”新しい未来をともに”最先端のがん治療を追求するがん治療専門クリニック ”新しい未来をともに”最先端のがん治療を追求するがん治療専門クリニック
主要ながん 2026.10.19

結腸がんとは?右側と左側の違い・初期症状・治療法・ステージ別生存率を解説

直腸がんの主なリスクや症状、検査から診断、ステージ別生存率や治療方法の選択について

結腸がんは、大腸のうち盲腸からS状結腸までの「結腸」に発生するがんです。大腸がんは結腸がんと直腸がんを合わせた総称で、2023年に日本で新たに結腸がんと診断された人は102,436人でした。

結腸は右下腹部の盲腸から始まり、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸へと長く続いています。そのため、同じ結腸がんでもどの場所にがんができるかによって、現れやすい症状や手術で切除する範囲が異なります。

たとえば、盲腸や上行結腸など右側にできたがんでは、便がまだ液状に近いため腸が狭くなっても症状が出にくく、貧血や倦怠感をきっかけに発見されることがあります。一方、下行結腸やS状結腸など左側では便が固形になるため、便秘、腹痛、腹部膨満、腸閉塞など通過障害による症状が現れやすくなります。

治療では、早期でリンパ節転移の可能性が低ければ内視鏡治療を行える場合があります。より深く浸潤している場合には、がんがある結腸だけでなく、がんが広がる可能性のあるリンパ節を含めて切除します。さらに、ステージⅡの一部やステージⅢでは、手術後の再発リスクに応じて術後補助化学療法を検討します。

この記事では、結腸がんと大腸がん・直腸がんの違い、右側・左側で異なる症状、検査、ステージ、部位別の手術、腸閉塞が起きた場合の対応、Stage II・IIIの術後補助化学療法、生存率まで解説します。

参考:厚生労働省「令和5年 全国がん登録 罹患数・率 報告」、国立がん研究センター「大腸がん」

結腸がんとは

大腸の分類と名称を解説したイラスト

大腸は、小腸から続く消化管の最後の部分で、長さは約1.5~2mあります。大きく「結腸」と「直腸」に分けられ、このうち結腸には盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸が含まれます。

食べ物の消化によってできた内容物は、小腸から盲腸へ入り、結腸を通過する間に水分が吸収されて徐々に便の形になります。そのため、結腸のどこにがんができるかによって、便の状態や腸管の太さが異なり、症状の現れ方にも違いが生じます。

結腸がんの多くは、結腸の内側を覆う粘膜の腺細胞から発生する「腺がん」です。良性の腺腫性ポリープが少しずつがん化して発生する場合と、正常に見える粘膜から直接がんが発生する場合があります。

右側結腸と左側結腸

結腸は、診療や研究の場面で「右側結腸」と「左側結腸」に分けて考えることがあります。

国立がん研究センターの大腸がんファクトシートでは、盲腸から横行結腸までを右側結腸、下行結腸からS状結腸までを左側結腸と分類しています。

分類 主な部位 特徴
右側結腸 盲腸・上行結腸・横行結腸 便が液状に近く、腫瘍が大きくなっても通過障害が起こりにくいことがある
左側結腸 下行結腸・S状結腸 便が固形になり、腫瘍による狭窄で便通障害や腸閉塞が起こりやすい

右側・左側という区分は症状だけでなく、進行・再発した大腸がんの薬物療法を考える際にも参考になります。ただし、薬物療法の詳細は結腸がん単独ではなく大腸がん全体に共通するため、この記事では後ほど概要にとどめます。

参考:国立がん研究センター「大腸がんファクトシート2024」、国立がん研究センター「大腸がんについて」

結腸がんと大腸がん・直腸がんの違い

「結腸がんと大腸がんは違う病気なのか」と疑問に感じる人もいますが、結腸がんは大腸がんの一種です。

大腸がんという大きな分類の中に、結腸がんと直腸がんがあります。

盲腸からS状結腸までに発生したものが結腸がん、その先の直腸に発生したものが直腸がんです。

比較項目 結腸がん 直腸がん
発生部位 盲腸~S状結腸 結腸より肛門側の直腸
症状の特徴 部位によって貧血、腹痛、便通障害、腸閉塞などの現れ方が異なる 血便、残便感、便が細いなど肛門に近い部位ならではの症状がみられることがある
手術 発生部位と血管・リンパ流に応じて結腸とリンパ節を切除する 骨盤内で直腸を切除し、肛門温存や人工肛門、機能温存も重要になる
放射線・術前治療 根治治療として放射線を使用する場面は限定的 局所進行例では術前化学放射線療法などを検討する場合がある

結腸がんでは、肛門を残せるかどうかよりも、がんがどの結腸にあり、どの血管・リンパ節まで含めて切除すれば根治性を確保できるかが手術上の大きな判断になります。

大腸がん全体の検診・共通する検査や治療については大腸がんの記事、肛門温存や人工肛門、直腸がん特有の術前治療については直腸がんの記事で詳しく解説しています。

参考:国立がん研究センター「大腸がんについて」、国立がん研究センター「大腸がん 治療」

結腸がんはできる場所によって症状が違う

結腸は右下腹部から始まり、おなかの中を大きく回って左下腹部へ続く長い臓器です。同じ結腸がんでも、右側と左側では腸の中を通る便の状態や腸管の太さが異なるため、現れやすい症状にも違いがあります。

右側結腸がんでは貧血などで見つかることがある

盲腸、上行結腸、横行結腸など右側の結腸では、腸の内容物はまだ水分を多く含み、液状に近い状態です。また、腸管の内腔も比較的広いため、腫瘍がある程度大きくなっても便の通り道が完全には塞がれず、通過障害による症状が目立たないことがあります。

そのため、進行していても便秘や腸閉塞が目立たず、腫瘍からの少量の出血が続くことで鉄欠乏性貧血となり、疲れやすさ、息切れ、動悸などをきっかけに見つかる場合があります。さらに進行すると、右下腹部の痛みや腹部のしこりとして気付くこともあります。

右側結腸がんは、進行していても腹部症状が目立たない場合がある点に注意が必要です。

左側結腸がんでは便通障害や腸閉塞が起こりやすい

下行結腸やS状結腸では、水分が吸収されて便が固形に近づいています。そのため腫瘍によって腸管が狭くなると、便が通過しにくくなり、便秘、下痢、排便回数の変化、腹痛、腹部膨満などが現れやすくなります。

狭窄が強くなると、便やガスが通過できなくなり、腸閉塞を起こすことがあります。腸閉塞では強い腹痛、おなかの張り、吐き気・嘔吐、便やガスが出ないなどの症状が現れます。

S状結腸など肛門に比較的近い場所では、血便として気付きやすい場合もあります。

症状だけでがんの場所やステージは判断できない

右側では貧血、左側では便通障害が比較的現れやすいという傾向はありますが、すべての患者がこの通りになるわけではありません。右側結腸がんでも腸閉塞を起こすことがありますし、左側結腸がんでも自覚症状がないまま検診で発見されることがあります。

また、症状の強さとステージも必ずしも一致しません。局所の腫瘍が腸管を強く狭めて腸閉塞を起こしていても、リンパ節や遠隔臓器へ転移していなければステージ4ではありません。反対に、肝臓や肺へ転移していても結腸そのものによる症状が軽い場合があります。

参考:国立がん研究センター中央病院「大腸がんの症状について」、国立がん研究センター「大腸がんファクトシート2024」

結腸がんの初期症状

結腸がんは、早期の段階ではほとんど自覚症状がありません。便潜血検査で陽性になったことをきっかけに大腸内視鏡検査を受け、症状がない段階で発見されることもあります。一方、腫瘍が大きくなったり、出血や狭窄が起きたりすると、血便、便通の変化、腹痛、貧血などが現れます。

血便

結腸がんでは、腫瘍の表面から出血し、便に血液が混ざることがあります。

S状結腸など肛門に近い場所では赤い血として気付く場合がありますが、右側結腸からの出血では便と混ざり、肉眼では分かりにくいこともあります。血便は痔など良性の病気でも起こりますが、自己判断だけで大腸がんを否定することはできません。

便秘・下痢など便通の変化

腫瘍によって腸が狭くなると、便秘、下痢、排便回数の変化などが起こる場合があります。特に左側結腸では便が固形になっているため、狭窄による影響が出やすくなります。

ただし、便秘や下痢は食生活、薬、過敏性腸症候群などでも起こります。以前にはなかった便通の変化が長く続く場合には、原因を確認することが重要です。

腹痛・腹部膨満

便やガスの流れが悪くなると、腹痛やおなかの張りが起こることがあります。腸がほとんど塞がると腸閉塞となり、強い腹痛、嘔吐、排便や排ガスの停止などが起こる場合があります。このような症状がある場合には緊急処置が必要になることもあるため、速やかに医療機関を受診します。

貧血・倦怠感

腫瘍から少量の出血が長期間続くと、鉄欠乏性貧血を起こすことがあります。特に右側結腸がんでは、便に混ざった血液が肉眼で分かりにくく、疲れやすい、息切れがする、顔色が悪いといった貧血症状から発見されることがあります。

体重減少・食欲低下

進行した結腸がんでは、食欲低下や体重減少がみられることがあります。

ただし、これらは結腸がんだけに特有の症状ではありません。体重減少だけで大腸がんかどうかを判断することはできないため、ほかの症状や検査結果と合わせて原因を調べます。

参考:国立がん研究センター「大腸がんについて」、国立がん研究センター中央病院「大腸がんの症状について」

結腸がんの原因とリスク

結腸がんについて、一人ひとりの発症原因を特定することは通常できません。年齢、生活習慣、家族歴、遺伝性疾患、炎症性腸疾患など複数の要因が大腸がんの発症リスクに関係すると考えられています。

年齢・家族歴

大腸がんは年齢とともに発症する人が増えます。また、血縁者に大腸がんになった人がいる場合には、家族歴がない人と比べて発症リスクが高くなることが知られています。

ただし、家族に大腸がんになった人がいるからといって、すべてが遺伝性大腸がんというわけではありません。

飲酒・喫煙・肥満など

大腸がんでは、飲酒、喫煙、肥満などとの関連が知られています。赤肉や加工肉を多く摂取する食生活との関連も研究されていますが、特定の食品だけが結腸がんの直接的な原因になるわけではありません。

禁煙、節度ある飲酒、適度な運動、適正体重、偏りの少ない食事を続けることが、がん予防を含む健康管理の基本になります。

リンチ症候群・家族性大腸腺腫症

遺伝性大腸がんの代表として、リンチ症候群と家族性大腸腺腫症があります。リンチ症候群では大腸がんだけでなく、子宮体がん、胃がん、卵巣がんなど複数のがんの発症リスクが高くなります。家族性大腸腺腫症では大腸に多数の腺腫が発生し、そのまま経過すると大腸がんを発症する危険性が高くなります。

若年で結腸がんを発症した場合や、血縁者に関連するがんが多い場合などには、遺伝性腫瘍について詳しく調べることがあります。

潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患

潰瘍性大腸炎などによって大腸粘膜の炎症が長期間続く場合には、大腸がんの発症リスクが高くなることがあります。病歴や炎症の範囲に応じ、通常の大腸がん検診とは別に定期的な大腸内視鏡検査が必要になる場合があります。

大腸がん全体の原因・予防・検診については、大腸がんの記事でも詳しく解説しています。

参考:国立がん研究センター「大腸がん 予防・検診」

結腸がんの検査と診断

結腸がんが疑われた場合には、大腸内視鏡検査で病変を確認し、組織を採取してがんかどうかを確定します。結腸がんと診断された後は、CTなどを使ってリンパ節や肝臓、肺、腹膜などへの広がりを調べ、ステージと治療方針を決めます。

大腸内視鏡検査と生検

大腸内視鏡検査では、肛門から内視鏡を挿入し、結腸を含む大腸の内側を直接観察します。病変の位置、大きさ、形、表面の状態を確認し、必要に応じて組織を採取して病理検査を行います。

病理検査でがん細胞が確認されることで、結腸がんの確定診断につながります。早期の小さな病変では、検査と同時に内視鏡治療によって病変全体を切除できる場合もあります。

CTでリンパ節・肝臓・肺などへの広がりを調べる

結腸がんと診断された後は、CTを使って腫瘍周囲のリンパ節や肝臓、肺、腹膜などへの転移を調べます。

大腸がんは肝臓や肺へ転移することが比較的多いため、治療前には原発巣だけではなく全身の状態を確認することが重要です。遠隔転移が見つかっても、転移巣の場所や数によっては原発巣と転移巣を両方切除し、根治を目指せる場合があります。

CEA・CA19-9などの腫瘍マーカー

血液検査ではCEAやCA19-9などの腫瘍マーカーを測定することがあります。ただし、結腸がんがあっても正常値のことがあり、良性疾患や喫煙などでも上昇することがあります。そのため、腫瘍マーカーだけで結腸がんの有無を診断することはできません。

診断時の値と、その後の治療中・経過観察中の推移を比較する補助的な指標として利用します。

参考:国立がん研究センター「大腸がん 検査」

結腸がんのステージ

結腸がんのステージは、がんが腸の壁のどこまで入り込んでいるかを示すT分類、領域リンパ節への転移を示すN分類、肝臓や肺などへの遠隔転移を示すM分類を組み合わせて決めます。

ステージ 主な状態
0期 がんが粘膜内にとどまっている
Ⅰ期 がんが粘膜下層または固有筋層まで広がっているが、リンパ節転移・遠隔転移はない
Ⅱ期 がんが固有筋層を越えて広がっているが、領域リンパ節転移・遠隔転移はない
Ⅲ期 領域リンパ節への転移があるが、遠隔転移はない
Ⅳ期 肝臓、肺、腹膜、遠隔リンパ節などへの遠隔転移がある

実際にはⅡ期、Ⅲ期、Ⅳ期はさらに細かく分類されます。

ステージ2と3の違いはリンパ節転移の有無

ステージⅡでは、がんが結腸の壁を越えて外側へ広がっていても、領域リンパ節への転移は確認されていません。

ステージⅡは、ⅡA・ⅡB・ⅡCとさらに分けられ、周囲の臓器まで広がるT4では、同じステージⅡの中でも再発リスクが高くなるため、手術後の治療を考える際に重要になります。

一方、ステージⅢでは領域リンパ節への転移があります。ステージⅢだから必ずステージⅡより原発巣が深く広がっているという意味ではありません。原発巣が比較的浅くても、リンパ節転移があればステージⅢになる場合があります。

ステージ2でも再発リスクが高い場合がある

ステージⅡではリンパ節転移がないため、一般には手術だけで治療が終了することが多くなります。

ただし、T4、腸閉塞や穿孔を伴う場合、病理学的に再発リスクを高める所見がある場合などには、手術後の再発リスクを考えて術後補助化学療法を検討することがあります。

高リスク所見は術後治療を考えるための判断材料ですが、1つの所見だけで治療が自動的に決まるわけではありません。再発リスク、術後補助化学療法によって期待できる利益、副作用、年齢や持病などを合わせて判断します。

ステージ4でも切除できるかどうかで治療が変わる

ステージⅣでは遠隔転移がありますが、すべての患者が同じ状態ではありません。

肝臓や肺に少数の転移があり、原発巣と転移巣をすべて安全に切除できる場合には、手術によって根治を目指せる可能性があります。一方、複数臓器に多数の転移があるなど、すべてを切除することが難しい場合には薬物療法が中心になります。

ステージ4の切除可能性、最新の薬物療法、バイオマーカー、生存率・余命については、大腸がんステージ4の記事で詳しく解説しています。

参考:国立がん研究センター「大腸がん 治療」

結腸がん治療の全体像

結腸がんの治療では、がんの深さ、リンパ節転移、遠隔転移、がんができた部位、年齢や全身状態などを確認し、内視鏡治療、手術、薬物療法などを組み合わせます。

病状 主な治療の考え方
0期~一部のⅠ期 リンパ節転移の可能性が低く、完全切除できると判断されれば内視鏡治療
内視鏡治療では根治が難しいⅠ期・Ⅱ期 リンパ節郭清を伴う結腸切除。Ⅱ期では再発リスクに応じて術後補助化学療法を検討する場合がある
Ⅲ期 手術+術後補助化学療法が基本
Ⅳ期 原発巣と転移巣を切除できるか評価し、切除可能なら手術、切除困難なら薬物療法を中心に治療

直腸がんと異なり、結腸がんでは術前放射線治療が治療の中心になることは通常ありません。

一方、左側結腸がんなどで腸閉塞を起こしている場合には、通常の待機手術とは異なり、まず腸閉塞を解除する処置が必要になることがあります。

参考:国立がん研究センター「大腸がん 治療」

早期結腸がんの内視鏡治療

がんが粘膜内または粘膜下層の浅い部分にとどまり、リンパ節転移の可能性が極めて低いと判断される場合には、腸管を切除せず内視鏡だけで治療できることがあります。

内視鏡治療には、ポリペクトミー、EMR、ESDなどがあります。ただし、内視鏡治療ではリンパ節を一緒に切除することはできません。病変を切除した後の病理検査で、リンパ節転移のリスクが十分低いかを確認することが重要です。

内視鏡で取れた後に追加手術が必要になることがある

「内視鏡で全部取ったと言われたのに、その後に手術を勧められた」という場合があります。これは必ずしも、内視鏡治療に失敗したことを意味しません。

内視鏡治療では病変そのものを切除できますが、周囲のリンパ節を一緒に切除することはできません。そのため、切除した組織を病理検査で詳しく調べ、リンパ節へ転移している可能性がどの程度あるかを評価します。

T1大腸がんでは、リンパ管・血管への侵襲、低分化などの組織学的特徴、高度の簇出などが、リンパ節転移リスクと関連することが知られています。

粘膜下層への深い浸潤も追加手術を考える際の判断材料として用いられてきましたが、近年の研究では、ほかの高リスク所見を伴わず深い粘膜下層浸潤だけが認められる場合には、リンパ節転移リスクは比較的低い可能性が示されています。

「簇出(ぞくしゅつ)」とは、がんが周囲へ広がっていく先端部分で、がん細胞が1個ずつ、またはごく小さな集まりとなって周囲の組織へ入り込んでいる所見です。簇出が多い場合には、リンパ節転移の可能性を考える材料の1つになります。

病理検査でこうした所見が確認された場合には、リンパ節転移の可能性と、年齢・持病・手術による負担などを比較し、結腸と周囲のリンパ節を切除する追加手術を検討します。病理所見の1項目だけを切り離して判断するのではなく、複数の情報を合わせて治療方針を決めることが重要です。

大腸がん全体の内視鏡治療の考え方については、大腸がんの記事でも詳しく解説しています。

参考:国立がん研究センター「大腸がん 治療」、Metter K, et al.「Endoscopic Treatment of T1 Colorectal Cancer」、Zlobec I, et al.「Tumour budding and its clinical implications in gastrointestinal cancers」

結腸がんの手術

内視鏡治療だけでは根治が難しい結腸がんでは、がんがある結腸と、その周囲のリンパ節を切除する手術を行います。

結腸には部位ごとに異なる血管が流れており、リンパ節はそれらの血管に沿って存在します。そのため、結腸がんでは腫瘍だけを部分的に切り取るのではなく、がんが広がる可能性があるリンパ流と血管を考えて、必要な範囲の腸管とリンパ節をまとめて切除します。

国立がん研究センターでは、がんのある場所から口側・肛門側へそれぞれ10cm程度の距離をとって腸管を切除することを基本的な考え方として説明しています。ただし、実際の切除範囲は腫瘍の位置、血管走行、リンパ節郭清範囲などによって決まります。

回盲部切除術

盲腸や回盲部周辺にがんがある場合には、回腸の末端部分と盲腸、上行結腸の一部などを切除する回盲部切除術を行うことがあります。切除後は小腸と残った結腸をつなぎ直します。

腫瘍の位置やリンパ節郭清の必要範囲によっては、より広い右半結腸切除術を選択する場合もあります。

結腸右半切除術

上行結腸など右側結腸にがんがある場合に行われる代表的な手術です。盲腸、上行結腸と横行結腸の一部などを、関連する血管・リンパ節とともに切除し、小腸と残った横行結腸などをつなぎます。

右側結腸は小腸から流れてきた内容物の水分を吸収する部位ですが、一部を切除しても残った腸管が働くため、多くの場合は時間とともに排便状態が安定していきます。

横行結腸切除術

横行結腸にがんがある場合には、がんを含む横行結腸と周囲のリンパ節を切除します。横行結腸は右側・左側それぞれの血管支配が関係する位置にあるため、がんの場所によって切除範囲が変わることがあります。

腫瘍が右寄りであれば右半結腸切除、左寄りであれば左半結腸切除に近い範囲を切除する場合もあり、すべての横行結腸がんで同じ術式になるわけではありません。

結腸左半切除術

下行結腸や横行結腸の左側などにがんがある場合には、左側の結腸と関連するリンパ節を切除する結腸左半切除術を行うことがあります。切除後は残った横行結腸とS状結腸などをつなぎます。

どこまで結腸を切除するかは、腫瘍そのものの位置だけでなく、リンパ節郭清に必要な血管の範囲も考えて決定します。

S状結腸切除術

S状結腸がんでは、がんを含むS状結腸と周囲のリンパ節を切除し、残った下行結腸と直腸側の腸管をつなぎます。

S状結腸は便が固形になり、腸管も比較的狭いため、腫瘍によって狭窄すると便秘、腹痛、腸閉塞などが起きやすい部位です。そのため、S状結腸がんでは腫瘍そのものの切除だけでなく、治療前に腸閉塞を起こしていないかを確認することも重要です。

リンパ節郭清とは

リンパ節郭清は、がんが転移している可能性のあるリンパ節を、周囲の脂肪組織などと一緒に切除することです。

結腸には部位ごとに血管とリンパの流れがあり、手術ではがんの位置や深さ、画像検査でリンパ節転移が疑われるかなどを踏まえて、切除する腸管とリンパ節の範囲を決めます。

手術後には切除したリンパ節を病理検査で詳しく調べます。画像検査では転移がないように見えていても、顕微鏡で初めて小さな転移が確認されることがあります。その結果によって、手術前に予想していたステージと手術後の病理学的ステージが変わる場合があります。

腹腔鏡手術・ロボット支援手術

結腸がんの手術には、開腹手術、腹腔鏡手術、ロボット支援手術などがあります。

腹腔鏡手術では腹部に数カ所の小さな穴を開け、カメラと器具を使って手術します。傷が小さく、術後の回復という面で利点があります。ロボット支援手術も結腸がんに用いられるようになっていますが、「ロボット手術なら必ず根治性が高い」と考えるものではありません。

がんの部位や進行度、過去の手術歴、患者の体格、施設や術者の経験などを踏まえ、安全かつ十分な切除ができる方法を選びます。

参考:国立がん研究センター「大腸がん 治療」

結腸がんで腸閉塞が起きた場合の治療

結腸がんが大きくなり腸管を強く狭めると、便やガスが通らなくなる「閉塞性結腸がん」の状態になることがあります。特に便が固形になっている左側結腸では、右側と比べて通過障害が問題になりやすくなります。

腸閉塞が起きると、腹痛、腹部膨満、吐き気・嘔吐、便やガスが出ないなどの症状が現れます。そのまま放置すると腸管が破れる穿孔や感染などにつながる可能性があるため、通常の結腸がんより緊急性の高い対応が必要になる場合があります。

緊急手術が必要になる場合

腸管が破れている、腹膜炎を起こしている、腸への血流が悪くなっているなどの場合には、緊急手術が必要になることがあります。緊急手術では患者の全身状態や腸管の状態によって、がんを切除して腸をつなぎ直す場合もあれば、安全性を優先して人工肛門を造る場合もあります。

結腸がんで人工肛門になる可能性はありますが、直腸がんのように肛門そのものを切除することが理由とは限りません。腸閉塞や穿孔などの緊急状態で、安全に便を排出できる経路を確保する目的で造る場合があります。

大腸ステントで閉塞を解除してから手術する場合

腸管が狭くなっていても穿孔などの緊急状態がなく、適切と判断される場合には、内視鏡を使って金属製の大腸ステントを狭窄部へ留置し、便やガスが通るようにする方法があります。

根治手術の前にステントで閉塞を解除し、全身状態や腸管の状態を整えてから予定手術を行う方法を「BTS(ブリッジ・トゥ・サージェリー)」と呼びます。

左側の閉塞性結腸がんを対象とした研究では、ステントを用いて閉塞を解除してから予定手術を行う方法が、緊急手術に代わる選択肢の1つとして検討されています。日本の多施設研究でも、ステントを用いた群では緊急手術群と比較して術後合併症が少なく、腫瘍学的な治療成績には明確な差が認められなかったと報告されています。

一方、ステント留置には腸管穿孔、ステントの移動、再閉塞などの合併症が起こる可能性があります。また、閉塞している場所や程度によって技術的な難しさも異なるため、すべての閉塞性結腸がんに行う治療ではありません。

緊急手術を行うか、ステントで閉塞を解除してから予定手術を行うかは、穿孔の有無、閉塞部位、患者の全身状態、根治切除できる可能性、施設や術者の経験などを踏まえて判断します。

人工肛門を造ってから根治手術を行う場合

ステント留置が難しい場合や安全性に問題がある場合には、まず人工肛門を造って便を別の経路へ流し、腸閉塞を解除することがあります。

全身状態や腸管の状態が改善した後、改めてがんを切除する手術を行う場合があります。

バイパス手術を行う場合

がんを安全に切除できない場合や、全身状態などから大きな切除手術が難しい場合には、閉塞している部分を迂回するように腸管をつなぐバイパス手術を行うことがあります。

目的はがんそのものを完全に取り除くことではなく、便が通る経路を確保して腸閉塞症状を改善することです。

参考:国立がん研究センター「大腸がん 治療」、Comparison of survival and perioperative outcome of the colonic stent and the transanal decompression tube placement and emergency surgery for left-sided obstructive colorectal cancer: The CODOMO study、Colonic Stenting as a Bridge to Surgery Versus Emergency Resection in Obstructive Colon Cancer: A Systematic Review of Surgical Outcomes

ステージ2結腸がんの術後補助化学療法

ステージⅡ結腸がんでは、領域リンパ節への転移はありません。そのため、手術でがんを完全に切除できた場合に、すべての患者へ術後補助化学療法を行うわけではありません。

米国国立がん研究所(NCI)のPDQでも、Stage II結腸がんに対する術後補助化学療法の利益はStage IIIほど明確ではなく、再発リスクなどを踏まえて治療を検討する必要があるとされています。

再発高リスクと判断する主な所見

再発リスクを考える際には、手術後の病理検査や、診断・手術時の状況を確認します。

T4、腸閉塞や穿孔、十分な数のリンパ節を検索できていない場合、低分化などの病理学的特徴は、再発リスクを考える際の重要な判断材料になります。脈管侵襲や神経周囲浸潤など、そのほかの病理所見も合わせて評価します。

ただし、こうした所見が1つあるだけで、すべての患者に術後補助化学療法を行うわけではありません。再発リスクの程度、薬物療法によって期待できる利益、年齢や持病、副作用、本人の希望などを踏まえて治療を決めます。

MSI・MMRも治療判断に関係する

ステージⅡ結腸がんでは、MSI・MMRの結果も術後治療を考えるための重要な情報になります。

NCIがまとめている研究では、MSI-HighのStage II大腸がんはMSSと比べて予後が良好な傾向があり、MSIを持つ腫瘍ではフッ化ピリミジン系薬剤による術後補助化学療法の明確な利益が確認されなかったデータがあります。

そのため、Stage IIでは「高リスク因子があるか」だけではなく、MSI・MMRの結果、再発リスク、患者の状態などを合わせて術後治療を考えることが重要です。

抗がん剤を行う場合の期間

再発高リスクのStage II結腸がんでオキサリプラチンを含む術後補助化学療法を選択する場合には、CAPOXやFOLFOXなどの治療法と治療期間を検討します。

高リスクStage IIを対象に3カ月と6カ月の治療を比較した研究では、治療法によって結果が異なり、CAPOXでは3カ月治療が選択肢となる一方、FOLFOXでは6カ月治療の方が再発を抑える効果が高い可能性が示されています。

一方、オキサリプラチンは投与期間が長くなるほど末梢神経障害が問題になりやすくなります。そのため、再発を防ぐ効果と、しびれなどが日常生活へ与える影響の両方を比較して治療内容と期間を決めます。

参考:National Cancer Institute「Colon Cancer Treatment (PDQ®)」、National Cancer Institute「Genetics of Colorectal Cancer (PDQ®)」、Rebuzzi SE, et al.「Adjuvant Chemotherapy for Stage II Colon Cancer」

ステージ3結腸がんの術後補助化学療法

ステージⅢでは領域リンパ節への転移が確認されています。手術によって目に見えるがんとリンパ節をすべて切除できても、画像検査や病理検査では確認できない微小ながん細胞が体内に残っている可能性があります。

そのため、根治手術後には、体の状態や臓器機能などに問題がなければ、再発リスクを下げる目的で術後補助化学療法を行うことが一般的です。

CAPOXとFOLFOX

ステージⅢ結腸がんで代表的な術後補助化学療法がCAPOXとFOLFOXです。

CAPOXは内服薬のカペシタビンと点滴薬のオキサリプラチンを組み合わせる治療です。FOLFOXは5-FU、レボホリナート、オキサリプラチンを点滴で組み合わせます。

どちらもオキサリプラチンを使用するため、手足のしびれなどの末梢神経障害が重要な副作用になります。一方、カペシタビンでは手足症候群や下痢などが問題になることがあり、FOLFOXでは持続点滴のため携帯型ポンプなどを使用する場合があります。

治療法は、再発リスク、腎機能などの臓器機能、年齢、副作用、通院方法、本人の希望などを踏まえて選択します。

3カ月と6カ月の治療期間がある理由

オキサリプラチンを含む術後補助化学療法では、治療期間が長くなるほど末梢神経障害が問題になりやすくなります。そのため、再発を防ぐ効果を大きく損なわずに治療期間を短縮できるかを検討したのがIDEA collaborationです。

NCIのPDQでは、IDEAに参加したステージⅢ結腸がん12,834人の解析について、患者全体では3カ月治療が6カ月治療に劣らないことは統計学的に証明されなかったと整理しています。一方、使用する治療法やT・N分類による再発リスクによって結果には違いがみられました。

再発低リスクではCAPOX 3カ月が選択肢になる

ステージⅢ結腸がんでは、T分類とN分類を組み合わせて再発リスクを考えます。

一般にT1~T3かつN1は再発低リスク、T4またはN2は再発高リスクとして、術後補助化学療法の期間を考える際の目安に用いられます。

IDEAの解析では、T1~T3かつN1の再発低リスク群では、3カ月治療が6カ月治療に対して非劣性でした。また、使用する治療法別では、CAPOXは3カ月治療が6カ月治療に対して非劣性だった一方、FOLFOXでは6カ月治療の方が良好な無病生存期間を示しました。

一方、T4またはN2の再発高リスク群では、3カ月より6カ月治療の方が良好な結果でした。そのため、単に「ステージⅢだから6カ月」「低リスクだから必ず3カ月」と決めるのではなく、CAPOXかFOLFOXかという治療法と、T・N分類による再発リスクの両方を確認して治療期間を決めます。

末梢神経障害と治療継続の判断

オキサリプラチンでは、手足のしびれ、感覚の低下、冷たいものに触れたときの痛みや刺激感などの末梢神経障害が起こることがあります。

NCIがまとめているIDEAの結果では、Grade 2以上の神経毒性は6カ月治療と比べて3カ月治療で大幅に少なくなっていました。

そのため、治療期間は「長ければ長いほど良い」と考えるものではありません。再発を防ぐ効果と、しびれが仕事、着替え、食事、歩行などへ与える影響を比較し、必要に応じて減量、休薬、オキサリプラチンの中止などを検討します。

MSI・MMRも治療判断の参考になる

ステージⅢでもMSI・MMRは、がんの性質や遺伝性腫瘍の可能性などを考えるための重要な情報です。

MSI-High・dMMRではフッ化ピリミジン系薬剤だけを使用した術後治療の効果について、過去の研究で十分な利益が確認されなかったデータがあります。一方、ステージⅢ結腸がんではオキサリプラチンを含む術後補助化学療法が標準的に用いられています。

そのため、MSI-HighまたはdMMRという結果だけを理由に、Stage IIIの術後補助化学療法を一律に省略するものではありません。T・N分類による再発リスク、患者の全身状態、臓器機能、副作用リスクなども含めて治療方針を検討します。

参考:National Cancer Institute「Colon Cancer Treatment (PDQ®)」、National Cancer Institute「Genetics of Colorectal Cancer (PDQ®)」

進行・再発結腸がんの治療

結腸がんが肝臓や肺などへ転移している場合や、手術後に再発した場合には、まず病変をすべて切除できる可能性があるかを評価します。

肝転移・肺転移でも切除を目指せる場合がある

ステージⅣでも、原発巣と肝転移・肺転移などをすべて安全に切除できる場合には、手術によって根治を目指せる可能性があります。

最初は切除が難しくても、薬物療法で腫瘍が縮小し、その後に手術可能となる場合もあります。そのため「遠隔転移がある=手術はできない」と一律に決まるわけではありません。

切除できない場合は薬物療法が中心

すべての転移を切除することが難しい場合には、抗がん剤、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬などを使った薬物療法が治療の中心になります。

進行・再発大腸がんでは、KRAS、BRAF、HER2、MSI・MMRなどのバイオマーカーによって治療選択肢が異なります。さらに、進行・再発大腸がんでは原発巣が右側か左側かも、一部の薬物療法を選ぶ際の判断材料になります。

ただし、ここから先は結腸がん固有というより転移性大腸がん全体の治療になります。具体的な薬剤の使い分け、バイオマーカー検査、治療成績、余命については、大腸がんステージ4の記事で詳しく解説しています。

参考:国立がん研究センター「大腸がん 治療」、国立がん研究センター「大腸がん 検査」

結腸がん手術の副作用・手術後の生活

結腸がんの手術では大腸の一部を切除しますが、多くの場合、残った腸管が働くことで徐々に排便状態は安定していきます。

ただし、手術直後から以前とまったく同じ状態になるわけではなく、排便回数や便の硬さが変化したり、手術に伴う合併症が起きたりする可能性があります。

排便回数・便の性状の変化

手術後しばらくは、便が軟らかくなったり、排便回数が増えたり、反対に便秘になったりすることがあります。特に右側結腸を広く切除した場合には、手術直後に便が軟らかくなる人もいます。多くの場合、残った腸管が徐々に適応して排便状態は安定しますが、回復までの期間には個人差があります。

縫合不全

結腸を切除した後には、残った腸管同士をつなぎ合わせます。このつなぎ目から腸内容が漏れる合併症を縫合不全と呼びます。発熱、腹痛などが起こり、感染が強い場合にはドレナージや再手術、人工肛門の造設などが必要になることがあります。

腸閉塞・癒着

手術後には、おなかの中で腸管や周囲の組織がくっつく「癒着」が起こり、後になって腸閉塞の原因になることがあります。強い腹痛、おなかの張り、嘔吐、便やガスが出ないなどの症状がある場合には医療機関へ相談する必要があります。

食事は段階的に通常へ戻していく

手術直後は腸の動きを確認しながら食事を再開し、徐々に通常の食事へ戻していきます。退院後も基本的には特定の食品を一生禁止する必要はありません。ただし、術後早期には一度に大量に食べたり、消化しにくいものを多く摂取したりすると腹部症状が出ることがあるため、体調をみながら調整します。

国立がん研究センターでは、手術後1カ月程度は消化しにくい食品を大量に摂ることによる腸閉塞にも注意するよう説明しています。

仕事・外出への復帰

仕事へ戻れる時期は、手術方法、仕事内容、年齢、体力、術後合併症の有無などによって異なります。デスクワークと重量物を扱う仕事では必要な回復期間も違います。「退院できること」と「以前と同じ仕事量へ戻れること」は別なので、退院後の体力や排便状態をみながら段階的に活動量を増やします。

参考:国立がん研究センター「大腸がん 療養」、国立がん研究センター「大腸がん Q&A」

結腸がんの再発と治療後の経過観察

結腸がんを手術で完全に切除できても、その後に再発する可能性があります。再発リスクはステージ、リンパ節転移、がんの深さ、病理学的特徴などによって異なります。

肝臓・肺などへの再発に注意する

大腸がんは、肝臓や肺へ転移・再発することが比較的多いがんです。このため手術後は、血液検査や腫瘍マーカーだけでなく、CTなどを使って再発がないか確認します。また、大腸内視鏡によって、大腸の別の場所に新しいがんやポリープができていないかを確認することも重要です。

治療後は定期的な検査を続ける

大腸がんでは、治療後3年程度までに再発することが比較的多いため、この時期は特に定期的な検査が重要です。ステージなどに応じて、診察、血液検査、CEA、CT、大腸内視鏡などを組み合わせ、一般に5年間程度を目安として経過観察を続けます。

再発しても手術できる場合がある

再発が確認されても、肝臓や肺などの病変が限られており、すべて安全に切除できる場合には、再び手術によって根治を目指せる可能性があります。一方、切除できない場合には薬物療法を中心に治療します。そのため「再発した=治療できない」「再発した=余命が決まった」と考える必要はありません。

再発した場所、数、切除可能性、バイオマーカー、薬物療法への反応などから、その時点での治療方針を改めて判断します。

参考:国立がん研究センター「大腸がん 療養」

結腸がんのステージ別生存率

結腸がんの予後は、診断された段階でがんがどこまで広がっているかによって大きく異なります。

国立がん研究センターの院内がん登録2014~2015年診断例では、結腸がんの5年ネット・サバイバルは次のようになっています。

ステージ 対象数 5年ネット・サバイバル
Ⅰ期 19,958例 92.1%
Ⅱ期 19,431例 85.7%
Ⅲ期 17,094例 76.2%
Ⅳ期 8,437例 15.8%

全ステージを合わせた結腸がんの5年ネット・サバイバルは70.7%です。

ネット・サバイバルとは、がん以外の死因による影響をできるだけ取り除き、「結腸がんだけが死因になる状況」を仮定して計算した生存率です。

Ⅰ~Ⅲ期では根治を目指せる患者が多い

Ⅰ期ではリンパ節転移がなく、がんが比較的浅い範囲にとどまっているため、内視鏡治療や手術によって根治を目指しやすく、5年ネット・サバイバルは92.1%です。

Ⅱ期ではがんが結腸壁の外へ広がっていますが、領域リンパ節への転移はなく、85.7%です。

Ⅲ期では領域リンパ節への転移があるため再発リスクが高くなりますが、遠隔転移はありません。手術に術後補助化学療法を組み合わせることで根治を目指す治療が行われ、5年ネット・サバイバルは76.2%です。

ステージ4で生存率が大きく低下する理由

ステージⅣでは肝臓、肺、腹膜などへ遠隔転移があるため、原発巣だけを切除しても体内のがんをすべて取り除けない場合が多くなります。そのためⅠ~Ⅲ期と比べ、5年ネット・サバイバルは15.8%まで低下します。

ただし、15.8%という数字を、2026年現在ステージ4と診断された個人の将来へそのまま当てはめることはできません。

この統計は2014~2015年診断例のデータであり、その後、大腸がんでは分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬、バイオマーカーに応じた治療などが大きく進歩しています。

さらに、同じステージⅣでも、切除可能な肝転移が少数だけある患者と、多数の臓器へ転移している患者では予後が大きく異なります。生存率は集団の統計であり、個人の余命そのものを示す数字ではありません。

ステージ4の現在の治療成績や余命については、大腸がんステージ4の記事で詳しく解説しています。

参考:国立がん研究センター「院内がん登録生存率集計結果閲覧システム 結腸がん」

結腸がんの治療で判断が分かれる場面

結腸がんにはステージごとの標準的な治療がありますが、実際の治療はステージだけで自動的に決まるわけではありません。病理検査の結果、再発リスク、年齢、持病、術後の生活、副作用などによって、同じステージでも治療方針が異なることがあります。

内視鏡治療後に追加手術をするか

早期結腸がんでは、内視鏡で病変を取り切れた後に、追加手術をするかどうかが重要な分岐点になることがあります。

追加手術の目的は、内視鏡で見えるがんをもう一度取ることではなく、リンパ節に微小ながん細胞が広がっている可能性に対応することです。病理所見から予測されるリンパ節転移リスクと、手術そのものによる負担を比較して判断します。

ステージ2で術後化学療法をするか

ステージⅡでは原則として手術が中心ですが、T4、腸閉塞、穿孔など再発高リスクを示す可能性のある所見がある場合には術後補助化学療法を検討します。ただし、高リスク因子の有無だけではなく、MSI・MMR、年齢、全身状態、副作用などを含めて判断します。

「抗がん剤をしない=治療が不十分」「抗がん剤をする=必ず再発を防げる」という単純な関係ではありません。

ステージ3で3カ月と6カ月をどう選ぶか

Stage IIIでは術後補助化学療法が基本ですが、治療期間について複数の選択肢があります。再発低リスクでCAPOXを選択する場合には3カ月治療が有力な選択肢になります。一方、再発リスクが高い場合やFOLFOXを用いる場合には、6カ月を含めてより長い治療を検討します。

治療期間を決める際には、再発抑制効果だけでなく、オキサリプラチンによる末梢神経障害が仕事や日常生活へ与える影響も考える必要があります。

腸閉塞時にステント・手術をどう選ぶか

閉塞性結腸がんでは、そのまま緊急手術をする方法、大腸ステントで閉塞を解除してから予定手術をする方法、人工肛門を先につくる方法などがあります。

どの方法が適しているかは、穿孔の有無、閉塞部位、患者の全身状態、根治切除できる可能性、施設の経験などによって異なります。「ステントなら必ず人工肛門を避けられる」「緊急手術なら必ず人工肛門になる」というものではありません。

高齢・持病がある場合

結腸がんの治療を年齢だけで決めることはできません。

高齢でも全身状態が良ければ標準的な手術や術後治療を受けられる場合があります。一方、心臓・肺・腎臓などの持病、日常生活の自立度、認知機能などによっては、治療の負担を考慮して内容を調整することがあります。

治療によって得られる再発抑制効果と、副作用や生活機能低下の可能性を比較して判断することが重要です。

参考:National Cancer Institute「Colon Cancer Treatment (PDQ®)」、National Cancer Institute「Genetics of Colorectal Cancer (PDQ®)」、Rebuzzi SE, et al.「Adjuvant Chemotherapy for Stage II Colon Cancer」、Colonic Stenting as a Bridge to Surgery Versus Emergency Resection in Obstructive Colon Cancer: A Systematic Review of Surgical Outcomes

結腸がんの治療を選ぶときに確認したいこと

結腸がんの治療では、単に「ステージはいくつか」だけでなく、がんができた場所、切除範囲、病理結果、再発リスクまで理解しておくと治療方針を判断しやすくなります。

確認したいこと 確認する意味
結腸のどこにがんがあるか 右半結腸切除、S状結腸切除など手術方法や症状の現れ方に関係する
がんはどこまで深く広がっているか 内視鏡治療でよいか、リンパ節郭清を伴う手術が必要かを判断する
リンパ節転移があるか ステージⅡとⅢを分け、術後補助化学療法の必要性に大きく関係する
腸閉塞や穿孔があるか 緊急手術、ステント、人工肛門など治療手順が変わる場合がある
ステージ2なら再発高リスク所見があるか 術後補助化学療法を行うかを考える判断材料になる
MSI・MMRの結果 特にステージⅡ・Ⅲの術後治療や遺伝性腫瘍の評価に関係する
ステージ3ならどの薬を何カ月使うか 再発リスクと末梢神経障害などの副作用を比較してCAPOX・FOLFOXや治療期間を考える
遠隔転移がある場合にすべて切除できるか ステージ4でも根治手術を目指せるか、薬物療法を中心にするかを決める
治療後の生活へどのような影響があるか 排便、食事、仕事、副作用などを含めて治療を比較できる

まとめ

結腸がんは大腸がんの一種で、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸に発生するがんです。

結腸は長い臓器であるため、どこにがんができるかによって症状の現れ方が異なります。右側結腸では便が液状に近く、がんが進行しても通過障害が起こりにくいため、貧血や倦怠感などから見つかる場合があります。一方、左側結腸では便が固形になり、便秘、腹痛、腹部膨満、腸閉塞などの症状が現れやすくなります。

早期でリンパ節転移リスクが低ければ内視鏡治療を行える場合がありますが、より深く浸潤している場合には、がんがある結腸と周囲のリンパ節を切除します。回盲部切除、右半結腸切除、横行結腸切除、左半結腸切除、S状結腸切除など、がんの部位によって手術方法が変わるのが結腸がんの特徴です。

また、結腸がんでは腸閉塞が治療に大きく影響する場合があります。閉塞があるときには緊急手術だけでなく、大腸ステントや人工肛門によって先に閉塞を解除し、その後に根治手術を行う方法もあります。

結腸がんの治療を考える際には、ステージだけでなく、どの場所にがんがあるのか、どこまで切除するのか、リンパ節転移があるのか、術後治療が必要なのかを確認することが重要です。

大腸がん全体の検診や共通する治療については大腸がんの記事、直腸がん特有の肛門温存・人工肛門・術前治療については直腸がんの記事、遠隔転移がある場合の薬物療法・バイオマーカー・余命については大腸がんステージ4の記事で詳しく解説しています。

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