DNAやRNAといった遺伝子情報を司る「核酸」を基本骨格としたものが「核酸医薬」です。
近年、急速にがん治療への実用化が進んでおり、次世代医薬品としても注目を浴びています。人工的に作ったmRNAを体内に投入し、がんの元であるがん遺伝子に直接作用する事で、治療が困難とされてきた病気でも治療が可能になると期待されています。
高い治療効果のみだけではなく、攻撃する標的が定まっている事から正常細胞への影響が少な副作用がとても少ないのも特徴です。
POINT核酸医薬
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がん治療6つの特徴
- 体への負担が少なく年齢問わず治療可能である。
- 点滴、通院(日帰り)治療のため普段の生活を保ったまま治療可能。
- 核酸医薬の特性を活かし、がんの原因となるタンパク質のみを標的とする。
- 標準治療(手術・放射線・手術)と併用して治療可能である。
- これまで治療が難しいとされていたがんに対する効果も期待されておりがん種、転移、再発、ステージ問わず治療可能である。
- がんの無限増殖を抑え込み、がんの縮小、がんの進行停止が期待できる。
世界で承認されている
核酸医薬Approved worldwide
新型コロナウイルスにも使われているmRNA(リボ核酸)も核酸医薬の1つです。
新型コロナウイルスのワクチンにも使用されていることで脚光を浴びている核酸医薬ですが世界では様々な治療薬としても承認されています。
米国
一般名 | 分類 | 承認年 | 適応 |
---|---|---|---|
Vitravene | アンチセンス | 1998 | CMV性網膜炎(AIDS患者) |
Macugen | アプタマー | 2004 | 滲出型 加齢黄斑変性症 |
Kynamro | アンチセンス | 2013 | ホモ接合型家族性 高コレステロール血症 |
Exondys 51 | アンチセンス | 2016 | デュシェンヌ型 筋ジストロフィー |
Spinraza | アンチセンス | 2016 | 脊髄性筋萎縮症 |
HEPLISAV-B | CpGオリゴ | 2017 | B型肝炎(予防) |
Tegsedi | アンチセンス | 2018 | 遺伝性ATTR アミロイドーシス |
Onpattro | siRNA | 2018 | 遺伝性ATTR アミロイドーシス |
Givlaari | siRNA | 2019 | 急性肝性 ポルフィリン症 |
Vyondys 53 | siRNA | 2019 | デュシェンヌ型 筋ジストロフィー |
Viltepso | アンチセンス | 2020 | デュシェンヌ型 筋ジストロフィー |
Oxlumo | siRNA | 2020 | 原発性 高シュウ酸尿症Ⅰ型 |
Leqvio | siRNA | 2021 | 高コレステロール血症 混合型脂質異常症 |
Amondys 45 | アンチセンス | 2021 | デュシェンヌ型 筋ジストロフィー |
欧州
一般名 | 分類 | 承認年 | 適応 |
---|---|---|---|
Vitravene | アンチセンス | 1999 | CMV性網膜炎(AIDS患者) |
Macugen | アプタマー | 2006 | 滲出型 加齢黄斑変性症 |
Spinraza | アンチセンス | 2017 | 脊髄性筋萎縮症 |
Tegsedi | アンチセンス | 2018 | 遺伝性ATTR アミロイドーシス |
Onpattro | CpGオリゴ | 2018 | 遺伝性ATTR アミロイドーシス |
HEPLISAV-B | アンチセンス | 2019 | B型肝炎(予防) |
Waylivra | アンチセンス | 2019 | 家族性 高カイロミクロン血症 |
Givlaari | siRNA | 2020 | 急性肝性 ポルフィリン症 |
Oxlumo | siRNA | 2020 | 原発性 高シュウ酸尿症Ⅰ型 |
Leqvio | siRNA | 2021 | 高コレステロール血症 混合型脂質異常症 |
日本
一般名 | 分類 | 承認年 | 適応 |
---|---|---|---|
Macugen | アプタマー | 2008 | 滲出型 加齢黄斑変性症 |
Spinraza | アンチセンス | 2017 | 脊髄性筋萎縮症 |
Onpattro | siRNA | 2019 | 遺伝性ATTR アミロイドーシス |
Viltepso | アンチセンス | 2020 | デュシェンヌ型 筋ジストロフィー |
Givlaari | siRNA | 2021 | 急性肝性 ポルフィリン症 |
ノーベル賞を受賞した技術を使った核酸医薬
核酸医薬は、ノーベル賞を受賞したRNA干渉法という技術を用いて、特定の遺伝子の発現を抑制する方法です。
RNA干渉(RNAi)はクレイグ ・メロー博士とアンドリュー・ファイアー博士により発見。その功績は科学的に重要、画期的な発見である事が認められて2006年にノーベル賞(生理学・医学賞)を受賞しました。
がん細胞は、がん遺伝子の増幅や過剰発現ががん細胞の無秩序な増殖を促進していることがあります。そこで、増幅したり過剰発現したりしているがん遺伝子から転写されるRNAの発現を、核酸医薬を用いて抑制します。その結果、がん細胞の無秩序な増殖を抑えることが出来るのです。
がんの特徴に合わせて6つの核酸医薬ががん細胞の増殖を抑制します
CDC6 sh RNA
異常ながん細胞の増殖、細胞分裂を抑えるDNAの複製や細胞周期を調節することによりがんの発生・進展に関わる。様々ながんで高発現している。
P28 sh RNA
がん抑制遺伝子を阻害する阻害物質を抑えるがん抑制遺伝子産物であるp53やp16の働きを阻害することによりがんの発生・進展に関わる。様々ながんで高発現している。
MDM2 sh RNA
がん抑制遺伝子を阻害する阻害物質を抑えるがん抑制遺伝子であるp53遺伝子の発現やp53タンパク質の働きを阻害することによりがんの発生・進展に関わる。様々ながんで高発現している。
CDK4 sh RNA
がん抑制遺伝子を阻害する阻害物質を抑えるがん抑制遺伝子であるp16により制御され、細胞周期を進行させることによりがんの形成に関わる。
IL6 sh RNA
炎症の抑制、阻害物質を抑える代表的な炎症性サイトカインであり、細胞増殖、アポトーシス抵抗性、血管新生、免疫に関わることによりがんの発生や転移を促進する。
KRAS sh RNA
がん化の促進を抑えるEGFRからの細胞増殖シグナルを核に伝える働きがあるが、多くのがんでこの働きを活性化する変異が見られ、細胞のがん化の促進に重要であると考えられている。
核酸医薬を使った治療についてAbout treatment
治療可能なステージ・再発・転移
- ステージ I
- ステージ II
- ステージ III
- ステージ IV
- 再発がん
- 転移がん
- がん予防
治療可能ながん種
- 脳腫瘍
- 大腸がん
- 膵臓がん
- 乳がん
- 肺がん
- 胃がん
- 肝臓がん
- 食道がん
- 子宮体がん
- 胆管がん
- 咽頭がん
- 胆のうがん
- 子宮頸がん
- 卵巣がん
- 膀胱がん
- 前立腺がん
- 腎臓がん
- 舌がん
- 胸腺腫がん
- 卵管がん
- 小腸がん
- 腹膜癌がん
- 十二指腸がん
- 腎盂がん
- 腺様嚢胞がん
- 顎下腺がん
- 尿管がん
- 甲状腺がん
- 虫垂がん
- 神経内分泌がん
- 歯肉がん
- 口腔がん
- GIST
- 中皮腫
- 子宮肉腫
- 乳房外パジェット
- 悪性黒色腫
- 平滑筋肉腫
- 原発不明
※血液がん( 白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫)、脳腫瘍の症状は治療が受けられない可能性があります。治療可能かどうか事前にご相談下さい(無料電話相談:0120-752-712)
- 治療概要
遺伝子検査や統計学的な遺伝子情報に基づいて患者様ごとに使用する核酸医薬の種類を決定。
インフォームド・コンセントにてご説明後、同意書にご記入いただいた上で治療を開始します。 - 治療方法
点滴投与による、通院治療。2クールの合計11回の通院治療を基本としています。※患者様の状態によりクール数、通院数が異なる場合が御座います。治療中はご家族様も同伴いただく事も可能です。
- 所要時間
初回のみ2時間~3時間。2回目以降は1時間~2時間。
治療中(点滴中)は読書や同伴の方とお話いただけます。 - 副作用
主なリスクや副作用として、治療タンパクによるアレルギー反応やアナフィラキシーショックが極稀(0.3%)に起こることがありますが、事前にアレルギー反応テストを行ない安全を確保した上で治療を開始します。
その他に、がん細胞への到達率を高めるための高分子ミセル化による副作用として、頭痛や発熱が起こる可能性があり(15%)、痛み止めや解熱鎮痛剤を服用することで症状を抑えています。
医療のグローバル化を
目指して。
がん医療の新たな選択肢を生み出す。
患者様一人ひとりに合った医療提供を実現させるために
世界の新しい医療を取り入れるよう努めています。
治療一覧
がん中央クリニックグループでは「がん抑制遺伝子」の他にも以下の治療法を提供しています。
-
CANCER GENE THERAPY
がん抑制遺伝子
がん抑制遺伝子ががん細胞の増殖を抑制し、がん細胞を正常な働きへ。
詳しくはこちら -
Photoimmunotherapy
がん光免疫療法
選択的にがん細胞を狙い撃つ。がん細胞のみを死滅させる、体に傷をつけない低侵襲医療。
詳しくはこちら -
Colloidal iodine therapy
コロイドヨード療法
免疫力を高め病原菌やウイルスを排除し、自然治癒力を引き出す。
詳しくはこちら -
MOLECULARLY TARGETED VACCINE THERAPY
分子標的ワクチン療法
HER2に対する抗体を作ることによりがんの増殖・浸潤・転移を抑制する。
詳しくはこちら -
Molecularly targeted DNA immunotherapy
分子標的DNA免疫療法
自分の体内で免疫チェックポイントを阻害する抗体を産み出す新しい治療方法
詳しくはこちら -
peritoneal metastasis
腹膜播種治療専門外来
腹膜播種の治療に特化した治療プランをご提案致します。
詳しくはこちら