”新しい未来をともに”最先端のがん治療を追求するがん治療専門クリニック ”新しい未来をともに”最先端のがん治療を追求するがん治療専門クリニック
希少がん 2025.4.18

原発不明がん(CUP)とは。初期症状や原因はなに?どうすれば治る?

  • 原発不明がんは寛解を見込める疾患である
  • 原発不明がんの治療法は、がん治療の中でも特殊
  • 実施できる化学療法には制限がある

「がんが見つかったのに、どこから始まったのか分からない」――。

そんな状態で診断されるのが「原発不明がん」です。聞き慣れない名前かもしれませんが、実は毎年1万人ほどが発症しています。ここでは、原発不明がんの基本的な知識と、治療や寛解の可能性についてお伝えします。

原発不明がんとは

原発不明がん(Cancer of Unknown Primary [CUP])とは、その名前の通り、「体のどの部位からがんが発生したのかが分からないがん」のことです。

通常、がんは特定の臓器や組織から発生し、その後他の臓器やリンパ節、組織に転移することが多いです。

しかし、原発不明がんでは、体のどこかにがんの転移が発見されているのに、その元(原発巣)がどこにあるのか検査をしても確定できない状態になっています。日本国内では年間約1万人に発生していると報告されており、がん全体の中でも比較的珍しいがんです。

原発不明がんの症状

がんの転移先の状態によって様々な症状が現れます。

比較的よくみられる症状として、原因不明の体重減少、倦怠感、微熱、食欲不振、体の痛みなどがあります。ただし、初期症状としては何もなく、進行してから現れる場合が多いです。

そのため、病院を受診する時にはかなり病気が悪化していることもあります。

原発不明がんの原因

原発不明がんが発生する原因として、主に「遺伝子変異」があげられます。

遺伝子とは、細胞を作るための情報がつまった部位ですが、この遺伝子が異常になると遺伝子変異が起こり、原発不明がんを発症すると報告されています。

原発不明がんで頻度が高い遺伝子変異としては、「TP53」「KRAS」「PIK3CA」「ARID1A」などがあげられます。そのため、原発不明がんを治療するためには、これらの遺伝子変異に直接アプローチできる遺伝子治療がおすすめと言えるでしょう。

特に、「TP53」の変異率は原発不明がんの遺伝子変異の中で最も高く、約60%とも報告されています。

参考:Altered Signaling Pathways Revealed by Comprehensive Genomic Profiling in Patients With Unknown Primary Tumors|NLM

原発不明がんの診断

原発不明がんの診断方法は、まずは体中のどこにも元々のがんがないことを調べることが必要です。

つまり、全身をくまなく調べる検査を行います。具体的には、腫瘍マーカーなどの血液検査、CT検査・MRI検査・PET検査・超音波検査などの画像検査、転移したがんの組織の特徴を顕微鏡にて調べる病理検査、がんの遺伝子変異や特徴を調べるがんゲノムプロファイリング検査(遺伝子診断)などがあります。

患者様の状態によって実施すべき検査が異なりますので、具体的には主治医の先生と相談して検査内容や種類を決定していくのがおすすめです。

原発不明がんの一般的な治療法

原発不明がんの治療法は、がん治療の中でも特殊です。

一般的ながんであれば、大腸がんや乳がんなど、がんの種類によって治療方針がガイドラインにて決まっています。しかし、原発不明がんに関しては、患者様のがん細胞の種類や特徴によって治療方針が異なります。

原発不明がんの中には、明らかな原発巣は分からなくてもある程度推定できるタイプがあります。

例えば、前立腺がん、乳がん、卵巣がんなどによく似ている特徴があるがんの場合です。このような種類の原発不明がんは、想定されるがん種に応じて、化学療法などの薬物療法や外科手術、放射線療法などが行われ、比較的治療効果が期待できるため、「予後良好群」と呼ばれます。

原発不明がんの患者様の約15~20%が予後良好群に分類されます。ただし、予後良好な患者様でさえ、平均生存期間は約2~3年と報告されています。

一方で、原発巣が推定できないような原発不明がんの場合、かなり予後は悪化してしまうため「予後不良群」と呼ばれます。80%以上の原発不明がんの患者様はこちらに分類され、平均生存期間は、約7ヶ月と言われています。予後不良群の患者様には、化学療法などの薬物治療が行われることが多いです。

以上のように、原発不明がんは、予後不良群はもちろんのこと、予後良好群だとしても平均生存期間が短く、難治性のがんだということが分かります。

しかし、最近では、原発不明がんを発生させている主な原因の1つである、遺伝子変異に直接効果を発揮する遺伝子治療が最新の治療法として注目されています。

参考:
原発不明がんにおいて予後良好群を確実に抽出することの意義|小野薬品工業株式会社
原発不明がん|NCCN

原発不明がんは寛解が見込める疾患

原発不明がんは寛解を見込める疾患です。

原発不明がんが発見された時にはすでに転移を起こしている状態であるため、いわゆる進行がんの状態ではありますが、様々な化学療法や手術、放射線療法などを組み合わせることで治癒も十分に期待できます。

また、当院では原発不明がんに対しての最新治療である遺伝子治療を積極的に取り入れております。ぜひ一度お問い合わせください。

原発不明がんにおける保険診療の限界

原発不明がんに対する保険診療には、化学療法や手術、放射線療法などがあります。

手術法の発達や化学療法・放射線療法の進歩といった医療界の発展により原発不明がんの治療法が発展してきましたが、保険診療では治療が困難な場合もあります。

実施できる化学療法の制限

保険診療では使用できる抗がん剤の数に制限があります。

原発不明がんではがん細胞のタイプに合わせて様々な抗がん剤や分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬などを使い分けます。しかし、多くの場合、3~4種類程度しか有効な薬物療法はありません。

そのため、使用できる薬物を使い切った場合、もしくは体に合わない場合には、選択できる薬剤や治療はもう存在しないと医師から言われてしまいます。

また、1個の新しい抗がん剤などの薬物が開発されるまでには10~20年かかると言われています。

化学療法の「きつい」副作用

化学療法では抗がん剤などを用いますが、その副作用は抗がん剤の種類や患者様により個人差があります。

抗がん剤などの一般的な副作用は、嘔気、食欲不振、下痢、手足のしびれ、倦怠感、発疹、貧血、高血圧、脱毛などです。また、使用する薬物療法の種類によっては、命に関わる合併症や副作用が起きるケースもあり、注意が必要です。

患者様の中には、最初は問題なくても副作用がきつく続けられないと感じる方もいらっしゃいます。また、頑張って化学療法を続けていても副作用のせいで日常生活が楽しく送れずに気分が落ち込む患者様もいらっしゃいます。

最新の治療法である遺伝子治療がおすすめ

原発不明がんの近年注目されている治療法として遺伝子治療があります。

遺伝子治療は、原発不明がんの主な原因である遺伝子異常に直接アプローチして、がん細胞そのものを根本的に治療する最新の治療法です。

特に欧米では、がんの部位ではなくどのような遺伝子異常があるか、ということに注目して治療法を決定する臨床試験が行われています。日本では一部の遺伝子治療を保険でも行われていますが、国際的には遺伝子治療の分野で遅れを取っています。がん中央クリニックグループのクリニックではいち早く遺伝子異常に焦点をあてた診察・治療を導入しています。

なお、遺伝子治療には「がん抑制遺伝子」と「核酸医薬」の2種類があります。詳しくは下記をご参照ください。

がん中央クリニックグループのクリニックでは、患者様の状態に合わせて行う最新のがん遺伝子治療を提供できます。是非一度ご相談ください。

参考:
NCI-MATCH Trial (Molecular Analysis for Therapy Choice)|NIH
Prospective, non-randomized Clinical Trial|DRUP

保険診療では「治療方法がない」方も治療可能

原発不明がんに対する遺伝子治療はごく一部を除いて保険診療ではなく自由診療(保険外診療)であるため、保険診療ではもう治療方法がない、と言われた患者様でも実施できます。

がん中央クリニックグループのクリニックでは原発不明がんの患者様1人ひとりに合わせてテーラーメイドの遺伝子治療を提供します。

保険診療との相乗効果が期待

遺伝子治療は原発不明がんへの化学療法などのあらゆる薬物療法と併用できるとともに、治療効果として相乗効果が期待できます。なぜなら、化学療法は産生された原発不明がんの細胞やたんぱく質に作用しますが、遺伝子治療は細胞やたんぱく質が産生される前段階に作用するため、原発不明がんの細胞に対して作用するポイントが異なるからです。

また、放射線療法もがん細胞の遺伝子に作用する治療法であり、遺伝子治療を併用すれば相乗効果が期待できます。

遺伝子治療はすでに保険診療で化学療法を含む薬物療法や放射線治療を実施中の患者様にもおすすめできる治療法です。

治療継続可能な副作用

遺伝子治療には目立った副作用が起こりにくいです。特に、化学療法で起きやすい嘔気、食欲不振、倦怠感、脱毛、貧血、命に関わる副作用などはほとんど起こりません。

遺伝子治療の副作用としては、一時的な微熱、血圧上昇、顔の紅潮、アレルギー反応(0.3%以下)などがあります。解熱剤など薬物を使う場合もありますが、自然と改善する副作用が大半であり、治療を継続するのに支障をきたしません。

がん遺伝子治療をオススメする患者様

がん遺伝子治療は原発不明がんのほとんどの患者様におすすめできる治療法です。

どのような患者様に効果が期待できるのかを以下に具体的に解説します。ぜひご自身のパターンに合わせてがん遺伝子治療をご検討ください。

原発不明がんに対して薬物治療中や放射線療法中の患者様

がん遺伝子治療は、抗がん剤治療などの薬物治療や放射線療法中(標準治療)を行っているすべての患者様におすすめできる治療法です。

がんは放置していると大きくなっていくため、様々な治療法を用いてがんを小さくすることが重要です。つまり、保険治療の薬物治療や放射線療法だけで原発不明がんに立ち向かうのではなく、がん遺伝子治療を併用することで、異なる治療手段により原発不明がんの縮小がより見込めます。

実際、抗がん剤とがん遺伝子治療を併用することで、がんへの治療効果がより高まったという論文も発表されています。原発不明がんは数あるがんの中でも悪性度が極めて高いがんの1つです。そのため、寛解を目指すためには様々な治療法を組み合わせて治療を行うことが重要です。

参考:Selective intra-arterial infusion of rAd-p53 with chemotherapy for advanced oral cancer: a randomized clinical trial

保険治療では治療困難な患者様

原発不明がんに対するがん遺伝子治療は、保険診療ではなく自由診療(保険外診療)であるため、保険診療で治療法がない、と言われた患者様でも実施できます。

がん中央クリニックグループのクリニックでは患者様1人ひとりに合わせたテーラーメイドのがん遺伝子治療を提供しています。

また、がん遺伝子治療では目立った副作用が現れません。そのため、当グループのクリニックへ通院さえ可能であればどのような方でも治療可能です。

例えば、「体力がないため抗がん剤はできません」などと説明された方でもがん中央クリニックの治療は可能です。通院が困難な方には訪問治療も可能な場合もあります。詳しくは一度下記の無料相談窓口へお問い合わせ、お電話ください。

原発不明がんの寛解を目指して保険診療と患者様に合った自由診療を組み合わせるのがおすすめ

原発不明がんは寛解を目指せる疾患であり、適切に治療を行うことが重要です。

原発不明がんは主に遺伝子異常が原因で発症する疾患であり、保険診療と遺伝子治療を組み合わせたり、保険診療ではカバーできない場合には遺伝子治療を行うことで腫瘍縮小効果などが期待できます。

がん中央クリニックグループのクリニックでは遺伝子治療をはじめ、患者様1人ひとりに合ったがんの自由診療を提案いたします。原発不明がんの患者様は、どのような状況の場合でも是非お気軽にご相談ください。

がん情報サポートサイト編集部

がん中央クリニックグループ

がん情報サポートサイト編集部

がんと向き合うすべての方へ。
知りたいことに寄り添い、大切な選択の助けとなる情報をお届けします。

がんと診断されたとき、治療を選ぶとき、何を信じればいいのか迷うことがあるかもしれません。私たちがん中央クリニックグループの「がん情報サポート編集部」は、そんな不安に寄り添い、信頼できる医療情報をお届けするために生まれました。

医師や看護師、医療ライター、患者支援スタッフが協力し、専門的な知識を、わかりやすく、正確に発信することを心がけています。

「本当に知りたいことが、きちんと届くように」そんな想いを込めて、これからも情報をお届けしていきます。

・本記事は、がん治療や予防に関する一般的な情報を提供するものであり、医師による診断・治療の代替とはなりません。
・記載された内容は作成日時点のものであり、医学の進歩や治療法の更新により変更される可能性があります。最新の情報については、医療機関や公的機関の情報をご確認ください。
・記事の内容は執筆者の見解に基づくものであり、本記事が所属するサイトの公式な見解を示すものではありません。
・記事に掲載される情報の正確性・完全性には細心の注意を払っていますが、内容の保証はできません。
・がん治療や医療に関する意思決定を行う際には、必ず主治医や専門医と相談し、ご自身の責任において判断してください。
・本記事の情報を利用したことによる損害・不利益について、当サイトは一切の責任を負いかねます。
・本記事内の情報には、研究段階の治療や承認されていない治療に関する記載が含まれる場合があります。これらの情報については、必ず専門家とご相談の上でご検討ください。
・本記事で提供する情報は参考情報であり、特定の治療や医薬品の使用を推奨するものではありません。
本記事では、できる限り正確な情報提供を心掛けておりますが、掲載情報の最新性・正確性を保証するものではありません。情報のご利用にあたっては、ご自身の責任で判断いただきますようお願いいたします。