壊しつつ免疫の活性化も促し、ハイブリッド免疫療法は標準の免疫療法とは異なる仕組みでPD-L1を叩きます。それぞれ攻撃するポイントや仕組みが異なるため、標準治療と組み合わせることでより高い効果が期待できると考えています。

このように、悪性黒色腫の完治を目指すには、複数の治療法を組み合わせることが重要と考えています。標準治療を受けている患者様にとっても、これらの併用は選択肢のひとつとして検討可能です。

再発を抑制・防止するために手術前後の患者様

早期に切除できても、悪性黒色腫は再発しうる疾患です。特にがんが分厚い場合やリンパ節転移がある場合、術後補助療法を行っても再発する患者様は残ります。また、免疫療法やBRAF阻害薬には副作用や適応の制約があり、すべての方が術後補助療法を受けられるわけではありません。

こうした背景から、手術前後に核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)、がん光免疫療法、ハイブリッド免疫療法を併用することは、再発リスクを下げるひとつの選択肢として検討いただけます。

副作用が不安な患者様

核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)、がん光免疫療法、ハイブリッド免疫療法は、目立った副作用が起こりにくい治療です。化学療法で起きやすい嘔気、食欲不振、倦怠感、脱毛、貧血、命に関わる副作用などはほとんど起こりません。免疫チェックポイント阻害薬で問題となる重い免疫関連の副作用も起こりにくい治療です。核酸医薬の副作用としては一時的な微熱、頭痛、アレルギー反応(0.3%以下)などが、がん光免疫療法では治療後しばらく直射日光を避ける必要がある光線過敏や照射部位の反応が、ハイブリッド免疫療法では治療部位の反応などが見られることがあります。

いずれも自然と改善する副作用が大半で、治療の継続に支障をきたすことはありません。「体力面や仕事面で副作用の不安がある」「標準治療を続けながら副作用をできるかぎり抑えたい」という方にも受けていただける治療です。

悪性黒色腫(メラノーマ)の完治を目指して、保険診療と患者様に合った治療を組み合わせる

悪性黒色腫は、日本人に多いタイプでは免疫療法が効きにくく、BRAF阻害薬も使いにくいという壁が立ちはだかる疾患です。しかし、早期に発見し、適切に治療を行えば完治を目指せる疾患でもあります。

発症要因にBRAFやp53といった遺伝子異常があるため、保険診療と核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)、がん光免疫療法、ハイブリッド免疫療法などを組み合わせる集学的治療が有効な選択肢となります。保険診療だけではカバーしきれない場合でも、これらの治療によって腫瘍縮小効果や再発抑制効果が期待できます。

がん中央クリニックグループでは、こうした「アプタマー核酸医薬」や「miR-34a mimic 核酸医薬」をはじめ、患者様1人ひとりに合ったがん治療をご提案いたします。悪性黒色腫(メラノーマ)の患者様は、どのような状況の場合でも是非お気軽にご相談ください。

肝内胆管がんは、肝臓の中を走る胆管の細胞から発生するがんで、原発性肝がんの10~20%を占めます。肝細胞がんとは性質も治療法も異なる疾患です。初期にはほとんど症状が出ませんが、進行すると腹痛、体重減少、食欲不振、倦怠感、発熱などが現れ、胆管が詰まると黄疸が出ることもあります。手術で取りきれても再発率が50~60%と高く、難治性のがんとして知られています。

本ページでは、肝内胆管がんの特徴や原因、症状、診断(画像検査・病理検査)、そして治療の選択肢についてわかりやすく解説します。治療を検討されている方やご家族が、いまの状況に合う選択肢を整理し、納得のいく方針を考えるための一助となれば幸いです。

  • 原発性肝がんの10~20%を占め、肝細胞がんとは別の疾患
  • 早期には症状が出にくく、発見が遅れやすい
  • 手術後の再発率が50~60%と高い難治性のがん

肝内胆管がんとは

肝臓にできるがんは、大きく2つに分けられます。

肝臓の細胞そのものから生じる「肝細胞がん」と、肝臓の中を走る胆管から生じる「肝内胆管がん」です。同じ「原発性の肝臓のがん」でありながら、この2つは性質も治療法も異なります。

胆管は、肝臓で作られた胆汁を十二指腸へ送り届ける管です。この胆管の細胞ががん化したものが胆管がんです。そのうち肝臓の内部にある胆管から発生したものを、肝内胆管がんと呼びます。

肝内胆管がんは、原発性肝がんのなかで肝細胞がんに次いで多く、原発性肝がんの10~20%を占めると報告されています。また、世界的に増加傾向にあることも知られています。

このがんの大きな特徴は、難治性であることです。早期には症状が出にくく発見が遅れがちなうえ、手術で取りきれても再発しやすい性質を持ちます。肝内胆管がんは、手術後の再発率が50~60%と高く、5年生存率は約30%にとどまると報告されており、数ある固形がんの中でも、治療の難しいがんと考えられています。

肝内胆管がんの原因

肝内胆管がんは、胆管の細胞に遺伝子の異常が積み重なって発生します。

代表的な遺伝子変異は、増殖のアクセルを踏み込む「KRAS」の変異、細胞の性質を制御する「IDH1」の変異、増殖の信号を送る「FGFR2」の異常などです。

そして、その中で重要な役割を果たす遺伝子の1つが、がん細胞の暴走を食い止める「ブレーキ役」であるがん抑制遺伝子「p53(TP53)」です。p53はDNAに傷がついた細胞を修復させ、修復できないものは自然死(アポトーシス)へと導きます。p53が壊れると、傷ついた細胞が排除されずに生き残ってしまいます。

肝内胆管がんでは、このp53変異が高い割合で起こります。TP53変異は特にアジア人では38%と、非アジア人(6%)より高頻度であることが報告されています。さらに、KRASとTP53の両方に変異を持つ患者様は、そうでない患者様に比べてがんがかなり増悪しやすいと報告されています。両方とも変異がない患者様は平均で18ヶ月増悪しないのに対して、両方とも変異がある患者様は1.4ヶ月で増悪してしまうと言われています。

つまりがんのアクセルが踏み込まれているだけでなく、ブレーキまで故障してしまう場合があり、それが治療の難しさに繋がっています。

肝内胆管がんの診断

「(無)症状」から「確定診断」まで

肝内胆管がんは、初期にはほとんど症状が出ません。進行してくると、腹痛、体重減少、食欲不振、倦怠感、発熱などが現れます。胆管が詰まると、皮膚や白目が黄色くなる黄疸、皮膚のかゆみ、白っぽい便などのサインが出ることもあります。ただ、これらの症状が出た時点では、すでに進行していることが少なくありません。

異常が疑われた場合、まず腹部超音波検査やCT検査、MRI検査といった画像検査で腫瘍の位置や広がりを調べます。血液検査では、腫瘍マーカーであるCA19-9やCEAの値も参考にされます。確定診断のためには、針を刺してがん組織の一部を採取する生検を行い、顕微鏡で調べる病理検査でがんの種類を確認します。

肝細胞がんとの見分けが重要になる点も、このがんの診断の特徴です。2つのがんで治療方針がまったく異なるため、画像所見と病理所見を組み合わせて慎重に診断します。

ステージ(病期)の確定

肝内胆管がんのステージは、腫瘍の大きさや数、血管への広がり(T)、リンパ節転移(N)、他の臓器への遠隔転移(M)を組み合わせて、Ⅰ期~Ⅳ期に分類されます。診断時にすでに進行した状態で見つかることも多く、病期が予後を大きく左右します。

肝内胆管がんの一般的な治療法

肝内胆管がんの治療法は、がんを取りきれるかどうかで大きく変わります。

がんが肝臓の一部にとどまり、切除可能と判断された場合は、手術(肝切除)が唯一の根治を目指せる治療です。手術ではがんのある部分を含めて肝臓を切除します。ただし、肝内胆管がんは診断時にすでに進行していることが多く、手術ができるのは全体の一部にとどまります。

手術ができない場合や、再発・転移をきたした場合は、薬物療法が治療の中心になります。

長らくゲムシタビンとシスプラチンという2種類の抗がん剤の組み合わせが標準でしたが、近年はこれに免疫チェックポイント阻害薬であるデュルバルマブを加える治療が標準となりました。また、FGFR2やIDH1といった特定の遺伝子異常を持つ場合には、それを狙う分子標的薬が使えることもあります。放射線療法が、症状の緩和や局所のコントロールを目的として用いられることもあります。

肝内胆管がんにおける保険診療の限界

肝内胆管がんは、治療の選択肢が広がってきたとはいえ、保険診療にはいくつもの壁があります。

手術ができる患者様が限られる

最大の問題は、根治を目指せる手術の対象となる患者様が限られていることです。前述のとおり、早期には症状が出にくいため、診断された時点ですでに進行しており、手術ができないことも少なくありません。

手術後の高い再発率

手術で切除できたとしても、肝内胆管がんは再発しやすい疾患です。根治切除を行っても、再発率は50~60%程度あると報告されています。手術という最大の手立てを尽くしてもなお、半分以上の患者様は再発のリスクが残るということです。

薬物療法の効果が限定的

手術ができない場合の薬物療法も、その効果は十分とはいえません。免疫チェックポイント阻害薬を加えた現在の標準治療をもってしても、進行例では効果が長続きしないことが多いのが実情です。

実際、免疫療法を含む標準治療を受けた進行例でも、無増悪生存期間の中央値は7.8か月にとどまるという報告があります。さらに、TP53変異を持つ患者様では、この免疫療法を含む治療が効果を発揮しにくいことも分かってきています。

化学療法に伴う「きつい」副作用

抗がん剤では、吐き気、強い倦怠感、食欲不振、脱毛、骨髄抑制による感染症リスクなどが起こりえます。肝臓の機能が低下している患者様では、使える薬の量や種類が制限されることもあります。長期にわたる治療のなかで、身体的・精神的な負担から治療の継続が難しくなり、生活の質(QOL)が損なわれるリスクがあります。

肝内胆管がんで重要な新しい治療の考え方

ここまで述べたように、肝内胆管がんは手術ができる患者様が限られ、再発しやすく、薬物療法の効果も限定的という、数々の課題を抱えています。がん中央クリニックグループでは、こうした課題に対して、標準治療とは作用の仕方が異なる治療を選択肢としてご提案しています。

分子レベルの異常にアプローチする「核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)」

がんの発生や進行に関わる分子レベルの異常へ直接働きかける「核酸医薬」は、世界的に研究と臨床応用が進んでいます。当グループでは治療選択肢として、「アプタマー」「miR-34a mimic」といった核酸医薬を取り入れた治療を提供しております。

アプタマー核酸医薬」は、がん細胞に特有の異常なタンパク質にピンポイントで結合し、その働きをブロックすることで、がんの増殖抑制や死滅を狙う治療薬です。一方で「miR-34a mimic核酸医薬」は、がん化によって失われてしまった「体が本来持っているがんを抑制する力」を補い、がんの成長を止め、自然な細胞死(アポトーシス)を促す治療薬です。

肝内胆管がんでは、p53の変異がアジア人で38%と特に多いです。miR-34a mimicは、miR-34aと同じ働きをする分子を外部から補充することで、p53というブレーキが壊れた細胞に対しても、その先の経路から直接ブレーキをかけ直すことを狙います。故障したブレーキの側から攻めるという発想です。

がん中央クリニックグループでは、がん種ごとに標的となる遺伝子を指定して核酸医薬を設計し、患者様一人ひとりの状態に合わせた治療をご提案しています。複数の核酸医薬を組み合わせて使い分けられる点も、特徴のひとつです。

免疫の「盾」を外す「ハイブリッド免疫療法」

ハイブリッド免疫療法は、がん細胞が免疫の攻撃から逃れるために使う「盾」、すなわち免疫ブロックタンパク質「PD-L1」を標的とする治療です。

肝内胆管がんの治療では、標準治療にて免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-L1抗体)が使われています。しかし副作用の問題や患者様の体の状態などにより使用されない場合があります。

当グループのハイブリッド免疫療法は、このPD-L1を内側と外側の両方から無力化する、標準の抗PD-L1抗体とは異なるアプローチをとります。

まず、がん細胞の表面に出ているPD-L1に結合し、免疫の攻撃を妨げる「盾」を取り払います。さらに、がん細胞の中に入り込んで、これから作られるPD-L1の設計図(mRNA)を分解し、新たな「盾」が生まれるのを防ぎます。表面の盾を外すだけでなく、盾そのものがつくられるのを元から抑えることで、攻撃を逃れる術を失ったがん細胞を、患者様ご自身の免疫細胞が敵として認識し、攻撃できるようになるという仕組みです。

光でがんを狙い撃つ「がん光免疫療法」

がん光免疫療法は、光に反応する薬(光感受性物質)を点滴で投与し、そこに特定の波長のレーザー光を当ててがん細胞を破壊する治療です。光線力学的療法(PDT)の一種で、日本でも一部のがんでは1990年代から保険診療として用いられてきました。

仕組みは大きく2つあります。ひとつは「狙い撃ち」です。光感受性物質はがん細胞に集まる性質があり、そこへレーザーを当てると薬が反応してがん細胞を内側から傷つけます。使うレーザーは手をかざしても熱くない弱い光で、重要なのは熱ではなく薬を反応させる「波長」です。薬が集まっていない正常細胞は、光が当たっても反応しません。

もうひとつは「免疫の活性化」です。壊れたがん細胞から出る目印を免疫細胞が取り込むことで、離れた場所にある転移巣への攻撃力も高まると期待されます。

肝内胆管がんでこの治療を検討する際に重要なのが、がんのできた場所です。レーザー光を病巣に届ける必要があるため、光を照射できる位置にあるがんが対象になります。

肝内胆管がんは発生部位に幅があり、体表から光を届けられる場合には、選択肢となり得ます。がんの位置や広がりを踏まえて、適応となるかを個別に判断します。

当グループの診療・治療をおすすめする患者様

当グループで実施可能な治療法は、ほとんどの患者様にご検討いただけます。以下では、どのような患者様に効果が期待できるのかを解説します。ご自身の状況に照らし合わせてご検討ください。

治療方法がない、標準治療では治療困難な患者様へ

肝内胆管がんでは、手術ができない、薬物療法の効果が乏しいなどの理由から、保険診療の選択肢が行き詰まることがあります。特に、標準的な治療を使い切って次の手立てが見つからない患者様は少なくありません。

そうした場合でも、核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)、ハイブリッド免疫療法、がん光免疫療法は、標準治療とは異なるアプローチで治療を提供できます。これらは目立った副作用が起こりにくく体への負担が少ないため、「体力がないため抗がん剤はできません」などと説明された方にも、1つの治療の選択肢となり得ます。

また、まだ体力があるのに選択肢がなくなり、緩和治療を勧められている方にとっても、新たな選択肢として検討いただけます。

なお、がん光免疫療法については、レーザー光を届けられる位置にがんがあるかどうかで適応が変わります。がんのできた場所や広がりを踏まえて、個別に判断いたします。

保険診療(標準治療)との併用で相乗効果が期待

核酸医薬、ハイブリッド免疫療法、がん光免疫療法は、化学療法や標準の免疫療法と併用でき、相乗効果が期待できます。

化学療法や分子標的薬がすでに存在するタンパク質やシグナルに作用するのに対し、核酸医薬はそれらが作られる前の遺伝子レベルに作用します。ハイブリッド免疫療法は、標準の抗PD-L1抗体とは異なる仕組みでPD-L1を攻撃します。がん光免疫療法は、光でがん細胞を局所的に破壊しつつ、免疫の活性化も促します。それぞれ攻撃するポイントや仕組みが異なるため、標準治療と組み合わせることでより高い効果が期待できると考えています。

このように、肝内胆管がんの完治を目指すには、複数の治療法を組み合わせることが重要と考えています。標準治療を受けている患者様にとっても、これらの併用は選択肢のひとつとして検討可能です。

再発を抑制・防止するために手術前後の患者様

前述のとおり、肝内胆管がんは手術で取りきれても半数以上が再発する疾患です。また抗がん剤には副作用があるため、肝機能に不安のある患者様や体力に不安のある高齢の患者様には、術後の抗がん剤治療が難しいこともあります。

こうした背景から、手術前後に核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)、ハイブリッド免疫療法、がん光免疫療法を併用することは、再発リスクを下げるひとつの選択肢として検討いただけます。

副作用が不安な患者様

核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)、ハイブリッド免疫療法、がん光免疫療法は、目立った副作用が起こりにくい治療です。化学療法で起きやすい嘔気、食欲不振、倦怠感、脱毛、貧血、命に関わる副作用などはほとんど起こりません。核酸医薬の副作用としては、一時的な微熱、頭痛、アレルギー反応(0.3%以下)などが挙げられます。ハイブリッド免疫療法では治療部位の反応などが、がん光免疫療法では治療後しばらく直射日光を避ける必要がある光線過敏や、照射部位の反応などが見られることがあります。

解熱鎮痛剤など薬物を使う場合もありますが、自然と改善する副作用が大半で、治療の継続に支障をきたすことはありません。「体力面や仕事面で副作用の不安がある」「標準治療を続けながら副作用をできるかぎり抑えたい」という方にも受けていただける治療です。

肝内胆管がんの完治を目指して、保険診療と患者様に合った治療を組み合わせる

肝内胆管がんは、手術ができる患者様が限られ、再発しやすいという壁が立ちはだかる難治性の疾患です。しかし、適切に治療を行えば完治を目指せる疾患でもあります。

発症要因にp53をはじめとする遺伝子異常があるため、保険診療と核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)、ハイブリッド免疫療法、がん光免疫療法などを組み合わせる集学的治療が有効な選択肢となります。保険診療だけではカバーしきれない場合でも、これらの治療によって腫瘍縮小効果や再発抑制効果が期待できます。

がん中央クリニックグループでは、こうした「アプタマー核酸医薬」「miR-34a mimic 核酸医薬」や「がん光免疫療法」をはじめ、患者様1人ひとりに合ったがん治療をご提案いたします。肝内胆管がんの患者様は、どのような状況の場合でも是非お気軽にご相談ください。

RAS遺伝子変異陽性大腸がんは、がん細胞の増殖スイッチである「RAS遺伝子」に変異が起きているタイプの大腸がんです。KRAS変異は大腸がんの30~40%に認められます。初期にはほとんど症状が出ませんが、進行すると血便、便が細くなる、便秘と下痢を繰り返す、腹痛、貧血、体重減少などが現れます。RAS変異があると抗EGFR抗体薬が効かないため、使える分子標的薬が限られることが治療上の課題となります。

本ページでは、RAS遺伝子変異陽性大腸がんの特徴や原因、症状、診断(大腸内視鏡検査・RAS遺伝子検査)、そして治療の選択肢についてわかりやすく解説します。治療を検討されている方やご家族が、いまの状況に合う選択肢を整理し、納得のいく方針を考えるための一助となれば幸いです。

  • KRAS変異は大腸がんの30~40%に認められる、珍しくないタイプ
  • RAS変異があると抗EGFR抗体薬が効かず、使える薬が限られる
  • 治療方針を決めるうえでRAS遺伝子検査が欠かせない

RAS遺伝子変異陽性大腸がんとは

大腸がんは、がん細胞が持つ遺伝子の状態によっていくつかのタイプに分けられます。なかでも治療方針を大きく左右するのが、「RAS遺伝子」の変異があるかどうかです。

RASは、細胞の表面から届いた「増殖せよ」という指令を、細胞の内側へ伝えるスイッチの役割を果たす遺伝子です。正常なRASは、指令があったときだけスイッチが入ります。しかしRAS遺伝子に変異が起きると、指令がなくてもスイッチが入りっぱなしになり、がん細胞が際限なく増えていきます。この変異を持つ大腸がんが、RAS遺伝子変異陽性大腸がんです。RASにはKRASとNRASという種類がありますが、KRASの変異が大部分を占めます。

RAS変異は、珍しくない大腸がんです。KRAS変異は大腸がんの30~40%に認められると報告されています。

RASが変異していない状態を「野生型」、変異している状態を「変異型」と呼びますが、変異型では後述する一部の分子標的薬が有効ではなく、より予後が不良になりやすいことが知られています。同じ大腸がんでも、RASの状態によって治療の組み立てが変わってきます。

RAS遺伝子変異陽性大腸がんの原因

RAS遺伝子変異陽性大腸がんは、RAS遺伝子の変異がきっかけで発症しますが、なぜ変異するかはまだ解明されていません。ただ、変異したRASは増殖のスイッチが入りっぱなしになり、細胞が増えていきます。

大腸がんは、いくつかの遺伝子変異が段階的に積み重なって発生することが分かっています。まず「APC」という遺伝子の異常で良性のポリープができ、そこにRASの変異が加わって増殖が加速し、さらに別の遺伝子の異常が重なって悪性化していく、という流れです。

ここで、その最後の段階で重要になるのが、がん細胞の暴走を食い止める「ブレーキ役」の、がん抑制遺伝子「p53(TP53)」です。p53はDNAに傷がついた細胞を修復させ、修復できないものは自然死(アポトーシス)へと導きます。p53が壊れると、傷ついた細胞が排除されずに生き残ってしまいます。

大腸がんでは、このp53変異が高い割合で起こります。TP53変異は転移のあるRAS遺伝子変異陽性大腸がんの約28%に認められると報告されています。

さらに、RASとTP53の両方に変異を持つ患者様は、標準的な化学療法への効果が弱く、術後の再発・転移を起こしやすいことも報告されています。

つまりアクセル(RAS)が入りっぱなしであるだけでなく、ブレーキ(p53)まで故障してしまう場合があり、それが治療の難しさにつながっているのです。

RAS遺伝子変異陽性大腸がんの診断

「(無)症状」から「確定診断」まで

大腸がんは、初期にはほとんど症状が出ません。進行してくると、血便、便が細くなる、便秘と下痢を繰り返す、腹痛、貧血、体重減少といった症状が現れます。

ただ、これらは痔や胃腸炎でも起こるため、見過ごされがちです。肛門から距離がある結腸にできたがんは症状が出にくく、肛門に近い直腸にできたがんは血便で気づかれやすいなど、部位によって症状の違いもあります。また、健康診断の便潜血検査が陽性となり、精密検査をすると偶然見つかる場合も少なくありません。

異常が疑われた場合、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)で腸の中を観察し、疑わしい部分の組織を採取する生検を行います。採取した組織を顕微鏡で調べる病理検査で、大腸がんの診断を確定します。肝転移や肺転移など遠隔転移の評価にはCT検査やMRI検査などを用います。

RAS遺伝子検査という重要なステップ

大腸がん、特に転移をきたした大腸がんの治療方針を決めるうえで欠かせないのが、RAS遺伝子検査です。

採取したがん組織を使い、RAS遺伝子に変異があるかどうかを調べます。この検査は、BRAF遺伝子なども含め、特定の薬物による効果が見込めるかどうかを見極める「コンパニオン診断」と呼ばれます。

この検査が重要なのは、その結果により使用できる薬物が変わるからです。後述する抗EGFR抗体薬は、RASが変異していない野生型の患者様にしか効果が発揮されません。つまりRAS変異が見つかれば、抗EGFR抗体薬は最初から選択肢から外れます。

ステージ(病期)の確定

大腸がんのステージは、がんが腸の壁のどの深さまで達しているか(T)、リンパ節転移(N)、肝臓や肺などへの遠隔転移(M)を組み合わせて、0期~Ⅳ期に分類されます。RAS変異陽性大腸がんは、診断時にすでに肝転移や肺転移などをきたした状態で見つかることもあり、病期が予後を大きく左右します。

RAS遺伝子変異陽性大腸がんの一般的な治療法

早期であれば手術(内視鏡的切除または外科的切除)が主な治療法で、進行度に応じて薬物療法を組み合わせます。一方、診断時にすでに転移している場合や、術後に再発した場合は、薬物療法が治療の中心になります。

大腸がんの薬物療法は、複数の抗がん剤(フルオロウラシル、オキサリプラチン、イリノテカンなど)を組み合わせた化学療法を土台に、分子標的薬を上乗せするのが一般的です。

分子標的薬には、血管の新生を抑える「抗VEGF抗体薬(ベバシズマブ)」と、EGFRという増殖の入り口を狙う「抗EGFR抗体薬(セツキシマブ、パニツムマブ)」などがあります。

ここでRASの状態が決定的な意味を持ちます。抗EGFR抗体薬はEGFRの入り口をふさぐ薬ですが、RASはそのEGFRよりも下流にあるスイッチです。RASが変異してスイッチが入りっぱなしになっていると、入り口をふさいでも下流でRAS変異による増殖の信号が出続けるため、抗EGFR抗体薬は効果が発揮されません。

RAS遺伝子変異陽性大腸がんにおける保険診療の限界

RAS変異陽性大腸がんには化学療法と一部の分子標的薬という選択肢がありますが、保険診療にはいくつもの壁があります。

使える分子標的薬が限られる

最大の制約が、標的薬の選択肢の狭さです。大腸がんに使える分子標的薬のうち、抗EGFR抗体薬は前述のとおりRAS変異があると効果がありません。つまりRAS変異陽性の患者様は、有力な武器の一つを最初から失っているのです。すなわち、RAS遺伝子変異陽性大腸がんは「有効な薬物が限られる」タイプの大腸がんです。

使える薬をいずれ使い切ってしまう

化学療法と抗VEGF抗体薬を組み合わせても、多くの患者様でいずれ効果が薄れ、がんが再び増え始めます。一次治療、二次治療と薬を切り替えていきますが、大腸がんの標準的なレジメン(治療薬の組み合わせ)は無限にあるわけではありません。いくつかのレジメンを使い切ると、「保険診療ではもう有効な手立てがない」と説明される場面が訪れます。

手術後の高い再発率

早期に発見され、手術で取りきれたとしても、大腸がんは再発しうる疾患です。特にRAS変異を持つ場合、再発のリスクは軽視できません。ステージⅢの大腸がんでは、根治手術に術後補助化学療法を加えても、およそ17%の患者様が3年以内に再発すると報告されています。すなわち約5人に1人は再発するという計算です。手術と抗がん剤という標準的な手立てを尽くしてもなお、これだけの再発リスクが残ります。

しかも前述のとおり、RASとp53の両方に変異があると化学療法が効きにくく、術後の再発・転移を起こしやすいことも報告されています。さらに標準治療後に再発した場合、保険診療内で選べる有効な手立ては限られてしまいます。

化学療法に伴う「きつい」副作用

抗がん剤では、吐き気、強い倦怠感、食欲不振、脱毛、手足のしびれ(末梢神経障害)、下痢、骨髄抑制による感染症リスクなどが起こりえます。長期にわたる治療により、身体的・精神的な負担から治療の継続が難しくなり、生活の質(QOL)が損なわれるリスクがあります。

RAS遺伝子変異陽性大腸がんで重要な新しい治療の考え方

ここまで述べたように、RAS変異陽性大腸がんは、使える分子標的薬が限られ、再発のリスクも残るという固有の課題を抱えています。

がん中央クリニックグループでは、こうした課題に対して、標準治療とは作用の仕方が異なる治療を選択肢としてご提案しています。

分子レベルの異常にアプローチする「核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)」

がんの発生や進行に関わる分子レベルの異常へ直接働きかける「核酸医薬」は、世界的に研究と臨床応用が進んでいます。当グループでは治療選択肢として、「アプタマー」「miR-34a mimic」といった核酸医薬を取り入れた治療を提供しております。

アプタマー核酸医薬」は、がん細胞に特有の異常なタンパク質にピンポイントで結合し、その働きをブロックすることで、がんの増殖抑制や死滅を狙う治療薬です。一方で「miR-34a mimic核酸医薬」は、がん化によって失われてしまった「体が本来持っているがんを抑制する力」を補い、がんの成長を止め、自然な細胞死(アポトーシス)を促す治療薬です。

RAS変異陽性大腸がんでp53変異が高頻度に併存することは、先に述べたとおりです。miR-34a mimicは、miR-34aと同じ働きをする分子を外部から補充することで、p53というブレーキが壊れた細胞に対しても、その先の経路から直接ブレーキをかけ直すことを狙います。RASという「アクセル」だけでなく、失われた「ブレーキ」の側から攻めるという発想です。

がん中央クリニックグループでは、がん種ごとに標的となる遺伝子を指定して核酸医薬を設計し、患者様一人ひとりの状態に合わせた治療をご提案しています。複数の核酸医薬を組み合わせて使い分けられる点も、特徴のひとつです。

免疫の「盾」を外す「ハイブリッド免疫療法」

ハイブリッド免疫療法は、がん細胞が免疫の攻撃から逃れるために使う「盾」、すなわち免疫ブロックタンパク質「PD-L1」を標的とする治療です。

RAS変異陽性大腸がんにはPD-L1が一定の割合で発現しています。大腸がんのPD-L1陽性率(1%以上変異を認める確率)は、約15%と報告されています。つまり6~7人中1人の方がハイブリッド免疫療法による効果が期待できる可能性があるということです。

ハイブリッド免疫療法は、このPD-L1を内側と外側の両方から無力化します。まず、がん細胞の表面に出ているPD-L1に結合し、免疫の攻撃を妨げる「盾」を取り払います。さらに、がん細胞の中に入り込んで、これから作られるPD-L1の設計図(mRNA)を分解し、新たな「盾」が生まれるのを防ぎます。攻撃を逃れる術を失ったがん細胞を、患者様ご自身の免疫細胞が敵として認識し、攻撃できるようになるという仕組みです。

当グループの自由診療・治療をおすすめする患者様

当グループで実施可能な治療法は、ほとんどの患者様にご検討いただけます。以下では、どのような患者様に効果が期待できるのかを解説します。ご自身の状況に照らし合わせてご検討ください。

治療方法がない、標準治療では治療困難な患者様へ

RAS変異陽性大腸がんでは、使える分子標的薬が限られることなどから、保険診療の選択肢が行き詰まることがあります。特に、いくつかのパターンの治療を使い切って次の手立てが見つからない患者様は少なくありません。

そうした場合でも、核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)やハイブリッド免疫療法なら、標準治療とは異なるアプローチで治療を提供できます。これらは目立った副作用が起こりにくく体への負担が少ないため、「体力がないため抗がん剤はできません」などと説明された方にも、1つの治療の選択肢となり得ます。

また、まだ体力があるのに選択肢がなくなり、緩和治療を勧められている方にとっても、新たな選択肢として検討いただけます。

保険診療(標準治療)との併用で相乗効果が期待

核酸医薬とハイブリッド免疫療法は、化学療法や分子標的薬と併用でき、相乗効果が期待できます。化学療法や分子標的薬がすでに存在するタンパク質やシグナルに作用するのに対し、核酸医薬はそれらが作られる前の遺伝子レベルに作用します。ハイブリッド免疫療法は、PD-L1という別の標的を叩きます。攻撃するポイントが異なるため、組み合わせることでより高い効果が期待できると考えています。

このように、RAS変異陽性大腸がんの完治を目指すには、複数の治療法を組み合わせることが重要と考えています。標準治療を受けている患者様にとっても、これらの併用は選択肢のひとつとして検討いただけると考えています。

再発を抑制・防止するために手術前後の患者様

早期がんで手術を受けた場合でも、RAS変異陽性大腸がんは再発しうる疾患です。国内のステージⅢ結腸がん患者様を対象とした研究では、手術のみを受けた場合、約40%の方が3年以内に再発するリスクがあります。また、手術後に補助化学療法を行っても、再発する患者様は17%程度いらっしゃいます。さらに抗がん剤には副作用があるため、体力に不安のある高齢の患者様には、術後補助化学療法の完遂が難しいこともあります。

こうした背景から、手術前後に核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)とハイブリッド免疫療法を併用することは、再発リスクを下げるひとつの選択肢として検討いただけます。

副作用が不安な患者様

核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)とハイブリッド免疫療法は、目立った副作用が起こりにくい治療です。化学療法で起きやすい嘔気、食欲不振、倦怠感、脱毛、手足のしびれ、下痢、貧血、命に関わる副作用などはほとんど起こりません。核酸医薬の副作用としては、一時的な微熱、頭痛、アレルギー反応(0.3%以下)などが挙げられます。ハイブリッド免疫療法では、治療部位の反応などが見られることがあります。

解熱鎮痛剤など薬物を使う場合もありますが、自然と改善する副作用が大半で、治療の継続に支障をきたすことはありません。「体力面や仕事面で副作用の不安がある」「標準治療を続けながら副作用をできるかぎり抑えたい」という方にも受けていただける治療です。

RAS遺伝子変異陽性大腸がんの完治を目指して、保険診療と患者様に合った自由診療を組み合わせる

RAS遺伝子変異陽性大腸がんは、使える分子標的薬が限られ、再発という壁も立ちはだかる疾患です。しかし、適切に治療を行えば完治を目指せる疾患でもあります。

発症要因にRASやp53といった遺伝子異常があるため、保険診療と核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)、ハイブリッド免疫療法などを組み合わせる集学的治療が有効な選択肢となります。保険診療だけではカバーしきれない場合でも、これらの治療によって腫瘍縮小効果や再発抑制効果が期待できると考えています。

がん中央クリニックグループでは、こうした「アプタマー核酸医薬」や「miR-34a mimic 核酸医薬」をはじめ、患者様1人ひとりに合ったがん治療をご提案いたします。RAS遺伝子変異陽性大腸がんの患者様は、どのような状況の場合でも是非お気軽にご相談ください。

HER2陽性胃がんは、胃がんの中でも、がん細胞の表面に「HER2」というタンパク質が過剰につくられているタイプです。胃がん全体の15~25%を占め、HER2を狙い撃ちにする分子標的薬(トラスツズマブ)が標準治療として確立しています。初期にはほとんど症状が出ませんが、進行するとみぞおちの痛み、胃もたれ、食欲不振、体重減少、貧血、黒色便などが現れます。有効な標的薬がある一方で、薬剤耐性や治療選択肢の少なさが課題となります。

本ページでは、HER2陽性胃がんの特徴や原因、症状、診断(内視鏡検査・HER2検査)、そして治療の選択肢についてわかりやすく解説します。治療を検討されている方やご家族が、いまの状況に合う選択肢を整理し、納得のいく方針を考えるための一助となれば幸いです。

  • 胃がん全体の15~25%を占め、HER2が過剰につくられているタイプ
  • HER2を狙い撃ちにする分子標的薬(トラスツズマブ)が標準治療
  • 薬剤耐性と、使える薬の少なさが治療上の課題

HER2陽性胃がんとは

胃がんは、がん細胞の性質によっていくつかのタイプに分類されます。その中のひとつが、HER2陽性胃がんで、がん細胞の表面に「HER2タンパク」と呼ばれる特定の受容体が過剰に現れているタイプです。

HER2とは、細胞の表面に存在する「ヒト上皮成長因子受容体2型」というタンパク質であり、細胞の成長や修復を助ける働きをしています。

しかし、何らかの理由でHER2を作る遺伝子が増えると、細胞表面にHER2タンパクが大量につくられます。この状態になったがん細胞は、増殖のアクセルが踏みっぱなしの状態になり、通常よりも速いスピードで分裂・増殖を繰り返すようになります。

HER2陽性胃がんは胃がん全体の15~25%に認められ、トラスツズマブなどのHER2を標的とした抗HER2療法が標準治療として位置づけられています。

HER2陽性胃がんの原因

一般的な胃がんの発生にはピロリ菌の持続感染や塩分の過剰摂取、喫煙などが関係しています。しかし、HER2が過剰に増える具体的なメカニズムについては、まだ解明されていないのが現状です。

分子レベルでは、HER2をつくる遺伝子(ERBB2)が増幅し、細胞表面にHER2タンパクが大量に並ぶことが確認されています。その結果、細胞を増殖させる信号が常に送られ続け、がん細胞が過剰に増殖します。

ここで、もうひとつ重要な遺伝子があります。がん細胞の暴走を食い止める「ブレーキ役」の、がん抑制遺伝子「p53(TP53)」です。p53はDNAに傷がついた細胞を修復させ、修復できないものは自然死(アポトーシス)へと導きます。このp53が壊れると、傷ついた細胞が排除されずに生き残ってしまいます。

HER2陽性胃がん全体におけるTP53遺伝子変異の頻度は約80%と高頻度に認められます。つまりアクセル(HER2)が過剰であるだけでなく、ブレーキ(p53)も故障しているケースが多いということです。

HER2陽性胃がんの診断

「(無)症状」から「確定診断」まで

胃がんは、初期にはほとんど症状が出ません。進行してくると、みぞおちの痛み、胃もたれ、食欲不振、体重減少、貧血、黒色便といった症状が現れます。ただ、これらは胃炎や胃潰瘍でも起こるため、見過ごされがちです。

受診すると、まず上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)で胃の中を観察し、疑わしい部分の組織を採取する生検を行います。採取した組織を顕微鏡で調べる病理検査で、がんの有無を確定します。転移の評価にはCT検査などを用います。

「HER2陽性」と判定されるまでの検査の流れ

胃がんと診断されたら、その組織を使ってHER2の状態を調べます。ここが治療方針を分ける重要なステップです。

最初に行うのが免疫染色(IHC法)です。HER2タンパクの染まり具合をスコア0~3+の4段階で評価します。3+は陽性、0と1+は陰性、2+は判定保留(グレーゾーン)です。

判定保留(2+)だった場合、次にFISH法を行います。蛍光色素でHER2遺伝子の数を直接数える検査で、遺伝子の増幅が確認されれば陽性と確定します。この陽性判定が、抗HER2薬による保険治療の対象となる条件です。

ステージ(病期)の確定

胃がんのステージは、胃壁のどの深さまでがんが達しているか(T)、リンパ節転移(N)、腹膜播種を含む遠隔転移(M)を組み合わせて、Ⅰ期~Ⅳ期に分類されます。

HER2陽性胃がんの一般的な治療法

早期であれば手術(内視鏡的切除または外科的切除)が中心となり、進行度に応じて薬物療法を組み合わせます。一方、進行・転移した状態や再発した場合は、薬物療法が治療の柱になります。

HER2陽性胃がんの薬物療法で軸となるのが、HER2を狙い撃ちにする分子標的薬「トラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)」です。これを抗がん剤(フッ化ピリミジン系+プラチナ系など)と組み合わせるのが、進行例の一次治療の基本形です。

ちなみに、トラスツズマブを化学療法に追加すると、治療開始後の生存期間の中央値は、抗がん剤だけの場合の11.1ヶ月から13.8ヶ月へと約2.7ヶ月延びました。

さらに、近年はこれに免疫チェックポイント阻害薬(ペムブロリズマブ)を加える治療も登場し、トラスツズマブと化学療法に追加すると、治療開始後の生存期間の中央値は、16.9ヶ月から20.0か月と約3.1ヶ月延長したと報告されています。

HER2陽性胃がんにおける保険診療の限界

HER2陽性胃がんには抗HER2療法という有効な標的薬があるとはいえ、保険診療にはいくつもの壁があります。

トラスツズマブの効果はいつまでも続かない

抗HER2療法の問題点として、がん細胞が薬物への抵抗性を獲得し、別の経路で再び増殖する「薬剤耐性」があります。耐性が生じるメカニズムは未解明な部分も多く、時間が経つと効果が低下するケースがあります。トラスツズマブは高い治療効果を発揮するものの、腫瘍が縮小した患者様のうち、半数の方ではその効果持続期間は6.9ヶ月程度にとどまるという報告もあります。

使える薬の種類が限られる

HER2陽性であっても、その先に用意された保険の手札は多くありません。一次治療でトラスツズマブ+化学療法、二次治療以降でトラスツズマブ-デルクステカンやその他の抗がん剤、と進んでいきますが、数種類のパターンを使い切ると「保険診療ではもう手立てがない」と説明されることがあります。

化学療法に伴う「きつい」副作用

抗がん剤では、吐き気、強い倦怠感、食欲不振、脱毛、手足のしびれ、骨髄抑制による感染症リスクなどが起こりえます。トラスツズマブ自体にも、まれに心機能低下という副作用があります。胃を切除した患者様では、もともと食事量が減って栄養状態が低下しているところに副作用が重なり、治療の継続が難しくなることも少なくありません。

再発のリスクをゼロにはできない

HER2陽性胃がんに対して手術にて根治切除を行った後、再発率を低くするために術後補助化学療法という治療を行う場合があります。ステージⅡ・Ⅲ胃がんの患者様に対して手術後に術後補助化学療法を実施すると、手術後3年間で再発せずに生存していた方は約72%でした。逆に言えば、10人に約3人が3年以内に再発または死亡していたことになります。

HER2陽性胃がんで重要な新しい治療の考え方

ここまで述べてきたとおり、HER2陽性胃がんは有効な標的薬がある一方で、耐性、治療薬の選択肢の少なさ、術後再発という課題を抱えています。

がん中央クリニックグループでは、こうした課題に対して、標準治療とは作用の仕方が異なる治療を選択肢としてご提案しています。

分子レベルの異常にアプローチする「核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)」

がんの発生や進行に関わる分子レベルの異常へ直接働きかける「核酸医薬」は、世界的に研究と臨床応用が進んでいます。当グループでは治療選択肢として、「アプタマー」「miR-34a mimic」といった核酸医薬を取り入れた治療を提供しております。

アプタマー核酸医薬」は、がん細胞に特有の異常なタンパク質にピンポイントで結合し、その働きをブロックすることで、がんの増殖抑制や死滅を狙う治療薬です。一方で「miR-34a mimic核酸医薬」は、がん化によって失われてしまった「体が本来持っているがんを抑制する力」を補い、がんの成長を止め、自然な細胞死(アポトーシス)を促す治療薬です。

胃がんでTP53変異が高頻度に認められることは、先に述べたとおりです。miR-34a mimicは、miR-34aと同じ働きをする分子を外部から補充することで、p53というブレーキが壊れた細胞に対しても、その先の経路から直接ブレーキをかけ直すことを狙う治療です。

がん中央クリニックグループでは、がん種ごとに標的となる遺伝子を指定して核酸医薬を設計し、患者様一人ひとりの状態に合わせた治療をご提案しています。複数の核酸医薬を組み合わせて使い分けられる点も、特徴のひとつです。

免疫の「盾」を外す「ハイブリッド免疫療法」

ハイブリッド免疫療法は、がん細胞が免疫の攻撃から逃れるために使う「盾」、すなわち免疫ブロックタンパク質「PD-L1」を標的とする治療です。

HER2陽性胃がんは、免疫療法の標的となる「PD-L1」の陽性率(CPS≥1)が約85%と非常に高いため、免疫の仕組みを活用した治療アプローチが大きな意義を持ちます。

ハイブリッド免疫療法は、このPD-L1を内側と外側の両方から無力化します。まず、がん細胞の表面に出ているPD-L1に結合し、免疫の攻撃を妨げる「盾」を取り払います。さらに、がん細胞の中に入り込んで、これから作られるPD-L1の設計図(mRNA)を分解し、新たな「盾」が生まれるのを防ぎます。攻撃を逃れる術を失ったがん細胞を、患者様ご自身の免疫細胞が敵として認識し、攻撃できるようになるという仕組みです。

ただし、保険治療ですでに免疫チェックポイント阻害薬を使用されている場合は効果が弱まる可能性があるため注意が必要です。

当グループの自由診療・治療をおすすめする患者様

当グループで実施可能な治療法は、ほとんどの患者様にご検討いただけます。以下では、どのような患者様に効果が期待できるのかを解説します。ご自身の状況に照らし合わせてご検討ください。

治療方法がない、標準治療では治療困難な患者様へ

HER2陽性胃がんでは、トラスツズマブへの耐性や数パターンの化学療法を使用した後の選択肢不足といった理由から、保険診療が行き詰まることがあります。

そうした場合でも、核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)、ハイブリッド免疫療法、分子標的ワクチン療法なら、標準治療とは異なるアプローチで治療を提供できます。これらは目立った副作用が起こりにくく体への負担が少ないため、「体力がないため抗がん剤はできません」と説明された方にも、1つの選択肢となり得ます。まだ体力があるのに選択肢がなくなり、緩和を勧められている方にとっても、新たな選択肢として検討いただけます。

保険診療(標準治療)との併用で相乗効果が期待

核酸医薬、ハイブリッド免疫療法、分子標的ワクチン療法は、化学療法や標準の分子標的薬と併用でき、相乗効果が期待できます。

化学療法がすでに増殖したがん細胞や産生されたタンパク質に作用するのに対し、核酸医薬はそれらが作られる前の遺伝子レベルに作用します。

分子標的ワクチン療法は患者様自身の免疫でHER2を発現するがん細胞を攻撃し、ハイブリッド免疫療法はPD-L1という別の標的を叩きます。攻撃するポイントが異なるため、標準治療と組み合わせることでより高い効果が期待できると考えています。

HER2陽性胃がんの完治を目指すには、複数の治療法を組み合わせることが重要と考えています。標準治療を受けている患者様にとっても、これらの併用は選択肢のひとつです。

再発を抑制・防止するために手術前後の患者様

HER2陽性胃がんは、先述した通り根治手術を行っても再発しうる疾患です。また抗がん剤には副作用があるため、胃切除後で栄養状態に不安のある患者様、体力に不安のある高齢の患者様では、術後補助化学療法の完遂が難しい場合もあります。

こうした背景から、手術前後の患者様が核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)、ハイブリッド免疫療法を併用することは、再発リスクを下げるひとつの選択肢として検討いただけます。

副作用が不安な患者様

核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)、ハイブリッド免疫療法は、目立った副作用が起こりにくい治療です。化学療法で起きやすい嘔気、食欲不振、倦怠感、脱毛、貧血、命に関わる副作用などはほとんど起こりません。核酸医薬の副作用としては、一時的な微熱、頭痛、アレルギー反応(0.3%以下)などが挙げられます。ハイブリッド免疫療法では治療部位の反応などが見られることがあります。

解熱鎮痛剤など薬物を使う場合もありますが、自然と改善する副作用が大半で、治療の継続に支障をきたすことはありません。

「胃を切除して食事が思うようにとれない」「体力面や仕事面で副作用の不安がある」「標準治療を続けながら副作用をできるかぎり抑えたい」。当グループの治療は、そのような方にも受けていただけます。

HER2陽性胃がんの完治を目指して、保険診療と患者様に合った自由診療を組み合わせる

HER2陽性胃がんは、有効な標的薬がある一方で、耐性や再発という壁が立ちはだかる疾患です。しかし、適切に治療を行えば完治を目指せる疾患でもあります。

発症要因にHER2やp53といった遺伝子異常があるため、保険診療と核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)、ハイブリッド免疫療法、分子標的ワクチン療法などを組み合わせる集学的治療が有効な選択肢となります。保険診療だけではカバーしきれない場合でも、これらの治療によって生存率や予後の改善が期待できます。

がん中央クリニックグループでは、こうした「アプタマー核酸医薬」や「miR-34a mimic 核酸医薬」をはじめ、患者様1人ひとりに合ったがん治療をご提案いたします。HER2陽性胃がんの患者様は、どのような状況の場合でも是非お気軽にご相談ください。

ALK陽性肺がんは、非小細胞肺がんの一種で、がん細胞のALKという遺伝子が他の遺伝子と融合しているタイプの肺がんです。肺腺がんに多くみられ、若年、非喫煙者に多いという特徴があります。初期にはほとんど症状が出ませんが、進行すると咳が続く、血痰、息切れ、胸の痛み、体重減少などが現れます。ALKを狙い撃ちにする分子標的薬(ALK-TKI)がよく効く一方で、いずれ薬が効かなくなる「薬剤耐性」が課題となります。

本ページでは、ALK陽性肺がんの特徴や原因、症状、診断(コンパニオン診断・遺伝子検査)、そして治療の選択肢についてわかりやすく解説します。治療を検討されている方やご家族が、いまの状況に合う選択肢を整理し、納得のいく方針を考えるための一助となれば幸いです。

  • 非小細胞肺がんの一種で、若年・非喫煙者に多い
  • ALKを狙い撃ちにする分子標的薬(ALK-TKI)がよく効く
  • いずれ薬が効かなくなる薬剤耐性が、治療上の大きな課題

ALK陽性肺がんとは

肺がんは、がん細胞の見た目や性質によっていくつかのタイプに分けられます。

まず大きく「小細胞肺がん」と「非小細胞肺がん」に分かれ、日本人の肺がんの多くは後者です。この非小細胞肺がんのなかにALK陽性肺がんが含まれます。

ALK(未分化リンパ腫キナーゼ)は、細胞の増殖に関わる遺伝子です。ALK単体では悪いことは起こりませんが、他の遺伝子と「融合」すると、増殖のスイッチが入りっぱなしになります。この異常を持つ肺がんが、ALK陽性肺がんです。そして非小細胞肺がんの中でも、肺腺がんに多くみられます。

ALK陽性肺がんは、非小細胞肺がんの約4~5%に認められると報告されています。頻度としては多くありませんが、ALK陽性肺がんは若年者や非喫煙者に多く、主に腺がんで認められることが知られています。45歳以下の若年患者を対象とした研究では、非小細胞肺がん患者の14.2%でALK陽性が認められました。

ALK陽性肺がんの原因

ALK陽性肺がんは、ALK遺伝子の融合がきっかけで発症しますが、その根本の原因はまだ解明されていません。ただ、融合が起きた結果として何が起こるかは分かっています。本来ばらばらに存在しているALK遺伝子が別の遺伝子(多くはEML4)と結合すると、異常なタンパク質が作られ増殖のシグナルを出し続けるため、細胞が止まらず増えていきます。

ここで、もうひとつ重要な遺伝子があります。がん細胞の暴走を食い止める「ブレーキ役」の、がん抑制遺伝子「p53(TP53)」です。p53はDNAに傷がついた細胞を修復させ、修復できないものは自然死(アポトーシス)へと導きます。p53が壊れると、傷ついた細胞が排除されずに生き残ってしまいます。

ALK陽性肺がんでは、このp53変異率が20~25%と報告されています。また、p53変異が併存した患者様は、併存しない患者様よりも予後が悪いと言われています。

つまりアクセル(ALK)が入りっぱなしであるだけでなく、ブレーキ(p53)まで故障してしまう場合があり、それが治療の難しさにつながっているのです。

ALK陽性肺がんの診断

「(無)症状」から「確定診断」まで

肺がんは、初期にはほとんど症状が出ません。ある程度進行してから、咳が続く、血痰、息切れ、胸の痛み、体重減少といった症状が現れます。ただ、これらは風邪でも起こるため、見過ごされがちです。健康診断の胸部X線検査やCT検査で、偶然発見される場合も少なくありません。

異常が疑われた場合、気管支鏡検査やCTガイド下針生検などで組織を採取し、がんかどうかを確定します。脳転移や全身転移の有無を調べるため、脳MRI検査やPET-CT検査も実施されます。

コンパニオン診断という重要なステップ

ALK陽性肺がんの診断で欠かせないのが、遺伝子検査です。採取したがん組織を使い、ALK融合遺伝子があるかどうかを調べます。免疫染色(IHC法)でALKタンパクの発現を見る方法と、FISH法で遺伝子の並びを直接調べる方法があります。この検査は「コンパニオン診断」と呼ばれ、分子標的薬が効くタイプかどうかを見極める役割を担います。また、組織が採れないときは、血液中のがん由来DNAを調べるリキッドバイオプシーを行う場合もあります。

ステージ(病期)の確定

肺がんのステージは、腫瘍の大きさと広がり(T)、リンパ節転移(N)、遠隔転移(M)を組み合わせてⅠ期~Ⅳ期に分類されます。ALK陽性肺がんは、診断時にすでに脳などへ転移した進行した状態で見つかることも多く、病期が予後を大きく左右します。

ALK陽性肺がんの一般的な治療法

早期であれば手術が主な治療法ですが、必要に応じて薬物療法を加えます。一方、診断時にすでに進行・転移している場合や、術後に再発した場合は、薬物療法が治療の中心になります。

ALK陽性肺がんの薬物療法で主役となるのが、分子標的薬の「ALK阻害薬(ALK-TKI)」です。異常なALKのシグナルをピンポイントで遮断する薬で、第一世代のクリゾチニブから、現在の標準治療である第二世代のアレクチニブ、さらに第三世代のロルラチニブまで、複数の世代があります。

ALK-TKIが効きにくくなった場合は、別の世代のALK-TKIへの変更や、抗がん剤(プラチナ製剤ベースの化学療法)が検討されます。

ALK陽性肺がんにおける保険診療の限界

ALK陽性肺がんにはALK-TKIという有効な標的薬があるとはいえ、保険診療にはいくつもの壁があります。

避けられない「耐性」の問題

アレクチニブを投与すれば、半数の方が約35ヶ月もの間腫瘍が増大しないとはいえ、裏を返せば、半数の患者様が3年前後で進行してしまうということです。また、ALK-TKIを使う患者様の最大4分の1は、治療開始から1年以内に進行するという報告もあります。

手術後の高い再発率

早期に発見され、手術で取りきれたとしても、ALK陽性肺がんは再発しうる疾患です。切除後の再発率は病期が進むほど高くなり、根治手術後も一定の割合で再発が生じます。

この再発を抑える目的で、近年は術後にアレクチニブを一定期間服用する補助療法が標準となりました。以前の化学療法に比べ、ステージII~IIIAでの2年間で再発しない患者様が約63%から約94%と治療成績が向上しました。しかし逆に言えばそれでもなお再発する患者様はいらっしゃるということです。

また、この補助療法で使うALK-TKIは、進行・再発した際の治療でも中心となる薬です。術後の段階で使うことは、いざ再発したときの切り札を先に投じておくことにもなり、その後の選択肢をどう組み立てるかという課題も残ります。

化学療法に伴う「きつい」副作用

ALK-TKIの中で代表的なアレクチニブの副作用は、肝機能障害(41%)、便秘(39%)、倦怠感(36%)、筋肉痛(31%)、むくみ(29%)、皮疹(23%)などが多くみられます。また、まれに間質性肺炎や、筋肉が破壊される副作用が生じることもあります。

さらに、ALK-TKIが効かなくなったあとに用いる抗がん剤では、吐き気、強い倦怠感、食欲不振、脱毛、骨髄抑制による感染症リスクなどが起こりえます。長期にわたる治療や薬の切り替えのなかで、身体的・精神的な負担から治療の継続が難しくなり、生活の質(QOL)が損なわれるリスクがあります。

ALK陽性肺がんで重要な新しい治療の考え方

ここまで述べたように、ALK陽性肺がんは分子標的薬がよく効く一方で、耐性や手術後の再発に対してどう治療戦略をたてるか、副作用のきつさ、などという固有の課題を抱えています。

がん中央クリニックグループでは、こうした課題に対して、標準治療とは作用の仕方が異なる治療を選択肢としてご提案しています。

分子レベルの異常にアプローチする「核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)」

がんの発生や進行に関わる分子レベルの異常へ直接働きかける「核酸医薬」は、世界的に研究と臨床応用が進んでいます。当グループでは治療選択肢として、「アプタマー」「miR-34a mimic」といった核酸医薬を取り入れた治療を提供しております。

アプタマー核酸医薬」は、がん細胞に特有の異常なタンパク質にピンポイントで結合し、その働きをブロックすることで、がんの増殖抑制や死滅を狙う治療薬です。一方で「miR-34a mimic核酸医薬」は、がん化によって失われてしまった「体が本来持っているがんを抑制する力」を補い、がんの成長を止め、自然な細胞死(アポトーシス)を促す治療薬です。

ALK陽性肺がんでp53変異が高頻度に併存することは、先に述べたとおりです。miR-34a mimicは、miR-34aと同じ働きをする分子を外部から補充することで、p53というブレーキが壊れた細胞に対しても、その先の経路から直接ブレーキをかけ直すことを狙います。ALKという「アクセル」だけでなく、失われた「ブレーキ」の側から攻めるという発想です。

がん中央クリニックグループでは、がん種ごとに標的となる遺伝子を指定して核酸医薬を設計し、患者様一人ひとりの状態に合わせた治療をご提案しています。複数の核酸医薬を組み合わせて使い分けられる点も、特徴のひとつです。

免疫の「盾」を外す「ハイブリッド免疫療法」

ハイブリッド免疫療法は、がん細胞が免疫の攻撃から逃れるために使う「盾」、すなわち免疫ブロックタンパク質「PD-L1」を標的とする治療です。

ALK陽性肺がんでは、標準の免疫療法が効きにくいですが、PD-L1自体は一定の割合で発現しています。

ALK陽性肺がんでのPD-L1陽性率(TPS≥1%)は50%と報告されています。標準の免疫チェックポイント阻害薬がうまく働きにくいこのタイプにこそ、PD-L1へ別の角度からアプローチする意義があると考えています。

ハイブリッド免疫療法は、このPD-L1を内側と外側の両方から無力化します。まず、がん細胞の表面に出ているPD-L1に結合し、免疫の攻撃を妨げる「盾」を取り払います。さらに、がん細胞の中に入り込んで、これから作られるPD-L1の設計図(mRNA)を分解し、新たな「盾」が生まれるのを防ぎます。攻撃を逃れる術を失ったがん細胞を、患者様ご自身の免疫細胞が敵として認識し、攻撃できるようになるという仕組みです。

関連ページ:HER2をターゲットにした”がんのピンポイント治療薬”|分子標的ワクチン療法

当グループのがん治療をおすすめする患者様

当グループで実施可能な治療法は、ほとんどの患者様にご検討いただけます。以下では、どのような患者様に効果が期待できるのかを解説します。ご自身の状況に照らし合わせてご検討ください。

治療方法がない、標準治療では治療困難な患者様へ

ALK陽性肺がんでは、ALK-TKIへの耐性や免疫療法が効きにくいといった理由から、保険診療の選択肢が行き詰まることがあります。特に、複数のALK-TKIを使い切ってしまい、次の手立てが見つからない患者様は少なくありません。

そうした場合でも、核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)とハイブリッド免疫療法なら、標準治療とは異なるアプローチで治療を提供できます。これらは目立った副作用が現れにくく体への負担が少ないため、「体力がないため抗がん剤はできません」などと説明された方にも、1つの治療の選択肢となり得ます。

また、まだ体力があるのに選択肢がなくなり、緩和治療を勧められている方にとっても、新たな選択肢として検討いただけます。

保険診療(標準治療)との併用で相乗効果が期待

核酸医薬とハイブリッド免疫療法は、ALK-TKIや抗がん剤と併用でき、相乗効果が期待できます。化学療法や分子標的薬がすでに存在するタンパク質やシグナルに作用するのに対し、核酸医薬はそれらが作られる前の遺伝子レベルに作用します。

ハイブリッド免疫療法は、PD-L1という別の標的を叩きます。攻撃するポイントが異なるため、組み合わせることでより高い効果が期待できると考えています。

このように、ALK陽性肺がんの完治を目指すには、複数の治療法を組み合わせることが重要と考えています。標準治療を受けている患者様にとっても、これらの併用は選択肢のひとつとして検討可能です。

関連ページ:がん細胞を“内からも外からも”攻撃する次世代の二刀流療法|ハイブリッド免疫療法

再発を抑制・防止するために手術前後の患者様

早期がんで手術を受けた場合でも、ALK陽性肺がんは再発しうる疾患です。手術後にALK-TKIを用いる補助療法で再発リスクは下がりますが、それでも再発する患者様は残ります。またALK-TKIには副作用があり、体力に不安のある患者様には術後の補助療法が難しいこともあります。

こうした背景から、手術前後に核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)とハイブリッド免疫療法を併用することは、再発リスクを下げ生存率を高めるひとつの選択肢として検討いただけます。

副作用が不安な患者様

核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)とハイブリッド免疫療法は、目立った副作用が起こりにくい治療です。ALK-TKIや化学療法で起きやすい肝機能障害、便秘、倦怠感、筋肉痛、嘔気、食欲不振、倦怠感、脱毛、貧血、命に関わる副作用などはほとんど起こりません。核酸医薬の副作用としては、一時的な微熱、頭痛、アレルギー反応(0.3%以下)などが挙げられます。ハイブリッド免疫療法では、治療部位の反応などが見られることがあります。

解熱鎮痛剤など薬物を使う場合もありますが、自然と改善する副作用が大半で、治療の継続に支障をきたすことはありません。「体力面や仕事面で副作用の不安がある」「標準治療を続けながら副作用をできるかぎり抑えたい」という方にも受けていただける治療です。

ALK陽性肺がんの完治を目指して、保険診療と患者様に合った治療を組み合わせる

ALK陽性肺がんは、分子標的薬がよく効くタイプである一方、耐性や手術後再発という壁が立ちはだかる疾患です。しかし、適切に治療を行えば完治を目指せる疾患でもあります。

発症要因にALKやp53といった遺伝子異常があるため、保険診療と核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)、ハイブリッド免疫療法などを組み合わせる集学的治療が有効な選択肢となります。保険診療だけではカバーしきれない場合でも、これらの治療によって腫瘍縮小効果や再発抑制効果が期待できます。

がん中央クリニックグループでは、こうした「アプタマー核酸医薬」や「miR-34a mimic 核酸医薬」をはじめ、患者様1人ひとりに合ったがん治療をご提案いたします。ALK陽性肺がんの患者様は、どのような状況の場合でも是非お気軽にご相談ください。