HER2陽性乳がんは、乳がん全体の約15〜20%を占めるサブタイプで、がん細胞の表面に「HER2」というタンパク質が過剰につくられているタイプの乳がんです。増殖スピードが速く転移のリスクも高い傾向がありますが、HER2を狙い撃ちにする分子標的薬(抗HER2薬)がよく効くという大きな特徴があります。初期には自覚症状がほとんどなく、乳房のしこり、乳頭の陥没や分泌物、皮膚の変化などをきっかけに見つかることがあります。
本ページでは、HER2陽性乳がんの特徴や原因、症状、診断(マンモグラフィ・生検・HER2検査)、そして治療の選択肢についてわかりやすく解説します。治療を検討されている方やご家族が、いまの状況に合う選択肢を整理し、納得のいく方針を考えるための一助となれば幸いです。
再発・転移・ステージ4
諦めないがん治療の選択肢があります。
今の治療に限界、不安を感じている方緩和ケアを提示された方へ10種のがん治療から次の一手をご提案します。
- 治療実績5,000回以上
- ステージ4に対する豊富な治療実績
- 難治性を含む幅広いがん種に対応
- 全国展開4都市 (東京・名古屋・大阪・福岡)
- 標準治療との複合治療も可能
- 往診、当日治療も可能
がん光免疫療法、核酸医薬、分子標的ワクチン療法など、様々な治療法を用いていあなたのがんと闘います。
- 乳がん全体の約15〜20%を占め、HER2というタンパク質が過剰につくられているタイプ
- 増殖が速い一方、HER2を狙い撃ちにする分子標的薬(抗HER2薬)がよく効く
- 抗HER2薬の登場で治療成績は大きく向上し、早期では5年生存率90%以上
HER2陽性乳がんとは

乳がんは、がん細胞の性質によっていくつかの「サブタイプ(種類)」に分類されます。その中のひとつが「HER2(ハーツー)陽性乳がん」です。
HER2とは、細胞の表面に存在する「ヒト上皮成長因子受容体2型」というタンパク質であり、細胞の成長や修復を助ける働きをしています。
しかし、何らかの理由でHER2をつくる遺伝子が増幅すると、細胞表面にHER2タンパクが大量につくられる「HER2過剰発現」が起こります。この状態になったがん細胞は、増殖のアクセルが踏みっぱなしの状態になり、通常よりも速いスピードで分裂・増殖を繰り返すようになります。
HER2陽性乳がんは、乳がん全体の約15〜20%を占めるサブタイプです。他のサブタイプと比べて増殖スピードが速く、転移のリスクも高い傾向があるとされています。
ただし、HER2陽性乳がんには大きな特徴があります。それは、「HER2タンパクを狙い撃ちにする薬(抗HER2薬)が非常によく効く」という点です。
また、HER2陽性乳がんはさらに「ホルモン受容体(エストロゲンやプロゲステロンというホルモンの受け口)」が陽性かどうかによっても性質が異なります。このようにサブタイプの特徴を正しく把握することが、それぞれの患者様に合った治療を選ぶうえでとても重要です。
HER2陽性乳がんの原因
HER2陽性乳がんの正確な原因は、医学的にもまだ完全には解明されていません。ただ、そのメカニズムについては、少しずつ明らかになってきています。
私たちの細胞には、もともと「HER2」という名前のタンパク質が少量存在しています。このHER2は、細胞が正常に増殖するときのアクセルのような役割を担っています。
ところが何らかの理由でHER2遺伝子が増えすぎると、HER2タンパクが細胞の表面に大量に作られ、アクセルが踏みっぱなしの状態になります。その結果、増殖のブレーキが利かなくなり、がん細胞が生まれると考えられています。
この遺伝子の変化は、生まれつきの体質(遺伝)によるものではなく、多くの場合は生きている間に細胞の中で自然に起こる「後天的な変化」です。特定の生活習慣や行動が直接の原因になるとは言い切れません。
HER2陽性乳がんの診断
「(無)症状」から「確定診断」まで
HER2陽性乳がんは、初期段階では自覚症状がほとんどありません。進行すると、乳房のしこり、乳頭の陥没や分泌物、皮膚がオレンジの皮のようにボコボコする変化などが現れます。良性のしこりも多いため、症状がなくても乳がん検診を受け、気になる変化を感じたらすぐに医療機関を受診することが重要です。
受診すると、医師による「視触診」のほか、X線撮影を行う「マンモグラフィ」や「超音波(エコー)検査」を実施します。これらの画像検査で異常が疑われた場合は、注射針などを用いて細胞や組織を採取する「生検」を行い、がんの有無を確定診断します。
「HER2陽性」と判定されるまでの病理検査の流れ
乳がん診断後、採取した組織を顕微鏡で調べる病理検査によって、HER2陽性かどうかを判定します。
最初に行われる「免疫染色(IHC法)」では、タンパクの染まり具合をスコア0〜3+の4段階で評価します。3+は陽性、0と1+は陰性、2+は「判定保留(グレーゾーン)」です。
判定保留(2+)の場合は、次のステップとして「FISH法」を実施します。これは蛍光色素を用いてHER2遺伝子の数を直接数える検査で、遺伝子の増幅が確認されれば「陽性」と確定し、保険治療による抗HER2薬の治療対象となります。
ステージ(病期)の確定
がんの広がりを客観的に示す「ステージ(病期)」の判定も、診断の重要なステップです。乳がんのステージは、腫瘍の大きさ(T)、リンパ節への転移の有無(N)、他の臓器への遠隔転移の有無(M)の3要素を組み合わせて0期〜Ⅳ期に分類され、これにより具体的な治療方針が検討されます。
このように、HER2陽性乳がんの診断は「画像検査から生検、HER2スコア判定、そしてステージ確定」という一連のプロセスを経て行われます。
HER2陽性乳がんの一般的な治療法
HER2陽性乳がんの治療は、「手術」「放射線療法」「薬物療法」の3つを組み合わせるのが基本です。どの治療をどの順序で行うかは、がんのステージ、腫瘍の大きさ、リンパ節転移の有無、患者様の希望などをもとに医師と相談して決定します。
現在は、手術の前に抗がん剤と抗HER2薬を組み合わせる「術前化学療法」から始めるアプローチが標準的です。事前に腫瘍を縮小させることで、切除範囲を小さくし、乳房を温存できる可能性を高める目的があります。
手術と放射線療法
手術には、がんとその周辺のみを取り除く「乳房温存手術」と、乳房全体を取り除く「乳房全切除術」があります。温存手術を選択した場合は、残った乳房での再発を防ぐために、術後の放射線療法をセットで行うのが標準です。放射線療法は、手術部位や周辺のリンパ節に残ったがん細胞を根絶し、局所再発のリスクを下げる役割を担います。
薬物療法の主役「抗HER2薬」
治療の中心となるのが、がんの弱点を狙い撃ちにする分子標的薬「抗HER2薬」です。手術前後の薬物療法では、がん細胞の増殖を抑える「トラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)」を使用することが多いです。
リンパ節転移など再発リスクが高い場合は、異なる仕組みでがんをブロックする「ペルツズマブ」を追加し、複数の角度からがん細胞を攻撃します。また、術前療法の後に手術でがん細胞が残っていた場合は、強力なミサイル型の抗体薬物複合体「トラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)」を用いて再発リスクを低下させます。
治療成績と生存率
かつては予後不良とされていたHER2陽性乳がんですが、抗HER2薬の登場により治療成績は劇的に向上しました。現在、早期HER2陽性乳がんの5年生存率は90%以上とされています。ただし効果や副作用には個人差があるため、担当医と綿密に相談しながら治療を進めることが重要です。
HER2陽性乳がんにおける保険診療の限界
HER2陽性乳がんの保険診療では、手術・化学療法・放射線療法などを組み合わせて治療を進めます。抗HER2薬の登場によって治療成績は大きく改善しましたが、それでも再発や脳転移のリスクは残るため、標準治療だけでは長期的に病状を安定させるのが難しいケースもあります。
実施できる化学療法の限界
抗HER2薬は高い効果が期待できる一方で、保険診療には2つの限界があります。1つ目は、がん細胞が薬への抵抗性を獲得し、別の経路で再び増殖する「薬剤耐性」です。耐性が生じるメカニズムは未解明な部分も多く、時間が経つと効果が低下するケースがあります。2つ目は「脳転移」です。脳には異物を遮断する「血液脳関門」というバリアがあり抗HER2薬が届きにくいため、進行性患者様の25〜50%の方に脳転移が生じることが大きな課題となっています。
化学療法に伴う「きつい」副作用
薬物療法では、心身に重い負担を強いる副作用とも向き合わなければなりません。抗がん剤による吐き気、強い倦怠感、脱毛、感染症リスクなどに加え、抗HER2薬特有の心機能低下や下痢なども起こりえます。長期間の治療や強力な薬の組み合わせにより、激しい身体的・精神的苦痛から治療の継続が難しくなったり、生活の質(QOL)が著しく低下したりするリスクがあります。
保険診療ではカバーしきれない再発・進行のリスク
保険診療では確立された標準治療が提供されますが、再発リスクをゼロにはできません。手術後にトラスツズマブを含めた術後補助化学療法を行っても再発のリスクが約15〜30%程度残ります。さらに、標準治療後に増悪・再発した際、保険診療内で選べる有効な手立ては限られてしまうのが実情です。
HER2陽性乳がんで重要な新しい治療の考え方
これまで記載した通り、HER2陽性乳がんは抗がん剤治療や手術などの標準治療を実施しても、脳転移や再発のリスクが問題となるがんです。
このようなリスクを低くしつつ、がんに対する治療効果をより高める治療法が最近注目されてきています。
分子レベルの異常にアプローチする「核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)」
近年、がんの発生や進行に関わる分子レベルの異常に直接アプローチする「核酸医薬」が世界的に注目を集め、研究・臨床応用が進んでいます。
当グループでは、がんの根本的な原因に直接作用することが期待される治療選択肢として、「アプタマー」「siRNAなどのRNA干渉技術」「miR-34a mimic」といった核酸医薬を取り入れた治療を提供しております。
「アプタマー核酸医薬」は、がん細胞に特有の異常なタンパク質にピンポイントで結合し、その働きをブロックすることで、がんの増殖抑制や死滅を狙う治療薬です。一方で「miR-34a mimic核酸医薬」は、がん化によって失われてしまった「体が本来持っているがんを抑制する力」を補い、がんの成長を止め、自然な細胞死(アポトーシス)を促す画期的な治療薬です。
がん中央クリニックグループでは、このように分子レベルの異常にアプローチする治療を用い、患者様一人ひとりに合わせた新たな治療の可能性を追求しています。
がん細胞を狙い撃ちする「がん光免疫療法」
がん光免疫療法は、光に反応する薬(光感受性物質)を体に入れ、そこにレーザー光を当ててがん細胞を破壊する治療法です。医学的には光線力学的療法(PDT)の一種で、日本でも1990年代から一部のがんに保険適用されてきました。
乳がんは体表近くにできる腫瘍であるため、光線が届きやすく治療効果が見込めるがんの1つです。
仕組みは大きく二つあります。一つは「狙い撃ち」です。光感受性物質はがん細胞に集まる性質があり、そこへ特定の波長のレーザーを当てると、薬が反応して活性酸素を発生させ、がん細胞を内側から傷つけます。
使うレーザーは手をかざしても熱くない弱い光で、重要なのは熱ではなく薬を反応させる「波長」です。薬が集まっていない正常細胞は、光が当たっても反応しません。
もう一つは「全身への波及」です。壊れたがん細胞から放出される目印(抗原)を免疫細胞が取り込むことで、残ったがんや全身に散った転移巣への攻撃力が高まると期待されます。つまり局所治療と全身治療の両面を狙える点が特徴です。
また手術・抗がん剤・放射線といった標準治療と併用でき、体への負担が比較的少なく週1回の通院で受けられるため、取り残した微小転移や薬剤耐性がんへの相乗効果を狙う選択肢として位置づけられています。
HER2を標的にする「分子標的ワクチン療法」
分子標的ワクチン療法は、がんの増殖・浸潤・転移に関わるタンパク質「HER2」を標的にした自由診療の治療です。
保険診療では、HER2の発現が比較的少ない場合には抗HER2薬が使えないことが多いです。しかし、一部のがん細胞には発現しているため、HER2をブロックすることで少しでもがん細胞の増殖を抑えられる可能性があります。ただし、標準治療ですでに抗HER2薬を使用している場合には効果が見込みづらいことに注意が必要です。
この治療では、HER2の一部をワクチンとして筋肉注射します。狙いは、患者様ご自身の体内でHER2に対する抗体を作らせることです。抗体ができると、HER2が他の受容体と結合できなくなり、増殖・浸潤・転移を促す信号が止まると想定されています。さらに、抗体がくっついたがん細胞を免疫細胞が攻撃する効果も期待されています。
HER2の発現が少ないと説明された方は、こちらもご覧ください。
当グループの自由診療・治療をおすすめする患者様
当グループで実施可能な治療法はほとんどの患者様にお選びいただけます。以下では、どのような患者様に効果が期待できるのかを解説します。ご自身の状況に照らし合わせてご検討ください。
治療方法がない、標準治療では治療困難な患者様へ
HER2陽性乳がんでは、病状や体力、副作用などの理由で、保険診療の標準治療だけでは選択肢が限られることがあります。そうした場合でも、がんに関わる分子レベルの異常に着目する核酸医薬、がん光免疫療法、分子標的ワクチン療法は、標準治療とは異なるアプローチで治療を提供することが可能です。
これらの治療法は目立った副作用が現れにくく、「体力がないため抗がん剤はできません」などと説明された方でも、治療の提案が可能です。
さらに、まだ治療ができる体力があるにもかかわらず選択肢がなくなり、緩和を勧められている方にとっても、新たな治療の選択肢として検討いただけます。
がん中央クリニックグループでは、核酸医薬、がん光免疫療法、分子標的ワクチン療法を含め、様々な治療を組み合わせながら患者様の状態や疾患に応じて、患者様一人ひとりに合わせたテーラーメイドの治療を提案、提供しています。
保険診療(標準治療)との併用で相乗効果が期待
核酸医薬、がん光免疫療法、分子標的ワクチン療法は、化学療法などの薬物療法や放射線療法と併用でき、相乗効果が期待できます。
なぜなら、化学療法はすでに増殖したがん細胞や産生されたたんぱく質に作用するのに対し、核酸医薬はがん細胞やたんぱく質が作られる前の段階に作用するからです。
そして、がん光免疫療法は薬物でがん細胞に目印をつけて破壊する方法だからです。
このように当グループが提供する治療法は、標準治療が攻撃するポイントが異なるため、標準治療と組み合わせることでより高い効果が期待できます。
このように、HER2陽性乳がんの完治を目指すには複数の治療法を組み合わせることが重要です。標準治療(手術前後の抗がん剤治療を含む)を受けている患者様にも、核酸医薬、がん光免疫療法、分子標的ワクチン療法の併用は選択肢となります。
再発を抑制・防止するため―手術前後の患者様
HER2陽性乳がんは、手術を行っても再発しやすい疾患です。手術に加えて術後補助化学療法を行っても約15〜30%程度の患者様が再発するとされています。また、抗がん剤には副作用があるため、体力に不安のある高齢の患者様や副作用が心配な患者様には実施が難しいこともあります。
こうした背景から、手術前後の患者様が核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)、がん光免疫療法、分子標的ワクチン療法を併用することは、再発リスクを下げる一つの選択肢として検討いただけます。
治療を継続しやすい副作用
核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)、がん光免疫療法、分子標的ワクチン療法には目立った副作用が起こりにくいです。特に、化学療法で起きやすい嘔気、食欲不振、倦怠感、脱毛、貧血、命に関わる副作用などはほとんど起こりません。核酸医薬の副作用としては、一時的な微熱、頭痛、アレルギー反応(0.3%以下)などがあります。
その他、がん光免疫療法には、照射部位の赤み、熱感、日光による影響など、分子標的ワクチン療法には、注射部位反応(赤み、腫れ、痛みなど)、疲労感、発熱が見られることがあります。
解熱鎮痛剤など薬物を使う場合もありますが、自然と改善する副作用が大半であり、治療を継続するのに支障をきたしません。
「体力面や仕事面で副作用の不安がある」「標準治療を続けながら副作用をできるかぎり抑えたい」といった方でも受けていただける治療となっております。
HER2陽性乳がんの完治を目指して、保険診療と患者様に合った自由診療を組み合わせる
HER2陽性乳がんは、適切に治療を行えば完治を目指せる疾患です。
発症要因の一つに遺伝子異常があるため、保険診療と核酸医薬(アプタマー・miR-34a mimic)、がん光免疫療法、分子標的ワクチン療法などを組み合わせる集学的治療が有効な選択肢となります。保険診療だけではカバーしきれない場合にも、これらの治療によって腫瘍縮小効果や再発抑制効果が期待できます。
がん中央クリニックグループでは、このような「アプタマー核酸医薬」や「miR-34a mimic 核酸医薬」をはじめ、患者様1人ひとりに合ったがん治療をご提案いたします。HER2陽性乳がんの患者様は、どのような状況の場合でも是非お気軽にご相談ください。







