がん抗原の生産を根本からブロックする次世代医薬 RNA干渉 核酸医薬
ノーベル賞を受賞した技術から生まれた、がんに根本から働きかける次世代医薬
RNA干渉は、2006年にノーベル賞を受賞した世界的な発見を応用した技術です。
がん細胞内で異常に働く遺伝子の指令を止め、悪性たんぱく質が作られないようにすることで、がんの成長や増殖を根本から抑えることを目的とした治療です。
従来の低分子医薬や抗体医薬では狙えなかったRNAの分子を標的とすることが可能であり、画期的な次世代医薬として期待されています。
がん遺伝子の過剰発現を抑える
核酸医薬は、ノーベル賞を受賞したRNA干渉法という技術を用いて、特定の遺伝子の発現を抑制する方法です。
RNA干渉(RNAi)はクレイグ ・メロー博士とアンドリュー・ファイアー博士により発見。その功績は科学的に重要、画期的な発見である事が認められて2006年にノーベル賞(生理学・医学賞)を受賞しました。
がん細胞は、がん遺伝子の増幅や過剰発現ががん細胞の無秩序な増殖を促進していることがあります。そこで、増幅したり過剰発現したりしているがん遺伝子から転写されるRNAの発現を、核酸医薬を用いて抑制します。その結果、がん細胞の無秩序な増殖を抑えることが出来るのです。
がんの性質(遺伝子)に合わせてアプローチする次世代医薬
RNA干渉 核酸医薬の各役割と特徴
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KRAS siRNA
がんの成長を促すシグナルを止め、増殖を抑えるKRASは、細胞に「増えなさい」という指令を出すスイッチのような役割を持つ遺伝子です。
この遺伝子が変異すると、スイッチが壊れたまま入りっぱなしになり、制御できずにがん細胞が増殖を続けてしまいます
KRAS siRNAは、この異常なシグナルを抑えることで、がん細胞の増殖を止め、がんの進行を防ぐように働きます。 -
MDM2 siRNA
がんを抑える力(p53)の働きを守り、がんを死滅へ導くMDM2は、p53と呼ばれる「がんを抑える遺伝子の司令塔」の働きを邪魔してしまう遺伝子です。
そのため、MDM2が活性化するとp53が十分に働けず、がんの発生や進行につながります。
MDM2 siRNAは、このMDM2の働きを抑えることで、p53が本来の力を発揮できるようにし、がん細胞の増殖を抑えるとともに、細胞がアポトーシス(自然死)を起こして死滅していく流れを促します。 -
CDK4 siRNA
がん細胞の暴走を抑え、成長を止めるCDK4は、細胞分裂を進めるためのエンジンのような働きを持つ分子です。
この働きが過剰になると、細胞が必要以上に分裂し続け、がん化が進行します。
CDK4 siRNAは、その働きを抑えることで細胞の増殖サイクルを正常に戻し、がんの成長を抑え、がん細胞を死滅へ導くように作用します。 -
ガンキリン(PMSD10)
がん抑制遺伝子の働きを取り戻し、がんを死滅に追い込む
siRNAガンキリン(PMSD10)は、がんの進行や転移に関わる分子で、複数のがん抑制遺伝子の働きを阻害していることが知られています。
ガンキリンが過剰に働くと、がん細胞の増殖や転移が進みやすくなります。
ガンキリンsiRNAは、この働きを抑えることで、複数のがん抑制遺伝子が再び正常に働けるようにし、がん細胞の増殖を抑え、死滅に追い込みます。 -
CDC6 siRNA
がん細胞の異常な分裂を止め、細胞死(アポトーシス)へ導くCDC6は、DNAの複製や細胞分裂をコントロールする分子で、がん細胞では過剰に働いていることが多く見られます。
CDC6 siRNAは、この異常な働きを抑えることで、細胞が過剰に分裂するのを防ぎ、がんの増殖を抑えるとともに、がん細胞を自然な細胞死(アポトーシス)へ導くように作用します。
核酸医薬を使った治療についてAbout treatment
治療可能なステージ・再発・転移
- ステージ I
- ステージ II
- ステージ III
- ステージ IV
- 再発がん
- 転移がん
- がん予防
治療可能ながん種
- 脳腫瘍
- 大腸がん
- 膵臓がん
- 乳がん
- 肺がん
- 胃がん
- 肝臓がん
- 食道がん
- 子宮体がん
- 胆管がん
- 咽頭がん
- 胆のうがん
- 子宮頸がん
- 卵巣がん
- 膀胱がん
- 前立腺がん
- 腎臓がん
- 舌がん
- 胸腺腫がん
- 卵管がん
- 小腸がん
- 腹膜がん
- 十二指腸がん
- 腎盂がん
- 腺様嚢胞がん
- 顎下腺がん
- 尿管がん
- 甲状腺がん
- 虫垂がん
- 神経内分泌がん
- 歯肉がん
- 口腔がん
- GIST
- 中皮腫
- 子宮肉腫
- 乳房外パジェット
- 悪性黒色腫
- 平滑筋肉腫
- 原発不明
※血液がん( 白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫)、脳腫瘍の症状は治療が受けられない可能性があります。治療可能かどうか事前にご相談下さい(無料電話相談:0120-752-712)
- 治療概要
遺伝子検査や統計学的な遺伝子情報に基づいて患者様ごとに使用する核酸医薬の種類を決定。
インフォームド・コンセントにてご説明後、同意書にご記入いただいた上で治療を開始します。 - 治療方法
点滴投与による、通院治療。1クールの合計4回の通院治療を基本としています。※患者様の状態によりクール数、通院数が異なる場合がございます。治療中はご家族様も同伴いただくことも可能です。
- 所要時間
初回のみ2時間~3時間。2回目以降は1時間~2時間。
治療中(点滴中)は読書や同伴の方とお話いただけます。 - 副作用
主なリスクや副作用として、治療タンパクによるアレルギー反応やアナフィラキシーショックが極稀(0.3%)に起こることがありますが、事前にアレルギー反応テストを行ない安全を確保した上で治療を開始します。
その他に、がん細胞への到達率を高めるための高分子ミセル化による副作用として、頭痛や発熱が起こる可能性があり(15%)、痛み止めや解熱鎮痛剤を服用することで症状を抑えています。
治療一覧
がん中央クリニックグループでは「がん抑制遺伝子」の他にも以下の治療法を提供しています。
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aptamerアプタマー 核酸医薬
がん抗原に対する特異性が極めて高い世界的に注目される次世代医薬
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mirna mimicmiRNA mimic 核酸医薬
がんによって失われた遺伝子調整力を蘇らせる
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Photoimmunotherapyがん光免疫療法
選択的にがん細胞を狙い撃つ。がん細胞のみを死滅させる、体に傷をつけない低侵襲医療。
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hybrid immunity therapyハイブリッド免疫療法
がん細胞を“内からも外からも”攻撃する次世代の二刀流療法
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MOLECULARLY TARGETED VACCINE THERAPY分子標的ワクチン療法
HER2に対する抗体を作ることによりがんの増殖・浸潤・転移を抑制する。
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Oncolytic virus therapy腫瘍溶解ウイルス療法
ウイルスが直接がん細胞を破壊する治療法です。
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Colloidal iodine therapyコロイドヨード療法
免疫力を高め病原菌やウイルスを排除し、自然治癒力を引き出す。
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